迷彩塗装が下手なので「エアブラシの使い方」を読んで勉強する

仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方 ツール・書籍
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趣味としていくつか戦車の模型を作ってきましたが、組み立てに続いて重要な工程である、迷彩塗装が一向に上達しないのが悩みです。

私は戦車の迷彩塗装はエアブラシを使って行いますが、使い方が悪いみたいでエアブラシ塗装のメリットを活かしきれておらず、迷彩のクオリティに「うーん…」となっています。

なので、モデラーたちの間で「師匠」と呼ばれる仲田裕之氏の書籍『エアブラシの使い方』を読んで、エアブラシの使い方や迷彩塗装のコツを学ぶことにしました。

さて本題に入りますが、この記事では以下の2点についてまとめています。

  • 著者である仲田裕之氏とは
  • 『仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方』の内容および読んだ感想
  • 上記書籍を参考に、実際に戦車模型をエアブラシで迷彩塗装した結果

私のように「エアブラシを使った迷彩塗装が上手く行かない…」という人は是非参考にしてみてください。

この「エアブラシの使い方」は、以前紹介した『戦車模型製作の教科書 ドイツ戦編』に続き、2冊目となる戦車模型に関する書籍となります。

今回は「エアブラシの使い方」というタイトル通り、プラモデルの組み立てについてではなく、エアブラシ機材の基本的な取り扱い方法から、戦車プラモにおけエアブラシ塗装である基本塗装や迷彩塗装について解説する本です。

読みながらもう一度コンプレッサーやハンドピースの使い方からおさらいしようと思って購入しました。

まずは本書の内容に触れる前に、著者である”師匠”こと仲田裕之氏についてご紹介します。

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師匠こと仲田裕之 氏はどんな人?

まずはじめに、「エアブラシの使い方」の著者である仲田裕之氏がどのような人物なのか、本書の紹介を引用して簡単に紹介します。

仲田裕之

1957年9月、東京生まれ。小学生の頃に、走る戦車モデルに初めて触れ、中学時代までタミヤのMMシリーズ創成期を体験するが中断。

30歳頃、WLシリーズの「大和」に出会い、再びプラモデル作りに熱中するいわゆる「出戻り」。そのWLシリーズに始まって、1/72ミニスケールAFVは、ほとんど作り倒した。

33歳の時に模型コンテストで賞をとって以来、1/35戦車模型にハマり、模型月刊誌の作例を手掛ける。

平成10年7月、埼玉県にて模型店「オリオンモデルズ」を創業。現在も都内某所で営業を続けながら、「仲田模型道場」を店内に開設し、模型誌作例を手掛けるかたわら、模型作りのノウハウをユーザーに直接手ほどきしている。

via : 仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方

私が初めて購入した戦車プラモ「4号対空戦車 ヴィルベルヴィント」をどう作ればいいか、途方に暮れていた時に参考にした動画の1つに「プラモ作ろう」シリーズがあります。

各プロモデラーさんが各々の技法を凝らしてハイクオリティな作品を手掛けるという内容で、モデラー界の重鎮・土居雅博氏や、マエストロこと越智信義氏、ジオラマ界の父こと金子辰也氏など、有名なモデラーさんが出演していました。

仲田裕之氏はこの番組にてドイツの4号戦車D型(トライスター)や、アメリカのシャーマン・ファイアフライVc(ドラゴン)を製作されました。

特に作業場である、ご自身が経営する模型店「オリオンモデルズ」にて、実物戦車の履帯を手にして物凄く楽しそうに履帯について語ってる姿が印象的でした(曰く履帯フェチとのこと)。

大人のプラモ道 仲田裕之
アクトオンTV 「大人のプラモ道」で解説する仲田裕之氏

また、アクトオンTVの番組「大人のプラモ道」では、タミヤの「タイガーI型 初期生産型」を使用した戦車模型の作り方について、非常に詳しく解説して下さっています。

ベテランモデラーとしての作品のクオリティの高さは勿論、ただ難易度の高い技法を披露するだけでなく、初心者にも優しい「入門者向け」の解説をよくされています。さすが「師匠」と呼ばれるだけあります。

この「大人のプラモ道」の動画も、私のような初心者にとっては模型作りの参考となる大変ありがたい存在で、動画内で紹介された技法のいくつかは実際に模型作りで役に立っていました。

では、そんな師匠が執筆した「エアブラシの使い方」について詳しく見ていこうと思います。

「仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方」の内容

著者の仲田裕之氏がどんな人物なのか大体わかったところで、「仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方」についてご紹介します。

この本ではタミヤの35分の1スケールAFVモデル「タイガーI型 後期生産型」を使用して解説しています。師匠ホントにティーガー好きだなぁ(笑)。

題材は「タイガー(ティーガー)」ですが、掲載されている内容の多くはドイツ戦車はもちろん、それ以外の戦車でもある程度応用が利く内容となっています。まあ、「エアブラシの使い方」ですからね。

第1章 組み立て編は前著のおさらい

「エアブラシの使い方」とあるので、最初からエアブラシの使い方の解説かと思いきや、前著の「戦車模型の作り方」 で紹介した基本的な整形作業の中で特に重要な部分をもう一度おさらいするところからスタート。

おおまかな内容は以下のとおり。

  1. パーツの切り離し、整形
  2. 車体の組み立て
  3. ツィンメリット・コーティング
  4. 履帯の組み立て
仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方

「エアブラシの使い方」なので、エアブラシに関する内容だけかと思いきや、パーツの切り離しや砲身の整形、連結式履帯の組み立て、ツィメリット・コーティングなども解説しており、迷える初心者を救うためには十分すぎる内容です。

これで著書名が「エアブラシの使い方」だから驚きでです。「戦車模型のつくりかた」と言って良いくらい、戦車プラモ作成における幅広い解説がなされているので良い意味でタイトル詐欺です(笑)

第2章 塗装編でエアブラシの使い方を写真とテキストで解説

第2章では模型の組み立てが終わり、いよいよ塗装をするぞ!というところからスタート。「エアブラシの使い方」の本題に入るわけです。

本書で使用しているエアブラシ機材は、リニアコンプレッサーL7 プラチナセット(GSIクレオス)を使用しています。

GSIクレオスのリニアコンプレッサーシリーズは、多くのモデラーに愛用されており、私もリニアコンプレッサーL5のエアブラシセットを使用しています。

ちなみに「エアブラシ」は技法のことでツールの名前ではないとのこと。なので模型店で「エアブラシください!」と言わないようにしましょう(笑) …とのこと。

仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方2

なお本書の中身ですが、このように写真とテキストで解説されております。ところどころ仲田裕之氏のジョークやユーモアが入っているところも注目。

「塗装編」は下記のような構成になっております。

  1. エアブラシの使い方
  2. テスト塗装をしてみよう
  3. エアブラシ&塗装の流れ
  4. 基本塗装
  5. 迷彩塗装
  6. 仕上げ塗装1(履帯の塗装 / 細部の塗装)
  7. 仕上げ塗装2(ウェザリング / スミ入れ / ドライブラシなど)
  8. エアブラシ塗装が終わったら
  9. 完成

さすが「エアブラシの使い方」という題名だけに、単に”プラモデルをキレイにエアブラシ塗装するコツ”だけではなく、機材の基本的な操作方法から、塗料の吹き付け方、使用後の掃除なども解説。

また、塗装後の作業(デカール貼りやウェザリング)についても解説しており、「エアブラシの使い方」とありますが、結局のところエアブラシのみならず、戦車模型作り全般について解説されています。

そのため、私のようなエアブラシ初心者はもちろん、戦車プラモそのものの初心者にとっても、エアブラシだけでなく、戦車模型を作る上での大まかな流れやポイント・注意点がわかるので持って損は無い一冊です。

「エアブラシの使い方」とあるのに、ツィメリット・コーティングや砲身の整形、連結式履帯の組み立て方までも解説しちゃうんです、参考にならないわけがない(笑)

本書を始めとする仲田裕之氏の「プラモデル道場シリーズ」は、模型づくり全体を俯瞰した内容なのが最大の特徴で、ここが他の模型書籍との差別化ポイントだと思います。

2つのティーガーIを使って2種類の迷彩パターンを解説

先述の通り、エアブラシ塗装の題材はタミヤの「タイガーI型 後期生産型」を使用します。

元となったドイツの重戦車「ティーガーI」は、第二次世界大戦において最も有名な戦車の一つであり、様々な戦場に投入されていました。

それだけに様々なメーカーがティーガーIのキットを製造していますが、特にタミヤのタイガー1型シリーズは、AFVモデルの草分け的存在と言われるほどで、リアルながら非常に組み立てやすく、初心者から上級者まで満足出来る傑作キットです。

また、タミヤのティーガーIは説明書に従って少し手を加えるだけで、後期型だけでなく最後期型も作れるようになっています。

そのため、「エアブラシの使い方」では、後期型と最後期型の2輌のティーガーIを用意し、迷彩もキットの箱に描かれた2種類の迷彩パターンを再現しています。

なお、「エアブラシ持ってないけどティーガーI作りたい」という人は、迷彩塗装が施される以前のティーガーIを再現した「タイガーI型 初期生産型」をオススメします。

仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方3

左側が後期型。フランスのノルマンディー地方に配備されたドイツ戦車などに見られる、細いラインの迷彩パターン(仲田裕之氏いわくヘロヘロ迷彩)。

そして左側が最後期型でレッドブラウンのみを使う2色迷彩。両者の仕様(後期・最後期)の違いについては本書でも解説されています。

いずれの迷彩塗装にせよポイントは実際の戦車塗装を意識して、薄く・細く吹き付けると本書では解説しています。

そのほか塗料の薄め具合、エアブラシ塗装時の塗料の放出量や吹き付ける距離なども言及されていますが、これらは加減次第で変化するものなので、あくまで目安として参考にして欲しいとのこと。

本書の「最後期型」の砲身について

なお、本書で題材となっている2つのタイガーI型のうち、最後期型を見てみると車体は塗装されているのに、砲身部分だけ黒っぽくなっているのがわかります。

これは塗り忘れというわけではなく、大戦末期のドイツ戦車に見られる特徴の一つを再現したものです。

大戦末期のドイツは人も物資も時間も何もかもが足りない状態なので、パーツは寄せ集め、生産は簡略化、完成したら即戦場! …というくらいひっ迫しています。

そのため終戦間際になると塗装すらせず、錆止めのプライマーだけという車輌もあります。

そういった物資の節約や簡略化といったものは、車体だけでなく砲身にも当てはまり、迷彩塗装が施されていない砲身は黒っぽい色をしていたようです。

そのため、組わせによっては車体は迷彩塗装、交換用の砲身は無塗装というものもあります。

「エアブラシの使い方」のティーガーI 最後期型のモデルとなった車輌
「エアブラシの使い方」のティーガーI 最後期型のモデルとなった車輌 via : Modellismo Più

ここで話を本書に戻しますが、この”最後期型”を再現するべく、砲身は迷彩塗装をしておらず、グレーっぽい色になってますが、この砲身については本書では解説されていませんでした。

気になったので、「エアブラシの使い方」を書いた仲田師匠本人に質問してみたところ、黒っぽい砲身はジャーマングレー、それもMr.クレオスのもので良いという旨の返答をいただきました。

後から知りましたが、この砲身に塗られたグレーは耐熱塗料を再現したものです。

というわけで、今後ドイツの末期戦車で砲身を無塗装にする場合はこれを参考にしようと思います。

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「エアブラシの使い方」を参考にティーガーIを迷彩塗装した結果

先述の通り、「エアブラシの使い方」ではエアブラシを使った迷彩塗装だけでなく、塗装前の組み立てについても幅広く解説なされています。

そのため、今まで「対空戦車」ばかりで純粋な戦車を作ったのが初めて(当時)だった私にとって、ティーガーIを制作する過程で幅広く参考になりました。

その中でも特に参考になったのは、やはりエアブラシを使った迷彩塗装でした。

ティーガーI 迷彩塗装 レッドブラウン4

上の写真は「エアブラシの使い方」を参考に迷彩塗装にチャレンジしてみた結果です。

さすがに仲田裕之氏の作品には及びませんが、本書で解説するような「ヘロヘロ迷彩」仕様のティーガーIが再現できました。

言うまでもなく私のエアブラシ塗装の中で最高傑作です。

↑ティーガーIの迷彩塗装についての記事はこちら。迷彩塗装がメインですが、その後の履帯の塗装やチッピングについても触れています。

まとめ 戦車模型初心者にオススメの一冊です

せっかく模型を作るのだから、カッコ良い塗装をしたいというのは誰もが思うハズ。そのためにはエアブラシの使い方はしっかり把握しておくべきです。

そして何度も練習してエアブラシ塗装のコツを掴む必要がありますが、本書では基礎を中心に解説しているので、それを参考にしながらやっていけばきっと上手く出来るようになります。

また、「エアブラシの使い方」とありますが、組み立てや塗装後のウェザリングなども充実しているので、何だかんだ言って組み立てから塗装、そして完成までオールマイティーにカバーできる一冊だと思います。

そういった理由で、「エアブラシの使い方」はプラモデル初心者が持っておいて損は無い本だと言えるでしょう。

↑今回購入した「仲田師匠のプラモデル道場 エアブラシの使い方」。このシリーズは他に「戦車模型の作り方」、「飛行機模型の作り方」、「艦船模型の作り方」、「戦車ダイオラマの作り方」があります。

↑本書で題材として使用されたタミヤの「タイガーI型 後期生産型」のキット。第二次大戦中で最も有名な戦車の1つであり、タミヤのMM(ミリタリーミニチュア)シリーズの草分け的存在とも言えるキット。

↑本書で仲田師匠が使用したGSIクレオスの「リニアコンプレッサーL7/プラチナブラシセット」。コンプレッサーやハンドピースだけでなく、レギュレーターや圧力計などがセット。高価だけどあらゆる模型塗料に幅広く対応出来る万能ツール。

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