戦車模型は汚してナンボ。ウェザリングで「メーベルワーゲン」に使用感を出します

メーベルワーゲン試作型 完成 メーベルワーゲン

どうもこんにちは。

タミヤの「4号対空戦車 メーベルワーゲン」製作日記もいよいよ大詰めです。

最後の仕上げは「ウェザリング」。ウォッシングで風化させて、墨入れ&ドライブラシで立体感を強調させ、パステルで履帯や転輪を泥まみれ・砂まみれにしていきます。

今回行ったウェザリングの内容

今回の「ウェザリング」は私の模型製作日記における最後の仕上げとなります。

ウォッシング、墨入れ、ドライブラシ、泥汚れの再現などを行い、戦車を汚して使用感を出すのが目的。

この記事は「メーベルワーゲン製作日記」の1記事として書いているので、ウェザリングの対象はメーベルワーゲン(2cm Flakvierling38搭載型)ですが、ここで紹介する技法はそれ以外の戦車でも行えます。

また、ツールさえあれば簡単に出来るレベルの内容なので、「ウェザリングってどうすればいいの?」って人はゆっくりご覧になってください。

さて、今回の(今回も)ウェザリングの内容は以下の5点となります。

  1. ウォッシング
  2. 墨入れ
  3. ドライブラシ
  4. 履帯の摩耗の再現
  5. 履帯・転輪の泥・砂汚れの再現

それでは順番に解説していきます。

「ウォッシング」で全体の色調を統一する

まずは「ウォッシング」。

エナメル塗料を使用して作った泥水のような薄い塗料を、メーベルワーゲンの車体全体に塗っていきます。

ウォッシングによって全体の彩度を落とすことで、迷彩塗装の色調を統一させたり、経年劣化による煤けた質感を表現できます。

戦場をあちこち駆けまわる”年季の入った戦車”にすることができます。

使用する塗料と薄め具合について

まずは使用した塗料や、薄め具合について簡単に解説します。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング

このウォッシングで使用した塗料は以下のとおり。

  • タミヤエナメル塗料 レッドブラウン(XF-64)
  • タミヤエナメル塗料 フラットブラック(XF-1)

これらをエナメル溶剤で薄めて使用します。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の比率

ビンの中に入っている塗料を調色スティックでかき混ぜて、その際に付着した塗料を塗装皿に垂らしていくと、上の写真くらいの量になります。

基本的に目分量ですが、私はレッドブラウンとフラットブラックの比率が同じくらいになるようにしています。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の希釈

そしてそこにエナメル塗料用の溶剤を注入してかき混ぜ、塗料を薄めます。

上の写真を見てわかるように、限りなく黒に近い茶色い液体が出来上がります。

塗料の希釈は、塗料に対して溶剤が5倍を目安にします。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の濃度

試しに紙に塗ってみるとこんな感じの色になります。

ちょっと濃すぎない? とも思ったのですが、全体に塗った後、溶剤を含ませた綿棒で拭き取るのであまり拘らなくても良いかな?

コーヒーと同じで塗料の濃淡加減はお好みで。

全体に薄く伸ばすように塗っていく

さて、ウォッシング用に作ったエナメル塗料を車体にまんべんなく塗っていきます。

「ウォッシング」とありますが、車体がビチャビチャになるくらい塗料をぶちまけるのではなく、全体に薄く伸ばすように塗るのがポイント。

最終的に拭き取るので、薄く塗ろうが濃く塗ろうが同じで、少ない塗料でなるべく広範囲を塗るようにすれば塗料の節約になります。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング2

こんな感じにスーッと全体に塗っていきます。イメージとしては煎餅に醤油を塗る感じですね。

…よく見るとゴミが付着しまくっている。こうならないように予め筆などで表面をささっと払っておきましょう。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 比較

ウォッシングの前後を比較するとこんな感じ。

左半分がウォッシング前で右半分がウォッシング後になります。色を暗くして雨や風にさらされて汚れた質感を出します。

田舎にある古びた看板とかこんな感じですよね。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 装甲板

同じように装甲板の外側もウォッシング。

エナメル塗料に関して良く言われるのは、「エナメル溶剤はプラスチックを侵して脆くする」といった点。話によると最悪パーツが割れるなんて情報も散見します。

しかし、今まで何度もウォッシングをやっていますが、パーツが割れるようなことはありませんでした。…が、割れるとまではいかなくても、接着したパーツが取れるという現象は何度か起きています。

なので、接着面が小さいパーツ周辺をドライブラシや墨入れする時は注意しましょう。そして間違っても履帯のウェザリングでエナメル溶剤は使わないこと。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 装甲板内側

といった感じでメーベルワーゲンの車体全体にウォッシングを施して1段階色のトーンを落としました。

写真はありませんが、メーベルワーゲンに乗せる「2cm Flakvierling38」もウォッシング済み。

溶剤を含ませた綿棒で塗料を拭き取る

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の拭き取り

全体にウォッシングを施したら、今度はエナメル溶剤を含ませた綿棒で塗料を拭き取ります。

実際の戦車も整備兵とかが定期的に掃除をするので、表面は洗浄して汚れを拭き取ったような跡が残り、隅っこに汚れが溜まります。

戦車洗車する整備兵になったつもりでエナメル塗料を落としてあげてください。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の拭き取り2

大雑把ですが、塗料を拭き取ると上の写真のように、綿棒が届かないリブやモールドの根本にだけ塗料が残ります。

この時、重力に従って上から下へ拭き取ることで雨だれ感を出します。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の拭き取り 前後比較

左半分が塗料を拭きとった後の状態で、右半分が塗料を拭き取る前。

塗料が濃すぎても溶剤を含ませた綿棒を使うことでキレイに拭き取ることが出来ます。戦車の整備兵が見たら驚くほどの洗浄効果です。

もちろん拭き取る方向は上から下。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング 塗料の拭き取り4

2cm Flakvierling38も同じように塗料を拭き取ります。

特に目立つのは正面の防盾なので、焦らずジックリ確実に汚れた質感を出していきます。

メーベルワーゲン試作型 ウォッシング後の装甲板

もうなんかすっごい汚い。

模型だから「リアリティあるなー」ってなりますが、本物の乗り物だったら今すぐにでも洗剤とデッキブラシ使って掃除したくなるレベルの汚さです。

ここまで汚れ放置したら上官に叱られそうだ。

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「墨入れ」でパーツの根本を暗くしよう

次は「墨入れ」を行います。

パーツの根本や凹んだところに色の暗い塗料を流すことで明暗の「暗」を引き立てます。

この墨入れは後述する「ドライブラシ」とセットで行います。

なお、私はウォッシングと隅入れと分けて行いましたが、人によってはウォッシングで墨入れ要素を込める方もいます。そのほうが作業工程が減るので楽かもしれませんね。

使用する塗料

メーベルワーゲン試作型 墨入れ

墨入れで使用した塗料は以下の2種類。

  • タミヤエナメル塗料 フラットブラック(XF-1)
  • タミヤエナメル塗料 フラットブラウン(XF-10)

ウォッシングと似ていますが、ウォッシングほど希釈はせず、塗料と同じくらいの比率で溶剤を垂らして混ぜます。ウォッシングの上に塗って若干色が残るくらいの希釈にしています。

突起や凹みに流しこむように塗ろう

メーベルワーゲン試作型 墨入れ2

パーツのリブやモールドめがけて流しこむように塗っていきます。

狭い範囲に塗るので面相筆のような細い筆を使うと楽です。

メーベルワーゲン試作型 墨入れ3

ボルトなどのモールドにはチョンと付けるだけでジュワ~っと周りに浸透していきます。

あくまで突起部分の根本を暗くするのが目的なので、はみ出た部分はウォッシングと同様にエナメル溶剤を含ませた綿棒で拭き取ります。

墨入れのイメージ

イメージとしては、上の画像のように突起部分の根本に塗料が溜まるように塗る(流しこむ)感じです。

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「ドライブラシ」でパーツ表面を明るくします

さて、今度は「ドライブラシ」で逆にパーツの表面を明るくします。

上述しましたが、ドライブラシは前項の「墨入れ」とセットで行うことで、パーツに立体感を与えます。

ドライブラシのイメージ

イメージとしては上の画像のように、パーツの根本を墨入れで暗くし、パーツの表面(上面)をドライブラシで明るくする。

これで明暗の差がより強調され、パーツがより立体的に見えるわけです。ホント考えた人頭いいなぁ。

ドライブラシで使用する塗料と塗り方

メーベルワーゲン試作型 ドライブラシ

使用した塗料は今回はタミヤエナメル塗料のダークイエロー(XF-60)のみ。

この塗料をまず筆に取り、ティッシュなどでこれでもか! と言うくらい拭き取り、筆に僅かに残った塗料を使って突起の表面エッジ部分に塗ります。

また塗るときは箒(ほうき)で地面のゴミを払うようにパタパタと塗りつけることで、少しずつ突起部分に塗料が乗って明るくなります。

なお、1発で塗料が乗るようでは拭き取りが足りません。3~5回くらいパタパタやってようやく色が変わるくらいが適正量。

先述の通り、今回は1色のみでドライブラシをしましたが、このダークイエローに少しずつデザートイエロー(XF-59)を混ぜて明るくした色を使い、段階的に色味に変化を与えてやるとより自然な明暗差が出来上がります。

メーベルワーゲン試作型 ドライブラシ2

ドライブラシを行った結果、2cm Flakvierling38はこんな感じになりました。

防盾のリベット部分を見ると、根本と表面の明暗の差が大きいために、周りよりも浮き出た感じになります。単色でも十分すぎるくらいです。

履帯の摩耗を再現する

続きまして、履帯が地面や転輪と擦れたことによって磨かれて銀ピカになるのを再現します。

塗料はシルバー系を使ってみました

メーベルワーゲン試作型 履帯の摩耗再現

「銀ピカ再現」なので使う塗料はシルバー系ですが、あんまり明るいシルバーだと浮きすぎる気がしたので、少し暗めのタミヤアクリル塗料のメタリックグレイ(XF-56)を使用しました。

なおエナメル塗料じゃなくアクリル塗料にした理由は、単にエナメルのメタリックグレイが無かったからです。エナメルがある人はそっち使った方が(塗料の伸びが良いので)やりやすいと思います。

ドライブラシと同じように塗っていく

メーベルワーゲン試作型 履帯の摩耗再現2

ダイレクトにベタッと塗ってしまうとギンギラギンになってしまうので、こちらもドライブラシと同じように筆に取った塗料をティッシュで拭き取って、パシパシと塗りつけます。

すると上の写真のようにギンギラギンにさりげなく(世代じゃありません)磨かれて露出した金属の下地を再現することができます。

この写真だとけっこうシルバー乗っけちゃってますが、ちょっと多すぎたかなって思いました。本当に”ギンギラギンにさりげなく”程度の塗り具合がマッチすると思います。

となると平筆よりも中くらいの筆を使ったほうがいいですね。次からそうします(そして忘れる無限ループ)。

メーベルワーゲン試作型 履帯の摩耗再現3

履帯の側面やセンターガイドの先っちょにも同じようにシルバーでドライブラシ。

黒一色だった時はでまるでプラスチックのオモチャでしたが、シルバーを入れることで履帯がより金属っぽくなり、戦車らしくなりました。

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履帯と転輪を砂まみれにします

このまま履帯や転輪を汚していきます。

パステルを粉末にして履帯や転輪にペタペタと塗りつけることで、付着した泥が乾燥して砂になった質感を出してくれます。

履帯は汚しが映える部分なので、しっかりと汚くしていきます。

用意するもの

メーベルワーゲン試作型 履帯と転輪の泥汚れ

転輪や履帯の泥汚れは100均で売ってるパステルを粉末にしたものを使います。このパステルを同じく100均で購入した「茶こし」をつかってゴリゴリと粉にしていきます。

ただ、100均のパステルは「まさに泥(砂)!」っていう色がなかなか無いので、複数のパステルを使って色を作ります。

それが面倒って人にはウェザリング用のパステルもあります。

メーベルワーゲン試作型 履帯と転輪の泥汚れ2

エナメル溶剤を含ませた筆で粉末パステルを取り、履帯にペタペタと塗りたくっていきます。

ここではエナメル溶剤を使っていますが、これは履帯がベルト式だからです。連結式の履帯でエナメル溶剤を使うと履帯がボロボロ取れるので、アクリル溶剤を使ってください。

メーベルワーゲン試作型 履帯と転輪の泥汚れ3

泥は履帯や転輪だけでなくフェンダーの内側や先端・側面、そして車体の下部にも付着します。

走っている戦車をイメージしながら泥をつけていきましょう。

メーベルワーゲン試作型 履帯と転輪の泥汚れ4

最初は暗い色から始まり、湿った泥の色、乾燥した土(砂)の色といった順に粉末パステルを重ねていきます。

同じ要領で履帯やマフラーのサビ、砲身のスス汚れも粉末パステルで再現することが出来ますが、パステルは乾燥すると色がクッキリと出るので、つけ過ぎには注意。

メーベルワーゲン試作型 履帯と転輪の泥汚れ5

最終的に上の写真のように、泥が乾燥して固まったような質感になります。固まった泥を撤去するのって結構大変なんですよー。

…ということで、最後の履帯も汚し終わり、これでメーベルワーゲンが完成しました!!

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まとめ メーベルワーゲン完成!!

最後のウェザリングも終了して4号対空戦車 メーベルワーゲンが無事に完成しました。

せっかくなので完成したメーベルワーゲンを色んな角度から流れてみようと思います。

メーベルワーゲンのギャラリー

メーベルワーゲン試作型 完成

メーベルワーゲンの一番最初に記事でも書きましたが、このメーベルワーゲンは「5号対空戦車 ケーリアン」の製作(塗装)が遅れたため、その間に作ろうと思って買いました。

メーベルワーゲン試作型 完成2

キットは1977年頃に販売されたもので、当時主流だった「モーターライズド」の面影が残っていたり、「焼き止め」という技法が使われたりと、古参モデラーホイホイなラインナップでした。

メーベルワーゲン試作型 完成3

古いキットではあるものの、パーツ数が少なく、大きなトラブルもなく組み立てることができました。

この頃のキットは現在ほど成型技術が確立されてないため、細かいディテールは省略されてるため、組み立ては楽なのかもしれません。実際にこのメーベルワーゲンは楽に組み立てられました。

組み立てが楽で初心者に優しい反面、デフォルメされている部分は各自で再現する必要があるので、トコトンこだわる上級者も楽しめる内容だと私は思います。

メーベルワーゲン試作型 フィギュア搭載

キット付属のドイツ兵士フィギュアも追加してみました。

普通の戦車はもちろん、車体の一部が露出している対空戦車は兵士フィギュアを置くことでより雰囲気が出ます。

メーベルワーゲン試作型 フィギュア搭載2

上空を飛来する敵機を迎え撃つ射手と弾倉を交換する兵士たち。

メーベルワーゲン試作型 フィギュア搭載3

反対側から。

量産型メーベルワーゲン(3.7cm Flak43搭載型)と並べてみた

2つのメーベルワーゲン

過去に作ったメーベルワーゲン(Flak43搭載型)と並べてみます。

3.7cm Flak43搭載型の方は対空射撃フォルムですが、今回のメーベルワーゲンは水平射撃。あの装甲板が展開するとこんな感じになります。

2つのメーベルワーゲン2

真正面から。

形状はソックリですが、Flak43搭載型メーベルワーゲンの装甲板はまっすぐなのに対し、2cm Flakの方は先端が内側に曲げられています。

他にもマフラーが横置きなのに対し、Flak43搭載型はJ型の中期生産で見られる2本の簡素な排気管だったりと、搭載している武装だけでなく、母体である4号戦車の仕様の変化も反映されています。

2つのメーベルワーゲン3

横から見てみます。

メーベルワーゲンはFlak43搭載型も試作型も3つのフォルム(走行・対空射撃・水平射撃)から選んで組み立てるので、2つのメーベルワーゲンで合計6通り出来ます。興味がある人はコンプしてみてください(笑)

今まで作った対空戦車も並べてみる

今まで作った模型たち

さらに今まで作った対空戦車を追加してみます。対空戦車だけで1個戦車小隊が出来ちゃいました。

今まで作った模型たち2

今思うと、ティーガーやパンター、4号戦車といったWW2の有名なドイツ戦車を差し置いて、ひたすら対空戦車ばかり作っていました。

他にも対空戦車は存在しますが、ひとまず作りたい対空戦車は全部作り終えました。

欲を言えばもう一回オストヴィントやヴィルベルヴィント作ってみたいなーと思いますが、それはまたいつか。

なお、これでプラモ製作日記最終回っぽい感じがしますが、実を言うとまだキットはあるので、まだまだ続きます。お楽しみに。

↑次はこれを作ります。1作目からずっと対空戦車ばかり作ってきましたが、ようやく対空戦車でない普通の「戦車」です。

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