戦車プラモデルのディテールアップパーツのひとつに「金属砲身」があります。プラの砲身パーツにはない金属ならではの質感が魅力です。
私も現在、ドラゴンのキングタイガーを製作しており、嬉しいことにキットに金属砲身がオマケとして付属していたので使っております。
…しかし、そんな金属砲身にも欠点があり、自重で砲身が垂れ下がる(お辞儀する)という不具合が発生する場合があります。
私のキングタイガーも残念ながら砲身が垂れ下がってしまい、このままでは見栄えが悪いので、金属砲身を使っても自重で砲身が垂れ下がらないようにしました。
金属砲身の自重で砲が垂れ下がる
金属砲身はプラの砲身よりも重たいので、組み立て時に固定が甘いと上の写真のように砲身の自重で垂れ下がってしまいます。
そのことを念頭に置き、キツめに固定したつもりでしたが、いざ砲塔が出来上がると固定が弱かったみたいで、砲身がダランと垂れ下がります。
一応、最大仰角の状態では保持されるものの、ちょっと指が触れるとすぐに砲がお辞儀してしまい、最大仰角 or 最大俯角の2ポジションでしか保持できないという状態。
短砲身だったらまだ良いかもしれませんが、キングタイガーは砲身が長いため、長砲身+金属となってより垂れ下がりやすいのです。ひょっとするとキングタイガーはプラ砲身でも垂れ下がるかも…?
いずれにせよ、”最強戦車”の異名を持つキングタイガーも砲身が垂れ下がっては迫力も貫禄もあったもんじゃない。それどころかポカして取引先で謝罪するサラリーマンのような哀愁すら感じる。
一応、金属砲弾を入れてみたが…
そんなわけで、対策を講じようとキット付属の金属砲弾を砲尾に突っ込んでカウンターウェイト代わりにしてみましたが、砲弾自体が軽いのでほぼ効果なし。
…困ったものだ。
砲身の垂れ下がりを改善する方法
いくらアウトレンジから敵の主力戦車を撃破できる主砲をもつキングタイガーでも、その主砲がお辞儀するようではアウトレンジどころか50m先の戦車すら撃破できん。
猛暑でグダーリアンになっていた私もこの深刻な事態を受け止め、さらなる改善策を考えることにしました。
そもそもなぜ砲身が垂れ下がるのか
重いからです。ンなもん言わなくても分かるっしょ。
…補足しますと、砲身の俯仰ギミックを担う「砲耳」の部分を軸として、砲身が砲尾より重たいと垂れ下がるというシーソーのようなものです。
長く突き出る砲身に対し、砲尾はチョロンと出っ張っている程度なので、基本的にフロントヘビーとなり「垂れ下がってくれ」と言わんばかりの構造となっています。
そこに重たい金属砲身という追い打ちをかけることで、砲身は見事にダランとお辞儀するのである。
なら砲尾側を重くすりゃ良い
原因がフロントヘビーであるならば、それをどうにかすれば良いのである。ズバリ、砲尾側を重くすれば良いのである。
そうすれば砲身側に偏っていたバランスが改善され、砲身の垂れ下がりも直るというワケだ。ね、単純な話だろう?
問題はどうやって砲尾を重くするかだ。
先述の通り、カウンターウェイトとして金属砲弾を砲尾に突っ込んだわけですが、それで改善しなかったので、もっと重いものを突っ込んでやる必要があるのです。
かといって、砲尾に収まるサイズで金属砲弾より重いモノなんて都合の良いものなど果たして存在するのだろうか………。
釣具店に売ってる「シンカー」を使ってみた
あるんだなそれが。
この手の「小さくて重たいもの」と聞いて、私の無いに等しい脳ミソが導き出したものは、魚釣りで使われるシンカー(オモリ)である。シンカーなら小さいので砲尾に収まると思ったのです。
ということで釣具店でスタジオ100のタングステンネイルシンカーを買ってみた。重さは1個あたり7/64オンス(約3.2g)。
希少金属のタングステン製なのでシンカーとしては若干高価ですが、タングステンは比重が大きいため、ちっちゃくてもパワフルな子である。
なによりタングステンは徹甲弾にも使われる素材なのである。
つまりアレだ、タングステン弾芯弾『PzGr40/43』と言い切ればリアリティもアップするに違いないのだ。
とりあえず砲尾に突っ込んでやった
では早速シンカーを砲尾に装填してヨシフのT-34を撃破………じゃなくて、砲身が垂れ下がらないか確認してみよう。
薬莢受けのパイプをへし折らないように注意しながら砲尾に差し込んでみる。
…が、どうやらこのシンカーでも太すぎてしっかり装填できない。
これは残念だ…。
しかも改善しとらんがな………
…戦車にとって「装填不良」は致命的ですが、311円も出してシンカーを買ったのに砲身のお辞儀が直らないのは財政面で致命的である。来週の昼飯またカロリーメイトや…。
そもそもキット付属の金属砲弾の重量が約2gなので、1.2g程度増えたところで金属砲身に敵うわけもない。金属砲身ナメとった。
1本ごときじゃ変わらんし、何本か差し込んでやろう。と思ったのですが、肝心のシンカーも太すぎるせいで1本すら満足に装填できないという事態に。
秋山殿の方のグデーリアンが見たらクンクン泣くレベルの失態である。
砲尾下部に引っ付けてやった
装填できぬのなら仕方ない。1つでダメなら3つにしろという「三矢の教え」にもあるように、シンカー3つをテープで束ねて砲尾下部にひっつけてやった。
タングステン弾云々の話などどこ吹く風。リアリティもクソもない対策で、ガルパンで例えるなら秋山殿が弾の代わりに河嶋を装填する(最終章 第2話ネタバレ注意)ぐらいトチ狂っている。
ちなみに砲尾への接着は3M(Scotch)の「はがせる両面テープ」で行っています。新居に引っ越してから何かにつけて活躍している子です。
砲身が垂れ下がらなくなった!
ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!
…というわけで、無事に砲身の垂れ下がりが直りました。キングタイガーの金属砲身なら9.6gでいけるということです(個体差はあります)。
なおシンカー3本で改善されましたが、4本入りなので1本だけ残してもしょうがないから4つ全部束ねてやりました。
ちなみに4本だと3.2×4=12.8(g)です。つまり8.8に対し12.8が勝ったということになります。ドイツ戦車が好きな人ならピクッってなる数値です。
まとめ
ということで、釣具店で売ってるシンカーを使って金属砲身の垂れ下がりを直しました。かなり荒療治ですが。
欲を言えば砲尾に装填した状態で直ったら文句ナシでしたが、戦車のような密閉車輌であれば、砲塔を外しでもしない限り砲尾下部なんてまず見えないのでヨシとします。
気になっていた砲身の垂れ下がりも直ったことだし、これで心置きなくキングタイガーの製作の続きが出来ます。
ということで次回はキングタイガーに乗せるドイツ戦車兵のフィギュア製作に着手します。