アミュージングホビーの「E-100 対空戦車」の迷彩塗装がようやく終わりました。
今回やった迷彩塗装は従来のドイツ戦車で見られるようなウネウネした模様ではなく、「ストライプ迷彩」と呼ばれている迷彩です。
本来ストライプ迷彩はティーガー2のポルシェ砲塔や、パンター(およびヤークトパンター)などで見かける規則正しいシマシマ模様の迷彩ですが、今回のE-100 対空戦車の塗装例ではそのストライプ迷彩を更に発展させたような模様になっております。
…正直これを「ストライプ迷彩」と呼んでいいのかは私にはわかりませんが、便宜上そう呼ばせて頂いております。
なお、ストライプ迷彩については一つ前の記事でも触れましたので、そちらも参考にどうぞ。
さて、今回はそんなストライプ迷彩の2色目であるダークイエローの塗装をやっていきます。
今までの「E-100 対空戦車」の製作日記は以下より読むことができます。
前の記事 「E-100 対空戦車」でストライプ迷彩の塗装に挑戦してみた。レッドブラウン編
最初から 【超重戦車×8.8cm高射砲】E-100対空戦車つくってドイツ本土を防衛する
記事一覧 E-100 対空戦車
ここからがストライプ迷彩の本番!
1色目であるレッドブラウンの塗装でもそこそこ苦労はしましたが、こちらはまだ塗る範囲が広いし、多少マスキングテープの隙間から塗料がハミ出てもその後のダークイエローで補修が出来るので割りと楽観的でした。
しかし、次のダークイエローはレッドブラウンよりも描くラインの幅が狭く、ラインの内側ならまだしも外側には何もないので、はみ出してしまうと補修するのが地味に大変でした。
そういったこともあり、最初のレッドブラウン塗装の以上にマスキングテープの貼り方、塗料の濃度や塗り方などがシビアになっています。
…で、今回のストライプ迷彩を描く過程において、私が学んだことは
- マスキングテープは細い方が使いやすい(幅3ミリ以下)
- マスキングは隙間ができないようにピッチリ貼り付ける
- 塗料は薄めのものを何度か重ねて塗っていく
- 塗料の水気はなるべく抑える
- 筆は毛先が長くてコシがあるものが使いやすかった
- パーツの表面を優しく撫でるように塗る
これらの点に注意するとハミ出しや筆ムラによるデコボコを抑えられたりしました。
ストライプ迷彩やそれに準ずるものを描こうとしている方は、喪男の意見として頭の片隅にでも入れてやってくださいまし。
先述の通り、塗装では毛先が長くコシのあるタイプの筆(こういう筆は何と呼べば良いのかな?)を使いました。
細い線を描く関係で、フィギュア塗装などで使う極細の「面相筆」を使うイメージがありますが、実際に面相筆でやったところ、面相筆では逆に細すぎる(小さすぎる)ため、1度にちょびっとしか塗れませんでした。
対して、写真のような細長い筆は塗料を多く含んでくれるし、筆先をパーツにベタッと付けなくても、触れる程度で色が乗ってくれます。あとはマスキングのラインに沿って線を描くだけ。
ちなみに筆自体は特別高級なものではなく、300円程度の安モンです。他にも平筆とか色々セットになってたやつで、私がプラモ始めた当初に買ってしばらく放置してたものでした。
ちなみに、レッドブラウンの塗装が終わったE-100 対空戦車はこんな感じになっています。
しっかりマスキングして、濃すぎない塗料で、なおかつ水気を抑えて、優しく塗ってやれば、私のようなストライプ迷彩初心者でもある程度よさげな塗装が可能だということがわかりました。
…失敗するの怖いからこれで塗装完了ってことにしたい。
ダークイエローを塗っていきます
ではストライプ迷彩2色目、ダークイエロー塗装を行っていきます。
車体側面はわりと楽
まずは平らな場所が多い車体の側面から塗装をしていきます。
本来塗装というものは、色の濃度や塗装の練習も兼ねて目立たない場所から始めるのですが、今回に至っては車体の側面が練習場所です。平らなのでマスキングも塗装もかなり楽です。
ただ、1色目のレッドブラウンの時と同じように、しっかりと車体にマスキングテープを貼り付けます。ここが甘いと隙間からジワッと塗料が浸透してハミ出てしまいます。
また、上の写真を見てわかるように、レッドブラウンの時にやらかした部分を隠すようにダークイエローを上から重ねます。
レッドブラウンは補修が出来るのでそこまで神経質になる必要はありませんでしたが、ダークイエローの場合ハミ出したら溶剤含んだ筆やティッシュで補修をしないといけません。
ついでにハミ出しの有無を問わず、マスキングテープはツライチではなくレッドブラウンのラインが0.5ミリほど見えるように貼りました。境界から車体色(オリーブグリーン)が見えないようにね。
また、塗るときは部分的にベタベタ塗るのではなく、細い線をスゥーっと何本も描くように塗ってやりました。筆ムラをなるべく抑えたかったのです。
で、塗料して数分後くらいにマスキングテープを剥がします。
本来こういうのは塗装が乾いてから剥がすべきですが、今回の場合はテープをはがした後にハミ出た部分を補修する場合もあるので、半乾きの状態で剥がしました。
…で、ハミ出た部分は先述の通り、アクリル溶剤を含ませた筆で塗料を溶かしつつ、ティッシュで優しく拭き取ります。
…あとはマスキングテープ、塗装、ハミ出たら補修の繰り返しです。
描く「線」そのものは直線ですが、上の写真のようにちょびっと角度をつけて三角形状にしてやっても面白いです。
そんな感じで車体左側の2つができました。…ちょっと塗料が濃かったせいでベタ塗り感があるので、実際はもっと薄くしたものを何度か重ねて塗った方が良いです。
また、レッドブラウンの時と同じように、描くラインは車体と砲塔で繋がっているように見せるのがポイントです。
なので砲塔と車体はくっつけた状態でラインの長さや太さを決めました。
車体や砲塔の側面はまっ平らな部分が多いのでまだまだ楽な方ではあります。ただ目立つ部分なので塗るときは油断しないように…。
一方で、こういったカクンと線が折れる部分や車体にあるモールドをまたぐ部分もあるので、マスキングはより一層丁寧にする必要があります。
最初のうちは6ミリ幅のマスキングテープをそのまま使っていましたが、カクカクになる場所を塗ると6ミリですら太く感じるので、縦にカットして2~3ミリ幅で使うようになりました。
で、マスキングテープを剥がすとこんな感じ。
遠くから見るとわりと良さげな感じなのですが、近くから見ると表面がデコボコしています。いわゆる筆ムラです。
OVM(車載工具)とかを塗装する時のような”本来の”アクリル塗料の濃度では、今回のようなストライプ迷彩塗装では濃すぎるようです。
もう1滴ほど溶剤を入れて薄くして、ほんの少しだけ透ける程度の塗料を2~3回重ね塗りした方が表面がキレイになります。
塗料が濃すぎると上の写真のように筆ムラでイビツになりますが、薄いと下の車体色が透けて「大戦末期のドイツ戦車特有の粗悪な塗料を使ってる感」があってそれはそれで味が出ます。
…ただ、溶剤を多く入れると塗料の流動性が増すので、テープの隙間からジワッとはみ出る危険性も増えます。筆に取った塗料の水気は少なめに。
車体正面もまま楽
続いては車体の側面から正面にかけて続く長い1本のラインの縁を塗装します。
スタートは車体の側面からだったので、今までと同じ方法でやっていきました。
ただ、車体の中央に行けば行くほど模様はカクカクだしペリスコープやハッチといったモールドがわんさかあるので、塗装だけでなくマスキングテープの貼り付けにも神経を使います。
ボッシュライトの下をくぐるようにマスキングをするの図。マスキングの位置調整が難しい…。
また、道中には上の写真のように至るところに溶接のモールドがあり、こういった段差でマスキングテープの隙間が発生しやすくなります。平ぺったいヘラなどをつかって隙間を埋めます。
また、こういったヘコんだ部分は「塗る」というよりも上からトントンと筆で叩くようにして塗料を乗せた方がしっかり色がつきますし、ジワッと変なところに塗料が流れる危険も少なかったです。
というわけで、車体の側面と正面(あとは砲塔側面の一部)だけを塗ったE-100 対空戦車はこんな感じ。今のところ大きな事故もなく平常運転です。何も起きないのが逆に怖いくらい。
車体後部は塗りづらかった
次に車体の後ろの方を塗装していきますが、平らな車体の側面と違ってこちらは鬼門でした。
車体の後ろの方はエンジンデッキがあり、ラジエーターだのルーバー、とにかくデコボコなのでテープ貼るのにも一苦労。完全に私を潰しにかかって来ています。
作業中の写真を忘れてしまいましたがこちらは車体の後部。エンジンデッキとかが置いてある場所です。
エンジンを冷却するラジエーターは段々になっているし、その上にはエッチングパーツが貼り付けられています。塗装時に網目を埋めてしまわないように注意するのはもちろん、テープと一緒に塗装まで剥がれないように注意。
…よくみるとエッチングパーツのあちこちで塗装がハゲてます(泣)
こちらは車体後部のパネル。ストライプ迷彩における直線はもとより、普通の迷彩模様を描くのにも手こずるレベルでデコボコです。
こういうところは車体の凹凸に応じてマスキングテープを小さくカットし、チマチマ貼り付けていくしかありません。小さいし入り組んでいるのでテープの位置決めに神経を使います。
砲塔は地獄
正直な話、E-100 対空戦車(もといE-100)の車体は比較的ノッペリとした平らな形をしているので、まだ楽な方でした。
ただ、これが砲塔となると話は別。特に砲塔の上面はキューポラだのベンチレーターだの付いているし、途中で段差になっている場所もあるしでもう大変。
砲塔側面はまだ楽
砲塔も側面は車体と同じように平らなので楽でした。
もちろん砲塔のラインは車体と繋がって1本の線になるようにします。
上の写真のように突起をまたぐ場合もありますが、こういうところは無理に1本のテープを貼ろうとせず、何本かにテープを分けて貼った方が隙間が出ません。
そして車体のときと同じようにテープ貼る、ダークイエロー塗る、テープ剥がす、はみ出たら補修する…といった作業を繰り返します。
冒頭でダークイエローはハミ出たら補修が厄介と書きましたが、ハミ出たのが内側だったらレッドブラウンをもう一度塗ることでリカバリーができます。
…上の写真をよく見るとところどころハミ出したり、逆に黄とブラウンの隙間から緑が見えちゃったりしてます。あとでコッソリ修正しておきます。フォトショで。
個人的に一番キレイに塗れたと思うラインがこちら。
筆ムラもなく色も濃すぎずハミ出しも(上の方を除いて)ないという、三拍子そろったライン。こういうのを常に描けたらいいのにと思います。
問題は砲塔上面
問題は砲塔の上面。何なんだこのデコボコは! やり辛いったらありゃしない!!
…見ての通り砲塔上面はベンチレーターやら溶接跡やら装填手・砲手のハッチやらでデコボコなのでそれはもうマスキングが大変。
こういったデコボコは1本のマスキングテープでは対処できないので、短くカットしたものを何枚か貼り付けて隙間を埋め、尚且つ線が曲がらないように微調整を繰り返しました。
デカール貼ったあとのポジション調整を数倍しんどくしたような作業です。
ベンチレーターをまたいだその先には溶接跡の段差、砲塔上面の段差、ハッチ、そしてまた溶接跡の段差といったように縦にカクカクしています。
E-100を製造するアドラー製作所のエンジニアたちも「塗装が大変だからハッチもベンチレーターも無くすべきだ!」とご立腹の様子。
キューポラは車長が周囲の様子を安全にうかがうためにある戦車に欠かせないものですが、塗装するとなればこのキューポラも立派な障害です。
今までの段差と同じように、2ミリくらいに細くしたマスキングテープを分割して隙間をなくして貼りつけ、筆先の水分を絞り、スゥーっと優しく塗ってやりました。
こちらは砲身の防盾です。
段差だらけの地獄砲塔に比べたらこちらはただの「箱」なのでものすごく塗装が楽でした。…はみ出しましたけど。
こちらは砲身。
塗装例では斜めのシマシマ模様でしたが私は縦縞にしました。
なんとかストライプ迷彩が完成
そんな具合に砲塔や車体の後ろらへんのデコボコに苦しめられながらも何とかストライプ迷彩の塗装が終わりました。
正直この迷彩模様にどれだけカムフラージュ交換があるのかわかりません(そもそもこんなカオスな迷彩模様が存在するのかどうかすら怪しい)。でも、塗装例にあったのでチャレンジしてみた次第です。
週末にしか出来ないエアブラシ塗装と違ってこっちは筆塗りだから仕事がある平日でも出来るだろうとタカを括っていたらエアブラシの倍時間がかかりました。どういうことなの…。
それもこれもみーんな、塗装例にムチャクチャな迷彩を掲載するアミュージングホビーが悪いんだっ!
塗装が終わったE-100 対空戦車はこんな感じ
ムチャクチャ苦労はしましたが、その苦労に見合った成果が出てくれました。上の塗装例と見比べてみると大体合ってる。
…ただ、塗装例の上面と側面での模様の位置に食い違いが何箇所かあったので、そういった場所はオリジナルで描きました。
左側面はこんな感じ。
冊子の塗装例では転輪にも迷彩塗装が施されていましたが、E-100 対空戦車がデビュー(するであろう)時代になると塗装は現地の兵士ではなく工場で施されます。
で、転輪は回転するため迷彩模様を描くと逆に目立つという理由で転輪に迷彩塗装はされませんでした。このE-100 対空戦車もそれに倣って転輪は迷彩塗装ナシ。
そして反対側。真上から見てみると蛇のウロコみたいな模様のように見えますが、こうやって横から見てみると、パンターなどのストライプ迷彩のように斜めのシマシマ模様にも見えます。
そして車体後部。やっぱりここだけは難しかった…。
車体の正面はこんな感じ。若干砲塔正面が寂しかったので、塗装例には無かったラインを独自で追加してみました。
ということで、なんとかストライプ迷彩が完成し、ようやく次のステップへ進めます。
アミュージングホビーのE-100 対空戦車を買ったのが昨年の10月上旬なので、けっきょくこやつも4ヶ月以上かけても完成しないという超鈍足っぷり。
…いいもん。じっくり作るから。
ということで次回はE-100 対空戦車にデカールを貼ったりOVMを取り付けます。OVMはちょっとだけこだわってみました。
アミュージングホビー 1/35 ドイツ軍 E-100超重戦車 クルップ砲塔型 AMH35A015