ドラゴンのキングタイガー(ヘンシェル砲塔)の製作日記の続きです。前回で車体が完成したので、今回は砲塔の組み立てを行い、組み立て完了まで進めます。
ハッチにキューポラ、砲塔の内部など気になる部分はいくつかありますが、その中でも特に気になるのは砲身で使われる「金属パーツ」。いわゆる「金属砲身」ですね。
というわけで砲塔を組み立てていきます。
なお、過去のキングタイガー製作日記は以下のリンクから読むことが出来ます。
8.8cm KwK43の砲尾の組み立て
まずは砲塔内部の組み立てからスタートします。砲身の上下ギミックや、ハッチの裏側、近接防御兵器の発射機などなど。
中心となるのは主砲である『71口径 8.8cm KwK43』の砲尾であり、単なる砲身を上下するだけのギミックのみならず、主砲の駐退機や砲尾なども再現されています。
車体に砲塔を乗っけると見えなくなりますが、内部機構の再現が出来るし、あとは金属砲身に対するバランサーとしての効果もあります。手を抜かず組み立てましょう。
特にパーツの分岐などもなかったので、説明書に従って砲尾を組み立てました。
駐退機や尾栓ブロック、排出された空薬莢を受け止める当て板などが再現されています。
尾栓ブロックなどのパーツは左右2分割のため、プラ砲身と同じように、合わせ目が出ないように接着剤をパテ代わりに多めにつけてやりました。
こちらは砲身の上下にかかわってくる砲耳(トラニオン)。ちっちゃな砲台みたいですね。
砲身を仰俯させるパーツなので、接着する場所に注意するというのと、砲身の重量で垂れ下がらないようにするため、タイトにくっつけました。
なお、金属砲身の使用を鑑みると、砲耳の俯仰ギミックの軸となる突起部分(穴にはめ込むところ)にはテープを巻いて厚くしておいた方が砲身の垂れ下がり防止になったかもしれません。
この砲耳の後部に先ほど組み立てた砲尾を合体させます。
絵面的に雑な感じがしますか、組み立てた砲尾一式に金属砲身をくっつけて、自重で垂れ下がらないかチェックしているところです。
金属砲身は質感・強度ともに最高のディテールアップパーツですが、同時にプラ砲身よりも重いので、砲身基部の固定が甘いとペコンとお辞儀してしまいます。
そういったことから砲身基部(俯仰にかかわる部分)は可動が”しぶい”くらいが丁度いいのかなと思い、タイトに設定しました。
とりあえず問題なさそうなので、このまま砲尾や砲耳は砲塔底面に接着します。
万が一、砲身の自重で垂れ下がるようなら付属の金属薬莢をバランサーとして砲尾に差し込んでみると多少良くなるかも? 見栄えも良くなりそうですしね。
そのほか、近接防御兵器(S-マイン)の発射機構や装填手用ハッチの開閉を補助するシリンダーダンパーなどを取り付けます。
キューポラの組み立て
キューポラは2種類から選ぶ
お次は車長用のキューポラを組み立てます。このキューポラパーツも選択式。
「何が違うんじゃボケ!」 ってなりそうですが、よーく見ると左側のキューポラにはペリスコープガードの間に溝が3ヶ所あります。
これは1944年6月半ばから搭載された改良型砲塔(いわゆるヘンシェル砲塔)に切り替わる際に追加された水抜き用の溝です。
なので、より車体番号が古いものは溝が入った方のキューポラを選びたいですが、部品の流通在庫の関係で、古い方のキューポラが使われていた可能性も大いにあります。
キューポラは溶接固定を再現
キューポラにはMG42用のレールマウントや跳ね上げ式のハッチなどを取り付けます。
なお、キューポラは従来まで溶接で砲塔に固定していましたが、1944年8月以降になると溶接ではなくボルト止めに変更されました。
ただ、上の写真を見るとキューポラ外周に溶接跡があるので旧式となります。
キューポラ内側の構造
こちらは内側から見たキューポラ。
キングタイガーのキューポラハッチは車体の通信手・操縦手ハッチと同様に水平に開くタイプものとなっています。
内側にはハンドルが付いており、これでハッチを持ち上げて旋回させるというもの。
組み立て説明書を見ると、「選択して下さい」というマークは無いものの、このキューポラハッチのパーツ一式も2種類から選ぶようです。
この選択でなにが違うのかよくわかりませんが、内側にハンドルがつくことで、ちょっとしたインテリアの再現や、ハッチの開閉ギミックが再現できるといったところでしょうか?
ハッチの可動域
旋回式のキューポラハッチは上の写真の位置で固定できるようになってました。
…ただ実物キングタイガーや他の方の作例を見るとここまで旋回しておらず、「???」となります。これが正しいのか不安になってきた。
また、キューポラの「ペリスコープ」はクリアパーツを使いますが、前回の『4号戦車 J型』の時は先にペリスコープを接着したせいで塗装で苦労したので、今回は塗装してから装着しようと思います。
ベンチレーターカバーやSマイン発射口も2種類から選ぶ
こちらは砲塔内を換気するための「ベンチレーター」の装甲カバーで、取っ手のついた防水タイプと6つの穴があいたタイプの2種類から選択します。
あわせて近接防御兵器(Sマイン)のカバーも栓がついたものと、栓のないタイプのいずれかを選択。とりあえず今回はベンチレーターカバーは取っ手付き、Sマインカバーは栓つきを選択。
また、上の写真にチョロッと出ていますが、可能な限りハッチなどのハンドルは金属線と交換しています。
ディテールアップはもちろんですが、パーツを切り離すのが面倒とか、作業中にへし折るという、ガサツな性格であるがゆえの措置ですハイ。
砲塔上下パーツを結合させる
ひとまずこれで内側に取り付けるパーツは全て取り付け終えましたので、砲塔の上下パーツを合体させます。
車体と同じように、マスキングテープをキツめに貼り付けてスキマを極力減らし、流し込み接着剤を塗るだけ。
砲塔をひっくり返すとこんな感じ。
先に接着すると内部の塗装がやりづらそうではありますが、実際やってみると案外広範囲に塗料が行き渡るので、そこまで気にすることなく合体させました。
塗装後にパーツを接着するというのが個人的に好きではないので、組めるものは極力先に組んじゃうというのが私のスタイルです。大丈夫、なんとかなる(死亡フラグ)。
砲塔後部ハッチの組み立て
続きまして、砲塔後部ハッチをつくります。
ドラゴンのキングタイガーの砲塔後部ハッチはコーティングのパターン別に2パーツ用意されていたり、ハッチ内側の構造もシッカリ再現していたりと、後部ハッチに対して並々ならぬこだわりをもっているようです。
こだわることは良いことです。こだわりすぎて1つプラモ完成させるのに3ヶ月以上かかる私が言うのだから間違いない。
ハッチのコーティングパターンは2種類ある
まずこちらが主となるハッチのパーツ。
先述の通り、ツィメリットコーティングのパターン別に2種類用意されており、ピストルポートを中心に円形にコーティングが刻まれたタイプ(上)と、従来のパターン(下)とあります。
ドラゴンの研究者いわく『違った模様のある別のタイプのハッチが普通に見られることにも気がついた』とのことです。
ハッチ内側の組み立て
砲塔後部ハッチは外側だけでなく内側も相当凝っているようです。
ハッチを開閉するための機構が再現されているのはもちろん、これら機構が砲弾の補給や乗員の脱出時に邪魔になるという理由で取り付けられたカバープレートまで再現されてます。
このカバープレートもまたプラパーツとエッチングパーツを選択できます。
説明書によるとハッチ内側のカバープレートは鉛筆など尖ったもので押し付けて前後にグリグリしろとあります。
…が、こういう時に限って尖ったものが手元になく、鉛筆でやったら芯がバキィ!!と折れやがる。そりゃそうだ。キングタイガーだぞ。鉛如きに曲げられるハズがない。
仕方ないのでシャーペンを使ってグリグリ攻撃をします。なんか最近上手くいかないことが多すぎる。
こちらが折り曲げたカバープレート。
説明書を見るとこやつのツメをさらに丸めるように曲げてヒンジを作れとおっしゃる。
またまたご冗談を。と思いながらベンダーで曲げてやると思ったより簡単に丸まってくれました。「人は見かけによらぬもの」と言いますが、エッチングパーツも見かけによりません。
また、ハッチ側にもハッチをロックするための機構や先ほど作ったカバープレートを取り付けるためのヒンジの受けとなる部分をつくります。
カバープレートをヒンジに通すための「シャフト」に該当するパーツは説明書によると「MB2」とあります。んが、私の探し方が悪いのかそのようなパーツは見当たらず。
なので上の写真のように0.3ミリの針金で代用しています。
あとは作ったカバープレートのヒンジを針金で通します。
なお上の写真ではハッチ側のプレートの向きを間違えて取り付けてます。正しくはハッチの左側に四角い穴が来るようにします。あとから気づいて慌ててつけ直しました。
また、ハッチの中央には後方から接近する歩兵を撃退するための銃眼(ピストルポート)があり、この穴からMP40などの短機関銃の銃身をヒョコッと出して攻撃します。
んが、その穴も単に開けっ放しだと流れ弾が入り込んだりして危ないので、使わない時は栓をします。風呂の栓みたいなやつです。
なのでピストルポートの栓となるパーツはもちろん、この栓が脱落するのを防ぐためのチェーンもしっかり再現されています。風呂の栓みたいなやつです。
出来上がった後部ハッチを砲塔に取り付けます。
ハッチ下部を横一文字に貫くようにトーションバーがついており、1944年8月以降にはこのトーションバーの上にアーチ状の装甲カバーが取り付けられるようになります。
また、この装甲カバーを取り付けると、カバーが支えとなってハッチを保持してくれる関係で接着剤を使わずにハッチを取り付けることができ、開閉可動式にすることが出来ます。
ただ、今回はハッチは閉じた状態で接着しました。理由は使用中のトイレと同じです。
砲身・防盾の組み立て・取り付け
キングタイガーの主砲『8.8cm KwK43』の組み立てを行います。
手順といたしましては、
- 防盾の組み立て
- 砲身の取り付け
といった流れになり、砲身はマズルブレー以外はワンピースの「金属砲身」を使う(マズルブレーキはプラパーツ)ので、組み立て自体は防盾がメインとなりそうです。
だけど目玉はやっぱり「金属砲身」。大口径でなおかつ長砲身ですから、金属砲身の良さが映えるってもんです。こんな事もあろうかと金属砲身は冷蔵庫に入れてキンキンに冷やしておきました。
防盾の組み立て
防盾は3つのパーツから構成されています。
防盾正面の装甲キャップリングには6本のボルトがあり、各ボルトには緩み防止のワイヤーがあり、パーツにもモールドで再現。
組み立てた防盾は砲塔のKwK43の出っ張ってる部分に噛み合わせて取り付けます。
なお、防盾上部には毒ガス検知パネルを取り付けるための基部がつきます。
この検知パネルは1944年7月頃から追加されたと言われており、上の写真のように防盾のほか、砲塔上面の後部に2ヶ所パネルを固定するための基部がつきます。
この毒ガス検知パネル基部もつけるか否かの選択式です。
金属砲身は差し込むだけ
あとはマズルブレーキをつくって金属砲身に取り付けたら、その金属砲身を砲塔に差し込むと言うだけの流れです。今までの金属砲身ageは何だったんだとなるぐらい呆気なさ。
マズルブレーキは3つのパーツになっていて、説明書通りに組むだけ。特にパーツの分岐とかはありません。
強いて言えばマズルブレーキは上下の向きがあり、根本にチョロンとしたものがある方が上です。
予備履帯ラックの取り付け
キングタイガー(ヘンシェル砲塔)の砲塔側面には追加装甲も兼ねた「予備履帯」を取り付けるためのラックがあり、側面の前後にそれぞれ4ヶ所、左右で8ヶ所履帯を取り付けます。
予備履帯ラックは履板の穴に引っ掛けるフックが2つと、副履板のピンを通して固定するブロックが1つという構成になっており、プラモデルでも同様の構造となっています。
なのでこんな感じに小さいパーツを砲塔側面にベタベタ貼っつけていくのですが、問題は「ガイド」となるモールドが全く無いという点。
これがタミヤなら恐らく「ここに接着するやでー」というモールドがあると思うのですが、今回のドラゴンのキングタイガーはツィンメリット仕様ということもあってか目印ナシ。
なのでカンである程度の位置を決め、履帯をラックに引っかけて傾きやグラつきが無いかを確認しながら取り付けていきます。
説明書とか他のモデラーさんの作例などを参考に位置決めをします。
なるべく水平になるよう調整しますが、重さでラックが垂れ下がるなんてこともあるかもしれません。多少の傾きは許容範囲ということにしておきます。
キングタイガーの履帯は主履板と副履板合わせて60kgほどあったそうですからね。そのうちラックがギブアップして垂れ下がることも十分ありえるでしょう(言い訳)。
そんなわけで、砲塔の予備履帯ラックが完成したら砲塔が完成します。
キングタイガー 組み立て完了!
というわけで完成した砲塔を車体に乗っけてキングタイガーの組み立て完了です。
…なんとか年内に組み立て終わった。
やっぱり長砲身カッコ良いですよね。
横から。
今回は特に苦労することもなく組み上がりましたが、それもそのはず。OVMの留め具をエッチングパーツではなくプラパーツに逃げたからです。エッチングと戦ってたらガチで年明けてた。
あと上の写真を見て分かるようにフェンダー(サイドスカート)は付けてません。「サイドスカートのレイアウトどうしよっかなー」とか迷ってるうちに組み立てが終わっちゃいました。
だけど何もナシってのも寂しいので最終的に何かしら取り付けようとは思っています。
…なのですが、この日記を書き終わる直前に引っ越しをしまして、ネットが使えず投稿が1週間ほど遅れてしまいました。今は戦車ではなくテレビ台や食器棚を組み立てています。