静岡のホビーショップで戦車プラモデルを購入したのをきっかけに戦車プラモ(AFV)作りにドハマリして、次から次へとドイツの戦車を中心に作っています。
この記事ではそんな私が初めての戦車プラモのキットを手にした日から、現在まで使用した道具を紹介します。
- アニメやゲームがきっかけで戦車のプラモデルが作りたくなった
- でも、戦車プラモを作るにはどんな道具が必要なのか分からない…
- あわせて道具の使い方や注意点も知っておきたい
といったように、プラモデルに興味があるけど「何をどうすれば良いかわからない…」という人向けに、各種道具についてなるべく詳しく書いてみました。
なお、私は戦車模型を作ってるので戦車模型で使う道具を紹介しますが、ここで紹介する道具の多くは戦車だけでなく、様々なジャンルのプラモデルでも使えます。
道具・アイテムを紹介する前に
戦車のプラモデルを作るための道具・アイテムの紹介をする前に、いくつか「おことわり」を記載します。
全部揃える必要はありません
ここに紹介するアイテムは、当時の私が個人的に必要だと思って購入したものであって、全て必要というわけではありません。
当時、はじめてプラモデル戦車を購入して右も左もわからなかったため、色々買い揃えてしまいましたが、「組み立て」に限定すればニッパー、カッター、接着剤、紙やすりがあれば出来ます。
プラモデル初心者にとって本当に必要なものは、アレコレ考えずに「とりあえずやってみる」です。道具ではなくプラモ作りを楽しむことに時間をかけてください。
不定期的に加筆修正します
この記事を最初に投稿したのは2016年1月6日です。
…が、いくつか戦車模型を作っていくうちに、単に「作る」だけでなく、よりリアリティある作品にするため、少しずつ新しい技法に挑戦しています。
となるとアイテムを追加で入手することもあり、本来の用途とは異なった使い方をする場合もあります。そういった新たな道具や使用方法に出会ったらその都度情報を追加します。
「そんな道具(の使い方)があるんだ」と頭の片隅に入れていただければ幸いです。
当記事の構成について
私が実際に模型をつくる際には大まかに以下の順番で行っています。
- 組み立て
- 塗装
- ウェザリング
そのため、この記事で紹介するツール・アイテムも上記の順番で紹介しています。具体的には以下のような構成となっています。
- プラモデルの「組み立て」で最低限必要なツール
- あると便利なアイテム
- 塗装で使うツール・アイテム
- ウェザリングで使用したツール・アイテム
- その他のツール

詳しい内容は各見出しの項目を参照すればわかりますが、本当の初心者は、まず1の”プラモデルの「組み立て」で最低限必要なツール”を揃えることろから始めてください。
それだけ揃えれば「組み立て」が可能となり、模型製作を楽しむ事ができます。
そして組み立てが終わったら、次の「塗装」や「ウェザリング」に関するアイテムの購入を検討して下さい。
また、この記事で紹介する各種アイテム・ツールは、使用例や注意点もあわせて記載しています。「こんなもの何に使うんだ???」となった時は参考にしてみてください。
なかには「えっ、そんな使い方もあるの!?」というな使い方もありまして、まさに「モノは使いよう」といえるのが模型制作におけるツール・アイテムです。
…さて、前置きが長くなりましたが、早速紹介していきます。
プラモデルの「組み立て」で最低限必要なツール
まずは戦車模型に限らず、様々なジャンルのプラモデルを「組み立てる」のに必要なアイテム・ツールをご紹介していきます。
先にも書きましたが、本当の初心者はまずこの項目で紹介したアイテムだけ揃えれば「組み立て」は大丈夫です。
ニッパー

ランナー(枠)からパーツをパチンと切り離すために使う工具です。
一言にニッパーといえど様々な種類があるので、迷ったらプラモデル(ホビー)用を選べば大丈夫。もっと言えばパーツの隙間に刃が入りやすい「薄刃タイプ」を選ぶと切り離すのが楽です。
上の写真は私が初めての戦車模型キットと一緒に静岡のホビーショップで買ったもの。当時は瞬間接着剤とニッパーだけ買って戦車作りに挑もうとしていました。
初心者の分際でずいぶん無謀なマネをしたものです…。
硬いパーツを切断する時に使うのはNG
パーツの切り離しは基本的にこの「ニッパー」を使いますが、例外として「エッチングパーツ」という薄い金属パーツを切り離す場合は、カッターナイフやデザインナイフを使用します。
エッチングパーツでホビー用のニッパーを使うと刃こぼれしたり、最悪ニッパーが割れるので注意。
また、太いランナーを切断する(最初のうちはあまりないと思います)場合も、ホビー用ではなく、業務用の頑丈なニッパーを使いましょう。
接着剤
パーツ同士を貼り合わせたり取り付けたりするのに必要なアイテムです。
接着方法は、塗った部分のプラスチックを溶かして硬化することで張り合わせたパーツ同士が引っ付くといったもの。
そのため、塗りすぎるとパーツの表面がデコボコになるし、また塗装した場所に接着剤を塗ると塗装がハゲるので注意。
この接着剤もいくつか種類があり、材質や用途に応じて使い分けるので、それぞれ特徴などを解説します。
スチロール樹脂系接着剤

メーカーによって呼び方は様々ですが、「タミヤセメント」や「Mr.セメント」あたりが有名。
「プラモデルの接着剤ならコレでしょ!」ってくらいベーシックで、おそらく大半のモデラーがこれを最初に使っていると思います。
この接着剤は「スチロール樹脂系接着剤」というもので、戦車プラモデルで使われる材質「スチロール樹脂(=ポリエチレン)」を接着するための接着剤です。
つけすぎ厳禁!
先述の通り、プラスチックパーツを溶かすので、つけ過ぎると表面が溶けてザラザラになったり変形するのでつけすぎ厳禁。
接着剤には樹脂が配合されているので、少量でも強固に接着されます。なので「ちょっと少ないかな?」くらいが適量です。
接着剤のキャップには「ブラシ」がついていますが、キャップを開けてそのまま使うとつけ過ぎてしまうので、ビンのフチでブラシを絞ってからパーツにつけます。
「接着」以外の用途も
先述の通り、接着剤はパーツの表面を溶かすので、この「溶かす」という特性を逆に利用して、パーツを溶かしたり表面をザラザラにすることで、
- パーツの上に塗る「パテ」の吸着を良くする
- 実物戦車に見られる装甲板の凹凸を再現する
- 装甲板の溶接痕を再現をする
というディテールアップをするための用途もあります。
これらは少々コツがいりますが、本来の目的とは違った使い方をしてプラモデルをよりリアルにすることが出来ちゃうのです。まさに「モノは使いよう」ですね。
関連記事 「超重戦車 マウス」の気になる部分をディテールアップしてみた
瞬間接着剤

金属パーツを接着するときは「瞬間接着剤」を使います。
「プラモデル=”プラスチック”モデルだから金属なんか出てくるわけねーだろ」。と思うかもしれません。
しかし、キットによっては「ディテールアップパーツ」として、プラスチックでは成形できない極薄のパーツ(=エッチングパーツ)や、金属砲身が付属する場合があります。
また、タミヤの1/48スケールの戦車プラモでは車体シャーシが金属の場合があり、そういった金属パーツを接着するときに使用します。
また、瞬間接着剤はチューブから直接つけるよりも、(焼肉のタレのように)パレットなどに垂らしてチョンチョンとつけるほうが楽。
なお、上の写真の瞬間接着剤は静岡のホビーショップで初めての戦車プラモと一緒に買ったものですが、以降はホームセンターなどで売ってる金属用接着剤(3Mとかアロンアルファ)を使っています。
流しこみ接着剤

通常のプラモ用接着剤にはパーツ同士をしっかり接着するため「樹脂」が含まれており、ドロッとしています。
しかし、流し込みタイプはサラサラの液状で、毛細管現象を利用してパーツの隙間にスーッと浸透していく接着剤です。
上の写真はタミヤセメント<流し込みタイプ>。通常タイプよりも素早く接着出来る「速乾」タイプです。

一方こちらはGSIクレオスのMr.セメントSP。
2017年に発売され、従来より乾燥速度が格段にアップし、より強力に接着されるようになったとのこと。タミヤの流し込みを使い切ってからはこちらを使用。
パーツ同士の隙間に合わせスーッと流れていくので、接着剤を点付けする手間が省けるし、通常の接着剤と違って接着した場所(特にはみ出た時)が荒れにくいなどの利点があります。
大きなパーツ同士を張り合わせる時に重宝する

そういったことから、車体の上下や装甲板、砲塔、フェンダー、ハッチなど、比較的大きいパーツを接着する時に使用しています。
車体の上部と下部を合体させる時は、上の写真のようにテープをきつめに貼って隙間を最小限にして、流し込み接着剤を浸透させることで、もれなくしっかり接着できるのです。
ただ、樹脂が配合された通常の接着剤と比べるとやや接着力が弱いので、小さいパーツなどしっかり接着したい場合は通常のタミヤセメントを選ぶなど、臨機応変な使い方が求められます。
はみ出し注意!
「流し込み」とあるようにパーツの隙間に浸透するのが特徴ですが、逆に言うとパーツの凹凸や隙間にそって流れるので、パーツのモールド部分など、予期せぬ場所に流れていく場合もあるので注意。
特にマスキングテープ周辺で使う時はつけすぎないように。たくさん塗ろうとするとパーツの隙間ではなくテープの隙間へ流れてしまいます(経験談)。
ディテールアップでも使える
通常の接着剤と同じように「パーツを溶かす」という特徴を利用したディテールアップも流し込み接着剤を使用する場合があります。
特に流し込み接着剤は通常の接着剤と比べると塗った場所がザラザラに荒れないので、「パーツは溶かしたいけど、あまり荒らしたくない」という時に選びます。
以下のようなディテールアップを施す時に使いました。
- 戦車の装甲の溶接跡を再現
- 装甲の被弾痕(=バトルダメージ)を再現
リモネン系接着剤

通常の接着剤、流し込み接着剤に続く第3の接着剤です(たぶん)。
柑橘類から抽出される「リモネン」という成分によってプラスチックを溶かし接着するタイプで、柑橘系の香りがするのが特徴。通常の接着剤のニオイが嫌いな人にオススメ。
…ただ、それだけなら「普通の接着剤を選べば良いじゃん」と思うのですが、この接着剤の特徴としては、香り以外にも
- 硬化(乾燥)するまでに時間がかかる
- 硬化すると非常に強固に接着される
- 塗装した上から塗っても塗料が溶けない(但しくっつきかけた状態で動かすと溶ける)
という3つの特徴があります(3つめは要確認)。
連結式履帯を組み立てる時に重宝

乾燥するまでに時間がかかるため、通常パーツの組み立てでは不向きですが、1コマ1コマ接着する「連結式履帯」を組み立てる時に非常に重宝します。
何故かと言うと、「連結式履帯」は90~100個ほどある履帯(履板)を1つ1つ接着するため非常に時間がかかり、接着後は半乾きの履帯をゆっくり曲げて車体(転輪)に巻き付け、「たるみ」などの表現を加えます。
通常の接着剤では硬化が早いため曲げづらくなってしまうのです。なので硬化までに時間のかかるリモネン接着剤が役に立つのです。
あとは、戦車の装甲(均質圧延鋼装甲)の”荒れ”を再現する時にも、このリモネン系接着剤を使って装甲板の表面を溶かしてました。

ちなみにリモネン系にも「通常タイプ」と「流し込みタイプ」があります。
私が使っているのは通常タイプですが、通常タイプですら流し込みタイプに匹敵するくらいサラサラなので、「乾燥に時間がかかる流し込み接着剤」として使えそうです。
ドバッと出るので注意
サラサラな液状の接着剤であるにもかかわらず、キャップについているのは「ブラシ」なので、普通の接着剤の感覚で使うとドバッと出すぎるので注意。
この接着剤に限定して、付属のブラシで直接パーツに塗るのではなく、パレットや塗料皿などに溜めてワンクッション置いて使ったほうが安全かもしれません。
ちなみに私は流し込み接着剤のフタ(=細いブラシ)を流用しています。それでもたまに多く出ることがあります。ノーマルの接着剤以上にブラシよく絞ってやりましょう。
ピンセット

小さいパーツをつまんで取り付けるときに使用するツール。
ピンセットにもいくつかタイプがあり、先端が曲がっているものや、握るとパーツを離すものなど様々ですが、私が最初に使ったのは「つまむとパーツを離す」タイプ。
…が、私はピンセットを使わなくてもパーツの取り付けが出来たので、上の写真のようなごく普通のピンセットを買ったのは、何個か戦車を手掛けてからでした。
しかし、いざこれを使ってみると、戦車のハッチの取っ手や極薄&極小なエッチングパーツなど、小さい&細いパーツを取り付ける時に重宝するということに気付きました(本来の目的です…)。
パーツに対して「指」は大きいので、細かいパーツの位置決めに手間取ることもあり、そういう場合はピンセットに頼るようにしています。
ただ、小さいパーツをつまむときに力の入れ具合を誤るとパーツがぶっ飛んで紛失の原因になります。そういったパーツはまず指を押し付けて、指の腹に乗せてから摘むと吹っ飛びリスクを軽減できます。
カッターナイフ・デザインナイフ
紙を切る「カッターナイフ」や「デザインナイフ」もプラモデルを作るときに重宝します。主に以下のような時に活躍します。
- ランナーからパーツを切り離す
- パーツを切り離したときのランナーの残り(=ゲート)の除去
- パーツに入っているスジ(=パーティングライン)の除去
エッチングパーツや細いパーツを切る時に

通常、ランナー(枠)からパーツを切り離す時は「ニッパー」を使いますが、細く折れやすいパーツはニッパーでは無理な力が加わってパーツが折れる恐れがあります。
そこでニッパーに代わり、カッターナイフ(デザインナイフ)でスパンと切断することで、パーツの切り離しとゲートの処理が一度に行う事ができます。
ただし、慣れないうちは力加減を誤ってパーツごとズドンとやってしまいがちなので要練習。パーツに負荷がかからないよう注意しながら行います。
また、「エッチングパーツ」を切り離す時はニッパーではなくカッターナイフを使います。
パーティングラインやゲートの処理に

また、パーツには工場で製造する際に成形時に出来てしまう”スジ”である「パーティングライン」や、パーツを切り離した際にできる”切り残し”である「ゲート」が残ることがあります。
ゲートもパーティングラインも“実物には無いけど模型にはある余計なもの”で、これらが残っていると作品のクオリティが下がります。
これらを「余計なもの」除去する際にカッターナイフや後述の紙ヤスリを使用します。
カッターナイフとデザインナイフの違い

なお、プラモデルにおける「ナイフ」は普段からお世話になってるカッターナイフだけでなく、「デザインナイフ(クラフトナイフ)」もあります。
デザインナイフは刃がしっかり固定されているため、カッターナイフのようにフニャフニャ”しなる”ことがなく、より安定して、より力を入れやすいという利点があります。
また刃先も様々な形状があるので、用途に応じて使い分けができます。
ペーパー(紙やすり)

パーツの表面を滑らかにしたり、あるいは逆にザラザラにするアイテム。
目(粒子)の粗さによって分けられており、数字が大きくなるほどペーパーの粒子が細かくなります。
私は400番と1,000番をメインで使っていますが、180番、400番、1000番といったように目の粗さ別に3種類ほど用意しておくと良いでしょう。
用途はカッターナイフと同様に、ゲートやパーティングラインの除去が主ですが、目の粗い紙ヤスリを使ってパーツ表面をザラザラにして、接着剤やパテの食いつきを強化するという使い方もあります。
慣れないうちはパーツの整形は紙ヤスリで行うことを推奨。

なお、紙ヤスリはホームセンターなどで入手できます。
上の写真はホームセンターでペーパーと一緒にアルミ板も購入し、両面テープで紙ヤスリを貼り付けた自作ツール。簡単に作れるのでオススメ。
ここまでのまとめ
- ニッパー
- 接着剤
- ピンセット
- カッターナイフ
- 紙やすり
例外はあれど、戦車のプラモデルはたったこれだけの道具・アイテムで組み立ることが出来ます。多い? 少ない?
「ピンセットはいらん」って人もいるかもしれないし、「整形は紙ヤスリでやる」という人もいるかもしれません。そうなると道具はさらに絞れます。
もしもカッターナイフやピンセットが必要となったら、その都度追加で入手すれば良いのです。どっちも手軽に入手できますからね。
まずはここまで紹介した道具をそろえて、記念すべき最初の戦車プラモの組み立てを楽しんで下さい。
「組み立て」はどうすればいい?
この記事は「戦車プラモの作り方」ではなく「戦車プラモ製作で使う道具」の紹介なので、組み立てについては割愛します。
…とはいえ、肝心の「組み立て」がチンプンカンプンではせっかく揃えた道具も宝の持ち腐れとなります。
かく言う私も、プラモ製作の手順など一切知らなかった第1作目はいきなり塗装したりとムチャクチャでした。なので、道具だけでなく予備知識もある程度は必要です。

…で、その予備知識はどう身に着けるかというと、私の場合は「書籍」がとても役立ちました。
正直な話、道具より先に本を買って予習した方が良かったと少し後悔してます。そうすりゃ道具も迷わなかった…。
以下、私が購入したプラモ本のうち、特にお世話になったものをピックアップします。書籍の内容についてはリンク先で紹介しているので参考にして下さい。
いずれも初心者目線の内容なので、1冊読んでおくだけでもかなり知識が身につきます。
…さて、ここまでは「戦車プラモデルを作るのに最低限必要な道具」について紹介しました。
「組み立て」に限定すると以上の道具で事足りますが、他にも持っていると作業がはかどったり、作品のクオリティアップに寄与するアイテムもあります。
次のページではそういった「あると便利なアイテム」についてご紹介します。引き続きお付き合い下さいませ。