前項までは「組み立て」で使う道具を紹介しましたが、つぎは「塗装」に関連したアイテム・ツールを紹介します。
基本的に戦車プラモのキットは「未塗装」であるため、よりリアルにするためには塗装をしなければなりません。
「塗装はいらん。組み立てだけでエエんや」って人には不要かもしれませんが、戦車にせよ他のプラモにせよ、塗装したほうが断然カッコいいです。
しかし、一言に「塗装」と言っても、塗料をベタッと塗るだけではなく、より綺麗に、よりリアルに塗装するためには塗装の前後において「ひと工夫」が必要です。
そういったことからここでは
- 塗装前の下地処理で使うアイテム
- 塗装で使うアイテム
- 塗装が終わった後に使うアイテム
といった順番で紹介します。
塗装前の下地処理で使うアイテム
まずは塗装前の「下地処理」の段階で使うアイテムについて紹介します。
この下地処理についてはモデラー間で必要・不要と賛否両論ですが、私は個人的に少しでも塗装を綺麗にしたいという理由から必要だと考えます。
この下地処理を行うことで、塗装の食いつきを良くする(=剥がれを防ぐ)、塗料の発色を良くするといった恩恵が得られます。
サーフェイサー
「サーフェイサー」とは、ラッカーパテのようなものをミスト状にしたもので、塗装前の下地処理として使用します。
サーフェイサーを使用する主な利点(目的)は、
- 全体の色を統一する
- 細かいキズを埋める
- 大きい傷を目立たせる
- 塗料の食いつきを良くする
- パーツの”透け”をなくす
といったものが挙げられます。
Mr.ホビー(GSIクレオス)「Mr.サーフェイサー」シリーズ
まずこちらはGSIクレオスのMr.サーフェイサー。
このシリーズは500とか1000とかありますが、違いは粒子の大きさで、数値が大きくなるほど粒子が細かくなります。私は1000番を選びました。
エアブラシを持っていない人や、あるいはエアブラシ使うのが面倒って人はこの缶スプレーのサーフェイサーをオススメします。
砲身の「合わせ目」が消えているか確認するために使用
車体全体の下処理とは別に、組み立て時に「砲身」を貼り合わせた際にできるスジ(合せ目)を消す作業があり、砲身の合わせ目が消えているかを確認する時にもスプレーのサーフェイサーを使います。
前項「ラッカーパテ」でも書きましたが、戦車の醍醐味である「砲身」は非常に目立つ部分です。
なので合せ目が残っていたら他の部分が良くても台無しになるので、砲身の合わせ目がシッカリ消えているかチェックしておきましょう。
ガイアカラー「サーフェイサーEVO」シリーズ
サーフェイサーも塗料と同じでスプレータイプだけでなく「液体タイプ」もあり、こちらはエアブラシユーザー向け。
上の写真はガイアカラー(ガイアノーツ)の「サーフェイサーEVO(オキサイドレッド)」。
サーフェイサーの色は何種類かありますが、私は実物戦車の「錆止め」の色を模したオキサイドレッドをよく使っていました。
オキサイドレッド色のサーフェイサーを吹き付けるとこんな感じの赤茶色になります。
オキサイドレッドのサーフェイサーは
- プラモデルにおける下処理(サーフェイサー本来の用途)
- 実際のドイツ戦車における錆止めプライマー(オキシトロート)の再現
これらが一度に出来るので、作業時間の短縮につながります。
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Mr.シリコーンバリアー(離型剤)
本来はレジンなどを使用してパーツを複製する際に、型枠からパーツを剥がしやすくする離型剤ですが、前述のサーフェイサーEVOと併用して使っています。
一見、「塗装と関係ないやろ!」と思いがちな離型剤ですが、サーフェイサーEVO(オキサイドレッド)で塗装した後、塗装が剥がれやすそうな場所に細い筆で塗ります。
そして車体塗装をしたあと、離型剤を塗った場所を爪楊枝などで軽く擦ることで、上の写真のように塗装の剥がれを簡単に再現できます。
この手の塗装の剥がれを再現するには、スポンジなどにエナメル塗料を染み込ませてポンポンと模型に当てる「チッピング」という技法があります。
…が、チッピングと違って本当に塗装を剥がすので、立体的な剥がれを再現することができます。ここにチッピングも加えれば完璧。
メタルプライマー
メタルプライマーは金属パーツに塗料が食いつきやすくする下地塗料です。
キットによっては金属製のパーツ(=エッチングパーツやアルミ砲身など)が入ってる場合があり、これら金属パーツはプラに比べて塗装の乗りが悪いため、パーツの上に塗っておきます。
プラモの箱を開けて金属パーツが入ってたらメタルプライマーの購入を検討しますが、タミヤの「ファインサーフェイサー」のように、プライマー成分が含まれているサーフェイサーもあるので、そっち使った方が楽です。
残念なことに「Mr.メタルプライマー」はフタにブラシがついていないので、筆で塗るか、エアブラシで吹き付けて使用します。
塗装で使うツール・アイテム
では次に「塗装」で使用するアイテムをご紹介。
主に「塗料」そのものや、塗料を薄める「溶剤」、塗料を使うためのアイテムなどがあります。
ラッカー系塗料
プラモデルで使用する3大塗料のひとつ、それがラッカー系塗料です。
合成樹脂塗料のうち、希釈(=うすめる)に有機溶剤のみを使う塗料のことを「溶剤系アクリル樹脂塗料」または「ラッカー系塗料」と呼びます。
ラッカー系塗料には
- 乾燥が早い
- 塗膜が強い
- 発色が良い
…といった特徴があり、筆塗りよりもエアブラシで塗装するときに使い、戦車模型では車体の基本塗装や迷彩塗装など広範囲を塗装する場合が多いです。
こちらはMr.ホビー(GSIクレオス)の「Mr.カラー」シリーズ。
写真はドイツ戦車の迷彩塗装をするため、車体基本色のダークイエロー、迷彩色であるダークグリーン、レッドブラウンの3色を用意しました。
後に履帯を塗装するためにジャーマングレーやフラットブラック、車体の下地処理として「シャドー吹き」のためにマホガニーなどを追加で使っています。
専らエアブラシ用に揃えた塗料で、筆塗りで使うことは滅多にありません。
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こちらはスプレータイプの塗料です(写真はタミヤカラー)。
スプレーなので広範囲に散布できますが、細かい模様を描くのには不向き。基本色や下地色のような広範囲を単色で塗装する時に使います。
車体全体を塗装する場合は筆塗りより缶スプレーを使ったほうがムラがなくキレイに仕上がります。
缶スプレーの塗料はタミヤの他にもMr.ホビー(GSIクレオス)などがありますが、いずれも瓶入りの塗料と比べると値段は高め。
こちらは「ガイアカラー(ガイアノーツ)」のラッカー塗料。
写真の「スターブライト プラス」という色は砲弾の薬莢部分に使いました。
これもラッカー系塗料ですが、このスターブライト ブラスは「メタリック系塗料」という、金属の質感を再現するために微細な金属粒子が入っている塗料です。
また最近では、エアブラシ塗装用としてもガイアカラーのラッカー塗料を使うようになりました。上の写真は「ドイツ戦車3色迷彩セット」の塗料。
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ラッカー溶剤
ラッカー塗料に対応した溶剤(薄め液)です。
塗料は原液だとドロッとしており、そのまま使うと厚塗りになったり色が濃すぎたりするので、塗料は溶剤で薄めて使うのが基本です。
ラッカー系塗料にはラッカー溶剤を使います。私は最初は上の写真の「Mr.カラーうすめ液」を使用しました。
また、溶剤は対応した塗料を希釈(薄める)だけでなく、筆や塗装ツール(特にエアブラシのハンドピース)の洗浄にも使います。
後に私もエアブラシを使用ようになり、機材の洗浄で溶剤の消費が増えたので、大容量のガイアカラーの薄め液(500ml)を新たに購入。
エアブラシユーザーにとってラッカー系塗料は使用頻度が高いので、溶剤も多めに用意しておくことを推奨します。
…もちろんラッカー系以外の塗料でも溶剤は多めに用意したほうが良いです。
アクリル塗料
合成樹脂塗料のうち、希釈に水を使用する塗料のことを「水溶性アクリル樹脂塗料」または「アクリル塗料」と呼びます。
主にタミヤの「アクリル塗料」や、GSIクレオスの「水性ホビーカラー」がよく使われており、筆塗りといったら大体がこのアクリル塗料か後述のエナメル塗料を使用します。
毒性は弱くニオイも控えめなので、室内でも使用できる塗料です(ただし換気は必要)。
また、水で希釈することができるので、塗装時の希釈はもちろん、使用後の筆や各種ツールを水洗い出来る(ただし硬化前のみ)という手軽さが利点。
先述の「ラッカー塗料」との使い分けとしては、
- ラッカー塗料で車体塗装・迷彩塗装をする
- アクリル塗料で細かい部分の塗り分け
といった使い方をしています。
私は屋外でエアブラシを使うのでラッカー系塗料で行っていますが、室内でエアブラシを使う人はアクリル塗料を使った方が安全。
なお、基本的に迷彩塗装はラッカー系塗料を使ってエアブラシで行っていますが、一部例外があり、上の写真のような”クッキリした”迷彩を描いた時はアクリル塗料を筆塗りで行いました。
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アクリル溶剤
アクリル塗料に対応した溶剤。溶剤は各種塗料に対応したものを選びます。
アクリル塗料は筆塗りで使うことが多く、また洗浄時は溶剤だけでなく「水」でも出来るため、ラッカー溶剤と比べるとそこまで消費は激しくありません。
となると「水だけでよくね?溶剤いらなくね?」ってなりますが、溶剤を使うことで、塗りムラを抑えたり、塗料の食いつきを良くする効果があるので、無いよりかはあった方が良い。
エナメル塗料
溶剤が揮発することによって塗膜が形成されるラッカー系塗料やアクリル塗料と違い、エナメル塗料は空気と化学反応を起こして塗膜を形成するのが特徴。
そのため、ラッカー系・アクリル塗料と比べると乾燥に時間がかかり、乾いたと思って触ると指紋が付いてしまうこともあります。
しかしその反面、溶剤で薄めても発色や塗料のノビが良いので、「フィギュア」の塗装や「ウェザリング」で使うことが多い塗料です。
こちらはガイアノーツのエナメル塗料。
「赤サビ」、「黄サビ」とあるように、やはり最後のウェザリング(サビの再現)で使いました。
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エナメル溶剤
もちろんエナメル塗料にも溶剤があります。
何度も書きましたが、塗料を購入する時はその塗料に対応した溶剤も一緒に買いましょう。
また、塗料は種類によって重ね塗りが可能なもの不可なものがあります。たとえばラッカー塗料の上にアクリル・エナメルは重ね塗り可能ですが、その逆はNGという具合に。
同じ種類の塗料を重ねるか、ラッカー → アクリル → エナメルの順番で重ね塗りしていくのが一般的。
なお、エナメル溶剤はプラスチックを脆くすると言われており、ウェザリング(特にウォッシング)でビチャビチャと塗りたくると接着したパーツがポロッと取れる場合があります。
そういったのを嫌う熟練モデラーは代替として油絵の具と対応した溶剤を使っておられます。
筆
塗料を塗るための筆です。
一口に筆といえど太さ・幅・材質などは様々で、どれを買おうか迷ったのですが、「セット買っときゃ大丈夫だろう」ってことで、最初は一式セットになったのを購入しました。
戦車模型では、汚し塗装など広範囲を塗る「平筆」と、工具やフィギュアなど細かい部分を塗る「面相筆」、それらの中間に位置する「丸筆」の3種類があれば良いと思いました。
これらが満たせるのであれば、百均の安い筆でも良いかと思います(面相筆は百均で手に入るかなぁ…)。
超絶オススメ!! 「牛乳パック」
日ごろ私達が飲む牛乳のパックを適度な大きさにカットしたものです。
何の変哲もない牛乳パック片ですが、プラモデル作りにおいて非常に重宝します。
何故なら以下のような、「塗料皿」(後述)では出来ないメリットがたくさんあるからです。
- 塗料、瞬間接着剤、パテなど、あらゆるものに使える
- 複数の塗料を混ぜたり、塗料を少しずつ薄める「パレット」として使える
- 「牛乳パック」なので安価で簡単に入手でき、すぐに量産出来る
- 使い捨てなので掃除が不要
…という具合に、汎用性が高い、安価でたくさん作れる、メンテ不要の三拍子揃ったスグレモノ。まるでアサルトライフルの「AK-47」みたいなヤツです。
とにかく使い勝手が良いので初心者には絶対オススメ。ベテランにもオススメ、ってかベテランなら知ってる。
「牛乳大嫌いだから飲まない!」という不健康な人はスーパーのリサイクルボックスを漁って入手するという荒業もあり(非推奨)。
上の写真のように「パレット」として、少しずつ塗料の色の変化を確認しながら調色することもできます。これを面積の狭い塗料皿でやろうとすると難しいかも。
塗料皿
その名の通り塗料を入れる皿です。
このお皿に塗料と溶剤を入れて調色したり、筆についた塗料を落とすツールクリーナー(後述)を使うときにも使用します。
私は下の写真の「万年塗料皿」というのを使ってます。10枚入りで300円程度。
…が、最近では塗装皿をいちいち洗うのが面倒なので、先述の牛乳パックをカットしたものを使うことが多くなりました。
便利すぎる牛乳パックの台頭で肩身が狭くなった塗料皿はどう使うべきかというと、主に以下の用途で分けます。
- 薄めたり筆を洗うための溶剤を入れるとき
- エアブラシで使う希釈率の高い塗料を使うとき
…などなど、“フチ”が無いとこぼれる「液体」を使うときは塗料皿を選んでいます(それ以外なら牛乳パックをおすすめします)。
調色皿
どちらかと言うと「皿」というより「カップ」と呼んだほうが良いような「調色皿」です。
こやつはエアブラシ用の塗料に使っているので先述の牛乳パックや塗装皿とは根本的に異なります。
というのも、エアブラシを使う場合は、
- 筆塗りの時より塗料を薄めて使う
- 複数の色を混ぜて使う
といったケースが多く、そのため容量の多い「カップ」が必要になってくるのです。
塗料皿でも出来ないことはありませんが、注ぎ口がついていなかったり、底が浅かったりといった理由で使いづらい。
ちなみに上の写真はMr.ホビー(GSIクレオス)の「Mr.注ぎ口計量カップ」 。注ぎ口がついていて便利ですが、一方で注ぎ口の両サイドにある突起に塗料がこびりつくので掃除が面倒でした。
調色スティック
塗料をビンから皿へ移植したり、他の塗料や溶剤を混ぜ合わせるときに使う混ぜ棒。
サジになってる方を使ってビンから塗料を取って塗料を皿に移植し、平ぺったい方を使って塗料皿の底にこびりついた塗料をかき出すように混ぜることでしっかり調色できます。
塗装が終わった後に使うアイテム
戦車をきれいに塗装できたら「はい、おしまい!」というわけではありません。
せっかく綺麗に塗装できたので、塗膜を保護するコーティングをしたり、使った機材を洗浄したり…といった時に使うアイテムについてご紹介します。
トップコート
トップコートとは、塗装した塗膜の上に塗る透明の塗膜のことで、色調を統一したり、光沢をおさえたり、表面の保護といった効果があります。
私が使っているのは上の写真の「Mr.スーパークリアー」ですが、これは同社の「Mr.ホビー」をベースにしているラッカー塗料ベースのトップコートです。
そのため、アクリル塗料やエナメル塗料の上から塗ると侵食するので非推奨。
ラッカー塗料の後に塗ります。また、デカールの上に塗るのもやめた方がいいとのこと。私は気にせず塗ってますが。
なお、水性のトップコートもありますので、アクリル・エナメル塗装の後ならこっちを使うと安全。
ただ、いずれのトップコートにせよ、表面が白くなってしまうので厚塗り厳禁。うすーく全体をコートします。
また湿度の高くなる雨天時の使用も非推奨。
ツールクリーナー
こちらは筆や塗料皿などツールを洗浄するときにつかう洗浄液。…そのまんまです。
これ1本あれば塗料の種類問わず、筆だろうが塗料皿だろうがエアブラシだろうが綺麗に洗浄できます。
非常に強力な洗浄力を発揮しますが、その反面ニオイも強力なので、保管方法に注意し、締め切った部屋での使用は避けること。
最近では筆や塗料皿、エアブラシといった塗装用のツールは溶剤で洗浄するので、ツールクリーナーを使い切ってからは追加購入はしませんでした。
ただし洗浄力は溶剤よりこのツールクリーナーの方が強力です。
マークセッター
こちらは塗装が終わった後に貼る「デカール」をしっかり貼るために塗るものです。デカール用の接着剤といえばわかりやすいかな?
「デカール」とはプラモに貼り付けるステッカーのようなもので、国籍マーク、部隊マーク、砲塔番号、特定の車輌に描かれた文字や絵を再現したものがあります。
使い方としては、
- まずデカールを貼る場所に塗る
- デカールを貼った後も必要に応じて上から塗る
といった手順で使用することでしっかりパーツにデカールを定着させることができるのです。
マークソフター
前項の「マークセッター」はデカールをしっかり接着するために使う液剤ですが、こちらの「マークソフター」はデカールを柔らかくする効果があります。
主にパーツのモールド(凹凸)にデカールをなじませるときに使います。
たとえば有名なドイツ戦車の車体や砲塔には「ツィンメリット・コーティング」が施されており、表面がデコボコしています。
このようなデコボコに普通にデカールを貼ると上の写真のように浮いてしまいます。いかにも「貼り付けた感」満載です。これは良くない。
そこで、貼り付けたデカールの上からマークソフターを塗り、綿棒でトントンと叩いてやるとパーツの凹凸にデカールが馴染んでいき、より立体感・質感がアップします。
特にツィメリットコーティングを施すドイツ戦車を作る人には必須アイテムですし、ドイツ以外の戦車(戦闘機)でも凹凸の上にデカールを貼る場合があるので、持っておいて損はないはず。
ただ、本来はデカールを「軟化させる」のが目的なので、使うとスライドマークが破れやすくなるという点もお忘れなく。慎重に扱ってあげましょう。
関連記事 【ティーガーI】戦車模型にデカールを貼り付ける方法
塗装についてのあれこれ
塗装のあとに行う「デカール貼り」で使うアイテムも一緒に紹介しましたが、戦車模型における塗装関連で使うアイテムはざっとこんな感じ。
以下、もう少し塗装(塗料)についての”お小言”を書き綴ってみました。
どの種類の塗料を使えばいいか迷った場合
先述の通り、塗料には大きく分けてラッカー系、アクリル、エナメルがあり、さらにメーカーもタミヤ、GISクレオス、ガイアカラーなどを紹介しました。
こう細かく書くと今度は「どこのメーカーの何系の塗料を選べばいいの?」と迷います。
そんな時はまず王道タミヤの塗料から使ってみるといいかもしれません。
…そう書くと特定のメーカーを贔屓にしてるかのように見えますが、これにはちゃんと理由があり、
- タミヤのプラモデルはタミヤの塗料で塗るように指示されている
- ホビーショップだけでなく、イオンなどの玩具店などにも置いてあり、手軽に入手できる
- (アクリル塗料)ニオイがきつくないので室内でも使える。
といった点から初心者でも入手しやすく扱いやすいため。
また、種類別の塗料はそれぞれの項目でも書いたように、
- 車体全体を塗装するときはラッカー塗料(缶スプレー)を使う
- 車載工具など細部を塗り分けるときはアクリル塗料を使う
- フィギュアの塗装やウェザリングはエナメル塗料を使う
といった具合に、用途別に各塗料を使い分けていきます。
「迷彩塗装はどうしよう…」という人は
前項『「迷彩塗装」はどうする?』でも書きましたが、塗装で鬼門となるのは「迷彩塗装」です(特にドイツ戦車の場合)。
連合軍の戦車は単色が多く、塗装はそれほど苦労しませんが、ドイツや日本の戦車は時代によっては迷彩塗装を施し、再現するためには高度な塗装技術が求められます。
特にドイツ戦車の迷彩は複雑な模様が多く、再現するには「エアブラシ」を使う人が多いですが、エアブラシ機材は高価なので、初心者にはかなりハードルが高い。
迷彩に拘らなくても「単色」でもいい
でも、まずはドイツ戦車でも無理に迷彩塗装を施そうとせず、車体が「単色」の車輌を作ってみると良いかもしれません。
というのも、史実のドイツ戦車も全車両が迷彩塗装されたわけではありません。
初期は「ジャーマングレー」単色だったり「ダークイエロー」単色だった時期もあります。大戦初期の戦況が有利だったころは「隠れる」必要がないので迷彩が不要でした。
それが劣勢になるにつれて防戦(=隠れる)になったため、迷彩塗装をするようになったのです。
ジャーマングレー単色やダークイエロー単色の車輌を作ってみよう
ありがたいことに、ドイツ戦車の中でも特に人気な「ティーガーI」や「IV号戦車」も生産時期によってはジャーマングレー単色の車体が存在するので、再現してみると良いでしょう。
また、ジャーマングレー車体が存在しないドイツ戦車(例えばパンターやティーガーII)もダークイエロー単色で塗装してみるとソレっぽくなります。
ちなみに塗料の濃淡をいかしてエアブラシに劣らない迷彩や質感を「筆」で再現される方人もいます。極論ではありますが、“腕”さえあれば高価なツールなど不要です。
さらに大戦後期は「はけ」で塗装をしている
実際のドイツ戦車の迷彩塗装ですが、最初は戦車を受領した現地の部隊が「スプレーガン」を使って施していました(後に迷彩塗装は工場で行われるようになります)。
ところが、戦局が悪化する大戦末期では「待ち伏せ」戦術が中心となり、迷彩もより手の込んだものとなります。
スプレーガンを使った現地塗装から、工場で「刷毛(はけ)」による塗装へと変わり、ラインがくっきりした迷彩が施されるようになりました。
そういった背景を鑑みるに、ボカシの効いたエアブラシ塗装による迷彩だけでなく、ラインがクッキリな筆による迷彩塗装も大いにアリといえます。
史実の塗装がブラシなのだから模型の塗装もブラシなわけです。
さて、組み立て、塗装と続き、次に行うのは「ウェザリング」です。
ウェザリングは戦車模型の醍醐味であり、このウェザリングの程度によって完成時のクオリティが大きく変わると言っても過言ではありません。
しかし、それだけにウェザリングに求められる知識・スキルは膨大なもので、単純に良い道具を持ってるから良いウェザリングが出来るというわけではありません。
…が、まずはノウハウ的なものより「こんな道具が使えるよ」という点を紹介します。