『日本死ね』が流行語になり、国会議員が満面の笑みで賞を受け取る時代

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どうもこんにちは。ましゅーです。

先日流行語大賞が決定し、「神ってる」が選ばれました(そんな言葉流行ったっけってレベルなのですが)。

その他にも「ゲス不倫」とか「聖地巡礼」やら「トランプ現象」などが流行語に選ばれました。

その中で気になったのは『保育園落ちた日本死ね』という極めて乱暴な言葉が流行語として選ばれていたことです。

今回はその言葉の背景にあるものについて思ったことを書いてみようと思います。

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『保育園落ちた日本死ね』とは何なのか

そもそもこのキーワードが何なのかというところからまずは見ていこうと思います。

文面を見ればわかるように、保育園に落ちた人が怒りに任せてボロクソに罵詈雑言を並べたもので、決して民放とかで使われた言葉ではなく、匿名のエントリーがきっかけでした。

匿名掲示板で繰り広げられるような「チラシの裏にでも書いてろ」レベルの内容がどうやって流行語に選ばれたのか、発端となった記事や話題になるまでのプロセスをざっと紹介してみます。

元は匿名ブログが発端

何なんだよ日本。

一億総活躍社会じゃねーのかよ。

昨日見事に保育園落ちたわ。

どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。

子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?

何が少子化だよクソ。

子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからwって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。

不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。

オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。

エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。

(以下略)

via : 保育園落ちた日本死ね!!! – はてな匿名ダイアリー

なんといいますか、相当怒りに支配されていて、もはや匿名掲示板の罵り合いでも見てるんじゃないかというような錯覚に陥る文章です。

もっともこういうのは自治体とかに言うべきなのに、それら全部すっ飛ばしていきなり「日本死ね」なのだから相当なものです。

で、このエントリーをNPO法人フローレンス代表理事である駒崎弘樹さんがピックアップし、それが後に国会で民進党の山尾しおり議員らによって議題になったという経緯です。

本来なら受賞は山尾しおり議員ではなく、このブログ書いた人なんじゃないのー? と思ったけどそれはどうでもいいお話。

こういったキーワードが流行語に選ばれる世の中なんだなぁ…と、思っていたのですが、

色々疑惑も出ていた

社会問題として浮上したキーワードである一方で、このキーワードに対して疑惑の声も上がっているという点にも注目します。

ブログ書いた人の世帯年収は960万円以上?!

件の「日本死ね」の記事内には以下のような文章がありました。

保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ。

ここで気になったのは「(国が)児童手当も数千円しか払えない」という点。

児童手当は、その名の通り児童を育てる保護者に対して、主に行政から支給される手当のことです。

児童手当 2016年

児童手当 支給金額 2016年 via : 児童手当(子ども手当)最新情報

上の表を見るとわかるように、児童手当の支給額は子供の年齢や所得によって変わってくるもので、先述の「児童手当も数千円しか払えない(=支給されない)」人というのは、上の表で言う世帯年収960万円以上の人となります。

便所の落書きのような汚い文章を書く人が実は年収960万円以上のお金持ちだったというのだから驚きました。

ちなみに後にTwitterにてこの匿名ブログを書いたとされる人物が訂正ツイートをしましたが、

  • 数千円から一万数千円のケタが変わる間違いであるということ
  • 投稿から2ヶ月以上経過してようやく返答を出した
  • 肝心の記事は訂正していない(2016年12月2日現在)

などなど、疑惑の声は深まるばかり。

「日本死ね」ブログ投稿者、山尾しおり議員疑惑

また、この「保育園落ちた日本死ね」の投稿者は山尾しおり議員なんじゃないか? という噂も出ています。理由としては、

  • 衆院議員会館内保育所の入園結果通知と件の「日本死ね」記事の投稿日がいずれも2月15日だった
  • 日本死ねのブログの中の人のTwitter・山尾しおり議員のTwitterも3月29日以降の更新がストップしていた

…というもので、「たまたまですよ」と言われたらそれまでのゴシップな話です。

…が、山尾しおり議員自身もいろいろ黒い疑惑がある人物(割愛しますが、知りたい人は「ガソリーヌ」でググってみてください)だけに、こういった小さなことも疑惑の芽として扱われてしまうようです。

そういった当人の人柄に起因する疑惑のせいで問題からどんどん遠ざかっていってしまうのはなんだかなぁ…というのが正直な感想です。

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で、実際日本の待機児童数はどうなってるの?

こういった背後に見え隠れする「作為的」な何かのせいで本来問われるべき問題を見失いがちになってしまうのですが、そもそも日本の待機児童数の実態ってどうなのという点が出ます。

待機児童は5年ぶりに増加したが、それまでは減少傾向だった

待機児童数の推移 保育所等関連状況取りまとめ(平成 27 年4月1日)

待機児童数の推移 保育所等関連状況取りまとめ(平成 27 年4月1日) via : 厚生労働省(PDFファイル)

上のグラフは平成20年から平成27年(2015年)までの待機児童数や保育所の利用率の推移を表したグラフで、2015年9月29日に発表されたものです。

まずは待機児童数の数値を表す棒グラフを見てみると、

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
19,550 25,384 26,275 25,556 24,825 22,741 21,371 23,167

…となっており、平成22年の26,275人をピークに、以降は平成26年までは待機児童数は減少していった。

ちなみに最も待機児童数が多かった平成22年(2010年)といえば、民主党政権の真っ只中だったという点も忘れてはいけません。

で、平成27年(2015年)になって5年ぶりに待機児童数が13万1千人増加し、前年比で249%と、2.5倍にまで急増している。

この平成26年~27年の待機児童急増の原因については以下の記事が詳しく解説しています。

厚生労働省は、申込者数の急激な増加の理由として、「教育・保育サービスの提供に対し個人に対する給付化が行われ、また、サービスメニューが多様化するなどの理由から、保育サービスを受けやすくなったため」としている。

つまり、「子ども・子育て支援新制度」により保育サービスが受けやすくなったため保育施設を利用する、潜在的な需要を掘り起こしたことになる。

これは渋滞緩和のために新しい幹線道路を敷いたものの、その利便性を求めて予想以上の通行量が集中した結果、新たな渋滞を招く「ストロー現象」とほぼ同様の現象が起こっているといえる。

via : 「保育園落ちた」待機児童が5年ぶりに増加。なぜ減らないのか?~厚生労働省「平成27年4月の保育園等の待機児童数とその後」 | 住まいの「本当」と「今」を伝える情報サイト【HOME’S PRESS】

記事にもあるように、渋滞を緩和するために道路作ったらそこに車が集中して余計渋滞ひどくなったというものなんだそうです。

保育園増やせよ→増えてた

さて、件の「日本死ね」記事では「保育園増やせよ」と魂の叫び(罵詈雑言)を飛ばしていましたが、こちらも実態を見てみると…

保育所数の推移 保育所等関連状況取りまとめ(平成 27 年4月1日)

保育所数の推移 – 保育所等関連状況取りまとめ(平成 27 年4月1日) via : 厚生労働省(PDFファイル)

平成20年からずっと増えているのがわかります。

また、H27年は保育所単体だけ見ると大幅に減ったように見えますが、そこに「子ども・子育て支援新制度」による認定こども園地域型保育が追加されて保育施設の総数だけ見ると大幅に増えています。

一方国会ではこんなやり取りが

件の山尾しおり議員が待機児童問題の審議において用いたパネルのグラフがおかしなことになっていると話題になっていました。

kokkai-yamao

まず上の写真が山尾しおり議員が出したパネル。

国会 待機児童問題における山尾しおり議員のパネル

↑こちらは有志が訂正したパネルの写真。

民主党政権の期間は2009年9月から2012年12月までということは覚えておきたいところですが、こういったパネルのミスってどうなんでしょ。

仮にも山尾しおり議員は元検察官なので、こういったミスはが何を意味するかは理解していると思うのですがと…。

証拠の捏造で話題になるのは逆転裁判の狩魔検事だけで結構です。

なお、産経新聞にて、この答弁のやり取りの書き起こしがあるので、気になる人はどんな返答をしたか見ておいた方が良いかと思います。

ざっと要約すると

  • 安倍政権では、これまで3年間で31.4万人分の保育の受け皿を整備。年平均で約11万人増で、年平均4万人増だった民主党政権時代の2.5倍のペース。
  • 保育士等の処遇を2.85%相当、政権交代直後に改善。以降毎年度改善に取り組み、これまで7%相当改善。民主党政権では3年3カ月、保育士の処遇改善は何一つ行われなかったどころか、給与はマイナス1.2%
  • 市区町村は積極的な受け皿拡大を行った結果、193市区町村では待機児童が減少し、全体の約8割、1355の市区町村では待機児童がゼロだった
  • 保育の受け皿が増えたのに待機児童が増えた理由、6歳以下の子を持つ母親世代(25歳~44歳)の就業数が増えている(18万人増)為であり、保育の申込数が2倍に増えた為に整備が追いついていない。
  • 民主党政権で待機児童が減ったのは民主党政権での景気悪化で働く人そのものが少なくなった為

とのこと。

「日本死ね」を支持する界隈がその原因を安倍総理一人のせいにしているみたいですが、上の厚生労働省のグラフと合わせて自民党および安倍政権が決して待機児童問題に無関心でないのがわかる結果だと思います。

まとめ 『日本死ね』で国会議員が満面の笑みで賞を受ける時代

という具合に、いろいろ疑惑や裏事情がある「保育園落ちた日本死ね」が流行語として選ばれたわけなのですが、「死ね」とあるようにネガティブワードです。

「流行語大賞」に選ばれるキーワードの中には「そんな言葉聞いたことないよ」ってのもありますが、この「日本死ね」は確かに話題になっていたので、ランクインするのは残念ですが、それも世相なのかなと思っています。

もちろん一個人をはじめ、「~~死ね」なんて言うべきではないですし、日本人なので「日本死ね」という言葉に不快感を抱く事には変わりありませんが。

そしてこのキーワードで受賞したのは「日本死ね」の記事を書いた本人ならまだしも、国会で質問した山尾しおり氏。国会議員です。

なので本来はこんなキーワードが流行語になるなんて残念ですって嫌悪を感じるはずですが、新語・流行語大賞の表彰式の動画を見る限り嬉々とした表情をしておられる。

日本国民の代表が「日本死ね」に対して笑顔ってどうなの? 正直これが一番不快でした。私の地元である愛知の議員なだけに本当に残念。

便所の落書きが国会に取り上げられるようになった

しかし、「待機児童問題」が浮き彫りになるかと思いきや、その記事や話題にした国会議員の疑惑が浮き彫りになり、問題から遠ざかる。

そして疑惑の渦中の人物が「日本死ね」で笑顔で賞を受け取る。

この流行語はそんな世相を表しているんですかね…。

なお、父親でもあるつるの剛士氏もこのことについて言及してニュースになっておりました。

つるの氏はもともとフォロワーが多い有名人ですが、前後のツイートとRT数やいいね! 数を見比べてるとわかるように、相当大多数の人がこのつぶやきに共感・関心を持っていることがわかります。

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