サイバーホビーの「4号戦車 J型」を作って最後の反撃に出る

ドラゴン 4号戦車J型(中期型) 箱絵 4号戦車 J型

私が一番最初に作った戦車プラモデルは「4号対空戦車 ヴィルベルヴィント」でした。

次に作ったのが「4号対空戦車 オストヴィント」で、その次は「4号対空戦車(自走砲)メーベルワーゲン」、さらにその次は「4号対空戦車 クーゲルブリッツ」。

…という具合に、「戦車模型」というより「対空戦車模型」ばかり作っていました。

で、「4号“対空”戦車」ばかり作ってるけど、母体である「4号戦車」は一度も作ってないと最近になって気付きました。

そういったことから、母体である「4号戦車」を作ろうと思って、4号戦車の最終バリエーションである4号戦車 J型のプラモデル入手しました。

製作に入る前にじっくりレビューします。というわけでこの記事では

  • サイバーホビー製プラモデル「4号戦車 J型(中期型)」のレビュー
  • モデルとなった4号戦車 J型についての解説

といった2つをご紹介します。

元となった4号戦車は第二次世界大戦中のドイツで最も大量に生産された戦車ということもあり、プラモデルにおいても数多くキットが存在します。

その中での4号戦車 J型(中期型)とはどういったものかを、私なりに解説してみました。

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サイバーホビー 4号戦車 J型(中期型)  徹底レビュー!!

ドラゴン 4号戦車J型(中期型) 箱絵

今回入手したのはサイバーホビーのIV号戦車J型  中期型(CH6556)

数ある4号戦車の最終バリエーションである「4号戦車 J型」。その中でも1944年8月から9月という短期間に生産された車輌を再現したキットです。

また、「スマートキット」ということで、従来のドラゴンのクオリティはそのままで、部品(特にエッチングパーツ)の数を減らし組みやすくしたシリーズです。

ちなみにサイバーホビーとは、海外の有名プラモメーカーである「ドラゴン」がもつ販売ブランドです。

それではこのキットの特徴や内容について詳しく見ていきます。

1944年8月~9月に生産された4号戦車 J型をキット化

キット名のサブタイトルを見ると、Mid Production(August – September 1944)とあり、先述の通り1944年8月から9月にかけて生産された4号戦車 J型だということがわかります。

ドイツ以外の戦車にも言えますが、同じ車種・型式でも生産時期や生産工場によって多少の差異があり、こと4号戦車J型は時期が違うことで車体の特徴も大きく異なります。

4号戦車はH型の段階で性能の限界に達しており、J型は発展ではなく生産性向上のための簡略化を目的としたバリエーションです。

J型は初期の頃こそH型にソックリな外観ですが、時期が進むにつれ、

  • 横置きマフラーから簡素な排気管2本に変わる
  • シュルツェンが鉄板から金網の「トーマシールド」に変わる
  • 上部転輪(上部支持輪)が4つから3つに減らされる
  • その他細部の部品の簡略化

といった、簡略を目的とした変化が見られるようになります。

ただ、ドイツ戦車は大戦中期以降の型式の判別はややこしく、キットには中期型とあるものの、実際はそこまで明確に区別はされてなかったとのこと。

そんなJ型の中期型についてプロモデラーの仲田裕之氏は自著・戦車装備品[OVM]の仕組みにおいて「IV号戦車H型の面影を残したJ型」と解釈しておられます。

関連記事 仲田師匠の「戦車装備品[OVM]の仕組み」を読んだから感想を書いてみた

8月~9月に生産された車輌の特徴

先述の通り、4号戦車 J型は生産性を向上させるために、部品の簡略化がいたるところで見られるのが特徴です。

しかしそれらの簡略化は一度に行われたものではなく、後々になって追加されていきます。

また、工場によっては簡略化する前の旧型部品の在庫があったり、製造現場の混乱を防ぐために簡略化の採用を見送ったりしてます。

そういったことから、「~生産型の車輌」ではあるものの、その時期の特徴に当てはまらない車輌も存在します。大戦末期の車輌ですからね。そこが4号戦車 J型の面白さ。

話がそれましたが、この1944年8~9月に生産された4号戦車 J型の主な特徴としては、以下のようなものが上げられます。

後に、主エンジン用のマフラーも消音効果の無い単純な管2本のタイプに省略されている。1944年7月から車体上面装甲の16mmへの増厚とベンチレーターカバーの大型化、材質が表面硬化処理装甲から均質鋼に変更、シャーシナンバー91949から補助発電機のあった所への200リットル燃料タンクの増設が行われた。しかし、燃料漏れの欠陥がありすぐに廃止、9月より改良された燃料タンクが標準装備となった。

via : IV号戦車 – Wikipedia

といったものがあり、J型シリーズの共通の特徴である「補助エンジンマフラーの撤去」に加え、車体後部のマフラーが簡素な排気管に変更された頃の特徴を再現しています。

J型とH型の違いの最大の特徴としては「砲塔旋回用エンジン」が撤去されているという点にあります。手動旋回になる代わりに燃料タンクが増え、航続距離が100km以上増えたという。

そういったことから、J型かH型かを見分ける一番手っ取り早い方法は車体後部を見ることにあります。

ボックスアートでは親切に車体後部が描かれており、この時期の特徴である2本の排気管がついているのが分かります。

箱絵に描かれた4号戦車 J型について

箱絵は、第115装甲大隊所属車。バルジの戦いではマウケ戦闘団に所属し、この戦いのクライマックスであるバストーニュを巡る激戦に投入されました。

via : DML 6556 Pz.IV Ausf.J Mid.Prod. – 四谷仙波堂 

ドイツ最後の攻勢であり、ヒトラーの最後の賭けとも言われたバルジの戦い。

そんなバルジの戦いのクライマックスであるバストーニュの戦いは、HBOドラマ「バンド・オブ・ブラザース 」でも描かれています。

衛生兵視点から見た戦場の過酷さや、ドイツ側の降伏勧告に対し「ナッツ!!(ふざけんな!)」と返すシーンが印象的でした。

バルジの戦い自体は最初こそドイツ側が優勢だったものの、すぐに巻き返しを喰らい予備兵力を使い尽くし、ドイツの降伏を早める結果となりました。
ちなみにこのキットの4号戦車 J型(中期生産型)は8~9月の生産車輌ですが、件のバストーニュの戦いは1944年12月中旬です。
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キットの中身を見ていこう

ドラゴン 4号戦車J型(中期型) キット中身

キットの大まかな概要をご紹介したので、次は箱を開けてキットの中身を確認していきます。

…ということで、箱の中に入っていたものを並べてみるとこんな感じ。圧倒的なパーツ量です。2作目の「オストヴィント」を作った時を思い出す。

オストヴィント 中身2

サイバーホビーの「オストヴィント」の中身。こんなものを2作目で作ろうとするから無鉄砲である。

実物が戦時中に最も大量に生産された戦車だけに、ドラゴンのキットでも特に4号戦車系列は数が多く、同じパーツを流用しているため、どうしてもパーツ数は多くなってしまいます。

これのどこが「スマートキット」なんだよ! と言いたくなる物量ですが、このうちの半数近くが使用しないパーツなので、実際のパーツ量はもっと少ないです。実際オストヴィント作った時も余剰パーツいっぱい出ました。

使わないパーツは他のキットなどで流用しましょう。…と言いたいところですが、流用する機会がほとんど無いのでジャンクパーツが増えてく一方(笑)

では、たくさんあるパーツの中から気になるものをピックアップして見ていきましょう。

車体パーツ

ドラゴン 4号戦車J型 車体下部パーツ

まずこちらは車体下部のパーツ。タミヤとかと同じようにバスタブ状になっています。

ドラゴン 4号戦車J型 車体上部パーツ

こちらは車体上部のパーツ。

大きな一枚の車体上面パーツにコテコテとパーツを取り付けていきますが、タミヤと違って側面装甲板やフェンダー、車体前部の上面装甲板などが別パーツとなっています。

砲塔や砲身

ドラゴン 4号戦車J型 砲塔とシュルツェン

こちらは砲塔パーツと砲塔の外周を覆うように取り付けるシュルツェン。

シュルツェンは非常に薄く出来ており、削ったりエッチングパーツと交換する必要はなさそうです。また、そのシュルツェンを固定する支持架も同様に薄いのでへし折らないよう注意です。

また砲塔も3方スライド新金型によってパーツ化されており、装甲板の溶接跡やビスのモールドはもちろん、J型の特徴の一つである、砲塔上面の前後の装甲の厚みの違いまで再現されています。

J型の砲塔上面は航空機からの機銃掃射対策として、前部18mm、後部26mmとなっています。

ドラゴン 4号戦車J型 砲身パーツ

こちらは4号戦車J型の主砲である『48口径 7.5cm KwK40』です。

1つのパーツで再現されているので、合わせ目の処理をしなくても良いのがありがたい(ただしパーティングラインはあるのでそちらの処理は必要)。

また、砲身ではなくマズルブレーキ側にはライフリングを再現したパーツがあり、あえて金属砲身を別に買う必要はなさそうです。

話によると砲身や防盾ガードは実車同様に取り外せるとのこと。

ドラゴン 4号戦車J型 砲身防盾

こちらは砲身にとりつける防盾。2種類用意されているので好きな方を選びます。形状の違いはじっくり観察すると分かりますが、その違いが何を意味するかまではわかりません…。

Gen2グレードの対空機銃

こちらは「ボーナスパーツ」として同梱されていたキューポラに設置する対空用のMG34。

話によるとこのMG34はGen2グレードとのことで、以前のモノと比べると更に精密なディテールが再現されているようです。

実際にパーツを見てみると銃口の穴があいてるのはもちろん、銃身を覆うバレルジャケットにある放熱用の穴や、フィードカバーの補強リブといった細かいモールドまで再現されていました。

ディテールアップパーツも盛りだくさん!

ドラゴン 4号戦車J型 ボーナスパーツ

ドラゴン(サイバーホビー)のキットの特徴の一つに、本来ならアフターパーツとして扱われるパーツが同梱されていることがあります。

例えば、エッチングパーツや”マジックトラック”と呼ばれる連結式履帯、牽引用ワイヤー、クリアパーツ、金属砲身などが同梱されています。

上の写真を見て分かるようにエッチングパーツやクリアパーツ、マジックトラックなどなど、金属砲身を除いてやたらディテールアップパーツが揃った豪華な内容に。

これらも合わせて見ていきましょう。

ペリスコープや防弾ガラスはクリアパーツで再現

ドラゴン 4号戦車J型 ペリスコープのクリアパーツ

キューポラのペリスコープ、操縦手や砲手の視察窓に取り付ける防弾ガラスはクリアパーツで再現されています。

エッチングパーツ

ドラゴン 4号戦車J型 エッチングパーツ

砲塔後部の網やエンジンデッキのハッチ、OVMや予備履帯の固定具、遊動輪(簡略化された方)などはエッチングパーツで再現されています。

ただ、これらエッチングパーツとは別に通常のパーツも用意されており、エッチングの扱いが苦手な方はプラスチックパーツを選べるようになっているのでご安心を。

シュルツェンも金属パーツ

ドラゴン 4号戦車J型 シュルツェンのパーツ

後期の4号戦車(G~J型)の特徴でもある、車体側面のシュルツェンは薄い金属パーツで再現されており、実車と同じように部分的に装着することが出来る。

これは私が4号戦車を作るならタミヤではなくドラゴンを選ぶ理由の一つです。

タミヤの4号戦車は、シュルツェンが1枚の大きなプラパーツで再現されていたり(4号戦車H型 初期型)、あるいはシュルツェン架はあるものの、肝心のシュルツェンが無い(4号戦車J型)というものでリアリティに欠けます。

もちろんアフターパーツでシュルツェンを同様に再現できるかと思いますが、ドラゴンの場合は最初から薄い金属パーツとしてシュルツェンが同梱されている点が嬉しい。

余談ですが、私は当初”J型=網状のトーマ・シールド”とばかり思っていたので、このような鉄板のシュルツェンを見て「あれ?」となりました。

トーマシールドが採用されるのはもっと後の方なんですね。キットで言うなら「最後期型」です。

牽引ワイヤーも付属

ドラゴン 4号戦車J型 牽引ワイヤーパーツ

こちらは動かなくなった車輌を牽引するために使うワイヤーを再現したパーツ。

実物と同じ金属ワイヤーなのでリアリティは抜群ですが、いかんせん金属ワイヤーは曲げるとほつれが出てしまうため、別のもので再現する人が多いようです。

たとえばホームセンターで売ってる真っ直ぐな線を引く時につかう「水糸」などが代用品としては適してます。

履帯は連結式のマジックトラック

ドラゴン 4号戦車J型 マジックトラック

履帯は「マジックトラック」と呼ばれるドラゴン特有の連結式履帯が入っており、右用と左用とで異なる色を使って区別されています。

似たような連結式の履帯はタミヤなどでも見られますが、マジックトラックのように最初から履板がバラバラになっていると切り離す手間が省けます。

…と思うのですが、この履板には押出ピンの跡が残っているので、どっちにせよ1枚1枚整形してやる必要があります。

ちなみに履帯なんですが、今回は(も)奥まった部分の塗装を考慮して「ロコ組み」でつくって行こうと思います。

説明書は相変わらずナンジャコリャ

ドラゴン 4号戦車J型 取扱説明書

うげっ!!

…って思わずなってしまうドラゴンの4号戦車シリーズの説明書です。

プラモデルじゃなく現物でも作ってるんじゃないかと錯覚するほど1セクションあたりの情報がギッシリ詰まってます。

私のプラモ人生においての2作目はドラゴンの「4号対空戦車 オストヴィント」でしたが、やはり鬼のような情報量で相当翻弄された記憶があります。…よく完成したな。

デカール

ドラゴン 4号戦車J型 デカールのシート

こちらはデカールのシートです。品質に定評のあるイタリアの「カルトグラフ」というメーカーのものを使っています。

やたら1だの2だの7といった数字が並んでおりますが、どれを使えば良いのか迷っちゃいますね。

ちなみに箱絵に描かれたバストーニュの戦いに投入されたJ型を再現する場合は、国籍マークと砲身に貼り付ける「Lustmolch」という白いやつを貼ればOKのようです。

ただ、この「Lustmolch」車輌については海外の戦車マニアたちの間でもかなり議論がなされているようで、「車体にはツィメリットコーティングが施されていた」とか、「排気管が違ってる」など意見が飛び交っているようです。

なお、Lustmolchがどういう意味か気になって調べてみたら、「スケベ」みたいな意味のようです…。
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パーツの選択について

4号戦車 J型(中期) 遊動輪の組み立て

4号戦車 J型(中期型)の説明書。遊動輪を2種類から選べと指示されている

戦車プラモを作ったことがある人ならどこかで経験したと思いますが、組み立てる上で分岐があったり、パーツをどちらか選べという選択に迫られることがあります。

今回の4号戦車 J型においても例に漏れず「2つ(3つ)のタイプから1つ選べ」という選択はいたる所で登場しました。まるでポケモンです。

従来の部品 vs 簡略化された新型の部品

このキット(もとい4号戦車 J型)においては、従来型のパーツか、簡略化されたパーツかを選ぶことが多かったです。そういった選択に直面した際にどれを選ぶか迷うところです。

しかし、実車のJ型も製造する工場によって在庫状況や生産方式が異なるため、「この時期のJ型はコレ!!」みたいな決まりがありません。

つまり、選択肢に直面した時は深く考えず、好きな方を選べば良いと思います。

特定の個体を再現するわけでなければ適当でもOK

ブルガリアの軍事史博物館に展示されている4号戦車 J型

ブルガリアの軍事史博物館に展示されている4号戦車 J型 via : Wikipedia

たとえば上の4号戦車J型の写真を見ると、車体前部の牽引装置が撤去され転輪は3つに減らされた最終型であるにもかかわらず、遊動輪は従来のパイプ型です。

また、上部支持輪(上部転輪)もよく見ると、簡略化された新型とH型の9月生産まで使われてたゴムつきのものが混同しています。

J型は大戦末期において工場の爆撃による混乱、部材調達の停滞が頻発する中で作らていたので、「使えるものは全部使ってとにかく作れ」という戦車でした。

そういったことから、特定の個体を再現する場合でなければパーツ選びに神経質になることはないと思います。

実物の4号戦車 J型とは

プラモデルの「4号戦車 J型」を紹介しました。

今度は実物の「4号戦車 J型」について、どんな戦車なのか? どういった特徴があるのか? といったところに触れていきます。

前項を振り返るような内容ではありますが、今一度復習も兼ねて。

4号戦車とは?

「4号戦車」は第二次世界大戦中のドイツにおいて最も大量に生産された戦車です。

最初は当時主力だった3号戦車の補助として「支援戦車」という名目で運用していましたが、やがて主力の座を奪い、あらゆる戦場で活躍するようになりました。

その後ドイツでは「パンター」が開発・生産されますが、パンターは思うように生産が伸びず、結局のところ4号戦車は終戦までドイツの主力戦車として扱われました

それだけ長期間、大量に生産されていた4号ですが、一貫して全く同じモノが作られたというわけではなく、「4号戦車 ●型」といったように、各所を改良したバリエーションが開発・生産されます。

また、4号戦車は単純に戦車としてのバリエーションだけでなく、突撃砲、自走砲、駆逐戦車、対空戦車といった戦闘車輌のベース車輌としても使われていました。

4号戦車の最終バリエーション、それがJ型

まず、ざっくりと4号戦車のバリエーションについて並べてみます。

  • 短砲身の24口径75mm砲を搭載したプロトタイプのA型
  • 前面装甲を30mmに強化したB型およびC型
  • 車載機銃が復活し、各所に追加装甲が施されようやく実用戦車となったD型
  • 車体前面の50mmを始め、各種に追加装甲、履帯幅の変更などが施されたE型
  • 車体の形状を見直し、追加装甲から一枚の装甲に変わったF(F1)型
  • 長砲身の43口径75mm砲を搭載したF2型(あるいはG型初期型
  • 元はF2型を改称したものだが、後期型は更に長砲身の48口径75mm砲を搭載し、「シュルツェン」を装備したG型
  • 新型の変速機を搭載し、前面装甲80mmに強化した4号戦車の究極形態のH型

…といった具合に、様々な変化を経て進化し続けた4号戦車ですが、J型は4号戦車シリーズの最後のバリエーションです。

強化ではなく簡略化が目的

先述の通り、4号戦車は装甲や主砲、足回りなど、戦場からの報告をもとに様々な強化・改善を施しています。

そのおかげで「もうこれ以上強化できないよ!」ってところまで改良が施されており、4号戦車は「H型」が事実上最終形態です。

「じゃあJ型は一体何なのさ?」というと、J型は部品を簡素化したり、工程数を減らして生産性の向上を目的とした型です。

「良いものが作れるようになった。あとはたくさん作る」という、ごくごく自然な流れで、あちこち戦線を拡大したせいで慢性的に戦車不足に苛まれていたドイツでは当然の発想と言うべきでしょう。

そんなJ型の変更点をざっくりあげると

  • 砲塔旋回用の補助エンジンが廃止され手動式となり、代わりに燃料タンクが増設された
  • 車体後部のマフラーが消音効果のない簡素な排気管2本に変更された
  • 上部支持輪が4本から3本に減らされた
  • 車体前部の牽引具が撤去され、延長した側面装甲板に穴を開けたもので代用した
  • 車体側面のシュルツェンが「トーマシールド」と呼ばれる網状のものに変わった
  • その他、遊動輪などのパーツが簡略化される

といったもの。もちろん他にも細部に渡り簡略化が施されています。

金網性のシュルツェン「トーマシールド」を装備した4号戦車J型

金網のシュルツェン「トーマシールド」を装備した4号戦車J型 via : Wikipedia

ただ、これらの簡略化は一気に全部行われたのではなく、段階的に行われていきました。

また4号戦車を製造する工場の方針(現場の混乱を防止する)や部品の在庫状況によって「コレはやったけどアレはやってない」というバラつきがあるのも特徴です。

そのため、特定の個体を再現する場合でない限り「この時期の4号J型はコレでないとおかしい!」というようなものがありません。

たとえば、上部支持転輪が片側3つの最終型なのに、旧型の遊動輪がついている、というようなゴッチャになってる車種もあります。大戦末期のドイツの混乱っぷりが如実にあらわれてますね。

H型との違い

4号戦車 J型は1944年8月(いわゆる中期型)以降に生産された車輌は

  • マフラーが廃止され、2本の排気管に変わる
  • 上部転輪の数が片側4つから3つに減る
  • シュルツェンが網状のものになる

…といった、外観上で「あ、これはJ型や」という特徴があるのですが、初期はほとんどH型とソックリでした。

では、H型とJ型の決定的な違いはと言うと、J型は砲塔を旋回するためのエンジンを撤去し、旋回を手動式にしたという点があります。

J型での最大の変更点は、砲塔旋回用の補助エンジンの廃止である。

これは燃料タンクを増設して航続距離を増大させるためのもので、これによって航続距離は整地で210kmから320kmに増大している。

ただ当然その結果として砲塔の旋回は手動のみとなり、旋回速度が遅くなったため乗員には不評であった。

これに伴い車体後部の補助エンジン用マフラーは廃止され、当初開口部は蓋で塞がれていたが後に初めから開口されなくなった。

via : IV号戦車J型 – 戦車研究室

砲塔旋回を自動から手動に変更したというのが大きな特徴ですが、それだけを見ると「H型の劣化やん…」となります。

しかし、砲塔を手動化することで旋回用のエンジン一式がなくなり、余ったスペースに燃料タンクを増設して航続距離を増やすという目的がありました。

上述のように航続距離がH型と比べて100km以上増えています。広大な東部戦線での戦闘を考慮した改善案と思われます。

また、上記の引用文では砲塔の旋回が手動になったため旋回速度が遅くなり不評だったとありますが、一方でWikipediaによると

乗員に不評であったとする資料が多いが、車体が傾いた状態での旋回が容易になったり、装填手が別のハンドルで旋回を手伝うことができることもあり、平地ではむしろ旋回速度が向上したとする資料もある。

via : IV号戦車 – Wikipedi

と言った記述がなされており、必ずしも旋回速度が落ちたというわけではなさそうです。…ただ自動化されていたものが手動になったので不便だったことには変わりないでしょうね。

また、砲塔旋回用のエンジンが撤去されたことに伴い、車体後部についていた砲塔旋回用エンジンの補助発電機用のマフラーも撤去され、ここでH型とJ型初期の区別ができるとのこと。

4号戦車H型の補助マフラー

4号戦車H型の補助マフラー via : onthewaymodels.com

例えば上の写真は4号戦車H型の車体後部ですが、横置きの円筒形のマフラーの横に2本のバンドで固定された小さなマフラーが付いています。

これが砲塔をウィーンと電動で旋回させるエンジン用のマフラーです。

4号戦車J型の後部

4号戦車J型の後部 via : Wikimedia Commons

一方こちらは4号戦車J型の車体後部。H型にあった補助マフラーが撤去されて穴が埋められているのが分かります。

この部分でHかJ初期かを判別しますが、J型はその後マフラーが横置き形のものから2本の筒に変わるので、いずれにせよHかJかを見分けるには車体の後ろを見るのが手っ取り早いかと思います。

ただ、上の写真の4号戦車 J型ですが、マフラーはJ型初期の頃まであった横置きタイプなのに、シュルツェンは後期型の金網の「トーマシールド」という組み合わせとなってます。

これはソミュール戦車博物館が4号戦車 J型を復元させるため、初期の車台と後期のトーマシールドを組み合わせたものですが、戦場でもこのような初期と後期の特徴が入り混じった車種があったのではないかと思います。

たとえば初期のJ型が戦場から戻って修理・レストアする際に、中期・後期で見られる簡略化された部品をつかうといったように。

そういった、部品をあえてごちゃ混ぜにして、一貫性をなくした方が大戦末期の混乱の中で作られた戦車っぽくなりそうですね。

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次回から組み立てに入ります

サイバーホビーのキットはパーツの多さや精密さがウリですが、そのなかでも4号戦車系列はパーツの多さ、説明書のゴッチャぶりで特にボリュームがあるキットです。

某・戦車が出るアニメのおかげで、ただでさえ品薄なドラゴンの4号戦車がますます品薄にという状態の中、奇跡的に入手できたキットですから大事に作っていこうと思います。

なお、このキットは2016年の7月ごろヤフオクで落札したものですが、当時作ってた「フラックワーゲン」が思った以上に難航したり、その後に「E-100 対空戦車」作ったりして1年半ほど放置してました。

…だが、それらも完成してようやく4号 戦車J型の製作に着手できる…!

そして、冒頭でも書いた通り、今まで「4号対空戦車」ばかり作ってきた私にとって、ようやくそれらの母体となる4号戦車の着手となります。

楽しみだなー。

ワイ期間工、「4号戦車 J型」組み立てるも納期間に合わず無事死亡
サイバーホビー(ドラゴン)の4号戦車 J型(中期型)の製作を開始。まずは転輪やサスペンション、前後のパネルといった車体下部をつくっていきます。記事では選択式のパーツについての解説も入れてみました。

ということで、組み立てに入ります。セオリー通り足回りからスタート!!

西日本豪雨の支援募金にご協力下さい

西日本を中心とした記録的な大雨により、土砂災害や川の氾濫が相次ぎ多くの被害が出ました。

報道によると、全国で105人が犠牲となり、いまだ行方不明者の捜索が続いています。(2018年7月9日現在)

現在も多くのNPO団体などによる支援が行われています。みなさまのご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

4号戦車 J型
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