ドラゴンのキングタイガー(ヘンシェル砲塔)をの製作を開始します。
第1回目は転輪やサスペンション、履帯といった車体下部の組み立てからスタートします。
製作するキングタイガーのキットの内容や特徴および今までの製作日記については、以下から読むことが出来ます。合わせてご覧下さい。
転輪の組み立て
もはや定型句ですが、戦車プラモの組み立ては足回りから始まります(一部除く)。そのため、転輪やサスペンションといった、やたら数の多いパーツから取り掛かることとなります。
起動輪や遊動輪は他の戦車と同じで2個ずつですが、サスペンションや転輪は両側で18個とかなりの数なので、組み立てはともかく整形が大変です。
まぁでも納期はありませんので、じっくりやっていくことにします。
起動輪と遊動輪
まずは取っ掛かりやすい起動輪と遊動輪から作りました。
これらはパーツ内側にある凹凸に合わせ、両側の歯(起動輪)やスポーク(遊動輪)がズレないように注意して貼り付けるだけ。楽。
大きさの目安として同スケールの兵士を横に置いてみましたが、起動輪だけ見てもかなり大きいです。
某・戦車が出るアニメでは、女の子がキングタイガーの転輪を転がすシーンがありますが、直径800mmもの鉄の塊を軽々動かすのはさすが全国トップの名門校だな~と、観ていて思いました。
走行転輪の組み立て
問題はここからである。
オーバーラップ式(千鳥式)の宿命でもある圧倒的な転輪の数。奥の転輪が8枚、手前に来る転輪が10枚の合計18個の転輪を用意せねばならん。
しかも1つの転輪は2つのパーツを張り合わせなければならず。オマケに転輪には外周にグルッとパーティングラインが入っているので整形も必要。
私だけでなく、多くの戦車モデラーが愚痴り、嘆き、そしてほっぽり出してアニメを観始める原因となるのが、この転輪なのである。
それでも、転輪の無いキンタはモジャモジャのない秋山殿と同じで魅力が薄くなるので、ブツクサ言いながらも組み立てる。
まずはゲートやパーティングラインの処理を後回しにして転輪だけを作る。処理は後回しだが、処理が楽になるように転輪両側のゲートの位置をそろえて接着しています。
なお、転輪は奥の転輪が8個、手前が10個必要ですが、上の写真では数を間違えて奥10・手前8となってます。疲れてるんですねきっと。
…なので慌てて接着した場所にエナメル溶剤流し込んで、強引に引っ剥がしてサルベージ。パーツ破損しなくてよかった…。
先述の通り、ゲートの位置をそろえて接着しています。こうすることでゲートをヤスリがけする際に1度で両側を処理できるわけです。
今まではゲートやパーティングラインを処理してから接着してましたが、アホな私もさすがに非効率的だとわかり、接着してからまとめて処理するようになったのです。
時代は作業効率化と生産性向上です。戦車1つ完成させるのに半年かかる私が言うのだから間違いない。
転輪を整形するためにツールを自作してみた
ここから転輪のゲートやパーティングラインといったものを処理していきます。
今までデザインナイフで処理してましたが、転輪がくっついた状態となるとナイフでの処理がやりづらいので、ヤスリでやっていくことにします。
ということで、転輪の処理用にちょっとした小道具を作ってみました。
じゃんじゃじゃーん。
ホームセンターで売ってたアルミ板(0.5mm)に両面テープで紙ヤスリを貼り付けた簡易ツールです。先人モデラーさんの動画を参考に作ってみました。
こいつで転輪の外周を擦っていけばゲートもラインもキレイに処理できて、なおかつ左右のパーツで処理モレが出ないというスグレモノ。
また、片側だけでなく両面に貼り付ければ最初は400番、仕上げは1000番といったスイッチも素早く出来ます。
紙ヤスリはあらかじめアルミ板のサイズにカットして、粗さ別に保管しておけば古くなったらペラッと剥がしてすぐ交換出来るし、従来通りの使用も出来るという神ツール。
ただ、実際に使ってみると、アルミ板は0.5mmは薄すぎてフニャフニャなので、厚さは1ミリぐらいのものを選んだ方が良さそうです。
足回りの組み立て
転輪が終わったら次は転輪を取り付けるため(ただし仮組み)に、サスペンションや最終減速機カバーなどを車体に取り付けていきます。
車体前面下部のコーティング板とアイプレートの取り付け
車体に「起動輪」を取り付けるためには、その基部となる「最終減速機カバー」を取り付けなければなりません。しかし、その最終減速機カバーを取り付けるためには、その基部となる「アイプレート」のパーツを取り付ける必要があります。
ところが、アイプレートを先に取り付けてしまうと、車体前面下部のツィンメリットコーティングのモールドが入ったパーツが付けられなくなります。
………という、”わらしべイベント”のような回りくどい事情で、コーティングのモールドが入った平ぺったいパーツをまず取り付けます。
本当に平ぺったいパーツでダボ穴とかも無いので、しっかり接着するためパーツ・車体下部の両側を180番のペーパーでザラザラにしておきました。
その後、アイプレート、最終減速機カバーといった順番で車体下部に取り付けていきます。
サスペンションの取り付け
転輪ほどではありませんが、数が多いのでしんどいことに変わりないトーションバーサスペンション。
こやつにも当然のようにパーティングラインが入っています。履帯や転輪をつけるとほぼ見えなくなりますが、一応念の為処理しておきました。
なおサスペンションはタミヤだと「この位置で固定するんやで★☆」と、ガイド的なものがあって取り付けには困りませんが、ドラゴンは初心者だろうと微塵の容赦もせずプラプラ動きます。
位置合わせに少しだけ神経を使いますが、逆に言うとそのおかげで地形に順応した足回りを再現できたり、「乾燥重量」や「戦闘重量」を再現できるなど、足回りの再現の幅が広がります。
なので私はあえてサスペンションを上向きに固定して、人や砲弾、燃料などを満載にしてズッシリした「戦闘重量」を再現しました。
また上の写真を見て分かるように、ティーガー(キングタイガー)のサスペンションは車体底部を横断する構造のため、左右でサスペンションアームの向きが異なる点にも注目。
あと、サスペンションの間隔が狭いため、普通に横一列に転輪を取り付けようとすると互いに干渉します。そのため、転輪の位置を互い違いに挟み込むように取り付ける「オーバーラップ式」が採用されました。
このオーバーラップ式は、転輪による車体側面の防御や、履帯にかかる荷重の分散といった効果がある反面、整備が大変という一長一短な構造です。
転輪の仮組みと軸穴の拡大
サスペンションを取り付けたので、ここで一度、転輪一式を仮組みしてみました。
今回も履帯は「ロコ組み」方式で組み立てるので、転輪はまだ接着せず、引っこ抜ける状態にしてあります。
ただロコ組みをする時、起動輪や遊動輪と隣接する転輪が引っかかって装着に苦労したので、遊動輪は第9転輪と干渉しないようにスイングアームの位置をやや後方にずらしました。
また、転輪の穴はかなりタイトになっており、力を入れないと抜けないほどだったので、こちらもスムーズに取り外すことを念頭に置いて軸穴を拡大させます。
私が使っていた三角形の棒ヤスリがピッタリで、差し込んで回すだけで手軽に軸穴の拡張ができ、穴を広げたことで抜き差しもスムーズに出来るようになりました。
当然ながら軸穴を拡張してガバガバになったので、少し車体を傾けるとジャラジャラと転輪が脱落します。
なので上の写真のように転輪の底面や側面にマスキングテープを貼り、更にその上からマスキングテープで車体と結合させました。これで傾けてもシェイクしても大丈夫。
履帯を「ロコ組み」する
車体に転輪を取り付けた(しつこいようですが”仮組み”です)ので、次は履帯を組み立てます。
説明書ではだいぶ先ですが、車体にあれこれ付けた後に履帯をつけるのは結構大変(4号戦車にフェンダー付けた後やって苦労した)なので、今回は早めに手を付けます。整形とかも大変だしね。
履板の整形
マジックトラックの利点は他の連結式履帯と違って、ランナーから切り離す手間がかからないところにあるのですが、上の写真を見てわかるように履板の一つ一つに押し出しピン跡があります。
まぁ…つまりだな、これを処理せにゃならんのよ…。
ピン跡は突起になってるので、ナイフで削ってやれば処理できるのが不幸中の幸いですが、マジックトラックより(押し出しピン跡がランナー側にある)連結式履帯の方が楽ですわ。
それでもピン跡が残った履帯はヒゲの剃り残しなみに見苦しいので処理します。
1日40枚をノルマに仕事でヘロヘロの身体に鞭打って毎日ショリショリ削ります。寝てる間にかわいい幼女が私のかわりに整形してくれることを期待しつつ………。
履板を接着する
かわいい幼女が履板を整形してくれることはありませんでしたが、なんとか自力で整形が完了したので、お次は履板を繋いで履帯にします。
今まで様々な戦車(大半が対空戦車)の連結式履帯で活躍した”治具”ことただの板っきれに今回もお世話になります。
今回はロコ組みについての詳しい解説は省きますが、やり方を知りたい人は以下のリンクでネチっこく解説してるので参考にどうぞ。
私の連結式履帯の組み立て方としては、最初に一定数並べて、跡から接着するという方式で、今回のキングタイガーの履帯も同様にやっていきます。
…が、キングタイガーの履帯は主履板と副履板で構成されるダブルリンク式なので、サイズの異なる履板をはめるのに手こずります。
そのため、上の写真のようにあらかじめ主履板と副履板を仮組みしたものを作り、それを繋げて1本の履帯にしていく方式でやりました。その方が交互にはめるよか楽でした。
履帯を転輪に巻きつける
履帯を転輪に巻き付けます。
実物キングタイガーの履帯は片側46枚(主履板+副履板=92枚)とのことなので、それに合わせて履板も92枚にしました。
右側は92枚でちょうど良かったですが、左側は92枚ではギリギリ足りず、かといってもう1つ追加しようにも、ダブルリンクなので2枚追加することになり、そうなると今度は長すぎるというジレンマ。
なので切れない程度に履板をグイッと引っ張って、ギリギリのところで接着し、なんとか92枚でしのぎました。
…履板の接続が怪しい箇所がありますが、見えなくなる場所なのでヨシとします。
ロコ組みの成功
時間を置いてから上手くいったか確認するために車体から履帯を外します。
履帯は切れることなく外れたし、転輪もスッポリ抜けたので今回のロコ組みは成功です。もちろん戻す時も起動輪や遊動輪に引っかかることなく転輪を車体に取り付けられました。
ロコ組みは転輪に巻きつける時はもちろん、外してから再装着する時も事故が起きやすいです。起動輪や遊動輪、センターガイドとの位置関係が悪くて装着出来なかったりして。
今回は起動輪、遊動輪、転輪のいずれも履帯と接着していないので、油断するとすぐにジャラララと取れます。
なので転輪の仮組みの時と同じように、マスキングテープで各所を固定しておきます。デコボコの履板だと剥がれやすいので、テープの先端は車体底面に。
アイプレートの押し出しピン跡を埋める
アイプレートの外側にでっかい押し出しピンの跡が残っています(上の写真の赤丸部分)。
こんなものは履帯を組む前に処理しておくべきモノですが、履帯あるいはマッドガードを装着すれば隠れるだろうと思い、その時は特に気にしてませんでした。
…んが、履帯を組んでもピン跡が隠れないので、やはり処理してやることにしました。
いったん履帯や転輪一式を取り外し、上の写真のように押し出しピン跡の上にラッカーパテを盛ってやります。
ラッカーパテはけっこうヒケるので「ちょっと盛り過ぎだろ…」というくらいモッコリ盛っておきます。溶剤で薄める必要はありません。
仮に盛りすぎたとしても、ラッカーパテは柔らかいので、ナイフなどで簡単にそぎ落とせます。足りないよりかは余った方が良いのです。
一日ほど放置してラッカーパテが固まったら、余分なパテをナイフで削ぎ落とし、400番、1000番のペーパーで削ります。
ある程度モッコリとパテ盛りしたつもりですが、上の写真のように凹凸になっているのはそれだけラッカーパテではヒケが起きるという証拠です。
…が、最初の写真と比較してもかなり隠ぺい出来ているので、今回は深追いはせずこれでヨシとします。
今回はわりと早く足回りが出来た
という具合に、急ピッチで足回りを組み立てました(これぐらいのペースでやらないと本当に年が明けてしまう)。
ティーガーやパンター系列は上部支持転輪が無く、パーツ数が少ないトーションバーなので、4号戦車と比べると楽でした。
車体下部はもちろん、車体上部も大きな1枚のパーツで出来ているので、車体そのものの完成はそれほど時間はかからないと思います。
次回はリアパネルとか車体上部の組み立てをやっていきます。