どうもこんにちは。
先日無事に「軽駆逐戦車 ヘッツァー」が完成したので、次の戦車を作ろうと思います。
前回のヘッツァーは「軽駆逐戦車」という比較的軽くて小さい駆逐戦車だったので、今度は逆に大きい戦車を作りたいと思いました。
なので、先日ヤフオクで粘りに粘った末に入手することができた、ドラゴンの「超重戦車 マウス」を作ろうと思います。元が史上最大の戦車というだけあって、完成時が楽しみです。
ということで、この記事では史上最大の戦車「超重戦車 マウス」がどんな戦車かという説明と、入手したドラゴンの超重戦車 マウスのキットの内容についてまとめてみました。
元が超巨大な戦車だけに、プラモデルもどれくらい大きいか気になるところ。パーツ単位ではありますが、今まで作った戦車模型と比較して「どれだけバカでかいか」もチェックしました。
↑以後、超重戦車 マウスの製作日記はこちらにまとめていきます。
超重戦車 マウスとは
まずは模型の元となった超重戦車 マウスについて紹介します。これから制作する「超重戦車 マウス」を超ざっくり説明すると、
- デカい
- 硬い
- 重い
といった戦車です。…ええ、超ざっくりです。
ただこれだけじゃ何のことだかサッパリわからないかと思いますので、もう少し詳しく見ていきます。
史上最大の戦車 それが超重戦車 マウス
もしもあなたが職場や学校、パーティーの席で「超重戦車 マウスってなぁに?」って聞かれたら「史上最大の戦車だよ」って答えればだいたいOKです。
世界各国が様々な戦車を開発しますが、そんな世界各国が唖然とする総重量188トンというケタ外れな戦車、それが超重戦車 マウスなのです。
参考までに以下はドイツが製造した「重たい」戦車の重量になります。
- 世界的に知名度のある重戦車「ティーガーI」が57トン
- ティーガーIの発展型である「ティーガーII」が69.8トン
- ティーガーIIをベースにした重駆逐戦車「ヤークトティーガー」が75トン
…といった、「重」がつく戦車や駆逐戦車ですら100トン未満だというのに、超重戦車 マウスはその倍以上の188トンというムチャクチャ重たい戦車であり、「重戦車」の更に上を行く「超重戦車」というカテゴリに分類されます。
もちろんこの「超重戦車」に分類される戦車はマウス以外にも各国で開発がされておりました。
しかし、それらはせいぜい100トン前後、しかも多くが計画止まりで、実現に至ったものは少ないし、量産されることもありませんでした(マウスも試作が2輌だけですが)。
強いて言えばマウスの影響を受けた日本が”オイ車”こと「大型イ号車」という150トン級の戦車作ったくらい(当然ながら量産化されず)。
ヒトラーの思想(夢)が凝縮された超重戦車マウス
第二次世界大戦の初期、ドイツは軽戦車である「1号戦車」、「2号戦車」および攻撃力のある「3号戦車」や「4号戦車」といった主力戦車でポーランドやフランスを侵攻しました。
これらのドイツ戦車による戦術は「電撃戦」と呼ばれ、持ち前の機動性を活かし素早く敵陣を攻撃・突破し、敵に陣地の再構築・再編成をするスキを与えないものでした。
もちろんこれらのドイツ戦車に対して連合軍戦車の火力が上回ることもありましたが、ドイツ軍は優れた戦術でその戦車性能の不利を跳ね除けました。
しかし、ソ連を相手に戦う「東部戦線」では、ソ連の主力戦車である「T-34」の前ではこれらドイツの主力戦車が全く刃が立ちませんでした。いわゆる「T-34ショック」というやつです。
その戦訓からドイツは「ティーガー」や「パンター」といった、ソ連の戦車に対抗するための重戦車を開発するようになり、ドイツとソ連の戦車開発合戦が始まります。
この頃になると従来の戦車の設計哲学である「バランス型」を捨て、機動力を犠牲に攻撃力・防御に特化した「重戦車」を求めるようになりました。
しかし総統閣下ことアドルフ・ヒトラーは、ティーガーやパンターに飽き足らず、「ヨシフはT-34やKV1に続き新型戦車を作るやねん。それらに対抗するンゴ」と考えます。
そして「100トン超える戦車作れや」という無茶な要求を、当時戦車作ってたクルップ社やポルシェ社に競わせる形で開発させたという。
最終的にマウスの車体はポルシェ社、砲塔はクルップ社がそれぞれ手がけることになりました。
主砲は12.8cm、装甲は最大240mmと何もかもが巨大。ただし
超重戦車 マウスの特徴といえば「巨大」とか「史上最大の戦車」といったところにありますが、ただ単に大きいだけでなく、火力面や防御面においても常識ハズレなシロモノでした。
主要箇所は装甲厚100mm以上の鉄の要塞
ヒトラーが超重戦車マウスに一番求めたものは「防御力」でした。
マウスの装甲は、砲塔上面の60mmと車体の底面の50mm、車体中後部の60mmを除けば装甲圧100mm以下の場所は存在せず、砲塔は前面が最大240mm、側面と後面も200mmでした。
車体も前面が200mmで側面が180mmとなっているなど、まさに鉄の要塞。その上、前面装甲板は35度の傾斜装甲になっているので、実質350mm相当の防御能力となります
連合軍のあらゆる戦車を破壊する主砲「12.8cm KwK44/L55」
また、搭載している砲も、“第二次世界大戦中最強の対戦車砲”とされる「12.8cm Pak44/L55」を、戦車砲として改良した「12.8cm KwK44/L55」を採用。
この非常に強力な砲は超重戦車マウスだけでなく、キングタイガーをベースとした駆逐戦車「ヤークトティーガー」にも搭載されており、ヤークトティーガーの射貫性能によると、
・T-34/85の前面装甲を3,500mから貫通。
・KV-85の前面装甲を3,500mから貫通。
・IS-2の前面装甲を3,500mから貫通。
・クロムウェル巡航戦車の前面装甲を3,500mから貫通。
・チャーチル歩兵戦車の前面装甲を3,500mから貫通。
・M4A2シャーマン中戦車の前面装甲を3,500mから貫通。
・M4A4シャーマン中戦車の前面装甲を3,500mから貫通。
マウス(戦車) – Wikipedia
となっており、T-34ショックによって危険視していたソ連の戦車はもちろん、イギリスやアメリカといった連合軍の主力戦車を3,000m以上離れた場所から撃破出来る大火力。
先述の通り、ありとあらゆる連合軍戦車をアウトレンジから撃破することができる非常に強力な砲であるわけです。
ところが肝心の総統閣下は、超重戦車 マウスのモックアップを見て『この戦車には12.8cmでもオモチャの大砲のようだ』とイチャモンを付け、もっとでっかい砲を載せろと無茶な要求をしたという。
しかし12.8cm砲を載せろと指示したのは他でもないヒトラー本人。現場の人たちはヒトラーの無茶振りに対し「えっお前アホなん?」と思ったに違いない。
なお、もしも12.8cmの代わりに載せるとしたら、同じく超重戦車である「E-100」(試作止まり)に搭載予定だった「15cm KwK44 L/38」あるいは「17.4cm KwK44」が候補になっていたという。
ちなみに主砲ばかりに目が行きがちですが、副砲もまた「36.5口径 7.5cm KwK44戦車砲」というアメリカのM4シャーマンに匹敵する火力を持っています。精度は良くないらしいですが…。
それらの代償として…
ただ、強力な砲と堅牢な装甲の代償として、188トンという重量は
- 走行速度が遅い(時速20km)
- 橋を渡れない(57トンのティーガーですら殆どの橋の重量制限をオーバー)
- 足回りへの負担がハンパない(重量が災いして修理に重労働を要する)
…といったデメリットもつきまといます。
重量に関する問題はティーガーI(57トン)の時から顕著になっており、188トンというケタ外れなマウスは尚の事。現地で修理を行う兵士たちの腰が心配になるレベル。
また、巨大な車輌を作るわけですから、1輌にかかる人件費、材料費、時間といったコストも巨大なのはお約束。マウスをつくるために他の主力戦車の製造が滞っては本末転倒である。
そのためマウスは試作が2輌しか完成せず、量産化されることはありませんでした。
名称の「マウス」について
ティーガー、パンターといった主力戦車にネコ科の動物の名前がついているのに対し、それらよりも(カタログスペック上は)強力な戦車なのに「マウス」という名称がつけられました。
当初は史上最大級の戦車に相応しい「マンムート(=マンモス)」という名前が与えられていたが、これは後に変更されました。
名称の変更については、あえて「マウス」という小さい印象を与える名称にすることで、情報を秘匿する狙いがあったと言われています。能ある鷹は爪隠す的な感じで。
ちなみに、マウスがもし量産されていたら「8号戦車 マウス」となったのですが、「5号戦車 パンター」、「6号戦車 ティーガー」と続き、「あれ、7号は?」となります。
この7号戦車には「レーヴェ」と呼ばれる、70トン級と90トン級の2パターンの重戦車が計画されていました。
しかし、ティーガーやパンターに加えて更に重戦車を作ることは資源の浪費につながり、また後のマウスとなる100トン級戦車の開発がヒトラーによって進められていたこともあり、レーヴェは生産に至らず計画で終わりました。
なお、その他にも巨大戦車は計画されていた
ティーガーIクラスの重戦車ですら他国にとっては「すげぇぇぇぇ」レベルなシロモノなのに、更に重たいティーガーII、ヤークトティーガー、そして超重戦車マウスと来た。
そこからドイツの工業技術の高さとロマンを感じるのはモチロン、なんとドイツはマウスを超える更にバカでかい戦車を計画していたという。
しかも2つも。
陸上巡洋艦 P1000 “ラーテ”
そのうちの一つが「ラーテ」と呼ばれる全長35メートル、重量なんと1,000トン級の巨大戦車。
主砲は「シャルンホルスト級戦艦」に使われる28cm 3連装砲塔から中央砲を抜いた(おそらく軽量化のため)ものを搭載予定だったという。
マウスの5倍以上の重量と建造物クラスの巨大さ、そして搭載砲は戦車砲ではなく艦載砲であることから「超重戦車」ではなく「陸上巡洋艦」の異名を持つ、何もかもがケタ外れな戦車でした。
P1500 モンスター
そしてもう一つが「P1500 モンスター」という、1,500トンの戦車。陸上戦艦 ラーテの後だと感覚が麻痺してくる。
このモンスターは、世界最大のカノン砲として有名な「80cm列車砲」を自走化させたものとして計画していました。
世界最大の砲に世界最大の戦車…もはや戦争に勝つのではなく、戦車の大きさに勝つことが目的なのではと思ってしまう妄想の産物。
しかしドイツの技術者はこれらを大真面目に計画していたという。お前ら戦争しろよ…。
当然実現しない。
188トンのマウスどころか、その3分の1以下の重量であるティーガーですら渡れる橋が殆どない状態なのに、1,000トンとか1,500トンの戦車が通れる橋や道なぞ無いに等しい。
仮に通れたとしても、超重量ゆえに少しの段差やぬかるみで簡単に走行不能になり、一度動かなくなったら戦闘は保留にして、敵味方問わずみんなで引っ張り出さなければならない。戦争なんてやってる場合ではない。
…そんなわけで製造から実戦配備まで、あらゆるセクションで貴重な資源と人員と時間の浪費でしかないため、当然ながら計画段階で却下された。実現してたまるか。
…以上が実物のマウス(および超重戦車)に関する大まかな説明となります。つくづくドイツとは夢と希望にあふれる国である。
ただ、いくら文章で「マウスでけぇぇぇぇ!!」と語っても読んでる人にとっては「はい??」となることでしょう。
なので実際にサイバーホビー(ドラゴン)の超重戦車 マウスを見て、そのデカさを実感していただこうと思います(それが本題)。
ドラゴンの「超重戦車 マウス」をゲットしたから紹介するよ
お待たせしました。
それでは今回入手したドラゴンの「超重戦車マウス(CH9133)」について紹介します。こっちが本題です。
“史上最大級の戦車”ということで、ぜひとも作ってみたいと思ってたのですが、ショップを見ても取り扱っておらず、あったとしても転売屋のカス共のせいで定価の3~4倍になっているというレベル。
そんな中、奇跡的にヤフオクで超重戦車マウスのキットが出品されていたので落札。3,600円という安さで入手することができました。感激。
ドラゴンの超重量マウスのバリエーション
まずひとつが無印ドラゴンの超重戦車 マウス(No.6007)。おそらくこれが原型だと思われます。
ドラゴンのキットの中でも比較的古いものなので、ショップを探してもなかなか見つかりません。
こちらはサイバーホビーの超重戦車 マウスw/ドイツ軍 戦車猟兵(No.9133 )です。今回購入したのがこのキット。
先述のドラゴンのマウス(No.6007)がベースとなっており、そこに「ドイツ タンクハンターズ(No.6034)」という兵士のフィギュアがセットになったもの。
そしてもう一つがドラゴン製モデルをサイバーホビーブランドとして輸入・販売している「プラッツ」が提供するガールズ&パンツァー 超重戦車マウス 黒森峰女学園(GP-24)。
ドラゴン製マウスのキットをベースに、作中で登場したマウスを再現するためにデカールを変更した内容となっています。説明書も若干仕様が変わっているとのこと。
デカールが従来のドイツ軍の国籍マークではなく、作中のもの(黒森峰女学園)に変更されているので迷いました。
こちらはドラゴンではありませんが、TAKOM(タコム)というメーカーが販売している超重戦車 マウスです。
ドラゴンや他のメーカーの1/35スケールのマウスが品薄になりつつあり、現時点で入手できる貴重な1/35 マウス。ドラゴンとの違いは、履帯と転輪が可動式な点で、ラジコン化させたい人にもオススメ。
ちなみに、あの「陸上戦艦 ラーテ」の1/144キットもタコムが出しています。
…以上がドラゴン系(およびタコム)の1/35のマウスの種類です。
その他にも1/72のマウスがあり、それをベースにしたガルパンおじさん兼プロレスラーの蝶野正洋氏とコラボした「超重戦車級王者 マウス」という、よくわからないマウスもあります。
興味がある人はぜひ。
超重戦車マウスのキットで気になるところ
箱の中身を取り出して並べてみるとこんな感じでパーツの入った袋が9つとデカールが1つ、そして組み立て説明書が1冊入っていました。
巨大な戦車だけに構成するパーツもビッグサイズですが、その反面パーツ数はそこまで多くはなさそうです。
それでは各種パーツで気になったところを詳しく見ていきます。
車体パーツがでけぇ!!
「超重戦車マウスのプラモデルで気になるところ」と言われたらやはり「どれくらい大きいのか」でしょう。実物が史上最大級だっただけにプラモデルでもそのサイズは圧巻!
何と言っても印象的なのは車体パーツのデカさ!
過去にもティーガーIやケーリアン(車体はパンター)の車体パーツを見て「でけぇ!」ってなってましたが、マウスはそれを上回るデカさ。
マウスの車体パーツ単体だけ並べても大きさがイメージしづらいので、過去に作った「ティーガーI」と「5号対空戦車 ケーリアン」を横に並べて大きさを比較。もちろん全部1/35スケール。
車体だけでもデカいのですよ。超重戦車ですから。
この圧倒的な車体サイズに感動すると同時に、置き場所がないことに頭を悩ます。
先日完成したばかりのヘッツァーとも比較。どこかで見たような構図である。
“軽”駆逐戦車に対しての”超重”戦車である。サイズの差は一目瞭然。
砲塔もでけぇ!!
車体が既存の戦車よりも巨大なのだから砲塔もまた巨大なのである。横にヘッツァーを並べてみたら、ヘッツァーの車体とほぼ同じ大きさでした。
ちなみにヘッツァーの重量は15.75トンなのに対し、超重戦車マウスは砲塔だけで55トンとのことで、ヘッツァーおよそ3.5輌、ティーガーI(57トン)1輌に匹敵します。
こちらは車体の両サイドに取り付けられる側面装甲板。実物マウスの側面装甲板は「ティーガーII」の砲塔正面と同じ180mm。
ただ、プラモデルだと1枚のノッペリしたプラ板に過ぎないので、ここに圧延装甲板特有の「荒れ」とか被弾痕といったディテールアップを加えてやると面白そうです。
砲身パーツは2ピース構成
こちらは砲身のパーツ。
左右2ピースで構成されているので、また合せ目を消す作業をする必要がある。今まで何度か合せ目消しはやりましたが、合せ目がちゃんと消えてるのかどうかちと怪しい…。
ちなみにその左下には副砲の7.5cm砲があります。
履帯は連結式
超重戦車マウスの履帯は連結式になっていました。
ただ、ランナーをよく見ると、1コマのパーツと3コマのパーツがありました。説明書を確認したら履帯パーツは3種類あり、1コマのパーツにもう1つ異なる形状の履帯をそれぞれ交互に取り付けるようです。
この辺は文章だけだとわかりにくいので、実際に組み立てるときに詳しく解説します。
また、連結式履帯なので履帯のたるみとかも再現出来ますが、側面装甲板で大半が隠れてしまうので、あまり神経質にならずに済みそうです。
デカール
マウスのデカールは真っ白です。
今まで作ってきたドイツ戦車模型のデカールといえば、国籍マークは白と黒の2色だったり、砲塔番号は白枠に赤文字みたいなパターンが多かったですが、今回のデカールは白一色。
また、国籍マークや砲塔番号の他に、砲塔側面や砲身に貼る「撃破マーク」のデカール、付属の兵士フィギュア用のデカールもあります。
なお、マウスは試作が2輌つくられただけなので、砲塔番号などはありません。史実を再現するならば国籍マークだけとなります。
説明書
もちろん説明書も付属しています。
上の写真は開いた状態で撮影したので細かい部分がちょっと見づらいですが、ざっと見てみるとそこまで複雑なものではなさそうです。
ただ序盤の転輪の数の多さには精神をジワジワと削られそうではある。
まとめ
小さいヘッツァーを作ったあとだからか、この超重戦車マウスが極端に大きく見えてしまいます。もともと大きいですけど。
過去に作ったティーガーやケーリアンよりも大きい反面、思ったよりパーツ数は少なく、そこまで難易度は高くないと予想。
ここまで紹介していると早く作りたくなります。「でけぇなァ…」と連呼しながら作っていきますので乞うご期待!!
↑ということで次回から超重戦車 マウスの製作に入ります。