3~4日ほど更新があいてしまうと「久々ですね」って気分になりますが、今日もまたタミヤのティーガーI(後期型)の製作日記を書き綴ります。
早くしないと連合軍という名の納期がやってくるので、それまでに完成させて彼らを追っ払ってしまいましょう。
ちなみに過去のティーガーI制作日記については、下記のリンクを参照してください。
今回は引き続きティーガーIの車体上部を作りますが、ただ組み立てるだけでなく「バトルダメージ」というパーツを凹ませたり曲げたりして被弾痕や変形を再現するディテールアップをします。
連合軍から恐れられた重戦車ですから、激戦地を生き抜いた過程で車体の至る所にバトルダメージが刻まれています。それらを再現することでド迫力なティーガーIが出来上がります。
サイドフェンダーの取り付け・ダメージ加工
まずはティーガーIの車体側面の「フェンダー」を取り付けます。
…が、ただ単に取り付けるのではなく、より本物っぽくするためにダメージ加工をしてみます。
ウェザリングなどで汚し・風化を再現したことはありますが、パーツそのものを加工する形でのバトルダメージの再現は初めてです。出来上がりがどうなるか楽しみです。
まずこちらは説明書通りにフェンダーを仮組みした状態。
これでも悪くはないのですが、実際のティーガーIのフェンダーは4枚に分かれています。なのでこのワンピースなフェンダーをカットして4つに分けます。
フェンダーの分割
家にあった刃が薄いノコギリを使って4枚にカット。当然断面は紙やすりでキレイに整えておきます。
こちらはカットしたフェンダーの断面図。
フェンダーは先端部分は薄くなっていますが、根本に向かうほど厚くなっています。
なので、ここもヤスリで削ってなるべく均一に薄くしていきます。
薄く削ってみました。
ティーガーIのフェンダーは装甲に使われるような防弾処理がされたものではなく、薄い鉄板とのことです。
なので障害物にぶつけると曲がったりへし折れたりしたそうです。
もう一度仮組みしてみます。
分割することで個々のフェンダーの向きが不揃いになり動的なフォルムとなりました。
ただ、ノコギリでカットするとフェンダー間の隙間が大きくなってしまうので、もう片方のフェンダーは普段使ってるニッパーでカットしました。
フェンダーのダメージ加工
このまま取り付けるのもアリですが、今回はもう少しだけこだわってみて、フェンダーの端をラジオペンチで挟んでゆっくりグニグニと曲げてみました。
先述の通り、フェンダーは薄い鉄板なので、外部からの衝撃によって凹んだり曲がったり歪んでしまいます。それを再現してみようと思ったのです。
なおパーツを直接ラジオペンチで挟むとペンチのギザギザの痕がパーツに刻まれてしまうので、間に布やティッシュなどを挟むのを忘れずに。
曲げすぎると不自然になるし、なによりパキッといってしまうのでやり過ぎに注意。微妙な力加減が大事なのです…!
で、取り付けるとこんな感じに。
フェンダーは走行時の振動や爆発の衝撃、障害物や隣のフェンダーがぶつかるなどして外れたり歪んだりします。そのため、フェンダーを部分的に外して歯抜けにしている作品もあります。
ただし、フェンダーが取り付けられる部分には”基部”となるモールドを追加しないと不自然になるので、今回は全部付いた状態にしました。
前面装甲板のツィンメリットコーティング
次は車体の前面装甲板および前部上面装甲板にツィンメリットコーティングを施します。
コーティングの手法は他の場所と同じなのですが、前面装甲板も凹凸があるので丁寧にモールドを刻んでいきます。
まずはツィメリットコーティングをしない場所にマスキングテープを貼って保護します。
フェンダーの根本やボッシュライトが取り付けられる場所に貼りました。
なお、コーティングの邪魔になると思ったので車載機銃とボッシュライトはこの時点では取り付けず、コーティング後に取り付けます。
まずは前面装甲板からコーティング。
タミヤのポリエステルパテを装甲板にまんべんなく塗っていきます。
そしてタミヤのコーティングブレード(0.5の方)を使ってコーティングのピッチを刻んでいきます。
3~4回ピッチを刻むとブレードにパテがべっとり付着するので、ラッカー溶剤を染み込ませたティッシュやボロ布などで拭き取ります。
なお、コーティングブレードの一番小さいブレードには反対側にも小さなギザギザがついており、車載機銃の装甲ブロックにはこの小さい方を使います。
機銃の防盾付近は放射状にコーティングされていたとのことなので、コーティングブレードの細い方を使い、中心に吸い込まれるように刻んでいきます。
…ただ、防盾にはコーティングがされていないティーガーの写真も散見します。このあたりはお好みですね。
マスキングテープを剥がしてボッシュライトを取り付けました。ボッシュライトは真鍮線などでコードを作ってみたいですね。
同じように前部上面装甲板にもツィンメリットコーティングをします。
ただ、プロモデラーの越智信義さんによると、前部上面装甲板にはコーティング剤は塗るけれど、塗るだけでピッチは刻まれていないとのこと。
ツィンメリットコーティングの目的である「吸着地雷」は、歩兵が戦車に肉薄して装甲にくっつけるものなので、機銃で撃たれるリスクのある正面からは狙わないとのこと。
…が、一方でキングタイガーこと「ティーガーII」、および「パンター」は、実物写真を見ると正面の装甲板にもコーティングが施されていました。
この手の「どっちが正しいんや?!」というのは考察・検証がが困難なミリタリー模型には良くあることですので、私は気にせず塗ることにしました。
極東の島国に詳しいエンジニアが「ここも塗ったろ」とサービス精神でやってくれたに違いありません。きっと今頃DOGEZAしているでしょう。
車体のバトルダメージの再現
戦車は読んで字のごとく戦う車なので、敵からの攻撃によって生じた破損や弾痕などが車体に刻み込まれます。
そういうわけで、銃弾や砲弾の被弾を再現する、いわゆる「バトルダメージ」を再現してみようと思います。
フェンダーのバトルダメージ
まずは車体の左斜め後方より敵兵の対戦車ライフル弾が被弾したというのを再現してみます。
リアフェンダーに0.4ミリくらいのピンバイスでフェンダーに穴を開けます。
ちなみに、1/35スケール模型における0.4ミリはリアルだと約14mmになります。
ソ連の「デグチャレフPTRD1941」や「シモノフPTRS1941」といった14.5mm弾を使用した対戦車ライフルの弾を喰らったという設定でいきましょう。
その後、先端が丸いビットを装着したリューターで貫通した穴の周辺に歪んだ円を描くようにゴリゴリ当てて、被弾による歪みを作ります。
そのあと流し込み接着剤を周辺に塗ってパーツを溶かして穴の周りを整えました。
同じようにマフラーのカバーにも2つ対戦車ライフルによる被弾痕をつけてやりました。
対戦車ライフルで狙撃した連合軍兵士は、エンジンを破壊することでティーガーの走行不能を目論みましたが、残念ながら装甲板を貫くことは出来ず、機銃の餌食となりました。
側面装甲板のバトルダメージ
続いては敵戦車の砲弾を受けて出来たダメージを再現します。
ティーガーIの装甲は正面100ミリ、側面80ミリなので、一部の戦車を除いてほとんどの戦車の砲弾を弾きます。そのため比較的装甲のうすい側面や後面に回り込む戦法をとっていたと思われます。
なのでティーガーの側面に回り込んでドカーンとやった被弾痕を作ります。
丸ビットを使って直径2ミリくらいのヘコみをつけます。
いくら前面よりかは薄いとは言え、ティーガーIの側面装甲は80mmです。
穴を貫通させてしまったらティーガー最強説に疑惑の声が上がってしまうので、ヘコませても穴は開けないように注意しながらダメージをつけます
なお、砲弾が命中した部分だけでなく、その周辺のツィンメリットコーティングも衝撃で剥がれるので丸ビットで削っておきます。
で、同じように流し込み接着剤を塗って表面を整えます。
オマケでもう1つダメージを与えてやりました。こちらは横に広くして穴を少し浅めにします。”砲弾の入射角が大きかったため弾かれた”というのをイメージしてみました。
敵の砲弾を受けるとき、戦車の車体(=装甲)を傾けて角度をつけることで、砲弾の運動エネルギーを分散させて弾く事ができます。
これは「避弾経始」という概念ですが、米国やソ連の戦車は装甲が斜めになっており、装甲の厚み以上の防弾効果を発揮しています。
ドイツも後にソ連のT-34の傾斜装甲を参考に「ティーガーII」や「パンター」など装甲が斜めになった戦車が開発されますが、ティーガーIの装甲は垂直なので、車体をうまく傾けて同様の防弾効果を発揮します。いわゆる食事の角度です。
ティーガーIのような「重戦車」にはバトルダメージがよく似合う
今回は装甲板のツィンメリットコーティング、車体・フェンダーのバトルダメージ加工と盛り沢山な内容になりました。
冒頭に書いたように、車体にバトルダメージを施すのは今回が初めてなので調べながら試してみましたが、わりと良い感じになってくれたので一安心。
こと、ティーガーIのような頑丈な重戦車は敵の弾を何発も喰らったが耐えた感を出すことで、戦場の過酷さ、そして屈強さを引き立てる効果に期待できます。
車体にバトルダメージがあるなら砲塔にもバトルダメージがあった方が自然に見えるので、砲塔を組み立てたらそちらにもダメージを与えます。
汚れもダメージも一ヶ所だけでは不自然なので、やろうと決めたらあらゆる場所に(やりすぎない程度に)やっていきましょう。
次回は連結式の履帯をつくります。