5ヶ月もほったらかしにしてたドラゴンのキングタイガーですが、グダグダの原因である迷彩塗装が終わったので、また製作が再開できます。
このあとは履帯や転輪を車体に取り付けて、デカール貼ってウェザリング…という流れになるのがオレ流の模型戦車道です。
…が、未だに履帯を塗装しておらず、履帯を車体に取り付けることが出来ません。山場超えたというのにまたグダグダになりそうな気配ががががが。
なので、履帯が塗装出来ぬなら出来ぬで仕方あるめぇと、別路線でキングタイガーの製作を続行しようと思います。作ってるのは戦車なのにやることは自転車操業である。
ということで前置きが長くなりましたが、今回は今までやることがなかった車体下部の奥まった部分の汚しをやることにしました。
ちなみに履帯は今この状態
履帯の塗装方法は人それぞれですが、私は仲田博之師匠のやり方を参考にしています。
エアブラシでクレオスの「ダークアース」を吹いて下地を作り、タミヤアクリル塗料の「フラットブラック」「フラットアース」「レッドブラウン」を溶剤多めで混ぜたシャビシャビ塗料を筆でベタ塗りするというもの。
この方法でやると何となくサビの浮いた若干赤みのある履帯が出来上がるわけです。
最初のうちは塗装終わったら筆塗りで出来るし、そこそこリアルな履帯が出来るから良い方法だと思ってたのですが、よくよく考えると、エアブラシ塗装と筆塗で2ステップ踏まないといけないので実は面倒である。
しかもその2ステップ目の筆塗りで使う「フラットブラック」をいまだ買いに行けず、塗装できないまま延々と日々が過ぎ去っていくという悲劇。
なので次回から履帯を塗装する時は、エアブラシ1発で終わらせようと考えてます。
転輪を取り付ける前に車体下部を汚しておこう
履帯の塗装が終わらないから履帯と転輪を車体に取り付けることが出来ません。
このまま時間だけが延々と過ぎてしまうと、ジョークのつもりで言った「2019年中に完成しない」がジョークではなくなるので、他の作業でキングタイガー製作日記を食いつなぎます。
作るのは戦車なのにやることは自転車操業である。転輪は回るが頭は回らない。
で、履帯がつかぬならば車体下部の奥まったところだけ先に汚してやれと、本来なら全部組み上がって最後にやるウェザリングを車体下部限定で先にやります。
履帯と車体の間にわずかに見える隙間や転輪の奥は構造上ウェザリングしたくても出来なかった部分だからちょうどいい。
ウェザリングカラーの「グランドブラウン」でウォッシング
ということでまずは「ウォッシング」から。
今までウォッシングといえばエナメル塗料を使ってやってましたが、今回はやり方を変えて以前買ったMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンを使ってみました。
思えばこのウェザリングカラー、製作遅延が原因で買ってかなり時間経過してるんだよなぁ………。
なお、ウェザリングカラーシリーズは原液だと濃すぎるので、通常の塗料と同じように薄めて使うわけで、専用の溶剤である「Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液」を使ってお好みの濃度に希釈します。
「うすめ液」はウェザリングカラーだけでなく、「ウェザリングペースト」の希釈でも使うので、わりかし汎用性が高いツールです。塗料の溶剤と同じように多めにストックしておきましょう。
ついでに車体底面も一緒に汚しておきます。
ウェザリングカラーを塗った左半分と、まだ塗ってない右半分とで色の違いがおわかりいただけるかと思います。
通常、ウォッシングといえば乾燥した後に拭き取りますが、今回はあえて拭き取らずにどんどん汚くしてみました。
まぁ車体の底面や側面は見えないからね。ウェザリングカラーの性能をテストするべく好き放題やっちゃいましたよ。
また、よ~~く見てみると、突起の根本や”溝”に塗料が流れてウォッシングだけでなく「スミ入れ」の効果も発揮しています。1粒で2度オイシイ。
…という感じで、見えないのを良いことに好き放題ベタベタビチャビチャやった結果がこちら。
実際の戦車もいちいち分解して奥まで掃除しないと思うので、容赦なく汚してやりました。なかなかいい感じ。ヤスヒロ的にもオールOK。
今回はじめてウェザリングカラーのグランドブラウンを使ってみましたが、濃淡しだいでウォッシングにもスミ入れにも使えそうな塗料ですね。
しかもエナメル塗料で作った泥水と違って
- ビチャビチャにしてもパーツが取れない
- 調色する時の比率とかいちいち気にしなくても良い
- 単色なので買い足す時に楽
といった利点がありました。…まぁいずれも面倒くさがりな私だからこそ思える利点なんですけどね(笑)。
「ダークアイアン」で転輪の外周に摩耗表現を与える
車体下部側面や底面に塗りたくったウェザリングカラーが乾燥する間に別の作業をします。
今度は転輪の外周にMr.メタルカラーの「ダークアイアン」を塗って、回転する転輪が履帯と擦れていくのを再現しましょう。
ティーガーIの後期型キングタイガー、一部パンターのバリエーションでは転輪のゴムを内蔵型にした「鋼製転輪」を採用しており、プラモでは転輪の外周をゴムの色で塗装しなくていいという利点があります。
…んが、実際のところは転輪は履帯内側と擦れるわけで、塗装が剥げて摩擦で磨かれたような色になるようです。なのでそれを再現します。
キングタイガーの転輪18個に加え、遊動輪2つを入れるので20個分の外周を塗装します。
爪楊枝にマスキングテープを巻いたものを転輪の穴にぶっ刺して塗装し、2枚重ねにしたダンボールに突き刺して乾燥させます。
ちなみにMr.メタルカラーのダークアイアンはラッカー系塗料に分類されますが、溶剤は普通のラッカー溶剤ではなく、ガイアノーツの「メタリックカラー」という、メタリック塗料の性能を引き出す溶剤を使いました。
話によるとメタリック塗料の中に入ってる金属粒子をきめ細かく分解して、輝きを増強してくれるというものだそうです。クサイのは普通のラッカー溶剤と同じ。
転輪だけでなく起動輪の歯の部分や履帯と触れる部分、ボルトのてっぺんなどもダークアイアンを使って塗装します。…いや、塗装というよりはドライブラシですね。
今までこの手の起動輪の歯の摩耗はガンダムペイントマーカーのクロームシルバーを使いましたが、ダークアイアンで転輪と一緒にやれば1度で済むので楽です。
なお、メタリックカラーの特徴として、塗料が乾燥してから軽くこすると光沢が出ます。実際に磨いてみたところ、鈍い輝きを放つ重たい鉄っぽくなりました。
「ウェザリングペースト」で車体下部を泥だらけにしてやった
さてさて、ウェザリングカラーが乾燥したので、つぎはその上に「泥汚れ」を再現するべくMr.ウェザリングペーストを塗りたくります。
使うのはマッドブラウン監督とマッドホワイト企業の2種類。
「うすめ液」を多めに入れてシャビシャビの状態にして、筆で軽く叩きつけるようにビチャビチャ塗っていきます。
この作業がわりと楽しくてついついやり過ぎてしまいますが、ウェザリングカラーを塗った部分も残るようほどほどに。
乾燥したら今度はドロドロのやつを塗りたくって、筆で適当に跡をつけて立体的な泥汚れを再現します。
なんかソレっぽいようなこと書いてますが適当です。その方が自然な泥汚れが出来るってもんだ。
細めの筆の先っちょを使ってフェンダーの泥跳ねも再現しておきます。
本当に何も考えずにウェザリングペースト2色を適当にベタベタ塗りたくるだけで、かなりリアルな泥汚れが再現できます。
泥汚れの再現は人によって様々で、立体感を出すために組み立て段階でラッカーパテで凹凸を再現する人、MiGピグメントを使う人、壁補修材を使う人などいます。
ただ、ラッカーパテ臭いし、MiGピグメントは高いって思うワガママな私ですから、1つのツールで、簡単に、リアルで、立体的な泥汚れが再現できるウェザリングペーストは偉大なのです。
…なお、上の写真を見ると分かるように、サスペンションに塗りたくると転輪を取り付ける時にムチャクチャ苦労します。マスキングテープで保護するかカッターで削ぎ落とすのを忘れずに。
ようやく履帯の塗装が出来る
日を改めて某日(おそらく車体下部を汚した日から1週間後くらい)。ようやく「つや消しブラック」を買うことが出来たので履帯の塗装が出来ます。
ということで、つや消しブラックとレッドブラウン、フラットアースを混ぜた「履帯色」を作って、履帯にベチャベチャ塗りたくりました。
…が、たくさん使うだろうと溶剤を多めに入れ過ぎたせいで色は乗らんわ乾燥は遅いわでまたポカやらかしました。…なんか令和に入ってから調子悪くね?
仕方ないのでサーキュレーターやドライヤーを駆使して乾燥を早める作戦に出る。
ついでにOVMの鉄の部分も塗装
履帯のビチャビチャが半乾きぐらいになったあたりで私がドライヤーの熱気にギブアップ。気温30度超えがデフォな愛知の真っ昼間にドライヤーぶん回すのは地獄でした。
なので履帯は自然乾燥にシフトさせ、私は余った履帯用の塗料でOVMの金属部分を塗装します。何だかんだ言ってこの塗料は履帯にもOVMにも使えるので汎用性が高いのです。
もちろんワイヤー類もこの塗料で塗装します。
…が、よく見ると塗装とか汚してる最中にあちこち触ったせいでOVMの留め具が取れてしまってます。うまいこと補修しておかなければ。
思えば今回のキンタ製作日記は塗装終わってからというもの、やたらトラブル続きな気がします。大半がヒューマンエラーなんですけどね。
実際のキンタもこんな具合に(?)トラブルが頻発して日の目を見なかったそうです。なんだかどうでも良いところで史実に忠実です。
そして履帯を取り付ける
履帯の塗装が乾いてくれたので、やーっとこさ履帯(と転輪)の取り付けが出来る。…出来るのですが、ここでもトラブル発生。………この記事だけで何度目だ?
で、何がトラブルなのかと申しますと、キングタイガーの足回りの構造です。第1転輪は起動輪、第9転輪は遊動輪にそれぞれ被さるような配置になっています。
なので、何も考えずに転輪を先に取り付けると起動輪(遊動輪)が引っかかり、かといって起動輪(遊動輪)を先に取り付けると今度は第1(第9)転輪が引っかかるというトラップ。
…文章でピンとこない人は上の写真見てよ。起動輪の後ろ(奥)に第1転輪が来てるから、1個1個水平に装着ってのが出来ないです。
当初「詰んだわ………」となっていましたが、試行錯誤の結果、
- まず奥の転輪をはめ込んでおく
- 履帯に起動輪と遊動輪を仮組みしておく
- その状態で第1転輪および第9転輪を間に挟むように仮組みする
- そのまま履帯ごと起動輪・遊動輪・転輪をサスペンションに通す
- 履帯を上に引っ張ってセンターガイドと転輪をあわせる
- 残った転輪も取り付ける
といった感じにやったらなんとか無事に装着できたのでホッとしています。このまま履帯が装着できなかったらキングタイガー製作日記を無かったことにするところだった。
ついでにサイドスカートも取り付ける
履帯を取り付けたので、そのままサイドスカートも装着してやりました。
フェンダーが全部揃ってるキングタイガーもいいけど、走行中に落下してフェンダーが不揃いなキングタイガーも雰囲気たっぷりで良いのだ。
まとめ
- 組み立てから迷彩塗装まで5ヶ月近くかかった
- 「つや消しブラック」が無いせいで履帯が塗装できない
- 足回りを汚すもサスペンションまで汚したせいで転輪がハマらなくなる
- ようやく履帯を塗装するが、溶剤ドバドバで乾燥遅い上に何度も重ね塗りで時間かかる
- OVMのエッチングパーツや予備履帯ラックがあちこち外れる
- 履帯と転輪を車体にハメようとするが、起動輪や遊動輪が引っかかって転輪が入らない
という具合に、実車キンタと同じ、あるいはそれ以上にトラブル頻発でそろそろドイツ負けるんじゃね? って雰囲気が漂ってきました。これが5ヶ月のブランクというのか…!
だけどこのようなトラブルも今回までです。
次回は製作が順調に進み、ソ連もアメリカも叩き潰してフランスも取り返せると思うので、どうか見捨てず最後までお付き合い下さいませ。
次回は「金属砲身」を使ったが故に起きてしまったトラブルを解消させます。