今回からタミヤの4号駆逐戦車/70(V) ラングの製作をスタートします。今回は車下部の組み立てをやっていきます。
これまで何度も4号戦車系列の車体は作ってきましたが、タミヤのラングは比較的新しい(?)キットということもあり、従来のキットには見られない仕様が色々ありました。
そういった仕様や製作時の注意点とかも解説しながら作っていきます。
タミヤのラング製作日記は上記リンクにまとめました。
ラングの車体下部をじっくり組み立てよう
それではラングの製作を開始します。
車体下部は「転輪」を中心にパーツ点数が多いセクションなので作業ゲーになりがちです。
今ではすっかり慣れましたが、戦車プラモを始めたばかりの頃は車体下部の組み立ては2~3日くらいかけてじっくり作ってました。
まぁ序盤ですからね、ゆっくり作りましょう。
リアパネルの組み立て
今まで戦車プラモの組み立ては数の多い「転輪」から始まることが多かったですが、今回のラングは「リアパネル」の組み立てからスタートでした。
今までの経験だとドラゴンとかの海外キットだと転輪スタートが多く、タミヤは転輪以外から始まる場合が多かったです。
まぁド初っ端から転輪地獄はしんどいですもんね。最初はゆる~くやりましょう(後から地獄を見るパターン)。
説明書の指示に従ってあれこれパーツを取り付けたリアパネルがこちら。
このリアパネルのパーツには付属の「ポリキャップ」をインサートするようになっており、そのおかげで上下車体パーツは接着せずに結合することができるというのが今回のラングの特徴の一つ。
組み立て完了後でも車体を分離することができるので、車内や奥まった部分の塗装や履帯の取り付けが楽になります。
合わせてリターンローラ(上部支持転輪)も作ります。こちらは2つのパーツを組み合わせるだけ。
タミヤのラングの上部支持転輪は片側3個なので合計6つ用意します。今まで作ってきた4号系列車輌は全て片側4つのタイプだったので、片側3個は今回が初です。
また、上部支持転輪もいくつかバリエーションがありますが、今回は転輪の”皿”部分に折り返しがあり、中央のハブキャップを3本のボルトで固定するタイプでした。
サスペンションダンパーの取り付け
続いては車体下部シャーシにサスペンションダンパーや起動輪の基部(最終減速機カバー)、先ほど作った上部支持転輪、そしてリアパネルを取り付けていきます。
パーツを取り付ける前に車体底部にある脱出用ハッチのランナーとゲートを切除します。
ゲートが肉厚なのでニッパーで切断した時にパーツが割れないか心配でしたが、問題なくカット出来たので一安心。
車体下部に起動輪基部、サスペンションダンパー、上部支持転輪、リアパネルを取り付けました。
合わせて次の項で指示のあったリーフ式サスペンションや遊動輪の軸も一緒に追加しました。
転輪・起動輪・誘導輪の組み立て
お待たせしました。序盤の地獄です。
遊動輪、起動輪、そして16個ある転輪をひったすら作っていく物語です。
タミヤのラングでは各種転輪に「ポリキャップ」を内蔵するようになっていて、転輪も着脱できるようになっています。車体下部や転輪のゴム部分は塗装しにくいので外せるのは嬉しい。
あと接着しないので転輪たちはクルクル回転します。
ということで一通り作りました(起動輪は車体に取り付けてます)。
4号駆逐戦車/70(V) ラングは構造上フロントヘビーとなっており、そのせいで転輪のゴムの消耗が激しいため、前2つの転輪を「鋼製転輪」に変えています。
ということで、通常の転輪に加えて鋼製転輪を4つ用意します。
そんでもって車体に転輪を取り付けます。
いつもなら「後々の塗装を考慮して転輪は後から~」みたいなこと書いて転輪を未接着とするところですが、今回のラング君は転輪が外せるから何も考えずに取り付けられるのが嬉しい。
また、車体の底面には脱出用ハッチのパネルも忘れず取りつけておきます。これでラングがひっくり返っても大丈夫。
車体後部へのパーツ取り付け
お次は車体後部にマフラーやジャッキ台をはじめ細かいパーツを取り付けていきます。
転輪地獄と比べたらパーツ数は少ないですが、細かいパーツがあるので神経を使う作業になります。紛失注意。
一通りパーツを取り付けるとこんな感じ。
“駆逐戦車”なので4号戦車のH型まであった砲塔旋回用エンジンのマフラーは無く、代わりにその位置にジャッキ台が設置されています。
またマフラーも横置き型ではなくJ型の中期から導入された簡素な2本の排気管になっています。
その他、下の方にある「牽引装置」は中央のシャフトのモールドはあるものの、その上に本来なら平ぺったい”持ち手”がありますが、パーツ化されていないようなので後ほど脱落防止チェーンと合わせて追加加工します。
タミヤのラングはいつ頃の「IV号戦車/70(V)」をモデルにしている?
車体下部の組み立てはここまで。
4号駆逐戦車もそのベース車両である4号戦車でも車体下部に様々な変更点があります。
- 鋼製転輪の有無
- 最終減速機カバーの形状
- 上部支持転輪の数・形状
- 遊動輪の形状
- 後部のマフラー
- 牽引装置の形状
などなど、これらのパーツを見ることで、どの時期に生産された車輌なのかがある程度絞ることが出来ます(もちろん車体上部の変更点も加味する必要があります)。
今回のタミヤのラングでは、
- 前2つの転輪が鋼製転輪に変更(1944年9月~10月)
- 上部支持転輪が3つに減る(1944年10月)
- 後部のマフラーが2本の縦型排気管に変更(1944年9月)
といった点を鑑みると、今回のタミヤのキットでは1944年9月~10月ごろに生産された車輌を再現しているのではないかと思われます。
現段階では車体下部だけの判断なので、車体上部の状態を見て事情が変わるかもしれませんし、実際の製造現場では部品のストックの関係で”後期型だけど初期の特徴も持っている”というキメラな車輌もあるかもしれません。
煮詰めるとキリがありませんが、「プラモデルの組み立て」以外の時代考証といった部分も考えながら作っていくと楽しいですよね。
そんな感じで、次回は車体上部を作っていきます。