M4やM16系の電動ガンの外装カスタムをしている人なら経験があるかもしれませんが、フロントを組み上げたあとにアウターバレルを触るとグラつくことがあります。
ハンドガードを握った状態でアウターバレルを動かすとやたら左右にガタガタ動いてしまい「コレちゃんと固定されてるの…?」って心配になります。
いま作っているM4(…というよりSR-15)もフロントを組んだ後、アウターバレルがやたらガタガタ動いており、これが気になって仕方がないのです。
なので今回はM4やM16系電動ガンのアウターバレルのグラつきの解消法について書いてみました。
なお、製作中の「SR-15」のカスタム内容は上記リンクから読むことができます。
フロントの状態
まずはトラブルが起きているM4(というよりSR-15)のフロント部分の構成について軽く紹介します。
- フレーム:HurricanE SR-15メタルフレーム(詳細記事)
- ハンドガード:MAGPUL PTS Centurion Arms CMR M-LOKレールハンドガード(詳細記事)
- アウターバレル:MADBULL ダニエルディフェンス アウターバレル 16inch
いずれもエアガン・サバゲー界隈では有名で品質に定評のあるメーカーのパーツを使用しています。

メタルフレームは上下フレームの隙間やガタつきは皆無で、ハンドガードも同様。今まで作ってきたM4系電動ガンの中で最もガッチリ組むことが出来たと自信を持って言える。
しかしハンドガードから顔を出すアウターバレルはこの限りではなく、左右にカクカク動きます。
バレルナットはガッチリ締めたし、アウターバレルも品質に定評のあるマッドブル製だというのにこれは一体どうしたものか…。
アウターバレルがグラつく原因
何故アウターバレルはグラつくのか(哲学)を無い知恵絞って考えてみました。
グラつくにも当然理由があるわけで、そこを突き詰めていけば対処法も見つかると思ったのです。
2ピースアウターバレルの接合部がグラつくパターン
まず1つ目の原因、アウターバレルが2ピース構造になっているから。
今回選んだマッドブルのアウターバレルは『バレル(筒)』の部分とフレームに固定する『基部』の2ピース構造で、これらの接合部にわずかな隙間があるためグラつきが発生します。
アウターバレルの基部を握って筒の部分を動かすとガクガク動きます。たとえ僅かなグラつきでもバレルの先端を握ると大きくグラついてしまいます。

2ピース構造のアウターバレルは”筒”の部分を前後にスライドさせて微調整することが出来ます。
最近のフリーフロート仕様のハンドガードではあまり需要が無いですが、M4A1とかのハンドガード、特に実銃用ハンドガードはエアガン用とは寸法が異なるため、アウターバレル側を微調整することで取り付け可能となります。
なお、2ピース構造はマッドブルに限らず現行のアウターバレル(UFC、5ku、BIGDRAGON等)でも採用されています。
アッパーレシーバー基部がグラつくパターン
主にマルイ純正のプラフレームや「ZEKE」製メタルフレームのような“モナカ構造”になってるフレームで見られる現象です。
これはアウターバレルではなくフレーム側に原因があり、バレルナットを固定するネジがフレームと一体でないためグラつくというもの。

そのため、このパターンの対処法としては、
- ネジとレシーバーが一体のメタルフレームに交換する
- フレームを開き、ネジの部分にエポキシ接着剤を塗って接着する
といった方法があります。
アッパーレシーバーとバレルの噛み合う部分に隙間があるパターン

あとはバレル基部とアッパーレシーバーの噛み合う部分に隙間がある場合。
アウターバレルをバレルナットでガッチリ締め込めば大丈夫と思うのですが、こちらはバレルの突起にカットしたシムやアルミテープ貼り付けて隙間をなくせばいけそう。
アウターバレルの接合部を固定してみる
所詮はエアガンなので「オモチャなんだから仕方ねぇべ」と妥協しなきゃいけない部分も出てきます。大人なんだから我慢しなさい。
…とは言うものの、このアウターバレルのグラつきが気になって夜も眠れないという人も結構いるんじゃないかと思います。私です。
そんな往生際の悪い人間(私です)を安眠させるために何とか出来ないかと試してみました。

グラつきの原因はアウターバレル接合部にあるから、そこをガッチガチにすれば解決する。
…そう思ったので、試しに接合部をガッチリ固定してみることにした。これで読みが外れたらオラは泣く。

繰り返しになりますが、2ピースアウターバレルは「筒」と本体に固定する「基部」の2つに分かれており、この筒と基部は2本のイモネジで固定されています。
今回のマッドブルのアウターバレルや過去に買ったUFCのライトアウターバレル(UFC-BR-31)がこのタイプでした。
冷静に考えると、これだけ長くてそこそこ重量のある金属の筒をたった2本のイモネジでグラつきナシで保持しろなんてどだい無理な話である。絶対ここだよ。
検証に使ったアウターバレル

現在SR-15に組み込んでいるアウターバレルはMADBULLの「ダニエルディフェンス アウターバレル 16inch」なので、まずはこやつのグラつきを直します。
あわせて、マッドブルのアウターを購入する前に使っていたUFCの「M16/M4 ライトウェイト アウターバレル 16″BK(逆ネジ)」も一緒に直してみます。
UFCのアウターバレルは2,961円(購入当時)と非常に安価なバレルで、高価なMADBULLのアウターと比較・検証するのには最適と思います。
もちろん、無加工の状態ではUFCのバレルも組み込み後にガタつきます。
セメダインのメタルロックを使ってみた
「アウターバレルの接合部を固定する」と書きましたが何のことはない。接着剤でくっつければ良いのである。
2ピースアウターの接合部は一度セッティングしたら以降は微調整することはまず無いので、動くなら接着しようホトトギスの精神でくっつけちゃいます。
最初テープ巻いて厚みを出して隙間を埋めようかとも思いましたが、ガッチリ固定したほうが良いだろうし、そもそもテープでは厚すぎて入りませんでした。

そう思って近所のホームセンターで探したところ、セメダインのメタルロックというものがあったのでそいつを選んでみた。
このメタルロックはアクリル樹脂を主成分としているアクリル樹脂系接着剤で、セメダインの製品ページによると、
- チタン・ステンレス・炭素繊維に使える
- エポキシ系に比べ、はく離強度や衝撃強度が高い
- 速硬化タイプ
- 金属同士を強力に接着
といった記載があり、この手の補強でよく使われてる「エポキシ系接着剤」よりも強度があり、アウターバレルの材質であるアルミや鉄(≒スチール)にも対応してるようなので問題はなさそう。

ということでアウターバレルの接合部に塗りたくる接着剤を作っていきます。
説明書のとおり、A剤とB剤を同じ量だけチューブからひり出して、付属のヘラで混ぜ合わせます。

混ぜるとこんな感じになりました。
この手の液剤を混ぜる接着剤には「ねるねるね~るね」みたいに混ぜると色が変わるタイプもありますが、メタルロックは混ぜても色は変わらず墨汁でした。

作った接着剤をアウターバレルに塗りたくります。
一応、イモネジが当たる溝の部分は避けていますが、今後外したり微調整することはないのでそこまで気にしなくても良いかもしれません。
…ただし、イモネジを締める前に固まったら厄介なので、塗る→イモネジ締めるまでの作業は迅速にやりました。

メタルロックを一通り塗ったらアウターバレルの基部を通します。
すると上の写真のように塗ったメタルロックがはみ出ますが、この盛り上がった部分は取り除かずにこのまま硬化させます。
このはみ出た部分が隙間を埋める「パテ」の役割をしてくれるので、硬化後によりガッチリ固定されるようになります。
外観はアレですが、バレルとほぼ同色なので目立たないし、ハンドガードを取り付けたら隠れちゃうので無問題。気になる人は爪楊枝とかで表面を軽く撫でるように整えればOK。

あとはメタルロックが完全硬化するまで待ちます。
説明書によると実用強度に到達する時間は夏(30度)だと30分以上、冬(5度)だと3時間以上とのことですが、作業が終わってから寝たので12時間以上は経過していると思います。
念の為イモネジもネジロックで固定しよう

メタルロックで完全に接着したので外れることは無いと思いますが、念のため基部を固定するイモネジにもネジロック剤をつけて緩まないようにしておきます。
今回使ったのはLOCTITE(ロックタイト)の243という中強度のネジロック剤。
こやつをネジに少量つけて締めてやればイモネジが緩まなくなります。
基部を接着したアウターバレルを組み込んだ結果
メタルロックで接合部を接着し、基部のイモネジもネジロック剤を使って固定しました。
これらをバレルナットでフレームに固定し、ハンドガードも取り付けて、普段サバゲーとかで使ってる状態にします。
その状態でハンドガードを握り、バレルを動かしてグラつくかどうか確認します。

結論、マッドブルもUFCもアウターバレルのグラつきが劇的に改善しました。
…と書いてもどれくらい改善したかは実際に触った人にしかわからないですが、補強する前後で明らかに違いが分かるほど改善されました。
そしてもう一つ、安価なUFCのアウターバレルもMADBULLのアウターバレルと同じレベルにグラつきが改善されている点。
これはアウターバレルのメーカーや価格に関係なく、バレル接合部の接着はアウターバレルのグラつき解消に効果があるということになります。
その他のアウターバレルでもメタルロックでグラつきが直るか検証してみた
その後、先述のアウターバレル以外に、以下のアウターバレルの基部をメタルロックで固定しました。
- マッドブル製 14.5インチ スチールアウターバレル
- 5ku製 12.5インチ アルミアウターバレル
これらのアウターバレルは従来のものと素材が違ったり固定方法が若干特殊なので、その点も解説しながら検証してみます。
重くて基部の負荷が大きい「スチール製」のアウターバレルもガッチリ固定!
まず前者のマッドブルは「スチール」のアウターバレルで、アルミアウターバレルより頑丈でそして重い。
フロント重量が一気に変わるほど重たいスチールアウターバレルですが、その重さゆえに接合部にかかる負荷もアルミ製より大きく、2本のイモネジだけでは心もとない。
実際、今回のアウターバレルも組み込んでみたところ若干グラついていたので、同じようにメタルロックを塗布してやりました。

するとアルミアウターバレルと同様に筒と基部がガッチリ接着され、電動ガン本体にハンドガード等とあわせて組み込んでもグラつきがほとんど無くなりました。
メタルロックはアルミだけでなく、重く基部への負荷が大きいスチール製アウターバレルでもしっかり効果を発揮してくれました。
「イモネジ」が無くてもメタルロックがあればガッチリ固定できる!!
そして後者の5ku製の12.5インチアウターバレル。
アルミ製の安いバレルですが、特筆すべき点は素材や価格ではなく、アウターバレルの組み方であり、本来の固定方法である「イモネジ」を使わずに固定しています。
どういうことなのか以下で説明します。

こちらが5kuの12.5インチ アウターバレル。
12インチのハンドガードに対してバレルを『ツライチ』で装着したくて購入。
巷ではバレルとハンドガードとツライチにしたい場合は、ハンドガードに対し0.5~0.8インチ長いバレルを選ぶと良いとのこと。
12インチのハンドガードに対し丁度良いサイズがこの5kuの12.5インチだったのである。

ところが実際に12インチのハンドガードに12.5インチバレルを組んだところ、上の写真のようにバレル先端がハンドガードの中に隠れてしまってます。
「これじゃ話が違うじゃねーかッ!!」と言いたいところですが、以下の記事によると、
ただし、〇〇インチという表現は実銃バレルだった場合に準じた呼び方であり、トイガン用アウターバレルでは基部の形状が異なるため名称=長さとはなっていない。(アッパーレシーバーに組込んだ際にレシーバーから延びている部分の長さは同じ)
via : MWSアウターバレル:ORGA AIRSOFTから各種サイズをリリース! – OUTLINE
実際にアッパーレシーバーに組込んだ場合、(B)レシーバー先端部からフラッシュハイダーとの境界までの長さは、アウターバレル名称のインチをmm表記に変換した数値から約15~20mm程度短くなることを目安として覚えておくとよいだろう。
via : MWSアウターバレル:ORGA AIRSOFTから各種サイズをリリース! – OUTLINE
という記載があり、同じインチ表記でも銃身用とエアガン用のバレルとで長さが異なるという点を考慮してなかったのが原因です。
ただ、今回の5ku製アウターバレルも基部がイモネジ固定式で、イモネジを緩めることでバレルを若干延長できるので、それで対応できないか検討してみた。
…で、実際にバレルをスライドさせてみると調整範囲をオーバーし、イモネジでバレルが固定できない状態となってしまいました。
イモネジで固定出来ないのでグラつくどころか銃を下に向けたらコロンとアウターバレルがすっぽ抜ける状態です。

そこでメタルロックだけでバレルを固定できないかと、ダメ元で延長分のアタリをマスキングテープでつけてメタルロックを塗ってみる。
最悪ダメだったとしても安物のアウターバレルなのでそこまで精神的ダメージは無いので思い切ってやってみたところ、これが大当たり!
なんとイモネジが無くてもメタルロックで従来のイモネジ固定に匹敵あるいはそれ以上の強度で固定できました!
予想以上の成果に「メタルロックさんどんだけ強力なの…」と思わず唖然しました。

結果として、上の写真のようにハンドガードからアウターバレルの先端がチョロっと顔を出す「ツライチ」の状態が出来上がりました。

その状態でサプレッサーを装着するとこんな感じ。
ハンドガードとサプレッサーの間に多少の隙間がありますが、これはハイダーに装着するタイプのサプレッサーということもあり、万が一サプレッサーがハイダー根本より深く被さった時のことを考慮して設けたものです。
サプレッサーは「SR-15」で使用したKACタイプの3prongハイダー専用のものを装着していますが、将来的に556タイプサプレッサーと交換予定。
ハンドガードがDaniel Defence RIS IIのレプリカということもあり、”少し長いMk18 Mod1″のようなフロントとなりました。
まとめ アウターバレルがグラつくなら接合部を補強しよう!
アウターバレルのグラつきを解消する方法の1つとして、バレル接合部をメタルロック等で接着するのが効果的ということがわかりました。
恐らくエアガンの外装カスタムに精通している人たちにとっては「ンなもん当たり前だろ。わざわざ記事にすんな」って叱られるレベルの内容かもしれません。
しかし、改めて実践してみることで「ネットの情報」だったものが「事実」として知識に残るようになり、しっかり有効性を実感することが出来ました。
今回、4本のバレルで試してみましたが、アウターバレルの価格帯や素材とか関係なく、それどころか(本来の固定方法である)イモネジが無くてもメタルロックがあればガッチリ固定できて、期待していた以上の効果が得られました。
↑ちなみにいま製作中の「SR-15」の進捗はこちらで確認できます。