「ロードバイク」のパフォーマンス(走行性能)を保つためには日頃のメンテナンスが欠かせません。
しかし、メンテナンスは時間がかかるため、ついついサボりがち。
そんな面倒なメンテナンスを少しでも楽にしたいと思い、「チェーンクリーナー」というメンテナンスツールを買って使ってみることにしました。
この記事では、
- 「チェーンクリーナー」とは何か、どういう人におすすめなのか
- 購入したParkTool(パークツール)のチェーンクリーナー「サイクロン CM-5.2」のレビュー
- 実際にチェーンクリーナーで半年ノーメンテのロードバイクを洗浄した結果
などについて書きました。
チェーンクリーナーを知らない人、あるいはチェーンクリーナーを買おうか迷っている人は参考にしてみて下さい。
チェーンクリーナーとは?
チェーンクリーナーとは、自転車やバイクのチェーン部分に装着し、クリーナーのタンクに洗浄液を注入し、ペダルを回すだけでチェーンを洗浄できるツールです。
チェーンクリーナー内部には回転式のブラシがチェーンを包むように配置されています。
ペダルを回してチェーンが動くことで内蔵ブラシも回転し、このブラシがチェーンを磨いてキレイにしてくれるのです。
従来までチェーンの洗浄といえば、パーツクリーナーを吹き付けて、ブラシで擦って古いオイルを落としましたが、これでは時間がかかるし、なによりチェーンの内側がうまく洗浄出来ません。
チェーンの内側(穴)に溜まるドロッとした固形状のオイル汚れは、綿棒や爪楊枝などで1コマずつ掻き出して除去しなければならならず、取り除くのに時間がかかります。
チェーンクリーナーを使えば、ペダルを回すだけでチェーン表面だけでなくブラシが届きにくいチェーン内側の汚れまで掻き出してくれます。
チェーンクリーナーはメンテナンス時間の短縮と確実な洗浄を約束します。
チェーンクリーナーはこんな人にオススメ
では、チェーンクリーナーがどんな人にオススメなのか紹介します。
といっても、逆にオススメできない人はどんな人かを紹介した方が早いくらい、多くの自転車乗りにチェーンクリーナーはオススメできるツールです。
ロードバイクのメンテナンス・洗浄が面倒な人
…言わずもがな私です。なにしろ半年も掃除サボるほどの面倒くさがりです。
実際問題、ロードバイク全体の掃除をすると軽く1時間はかかります。…要領が悪いのです。
それが面倒なので掃除サボってしまいます。
なので、ペダルを回すだけでチェーンをキレイに洗浄できるチェーンクリーナーは、ロードバイクの洗浄時間の短縮に貢献し、私のような面倒くさがりにはとても有り難いツールなのです。
チェーンをキレイに掃除したい人
先述の通り、ブラシを使った洗浄方法ではチェーン内側の汚れを取るのに苦労します。
汚れが軽度ならそれほど心配することはないと思いますが、しばらく放置するとドロッとした固形の汚れが蓄積され、チェーンの内側にこびりつきます。
これを取ろうとすると、チェーンの1コマ1コマに綿棒や爪楊枝、あるいは捻ったウエスなどを差し込んでゴシゴシしないといけないので一苦労。
一方でチェーンクリーナーは内蔵の回転ブラシと洗浄剤によって、チェーンの穴の部分にこびりついた汚れもしっかりかき出してくれます。
結果、手作業で掃除するよりも素早く確実にチェーンを綺麗に洗浄してくれるわけです。
楽して掃除がしたい人
チェーンクリーナーはチェーンに装着して、タンクに洗浄液を入れて、ペダルをグルグル回すだけでチェーンの洗浄が出来ます。
従来のような、パーツクリーナー吹きかけて、ブラシで磨いてウエスで拭く…といった面倒な作業は不要で、ペダルを回すだけ。これでチェーンの汚れが取れる。とにかく楽です。
楽であることに加えて従来の手作業よりも確実にチェーンがキレイになるので、使ったあとに「今までの苦労何だったんだろう…」って虚無感に苛まれました。
注意! 購入前に装着できるか確認しよう
ここまでチェーンクリーナーのメリットを並べてみましたが、逆にチェーンクリーナーをオススメできない人はどんなのかというと、
“チェーンクリーナーが装着できない自転車”に乗っている人です。
例えば、ママチャリのようにチェーン部分にカバーが付いているタイプ(カバーが外せれば使えるかも?)や、チェーンクリーナーを装着する余地がない形の自転車など。
チェーンクリーナーを買う前に、必ず自転車に装着できるか確認しておきましょう。
パークツールの「サイクロン CM-5.2」を買ってみた
チェーンクリーナーのメリットについて解説したので、ここからは購入したパークツールのチェーンクリーナー「サイクロン CM-5.2」をご紹介します。
当時はアマゾンのレビューだけを根拠に購入を決定しましたが、実際に使ったり、後々知った情報によると以下のような利点がありました。
- 取り扱いが簡単
- しっかり洗浄できる
- ブラシやスポンジがオプションで販売されている
簡単に使えて、なおかつ高い洗浄効果が発揮できるのはチェーンクリーナーの共通事項ですが、3のブラシやスポンジをオプションで購入出来るというのは重要です。
というのも、チェーンクリーナーは何度か使うと内部のブラシやスポンジが劣化して、洗浄力が落ちてきます。
そうなると製品単位で買い替えとなりますが、サイクロン CM-5.2の場合、ブラシやスポンジだけを交換すれば再び新品同様の性能を取り戻せるわけです。
また、CM-5.2ということで、旧式である「CM-5」の問題点を改善したアップグレード版となっており、アマゾンの製品ページの説明によると、
- ハンドルの形状が変更された
- フタを固定する金属のクリップが変更された
といった変更がされています。
セット内容
セット内容はチェーンクリーナー(サイクロン CM-5.2)本体と、それに取り付けるハンドルのみというシンプルな内容。
ブラシやスポンジは内蔵されていますが、洗浄液は別売。
アマゾンの商品ページを見ると「よく一緒に購入されている商品」といった項目に洗浄液があるので、それを参考に選んでみてください。
それではパークツールのサイクロン CM-5.2の詳細を見ていきましょう。
サイクロン CM-5.2の内部構造
まずはサイクロン CM-5.2の構造について解説していきます。
内部の部品構成は、
- チェーン側面を洗浄するブラシ
- チェーンの内側を洗浄するブラシ
- 洗浄液を拭き取るスポンジ
となっており、チェーンの表面だけでなく内側もしっかり洗浄できる構造になっているのがわかります。
また、単に洗浄するだけではチェーンが洗浄液でビチャビチャになったりフレームやホイールに飛び散るのですが、スポンジが洗浄液を拭き取ってくれるのでそういった心配は無さそう。
上蓋にも同じようなブラシがついています。
これらのブラシによってチェーンの上下左右をキレイにしてくれるのはもちろん、チェーンのホール(穴)に溜まった固形の汚れも掻き出す構造となっています。
先ほどから何度も書いてますが、従来までチェーン内側の汚れは楊枝とか綿棒で押し出して除去します。この作業をチェーンのコマ単位でやるとメチャクチャ時間がかかります。
しかも、そこまでやっても完全に汚れを取り除けないので、いつも妥協してました…。
こちらはチェーンクリーナーの底部。磁石がついています。
「なんでこんなところに磁石が…?」と思いがちですが、この磁石によってチェーンに付着した細かい金属粒子がクリーナーの底に溜まるようになってます。
「そんなに溜まるのかよ…」と思いましたが、実際に洗浄してみると驚くほど磁石に金属粒子が張り付いて驚きました(後述)。
こちらはクリーナーのカバーを固定する板バネ。
上下のカバーはクリーナーの両端についているこの板バネ(クリップ)によって固定され、しっかりと固定される反面、外す時も簡単にパチンと外すことが出来ました。
チェーンクリーナーの側面にはラインが記載されており、このラインが洗浄液を入れる量の目安となっております。
ただ、実際にラインのところまで洗浄液を入れると結構な量なので、洗浄液の消費を気にする人は薄めて使うと良いかもしれません。
また、上の写真のようにクリーナーのカバー部分には穴が開いているので、ここから洗浄液を流し込むことができます。
つまりチェーンに取り付けてからでも洗浄液の注入が可能というわけです。
洗浄液を入れてから入れてからチェーンに取り付け…ってなるとこぼす可能性がありますからね。
こちらは持ち手。本体の下側からスライドさせて装着できます。
実際にこのチェーンクリーナーを使用する場合、左手でチェーンクリーナーを持って右手でペダルを回すことになります。そのためメンテナンス用のスタンドが必要です。
この当時はロードバイクを倒立させて使っていましたが、バランスが悪かったり、洗浄液がフレームやサドルバッグにかかるなどの問題が発生したので、後に折りたたみ式のスタンドを購入しました。
使い方は図を見ればすぐわかる!
続いて、説明書もあわせて見ていきます。
文章は英語やドイツ語およびフランス語のみですが、図を見れば直感的にわかるようになっています。
先述の通り、チェーンクリーナーは上蓋を外してチェーンを乗せて、再度フタをしてクリップをパチンとロックして装着します。
その後、洗浄液をチェーンクリーナー側面に描かれたラインの位置まで入れて準備が完了。あとはペダルを30回ほど回せばチェーンがキレイになりますよ~といった内容。
ペダルは普段漕いでいる向きとは逆の反時計回りに回すという点に注意。
こちらは各種パーツについて記載されています。
当然チェーンクリーナーは何回も使えばブラシやスポンジが摩耗して洗浄能力が落ちてきます。アマゾンのレビューによると特にスポンジが摩耗するとのことでした。
従来のチェーンクリーナーの場合、内部のパーツが摩耗して洗浄効果が無くなったらご臨終。本体を買い換える必要があります。
しかし、サイクロン CM-5.2の場合、ブラシやスポンジがオプションで販売されているので、部品を交換してまた使うことが出来ます。
ということで、パークツールのチェーンクリーナーの紹介をあらかた終えたので、いよいよチェーンクリーナーを使って半年掃除をサボったロードバイクのチェーンを洗浄します。
チェーンクリーナーで半年放置のロードバイクを洗浄してみた
さて、それではパークツールのチェーンクリーナーを使って実際にロードバイクのチェーンを洗浄してみます。
洗浄するロードバイクは普段の足代わりに使っているSPECIALIZEDのAllezSport2012。駅までの通勤や休日のサイクリングで使っているにも関わらず、半年以上掃除していないという汚いヤツ。
もはやこの時点で「お前にロードバイク乗る資格なんて無い!!」と叱られそうですが、平日は仕事だし休日はゴロゴロしたいし、チェーンの洗浄面倒だし…。
…という具合に、今回チェーンクリーナーの購入した目的も面倒な洗浄を楽に出来ないかというところから来ています。
半年洗浄してないチェーンはこんなにも汚い!
うげぇ、きったねぇ!!
もう「汚い」しか出てこないほど汚い。キッチンのガンコな油汚れみたいに黒ずんでドロドロのギトギトになっていて、素手で触ろうものなら洗い流すのにすごく苦労する。
面倒だからとは言え、よくここまで放置して乗り続けたなと呆れを通り越して感心するレベル。これ洗浄して再度注油したらパフォーマンス全然違うだろうなぁ…。
さらに拡大してみる。
面倒だからと掃除をサボってた半年の間、動きが鈍いと感じたら汚いチェーンの上にオイルを追加注入して騙し騙し使っていました…。
「それで効果あんのか?」と疑問になるのはもとより、よくそんなの今までガマンしていたなと、呆れを通り越して感心するレベル(2回目)。
そんな具合にオイルを追加注油した結果、単なるドロドロ・ギトギトだけでなく、積み重なって立体感のある汚れになってしまいました。
チェーンクリーナーで落ちるのかなぁコレ…。
チェーンクリーナーをセットする
半年洗浄してないチェーンがどれほど汚いか嫌でもわかったところで、こいつをキレイにするためにチェーンクリーナーで洗浄します。
まずはロードバイクのチェーンにクリーナーを取り付けるのですが、先ほどの説明の通り、
- 左右の金属クリップをパチンと外して、カバーを取り外す
- チェーンを挟むように取り付け、カバーをセットする
- クリップで左右をロックする
といった手順で取り付けます。これでクリーナーのセットが完了。ね?簡単でしょ?
クリーナーに洗浄液を注入する
次はセットしたチェーンクリーナーに「洗浄液」を注入します。
私はクリーナーとセットで買ったAZのチェーンディグリーザーを使用しました。
値段が安いというのはもちろん、植物系洗剤を使っているので環境にも優しいクリーナーです。
…ということで、チェーンディグリーザーを上蓋の穴から注いで側面に描かれたライン部分まで満たします。
やはり結構消費しますね…。
あとはペダルを回転させればチェーンが自動的に洗浄されます。
今回は反時計回りに回せとあるので後輪が回ることはありませんが、それでも片手にチェーンクリーナー、もう片手で後輪を浮かして作業というのは困難。
何度も言いますがメンテナンス用のスタンドは必須です。
しかしながらこの時点ではスタンドを持っていなかったので、仕方なくロードバイクを倒立させて固定することにしました。
洗浄中のチェーンの状態
洗浄中のチェーンはこんな感じ。
チェーンの表面はもちろん、内側にまで泡が浸透しており、手洗いでカバーできない部分もしっかりと洗浄されているのがわかります。
このとき左右のシフトレバーをガコンと動かすことでフロント・リアディレイラーも一緒に洗浄することが出来ます。
こちらは側面。
まだそれほど回転させていない(5回転くらいかな?)にもかかわらず、もうこれだけ汚れが落ちました。恐るべし洗浄力。
ドロドロ&ギトギトで立体的な汚れが蓄積されてた洗浄前のチェーンと比較するとその差は一目瞭然。
死角なき洗浄が可能なチェーンクリーナーと、驚異的な洗浄効果を発揮するAZのチェーンディグリーザー。この組み合わせ、最強。
さて、30回ほど回転させて「おっ、キレイになったな」と思ったら、チェーンクリーナーを取り外して中の廃液を捨て、今度は水を入れて再び回転させて洗浄液を洗い流します。
そして最後にチェーンの水滴を拭き取り、新しくオイルを注油すればチェーンの洗浄&メンテナンスは完了です。
ね?簡単でしょ?
こんなにもキレイになった!!
うおおすげぇ!!
写真ではちょっと黒っぽく見えますが、洗浄前の汚れが立体化してたドロドロギトギトなチェーンと見比べるとシッカリ汚れが落ちているのがわかります。
これなら素手で触っても大丈夫なレベル。
洗浄しにくいチェーン内側もチェーンクリーナーを使えばこの通り。ドロッとした塊がキレイに落ちてくれました。
まだ少し汚れているように見えますが、これは掃除をサボってたが故に洗浄で落とせないレベルに達してしまった汚れ。こうならないように掃除はこまめに行いましょう。
1回使うだけでここまで汚れが落ちてくれたら文句ナシです。むしろ手洗いでゴシゴシやってた頃よりずっとキレイ。嬉しいけどちょっと切ない。
なお、クリーナーの内部には…
掃除が終わってチェーンクリーナーを洗浄しようとカバーを開けてみたら、クリーナーの底に汚れが溜まっていました。
これは先ほど説明した磁石によって引き寄せられた金属粒子なのですが、まさかこんなにも大量に溜まるなんて思わなんだ。こりゃすごい。
これらの金属粒子はドロドロのオイル汚れと混ざることで研磨剤のようになり、ペダル漕ぐたびにチェーンやその周辺を少しずつ削っていたことになります。恐ろしい…。
もっと早くチェーンクリーナーを使うべきだった…
ものぐさな性格ゆえに半年以上メンテナンスをサボっていましたが、チェーンクリーナーのおかげで楽に・素早く・確実にチェーンの洗浄が出来ました。
ただ「楽」というだけでなく、ブラシで磨いてた時よりキレイで「今までの苦労は何だったんだ…」となるほどでした。
洗浄力が強いこともあって、ブラシでゴシゴシやってた時よりもずっとスピーディーにチェーンの洗浄が出来ました。
早いし楽だしその上キレイという文句なしの仕事をしてくれました。
…ただ、実際に使って感じたことは、メンテナンス用のスタンドが無かったので不便でした。
これはチェーンクリーナーの不具合ではなく単なる私の不備なので、後日改めてスタンドも購入しました。
冒頭でも書きましたが、ロードバイクはメンテナンスを怠ると寿命が縮むだけでなく、走行性能も落ちてしまうので、定期的なメンテナンスを心がけたいです。
そんなメンテナンスを楽に行えるパーツクリーナーはまさに神ツールといえるでしょう。