どうもこんにちは。
極小・極細パーツ、特にエッチングパーツに泣かされているブロンコの「フラックワーゲン」で、その中でも特に極悪パーツが多いのが主砲の8.8cm Flak41です。
パーツ数の多さはもとより、極小・極薄・エッチングパーツという3連コンボは、モデラーの心のHPを確実に削っていき、もうコレやめて他のキットに手を出したろかという誘惑との戦いでした。
そういった極悪パーツをチマチマ触っていると、だんだんプラモデル作ってるのではなく、精密機器でも作ってるんじゃないかという錯覚に陥ります。
…そんなゴチャメカな8.8cm Flak41もついに今回で完成です。Flak41ラストの組み立ては
- Flak41砲架右側面にある射撃管制装置の組み立て
- 左右の砲架の合体
- 防盾の組み立て
といった豪華3本立てでFlak41の完成までをお送りいたします。
↑今までのフラックワーゲン製作日記はこちらで読むことができます。
射撃管制装置の組み立て
フラックワーゲンの車体よりもパーツ数が多く、細かいパーツがゴチャゴチャしているのが主砲の8.8cm Flak41ですが、そんな細かいパーツの取り付けともこれでおさらばできそうです。
まずはFlak41を支える砲架の右側面にある射撃管制装置を作っていきます。
高射砲と射撃管制装置
射撃管制装置というのは、砲やミサイルといった兵器を正確に目標へ命中させるための装置で、このFlak41にも現代のものとは異なりますが射撃管制装置がついています。
…というのも、いくらFlak41が強力な高射砲だからといって、高度数千メートルを高速で飛行する爆撃機に命中させるのは非常に困難です。
話によると、高射砲部隊が敵の航空機を1機撃墜させるのに1万発以上使ったという話もあります。
そんなわけですから、ゴルゴ13みたいに一発必中なんてのはまず不可能で、4~8門の高射砲からなる高射砲部隊を複数置いて、航空機に向かってバカスカ撃ちまくったとのこと。
しかし、ただ闇雲にバカスカ撃ちまくるのではなく、ドイツ軍の場合「ウルツブルグレーダー」と「フライヤレーダー」の2種類のレーダーを駆使して高射砲による対空戦闘を繰り広げました。
これらのレーダーや射撃管制装置については、以下の記事が大変参考になりました。
さて、本題に戻って高射砲部隊の対応を見てゆきましょう。
フレイヤからの警告を受けると、次に敵機が60㎞前後まで接近するのを待って、射撃指揮所に配置された近距離用レーダー、高周波でより正確な情報が得られるヴュルツブルク(Würzburg)レーダーに追尾を切り替えます。
これによってより正確な敵機の方位、距離、それらから計算して高度のデータを得て各高射砲の射撃に必要な射角、方位の設定を指示する事になります。
このあたりの一連の作業は照準算定機(独語 kommandogerät/英語predictor)にレーダーからのデータを入力すると、後は半自動的に計算が行われ、その射撃データが配下の全対空砲に電気信号として送信されるようになっていました。
(ただし後で見るように数字にあわせての砲の設定は手動)
要するに
- フライヤ「敵機来るで」
- ウルツブルグ「敵機の方位と位置わかったで」
- コマンドゲラート「ワイにデータ入力してクレメンス。計算してデータ送るやで」
- 高射砲「コマンドゲラートから送られてきたで、それ参考に砲の向き設定してや」
- 砲兵「信管設定するで」
- 砲手「撃つでー」
- 敵機「やられたンゴ…」
といった感じでしょう。たぶん。
より詳しい内容については、上の引用記事を見ていただけるとわかりますが、ひとまずプラモデルのフラックワーゲン、もといFlak41にはそういった射撃管制装置がついてるよという事だけ覚えていただければ大丈夫。
射撃管制装置を組み立てていきます
前置きが長くなるのはいつものことなのでもう諦めてますが、そろそろ組み立ての方に入ります。
スタートは説明書の23番目から。相変わらず極小・極細・エッチングの三連コンボでモデラー(私)を全力で殴りに掛かってきます。
満身創痍になりながらも出来上がったのがこちら。これは水平射撃時につかう照準器かしら?
続いて24番に進みます。
まずは平ぺったいパーツを組み合わせて機材のボックスを作り、そこにハンドルやレバー、メーターといった細かいパーツを取り付けていく流れ。
それらが完成するとこんな感じに。時期のせいか「かき氷」つくる機械にも見えてきます。
サクサク進めていきましょう。次は25番。
今度は砲架の右側面にエッチングパーツを始め、諸々のパーツを取り付けていきます。
このような箱を作って、両端に超極小の栓抜きみたいなエッチングパーツを接着。
あまりに小さすぎて写真じゃわからないレベル。
その箱を砲架に取り付けて、
その手前に先ほど作った対地目標用の照準器らしきものを取り付けます。
で、問題はやはりエッチングパーツ。
エッチングパーツは今まで何度も曲げてきたので「曲げ」は問題ありませんが、問題なのはエッチングパーツに貼り付ける超極小のエッチングパーツ。
いわゆる固定用の「ボルト」を模したパーツなのですが、削りカスよりも小さいパーツで、「こんなモンどーやって貼り付けるんだ!」と発狂したくなるほど。
それでも何とか合計6つの「ボルト」をエッチングパーツに取り付けることができました。
写真で見るとやや大きく見えますが、実際は極小そのもので、大きさ別の何かに例えようにも、小さすぎるせいで例えるモノが思い浮かばないくらい小さい…って感じでした。
とにかく小さいのです(しつこい)。
地獄のエッチングパーツを取り付け終えたあとは、プラスチックのパーツがものすごく取り付けやすく感じます。たとえ極小パーツだとしても。
感覚が麻痺している間に組み立てを進め、説明書に従って残りのパーツもペタペタと取り付けていき、25番も完了。
お次は26番で、先程作ったような機材をもう1つ作っていきます。
出来上がった機材はこんな感じ。
メーターがあって、ハンドルがあってレバーがある。そんな装置です。
これら射撃管制装置には、コマンドゲラートから送られてきた情報が反映され、その情報をもとに、兵士が砲の向きや角度を調整するといった感じです。
ただ、この射撃管制装置らしき機材が2つあるので「ん?」となりました。1つは予備なのか、それとも前方の射撃管制装置は対地目標用でしょうか?
あれこれ考えても仕方がないので先に進みます。説明書は27番。先程まで作ってきた射撃管制装置の機材を砲架に取り付けます。
砲尾側にある装置は上の写真のようにエッチングパーツに合わせて取り付けます。
なるほど、このエッチングパーツは支柱の役割を果たしてたんですね。
射撃管制装置やその他もろもろパーツを取り付けた砲架はこのようになりました。
前回の信管を設定する装置を砲架左側につけた時も思ったのですが、左右の砲架は組み立てが進むにつれてパーツをゴチャゴチャ取り付けるので、手で持つ場所が限られてきます。
なので今思い返すと、先にFlak41の砲身や砲架を一通り合体させてから、これら細かいパーツを取り付けていった方が楽だったかもしれません。
これでオシマイかと思いきやまだ続きがありましたので、次の29番をやっていきます。
砲架の左側に兵士が座るためのイスを作ります。
ちなみにこのイスですが、フラックワーゲンのフォルムに合わせて選択しろとのことで、装甲板を展開した状態にする場合は上記のようにパイプが一直線になるように作ります。
一方、走行時のフォルムでは装甲板を立てるので、イスは干渉しないように上の写真のようにカクンと90度曲げて取り付けます。
現時点でまだフラックワーゲンをどのフォルムにするか決まっていないので、ここは保留にして先に進みます。あわよくば3つのフォルムが再現できるようにしたいけど…無理かなぁ?
砲架の左側にもあった極細パーツとエッチングパーツの組み合わせ。
極細パーツが折れないように、エッチングパーツの穴に通すのですが、プラスチック側が太いのでエッチングパーツの穴に通らず、またゴリゴリ削って通しました。
…もう当分細かい作業はしたくない(毎回言ってます)。
これで射撃管制装置をはじめ、Flak41砲架の右側のパーツの取り付けも完了。
左右の砲架の合体
さてさて、左右の砲架が完成したので、あとはこれら2つと、砲架底面、砲身を結合させます。
説明書は30番。
各所の形状に砲架を上手く噛み合わせて接着しますが、前述の通り左右の砲架の接着の際、仮組みやパーツの位置調整をする関係で、何度も砲架を触ります。
そういったことから、これら砲架は説明書通りに組み立てるのではなく、砲架だけ先に合体させる方が楽でした。
また、砲架の内側には砲身(砲尾)に取り付ける細長いパーツ(上の説明書で言うB71とB72)があります。これらは砲身の俯仰時に巻き取られるベルトだと思います。
このベルトは砲尾側には接着するなとあるので、ベルトの先端にあるリール部分のみ接着しました。少々ややこしいですが、これが終わればFlak41本体が完成します。
さて、これら砲架と砲身を結合させてなんとかFlak41が出来上がりました。
そして長らく放置していたせいでホコリ被ってたフラックワーゲンの車体にFlak41を搭載するとこのように。見てくださいよこのFlak41の圧倒的な存在感!
Flak41本体の組み立てはここまでなのですが、このあと「防盾」を取り付けるので、引き続き組み立て日記を続けます。
防盾も組み立てます
さて、これが最後のステップです。
Flak41の正面には兵士を流れ弾から保護するための「防盾」を作っていきます。
説明書は31番。
防盾といえばメーベルワーゲン(タミヤ)にもあったのですが、あの時は薄い防盾のパーツ2枚に数点パーツを取り付けるだけでしたた。
しかし残念ながら今回作るのはブロンコのフラックワーゲン。防盾にもエッチングパーツがふんだんに使われております。
まずこちらは防盾右側に取り付ける防弾板。主に空の様子を伺うときにパタンと開けるやつです。
ベースパーツがエッチングパーツであることはもちろん、上の写真をよく見ると、その左横に削りカスみたいなものがあります。これは開閉時に動かすレバーの基部で、もうとにかく小さい小さい。
こんなもんモールドで再現すればええやん!って思いながら、指先に全神経集中させてとりつけます。
なお、この防弾板は閉じるときはそのままくっつけますが、開いた状態にする場合は説明書を参考に角度をつけて接着します。
次はその下にある防弾板も組み立てます。こちらは地上の様子をうかがう時に覗く方。説明書を見るとなんかもう、全部エッチングパーツですね。
開閉式の防弾板と違って、こちらはシャッター式になっています。まず枠となるパーツを防盾本体に接着し、そのあと2つの細長いエッチングパーツを両端に取り付けます。
そして最後に防弾板を取り付けるといった流れ。
上手く作ればこの防弾板も上下に動かせるようになるかと思うのですが、私は防弾板を開いた状態で固定することにしました。
なので先に枠と防弾板だけ防盾に取り付けます。
なお、防盾にもボルトやら(内側にある)持ち手やらエッチングパーツで再現されているので、予めそちらを作ってから固定します。
上の写真は枠の左側に細長いエッチングパーツを取り付けた状態。
最終的にこんな感じになりました。
防弾板の右側の細長いレール状のエッチングパーツには、その上にも折り曲げたエッチングパーツを2つ取り付け、更にその折り曲げたエッチングパーツにはボルト状のパーツを2つ取り付けるという、エッチングパーツのバーゲンセールでした。
あとは防盾下部に板状のパーツを取り付ければ防盾の出来上がりです。あぁ、プラスチックのパーツがものすごく楽に感じてしまう…。
なお、この防盾はフラックワーゲンの再現したいフォルムによって工程が変わってきます。
まず上は走行時および対空射撃時のフォルムです。
続いてこちらはフラックワーゲン車体の装甲板を展開した状態、つまり水平射撃時のフォルムです。
何が違うかというと、水平射撃時は防盾の両端に更に防盾を取り付けるようになっています。
…ただ、現時点でどのフォルムにしようかまだ決まっておらず、それどころか「上手いこと1つで3つのフォルムを再現できないかな」などと寝言を抜かす状態なので、現時点では保留にします。
とりあえず、大きい方の防盾だけはFlak41に取り付けました。これで正面からの攻撃はダイジョウブ。
まとめ ようやくFlak41が完成しました
というわけでやたらめったら時間のかかったフラックワーゲンのFlak41ですが、これでFlak41の組み立てはオシマイです。めでたしめでたし。
エッチングパーツ(しかも極小)を多用したFlak41なので、組み立てで神経を使いまくったことは言うまでもなく、完成後も扱いに気を配らないといけないデリケートなヤツです。
しかし、細かいパーツを多用しているだけにリアリティーはハンパなく、眺めているだけで「ムフフ」ってなるような仕上がりでした。
せっかくなので、完成したFlak41を搭載したフラックワーゲンの写真をいくつかご紹介します。
まずこちらは正面。防盾の両端に取り付ける小さな防盾をマスキングテープで仮止めしてみるとこんな感じ。
この防盾は実物は内側に折りたためるようになっていますが、プラモデルだとそうはいかないみたいで、取り付けるか否かの二択を迫られます。上手いこと開閉出来るようにしたいなぁ…。
防盾のアップ。
左側から。車体に対するFlak41の大きさが圧巻。
ちなみに、上の写真のように角度をつけて砲身を固定しようとすると、砲身の自重で下がってしまうことがあります。
その場合、砲身側のギアにプラ板を貼ってギアの歯を延長することで改善する場合があります。
斜め後ろから。
防盾はかなり薄っぺらいパーツなので、光に当てると透けてしまいます。なのでサーフェイサーや下地塗装はしっかりやっておきたい。
というわけで、Flak41が完成したので、次回からは再びフラックワーゲン車体の組み立てとなります。いよいよあのバカでかい装甲板の組み立てやで!