どうもこんにちは。
前から作りたかったタミヤの「Ⅳ号駆逐戦車 /70(V)ラング」のプラモデルを買ったのでのんびり作ろうと思います。
今回は購入したタミヤのキットを開封してパーツランナーや付属品などをご紹介。
ただ付属品を見るだけでなく、実物車輌の特徴と照らし合わせながら形状の違いなどを解説していきますので、タミヤのラングの仕様について知りたい方の参考になりましたら幸いです。
↑4号駆逐戦車 ラング(V)の製作記事はこちらのカテゴリーに追加していきます。
タミヤ 「Ⅳ号駆逐戦車/70(V)ラング」の中身を見てみよう
4号戦車の車体をベースに、砲塔を撤去して固定式戦闘室を搭載し、「パンター」と同等クラスの「7.5cm Pak42 L/70」に変更した「IV号戦車/70(V)」がこのキットのモデルとなった車両です。
プラモデルやメディアでは「IV号“駆逐”戦車」という表記が多いですが、実際の車輌では駆逐戦車を意味する「Jagdpanzer」ではなく、戦車を意味する「Panzer」となっており、「IV号戦車/70(V)」という表記になっています。
この名称についてはいくつか存在し詳細は後述しますが、当ブログでは「4号駆逐戦車 ラング(V)」あるいは省略形の「ラング」といった名称を使おうと思います。
今回買ったのは「フォマーク社」の方
実物車輌の70口径タイプの4号駆逐戦車は製造している会社によって2パターンあります。同じコーラでもコカコーラとペプシコーラがあるみたいに。
1つはフォマーク社が生産したタイプで、フォマーク社の頭文字である(V)という表記が車輌名に入っています。
もう1つは3号突撃砲を作っていた「アルケット社」が生産したタイプ。こちらも頭文字である(A)が車輌名に入ってます。
そのうち今回作るのは「フォマーク社」の方の4号駆逐戦車 ラング(V)です。
ちなみにアルケット社の方の「ドイツIV号駆逐戦車/70(A)」はタミヤが2023年5月に販売されています。こちらもいつか作れたらいいなぁ。
さて、タミヤのキットのレビューに入ります。
タミヤの「Ⅳ号駆逐戦車 /70(V) ラング」は、1976年7月に発売された旧ラング(No:35088)がありますが、今回は2014年11月22日に発売された新ラング(No:35340)を購入しました。
2014年版の新ラング(No:35340)は、博物館での実車取材により完全新設計でモデル化されており、また金型も新規のものを使用しているとのこと。
キットには装填手と車長の半身フィギュアも付属。キット単体だけでも臨場感あふれるラングが作れます。
開封して中身を取り出してみるとこんな感じ。
パーツランナーが入った袋が3点、上下の車体、説明書などの冊子が3点、その他履帯やデカールといった小物パーツ…などなど。
それでは付属品を見ていきましょう。
組み立て説明書や資料
まずこちらは組み立て説明書。
1セクションあたりの情報量が少なくわかりやすい内容となっているほか、使用するツールや塗装指示、オプションアイテムの紹介なども記載されています。
こちらは一緒に同梱されていた「組み立てワンポイントアドバイス」というA4サイズの資料。
プラモデルの組み立てに必要な基本テクニックについて記載されています。
本当にプラモデル初心者は、プラモ製作で必要な道具とその使い方について予習しておくことをオススメします。
【超初心者向け】戦車プラモデルで使用した道具と使い方まとめでは組み立て、塗装、ウェザリングなど各セクションごとで必要となる道具について解説しています。
同じく同梱の「バックグラウンドインフォメーション」という冊子。今回の4号駆逐戦車 ラング(V)がどういった車輌なのかについて解説されています。
冊子を開くと塗装例や実物車輌の写真(おそらくアメリカ陸軍兵器博物館に展示されているもの)もあります。これ読んでるだけも楽しくなります。
車体パーツ
こちらは車体下部パーツ。
従来の4号戦車と同様にバスタブ状のパーツとなっており、ここに転輪を中心とした細かいパーツを取り付けていきます。
また底部の前後には六角形の突起がありますが、ここにはディスプレイケース内に固定するための六角ナットを埋め込めるようになっています。
左側面から撮影。
上部支持転輪の基部が3つになっています。
これは生産の簡略化を目的としたもので、「4号戦車 J型」では1944年12月から実施されましたが、4号駆逐戦車(F型およびラング)の場合、10月初めの生産車輌で上部支持転輪が3つになったとのこと。
今まで様々な4号戦車(および派生車輌)を作ってきましたが、上部支持転輪が3つになったタイプは今回が初めてです。履帯のたるみとかどうなるのか楽しみです。
こちらは側面装甲板の一部を延長して穴を開けた牽引用のアイプレート。
4号戦車(J型)でも1944年12月以降から牽引装置を廃止して、代わりに側面装甲板の一部を延長して穴を開けた簡素なアイプレートに変更しています。
ただ、車体の形状が異なるのでアイプレートの形状も戦車型とは異なります。
こちらは車体上部パーツ。
駆逐戦車の特徴でもある「固定式戦闘室」は1つの大きなパーツで構成されているため、戦車タイプよりも大幅にパーツ点数が抑えられています。
また、旧ラングよりも装甲板の噛み合う部分や各種モールドがしっかり再現されています。
戦闘室を中央から見るとこんな感じ。
写真ではわかりづらいですが、戦闘室の前面装甲板が60mmから80mmに強化されたことによる段差もちゃんと再現されています。
車体先端には出っ張った部分がありますが、ここには傾斜装甲版を取り付ける基部であると同時に、車体下部に差し込めるようになっており、接着剤を使わず上下車体を結合でき、組み立て後でも取り外せるようになっています。
パーツランナー
続いてパーツランナーも見ていきます。
タミヤは初心者でも比較的作りやすくパーツ数が抑えられていて、その中でもパーツ数が少ない駆逐戦車なのでパーツランナーは4点と少ない。
このパーツランナーも気になった部分を見ていきます。
まずこちらは固定式戦闘室の天蓋やフェンダーといった比較的大きなパーツがまとまったランナー。
大きいパーツに埋もれがちですが、中央には兵士フィギュアのパーツもあります。…今回は頑張ってフィギュアも作ろうと思います。
こちらは転輪パーツ。
4号駆逐戦車 ラング(V)の特徴の1つに前部の転輪4つを「鋼製転輪」に変更しているという点があります。これは主砲を70口径に変更したことによるノーズヘビーで、戦略物資であるゴムの消耗を抑えるため。
パンターの主砲に相当する「70口径 7.5cm砲(7.5cm PaK42)」を、パンターより小さい4号ベースの駆逐戦車に、しかも「カルダン枠砲架」という前面装甲板に結合する形で搭載するわけですから重量が車体前方に偏ります。
そのため、鋼製転輪をはじめ様々なノーズヘビー対策がとられることになりました。
こちらは上部支持転輪。
先述の通り、この4号駆逐戦車 ラング(V)では70口径になる前の「4号駆逐戦車 F型」の段階で転輪の数が3つに減らされています(1944年10月頃から)。
また上部支持転輪もいくつかバリエーションがあり、今回はハブキャップが3個のボルトで固定されるタイプが採用されています。
遊動輪は「パイプ型」となっていました。
「4号戦車(H型~J型)」では1943年10月頃から鋳造タイプの遊動輪が使われ始めますが、4号駆逐戦車ではF型・ラング共にはほぼ全ての車輌でパイプ型遊動輪が使われていたとのこと。
ただ例外として、1945年2~3月生産車ではストックの関係で一部車輌で鋳造型の遊動輪が使われていたそうです。
こちらは主砲「7.5cm PaK42 L/70」の砲身。
1ピースで再現されているので「合わせ目」を消す作業が不要だし、ゲートの位置も砲身の両端にあるので追加加工はほぼナシ。
なお、48口径の4号駆逐戦車 F型では砲身の先端に「マズルブレーキ」が付いていましたが、1944年4月頃からマズルブレーキが外されるようになりました。
撤去の理由としては、”砲撃時に砂埃を巻き上げて視界不良になる説”がよく言われていますが、その他にもノーズヘビーを抑えるため(こちらの方が濃厚?)という理由があげられます。
当然ながら、より重くなった4号駆逐戦車 ラング(V)でもマズルブレーキは廃止されています。
こちらは砲身防盾パーツ。キットでは鋳造特有のザラザラした表面も再現されています。また、その右横には「ザウコップ(豚の鼻)」と呼ばれていた外装式の防盾もあります。
戦闘室内部に台座を組んで主砲や砲架を収めていた従来の突撃砲や駆逐戦車と異なり、4号駆逐戦車は「カルダン枠砲架」という、戦闘室の前面装甲板に直接結合するという新方式を採用。
このカルダン枠砲架よって車内スペースを広く確保出来るようになり、また重量低減やコスト・生産面にも優れていたとのことです。
その反面、重心が中央ではなく前方寄りとなり、先述の「ノーズヘビー」の原因になりました。
また、この防盾は基部の下方が斜めにカットされています。
これは1944年4月に通達が出され、先述の「ノーズヘビー」を少しでも低減させる手段の1つとして行われたそうです(この程度でノーズヘビー低減になるのか?って思うところではありますが…)。
こちらは車体後部のエンジンデッキに取り付けられる「ラジエーター」の冷却水注入口のカバー。
従来型では台形のように傾斜した形をしていましたが、生産簡略化のため1944年6月ごろから装甲板を垂直に組み合わせた形のものに変更されました。
ちなみに4号戦車(J型)では同様の変更が1944年5月に行われたため、1ヶ月遅れの変更となります。
その他のパーツ
パーツランナー以外にも色々付属しているので、合わせてそちらも見ていきます。
デカール
まずこちらはデカール。
おなじみの鉄十字マーク(国籍マーク)と313、322、103と書かれた車輌番号がそれぞれ用意されています。
付属の「バックグラウンド・インフォメーション」によると、
- 322:第655重戦車駆逐大体所属 322号車 西部戦線 1944年12月
- 313:所属部隊不明 313号車 西部戦線 1944年12月
- 103:所属部隊不明 103号車 東部戦線 1945年 初冬
とのことです。
ポリキャップ
こちらは転輪や車体パーツに埋め込む「ポリキャップ」。
今回の4号駆逐戦車 ラング(V)は、このポリキャップのおかげで上下車体や転輪が取り外せるようになっており、奥まった部分等の塗装がやりやすくなっています。
履帯
こちらは履帯。組み立てが簡単なベルトタイプが付属します。
履帯は接地面が肉抜き加工されて軽量化された、いわゆる「最後期型」仕様。
4号駆逐戦車(F型・ラング)では1944年9~10月ごろの生産車からこのタイプの履帯を使用するようになったようです。
オプションアイテムの「メタル砲身セット」も一緒に買ってみた
4号駆逐戦車 ラング(V)専用のオプションパーツとして、同じタミヤから「メタル砲身セット」が発売されています。
砲身が長い4号駆逐戦車 ラング(V)なので、金属砲身にすればよりリアルになると思って一緒に購入しました。
なお、金属砲身のほかに砲尾や装填部のパーツも付属するので、本来なら戦闘室で隠れてしまう部分も再現でき、内部の密度感を高めることができます。
ただし、砲尾パーツを使用するとキット付属のフィギュアは使用できなくなるので注意。
どうやら砲尾パーツがフィギュアやフィギュアを立たせるパーツと干渉して砲身の可動が妨げられるようです。
そのため、今回はメタル砲身だけを使い、内部構造はキット付属のものを使用してメタル砲身とフィギュア搭載の両立を図ろうと思います。
「IV号戦車/70(V)」の呼称について
タミヤのキット名では「Ⅳ号駆逐戦車/70(V)ラング」とありますが、実物車輌では「IV号戦車/70(V)」といった名称となっています。
「駆逐戦車」から「戦車」に変わっており、「4号戦車 ●型」のバリエーション?ってなりますよね。
この”70口径砲を搭載した4号駆逐戦車”の名称については何種類かあるそうですが、今回参考にした『グランドパワー 2013年5月号』によると、
『PT※』では1944年8月における審査部の70口径 7.5cm 砲 Pak42 搭載 IV号戦車ラング(V)と、同じく審査部の11月~1945年3月のIV号戦車/70(V)、そして1945年1月22日付のK.A.NにおけるIV号駆逐戦車/70(V)の3種のみとなっている。
※PT:PANZER TRACTS No.9-2『Jagdpanzer IV, Panzer IV/70(V) and Panzer IV/70(A)』
といった記載があり、タミヤのキット名「Ⅳ号駆逐戦車/70(V)ラング」は1945年1月22日付のK.A.Nの名称を採用しています。
なので「駆逐戦車」という表記でも間違いではありません。
ただし「4号駆逐戦車」とは48口径の方である「4号駆逐戦車 F型」を指すこともあるので、70口径搭載型の方を「4号駆逐戦車」と呼ぶ時は「/70」とか「ラング」を入れておくと間違えないと思います。
メディアやプラモデルでは「駆逐戦車」表記をよく見かける
ほかにも戦車アニメ「ガールズパンツァー」や戦車ゲームの「WoT」、そしてタミヤ以外のプラモーカーでも「4号駆逐戦車」あるいは「Jagdpanzer IV」といった表記をする場合が多いです。
私としてもこの車輌を作ろうと思った時にブログ上での表記を「4号戦車 /70(V)」にするか「4号駆逐戦車 ラング(V)」にするか、迷いました。
とりあえず「駆逐戦車」で、なおかつ「長砲身」で、そんでもって「フォマーク社の方」ってことが分かれば良いや…という感じで「4号駆逐戦車 ラング(V)」という名称を使用することにしました。
次回から製作に入ります!
今回は第1回目ということで、いつものようにキットの中身についてレビューしました。
タミヤのキットなので説明資料が充実していたり、パーツ数が抑えられていて初心者でも簡単に手が出せる反面、しっかりその車輌の特徴も押さえており、戦車マニアもニッコリな内容です。
そして4号駆逐戦車 ラング(V)は「金属砲身」がタミヤ純正で出ているのでもちろん購入。作るのが楽しみです。
ということで前から作りたいと思っていた4号駆逐戦車の組み立てを次回からやっていきます。