ドラゴンのキングタイガー(ヘンシェル砲塔)の組み立てを再開します。今回はリアパネルの組み立てから車体の完成まで進めました。
プラモデルにおけるキングタイガーの車体上部はティーガーIや4号戦車などと違って大きな1つのパーツで出来てるので、車体上部そのものはスムーズに組み立てが進みました。
過去のキングタイガー製作日記は以下から読むことが出来ます。
リアパネルの組み立て
まずはリアパネルの組み立てからスタートします。
説明書は7番ですが、写真が逆さまになってるせいでちょいとややこしい。
こやつがリアパネル。
大きな1パーツに排気管やジャッキ、C型シャックルを取り付ける作業となります。
排気管の組み立てとディテールアップ
こちらは排気管。
排気管自体は2つのパーツを張り合わせるだけで簡単ですが、張り合わせると当然「合わせ目」が出来ます。これは後から取り付ける装甲カバーで隠れますが、念の為消しておきました。
また、この排気管は筒の部分がやや肉厚です。実際の排気管はもっと肉薄なので、拘る人はここを肉薄にします。手順としては
- 1.8ミリのピンバイスで排気管の穴を広げる
- 排気管の上部に0.3ミリのピンバイスで穴を開ける
- そこに伸ばしランナーを通して接着し、異物混入防止ピンを復元
といった方法があり、これは「プラモつくろうCUSTOM」の石井優二さんによるキングタイガー製作で紹介された技法です。
排気管の他にもC型シャックルやジャッキ台も取り付けます。
なお、ドイツ戦車を作るたびに、リアパネルにあるモールドは何なんだろうなと思っていたのですが、キンタの場合だと、
- 中央の大きな円はエンジン点検用ハッチ
- エンジン点検用ハッチの上にある小さいハッチは、ガソリンエンジン始動機付きシャフト差込口
- 排気管(右)の下にあるやつがエンジン始動クランク(手動)差込口
- エンジン点検用ハッチの左側にある楕円形のやつは冷却水加温装置のカバー
- 両端にある4つのボルトで固定されているのは履帯の張度調節する装置のカバー
というものでした。
排気管装甲カバーの違い
こちらは排気管の基部に取り付ける装甲カバーです。
この装甲カバーも2種類のどちらかを選ぶものですが、何が違うかと言うと
- カバーの上部後端が直線的な面取り形状のものが従来型
- カバー上部および下部が丸みを帯びた形状になっているものが、1944年6月から採用された新型
とのことです。ただ1944年6月から採用されたとはいえ、旧型もストックが尽きるまで使われ続けたほか、右用のカバーを左側に装着するといった事もあったそうです。
…まぁ大戦末期ですので、マニュアル通りとはいかないようです。
ジャッキの組み立て
お次はリアパネル中央下部に取り付ける「ジャッキ」を作ります。
ほとんどのOVMが1パーツで構成されている中、この「ジャッキ」はやたらパーツ数が多いヤツです。
とはいえジャッキ自体の組み立ては難しくないので、いつも通りのんびり音楽でも聞きながら作ります。
ちなみにジャッキはキングタイガーの場合、上の写真のように車体下部側面装甲のアイプレートの切り欠き部分に噛ませて使います。
本当は地面との間にジャッキ台を噛ませますが、ジャッキ台は既に取り付け済みなので4号の遊動輪を代わりに置いてみた。
しかし、70トン近くあるキングタイガーをこんな小さなジャッキで持ち上げられるの? …と、作って思いました(できなければ装備しませんけどね・笑)
ジャッキの留め具はエッチングパーツかプラパーツを選択
ジャッキ本体が完成したので、次はそいつをリアパネルに取り付けるための「留め具」を作ります。
留め具は組み立てが簡単なプラパーツか、無茶苦茶しんどいけどリアリティあふれるエッチングパーツのいずれかを選択して作ります。
しんどいのイヤだからプラ使いたいけど、それだとショボイ製作日記になってクレームが来る気がしたので、エッチングを使うことにしました。
使うエッチングは3点で、これらを上手いこと直角に曲げて留め具を作ります。
まずは土台となる一番細長いヤツをコの字に曲げてリアパネルに取り付けます。
そんでもってその上にジャッキを乗せて蝶ネジを噛ませて固定。
…ってなるはずですが、説明書に記載された蝶ネジパーツだと長さが足りん?!
エッチングの蝶ネジの横にプラの留め具を置いて大きさを確認するとこんな感じ。どー見ても蝶ネジの長さが足りない。
こりゃいつものドラゴン(=誤表記)だと思い、他に該当パーツがないかエッチングのランナーを探したところ、長さがバチピタのやつを発見。
ほら見ろ、やっぱりピッタリじゃないか。
ひとまず、これでリアパネルに取り付けるべきパーツはほぼ完了しました。
車体上部(前部)の組み立て
車体下部が完成したので、ここからは車体上部の組み立てとなります。具体的には以下の内容です。
- 車載機銃の組み立て
- ボッシュライトの組み立てと配線の追加
- ペリスコープの取り付け
- ベンチレーターカバーの形状の違い
- フェンダーのダメージ加工
ティーガーIや4号戦車のように、正面装甲板や側面装甲板などが無く、1つの大きいパーツでこれらが再現出来るので、工程数は少なく感じました。
通信手席の車載機銃を組み立てる
まずは通信手席の車載機銃を作ります。
銃身をボールマウントにぶっ刺すだけのタミヤと違い、ドラゴンは車載機銃は内部までシッカリ作り込まれています。
ハッチを閉じるとこの部分が見えなくなるのが惜しいですが、ちょっとした内部構造を知ることが出来ます。
ついでにいうと今回はフィギュアを搭載しようと思っているので、ハッチは開いた状態で固定します。やったね。
作った機銃はこんな感じにボールマウント式銃架に固定します。これで3Dスティックのようにグリグリ動かすことが出来ます。
でもあまり動かしすぎるとボキッとなるのでほどほどに。
ボッシュライトの組み立てと配線の追加
続いて、ドイツ戦車ではおなじみの「ボッシュライト」をつくります。
ドイツ戦車を作り始めたばかりの頃はこのライトをよく折ってたので、「次に作る時はボッシュは最後にしよう…」と毎回誓ってましたが、説明書に沿って作るので今回も道中で取り付けちゃいました。
ライトは台座、ライト本体、中に埋め込むクリアパーツ、カバーの4点で構成。ライトの内部にクリアパーツを入れるタイプは初です。
また、今回のドラゴンのキングタイガーには、ライトの配線として硬い金属線(上の写真の手前のやつ)がオマケとして入ってます。
…が、これがまた微妙な角度で固定されて曲げるのもしんどいので、コードはいつも通り銅線で作りました。直線カクカクよりも適度にフニャッとしてる方がコードっぽく見えますしね。
車体のペリスコープは先に取り付けることにした
車外に顔を出さなくても外が見えるように、キングタイガーの通信手席と操縦手席にはペリスコープ(潜望鏡)がついてます。今回のキットではペリスコープはクリアパーツで再現されてました。
ともなれば、車体塗装とかの色が付着しないようにする必要があり、塗装後に装着するか、あるいは先に装着してマスキングするかの二択となります。
キングタイガーのペリスコープにはガードがついているので、後付けとなるとこのガードも後付けになって面倒なので、今回はレンズ部分にマスキングして先に付けました。
ペリスコープは穴にスポッとはめ込んで接着するだけ。
ペリスコープ回転台座の仕様変更
操縦手席のペリスコープは周囲を見渡せるように回転式になっています。この回転台座もキングタイガーの製造時期によって形状が異なり
- 初期型砲塔(ポルシェ砲塔)では回転台座の窪みが直線状に入ってる
- 1944年7月まで、回転台座の窪みは台座周囲のみ加工される
- 1944年7~9月はペリスコープガード後方が部分的にカットされる
といった変化が見られます。今回のキットは上記でいう2番目を再現しています。
トランスミッションハッチのベンチレーターカバーの違い
トランスミッション交換用ハッチ(操縦手・通信手ハッチがある部分)の中央には換気用の「ベンチレーター」があり、その上には装甲カバーが取り付けられます。
説明書を見ると、ベンチレーターカバーは2種類あり、いずれかを選択するようになっています。
で、上の写真のようにカバーを並べて比較すると、片方のカバー上面が斜めにカットされてます。これは1944年6月以降に変更されたもので、砲塔の防盾や後部の張り出しと干渉しないためとのこと。
同様の理由で車体上面後部のエンジンハッチのベンチレーターカバーも形状が変更されています。
フロントフェンダーの加工
マッドガードとか(フロント)フェンダーと呼ばれる部分は実物は薄い鉄板で出来ており、ちょっとした衝撃で凹んだりひしゃげたりするそうです。
しかしプラモデルでは成形の関係で肉厚になってるので、実物同様にフチを削って薄っぺらくしてやります。
上の写真は削る前後の厚みの比較。
ついでにフェンダーに布を噛ませてラジオペンチで挟んでグニグニ曲げて、ボコボコになった感じを再現してみました。
フェンダーは削って薄くなってるので、力を入れすぎるとパキッとお釈迦になるので、あくまで少しずつ優しく曲げます。
また、ラジオペンチで挟むときは跡がつかないようにティッシュを噛ますのを忘れずに。
エンジン点検用ハッチの取り付け
車体の前方を組み上げたので、今度は車体上面の後ろの「エンジンデッキ」にもパーツを取り付けます。
といっても、この段階では組み立てたエンジン点検用ハッチをペタッと貼り付けるだけで、ラジエーターのグリルメッシュ類などは次に回します。
こちらがエンジン点検用ハッチ。ここにはベンチレーター用の装甲カバーと、ハッチを開ける時に握るハンドルを取り付けます。
このベンチレーターカバーもトランスミッション交換用ハッチのものと同様に、砲塔側(上の写真の左側)のカバー上面が平らになっていますが、斜めカットはされてませんでした。
また、ハッチはハンドルを使って開閉しますが、重たいのでアーチ状の部分(上の写真でいう中央下部にあるやつ)に工具を通し、テコの原理で開けたとのこと。
パーツに穴は開いてないので、気になる人は開口しておきましょう。
組み立てたハッチはそのまま車体後部のエンジンデッキに取り付けます。
エンジンデッキには他にも工具やクレーン吊り上げ用のフック、そしてラジエーターグリルのメッシュなどを付けますが、それは後回しにして先に車体を合体させます。
上下車体の合体
ここまでやれば車体の下部と上部を合体させても大丈夫なので、キングタイガーの上下車体を合体させて、「車体」の土台を完成させましょう。
ただ、大きいパーツを合体するわけですから、ズレや隙間が出来るとエライことになります。必ず仮組みしてパーツの位置関係を確認した上で接着します。
リアパネルの取り付け
まずは先ほど組み立てたリアパネルを車体下部に取り付けます。キングタイガーの装甲は傾斜装甲なので、リアパネルも斜めに取り付けられます。
そのため、直角のやつとは事情が違ってくるので、仮組みして隙間がないことを確認して、マスキングテープで固定して内側から流し込み接着剤を塗布。
上下車体の結合
続いて、車体の上下を合体させます。前回の組み立てで転輪や履帯が車体についたままなので、そいつらを外してリアパネルの時と同じように仮組みします。
で、いい感じに噛み合ったら上の写真のようにマスキングテープをキツめに貼りつけて、隙間をなるべく埋めます。
そして隙間に流し込み接着剤をスーッと浸透させて上下車体を接着します。
車体が出来上がった!
冒頭通り、今回はリアパネルの組み立て、車体上部のフロント部分を組み立てて、上下の車体を結合させるところまで進めました。
これで車体の土台が出来たので、次回はここにOVMを取り付けたり、エンジンデッキにパーツを取り付けます。
エンジンデッキはともかく、OVMは留め具でエッチングパーツをこれでもか! というくらいに使うので今回のキングタイガー製作において最も修羅場となります。
どこまで拘り、どこを妥協するかを見極めないとドツボにはまります。
本当はこの記事でOVMについても書こうと思ってましたが、あまりに鬼畜すぎて茶番いれすぎて無駄に長くなったので、次回に回します。
次の記事はこちら。予告どおりOVMにいぢめられてます。