どうもこんにちは。
今回から新しくブロンコのプラモデル「フラックワーゲン」を作っていきます。
最初の組み立てはいつものように「足回り」からですが、このフラックワーゲンはサスペンションが可動式でグイグイと動くし、転輪もクルクル回転するといったギミックがあります。
これまでもこういった足回りが可動式となっている戦車模型とはいくつか出会いましたが、このフラックワーゲンは、サスペンションから転輪まで、「どうすればギミックを犠牲にせず組めるか」を考えさせられとても刺激的でした。
ということで、まずはサスペンションや転輪を中心に、足回りの組み立てからスタートします。
ちなみに、フラックワーゲンの製作日記は上記のページにまとめています。
フラックワーゲンの足回りを組み立てます
フラックワーゲンはモデルとなった車輌名（Pz.Sfl.IVc）に「IVc」とあるように、一部のコンポーネントを4号戦車から流用しています。
しかし、箱絵などの完成品を眺めると4号戦車の面影はなく、全く別の車両のように見えます。
特に4号戦車のサスペンションは「リーフスプリング式」なのに対し、このフラックワーゲン（Pz.Sfl.IVc）は「トーションバー式」を採用していたり、ハーフトラックを彷彿させるようなオーバーラップ式転輪だったりと、足回りの違いは大きい。
先述の通りサスペンションや転輪は可動式で、その分パーツの組み立てには頭を使いますが、それだけに組み立てもギミックも楽しませてくれました。
ということで説明書に従ってまずは1番目から。メインとなるトーションバー式サスペンションの組み込みからスタート。
トーションバーの取り付け
パンターやティーガーなどでも使われる捻った時の反発を利用したサスペンション、それがトーションバーサスペンション。
今までの経験では、ドラゴンだと最初から車体シャーシと一体となったモールドが施されていて、タミヤだと車体外側はパーツ化されていても車体の内側にはデフォルメされているといったパターンでした。
しかし、今回のフラックワーゲンでは車体内部までしっかりトーションバーが再現されていました。
こちらがトーションバーのパーツ。バーというだけに細い棒状のパーツなので、折れないように注意しつつ切り離しや整形をします。
あとは説明書を確認しながら向きだけ注意して片側8本ずつ通していきます。
接着はトーションバーの先端にのみ流し込み接着剤を塗って固定します。
この時、車体を側面から見てちゃんとトーションバーがみんな同じ向き（角度）かを確認します。
上の写真のようにトーションバーは動きます。指を離せば元の位置に戻ります。
牽引装置の取り付け
お次は4号戦車に着いているような牽引装置を組み立てて、車体前面下部に取り付けます。
ここでキモとなるのは、牽引具を通すためのピンにエッチングパーツが使われているという点。
牽引装置自体が小さいパーツなのに、更に小さくて薄っぺらいエッチングパーツを取り付けねばならんので、（牽引装置限定で）今までに無いくらい神経つかいました。
まずは牽引装置の土台に2つのパーツを取り付けます。ここはドラゴンやタミヤのキットでも同じ。
これら2つのパーツは形状が違いますが、パーツの上下に小さい穴がある方が車体内側に来るようにします。
で、問題は牽引装置に通す「ピン」のパーツ。
上の写真のように、ピン部分は細い棒状のプラパーツで、握り手部分と脱落防止用チェーンはエッチングパーツとなります。
エッチングパーツは通常の接着剤（セメント）ではなく、金属用の瞬間接着剤を使いますが、これまでの経験上、プラスチックパーツ同士の接着と比べると接着力が弱く感じます。
また、非常に薄っぺらく、接着面が狭いパーツなので、接着する場所に持っていくだけでも一苦労。
更に追い打ちをかけるように、これらのパーツ（特に脱落防止用チェーン）は牽引具の形状に合わせてダランと垂れ下がるように曲げるという。
メチャクチャ神経使いましたが、プラパーツとかでは再現できないような細かすぎる質感を再現することが出来るので、根気よく取り付けませう。
まずはグリップ部分。
瞬間接着剤をプラ板などに1滴ほど垂らし、爪楊枝や伸ばしランナーで作った細い棒で接着面に塗り、ピンセットでパーツを貼り合わせる。
比較用に置いた1円玉を見てわかるように、とにかく小さいパーツなので、呼吸を止めて全神経を指先に集中させます。まるで狙撃手のような気分です。
そのあと牽引装置の穴に合わせてピンを通しますが、穴がギリギリの大きさでピンがうまく通らない場合があります。その時はピンバイスで穴を広げます
そして最後に脱落防止用チェーンを牽引具と握り手の穴に通すように取り付けます。
チェーンは重力に従って垂れ下がるように曲げるので、先に牽引具側に接着して、しっかり定着してから曲げて握り手側に接着といった手順でやりました。
一度に両側を接着しようとすると片側が取れるので、焦らずじっくり片側が固定されてからもう片方に着手しましょう。
あとはこれを車体下部の前面の溝に合わせて取り付ければOK。
小さなエッチングパーツの取り付けには苦労しましたが、脱落防止用チェーンのような極小モールドを再現できるのはエッチングパーツの魅力なので、挫けずめげずに接着します。
なにしろまだエッチングパーツは大量に残っているわけですからね。あはははは…。
あとは説明書に従って残りのパーツを取り付ければ1番目は完了～！
転輪の組み立て・取り付け
続いて説明書は2番目に入ります。
ここでは先ほど取り付けたトーションバーに転輪を取り付けていく作業がメインとなりますが、各転輪は回転する仕様となっているので、組み立てには頭を使います。
サスペンションに転輪、そして後に作る履帯まで可動式なフラックワーゲン。内部にモーター搭載したら走行させられるんでね？ってなるくらい何から何まで動いちゃいます。
なお可動式ということは、接着場所を間違えると動かなくなるので、そのぶん従来の転輪よりややこしかったです。なのでいきなり接着するのではなく入念に仮組みして、接着場所をしっかり確認します。
説明書の転輪部分を拡大するとこんな感じ。
テキストには“転輪とその間に挟む円柱状のパーツは接着するな”という旨の記載があります。
最初の転輪をトーションバーに通したあと、トーションバーの先端に接着剤をつけ、円柱状のパーツとトーションバーを固定し、転輪を外れないようにした後、もう1枚の転輪を車体側の転輪と接着…といった流れ。
…文章じゃピンと来ないので（ヘタクソな）図で説明します。
- まずトーションバーに転輪（車体側）を通す
- 突き出ているトーションバーの先端にだけ接着剤を塗る（転輪に付着しないよう注意）
- その上に円柱状のキャップを取り付け、トーションバーと接着する
- 車体側の転輪と外側の転輪を接着する
といった手順で組み込むことで転輪は回転するようになり、なおかつ車体に固定されて外れないようになるわけです。
ややこしいですが、転輪がくるくる回って車体からポロッと取れなければOK。
ということで、まずは車体側の転輪をトーションバーに通し、（転輪に付着しないように注意しながら）トーションバーの先端に接着剤をつけます。
そしてその上から円柱状のキャップを通し、トーションバーと接着します。
先程の図の通りだと、このままもう片側の転輪を被せて接着するのですが、それだと隣接する転輪が取り付けづらくなるので、先に隣の転輪を取り付けます。
というようにまずは一列目と二列目の転輪を並べていきます。
従来通りだと足回りは車体奥や転輪のタイヤ部分の塗装を考慮して「ロコ組み」をしますが、今回は可動式履帯なので塗装後に取り付けられるという点と、転輪が回転するのでゴム部分の塗装が楽。
そういったことから、この時点で転輪を車体へ取り付けます。
ひとまず説明書の2番目はここまでですが、転輪の取り付けは続きます。
お次は3番目に突入します。ここでは一番外側の転輪を取り付けるほか、起動輪の組み立てや車体後部へのパーツの取り付けなどを行います。
最初は転輪の続きをやっていきましょう。
…といっても転輪を可動式にするために慎重になるポイントは前回2番で終わったので、あとはその上に残った転輪のパーツを取り付けるだけ。
これで転輪が全部取り付けられました。
上の写真を見ると、転輪がミシンで使う「ボビン」のような形をしています。
なお転輪を下から押すと上の写真のように転輪が持ち上がります。もちろん手を離せば元の位置に戻ります。
これでデコボコな地面に乗せると転輪の形が変わるので、ジオラマ作品などでよりリアルな演出を作ることができます。
もちろん情景作品を作らなくてもこれらギミックがあると作り甲斐がありますし、こうやってクニクニ触っているのも面白いので、可動ギミックは組み立てる最中だけでなく組み立て後も楽しいのです。
起動輪の取り付け
転輪が終わったのでお次は「起動輪」の組み立て・取り付けに入ります。
説明書は遡って2番目にある最終減速機カバーを取り付けるための土台となるパーツを車体の両側面に取り付けます。
このようにペタッとね。
反対側はこんな感じ。
そして再び3番目に戻り、起動輪の組み立てを行います。
転輪と同じように起動輪も回転するので接着場所に注意して組み立てていきます。
起動輪は最終減速機カバーと、起動輪左右、キャップの4つのパーツで構成されています。
やることは転輪の時とだいたい同じですが、こちらは車体側ではなく、起動輪側に脱落防止のキャップを取り付けます。
まずは従来の起動輪と同じように、内側の凹凸を噛み合わせて起動輪同士を接着します。
続いて最終減速機カバーを接着せずに上から被せます。いいですか？被せるだけですよ？接着はしませんよ？
そうすると最終減速機カバー内側に起動輪の突起が見えるので、その上面にだけ接着剤を塗ります。
そして例のキャップを接着。こうすることで回転するけど車体からは外れない仕組みが出来上がるのです。
あとはそれを車体下部側面のモールドに合わせて接着すればOK
ただ、最終減速機カバーと車体の間に若干隙間が出来てしまいました。
なので流し込み接着剤をやや多めにつけてギュッと挟み込み、はみ出た接着剤をパテ代わりにして車体との隙間を埋めます。
すると上の写真のように見事に隙間がなくなりました。やるじゃんオレ！
遊動輪の取り付け
若干手順が前後しますが、転輪、起動輪の組み立てと取り付けを行ったので、このまま遊動輪も取り付けちゃいます。
遊動輪は上の写真のように5つのパーツで構成されています。
遊動輪の内側に取り付ける薄い輪っかのパーツはドラゴンとかではエッチングパーツで再現していますが、それをプラスチックパーツで再現するブロンコの成形技術に驚きます。
遊動輪とは別に車体側にも遊動輪を取り付けるパーツを2つ取り付けます。
まず車体外側に遊動輪を乗せるための突起パーツを取り付け、車体をまたいだ反対側に、もう1つパーツを取り付けるだけ。
これでいつでも遊動輪が取り付けられるようになりました。
一方こちらは遊動輪の組み立て。
まずは薄い輪っかのパーツを、それぞれ遊動輪の内側にはめ込むように取り付けます。
で、上の写真では遊動輪の中央にキャップパーツを載せていますが、この方法だと接着剤が余計なところに付着するリスクが大きいので、先に車体側の遊動輪を通し、突き出た突起の先端に接着剤をつけて、キャップを接着したほうが無難。
また、このキャップパーツは結構キツキツです。
普通のパーツなら隙間はない方が良いですが、可動パーツなのでキツキツだと遊動輪の回転が鈍くなるどころか、下手すれば回転の摩擦で接着が取れて遊動輪が車体から取れてしまう可能性も…。
そのため、キャップを取り付ける穴に丸めた1000番の紙ヤスリを入れて、クルクル回して穴の径を少し大きくし、更に「セラグリス」を可動部分に塗って滑りを良くしてやりました。
ここまでやっておけば恐らく摩擦で接着が取れることはないと思いますが、それでも取れたら諦めて車体に接着して固定します。
上の写真のように、遊動輪（車体側）を突起に通すと、少しだけこの突起が出っ張ります。
この出っ張った部分の先端にだけ接着剤を塗り、先程の円柱状のキャップパーツを接着し、遊動輪が車体から取れないようにします。
他の転輪と比べると接着面が小さくデリケートなので、キャップの接着時間は多めに取っておいたほうがいいと思います。
で、そのあと遊動輪の内側と外側を（可動部分に接着剤がつかないように）接着します。あとはちゃんと回転して、なおかつ車体から外れないようだったらOKです。
まとめ 可動するパーツは作ってて楽しい
フラックワーゲン製作日記の第一号はサスペンションや転輪を中心に作りました。
サスペンションはグニグニ動くし、転輪もクルクル回る「可動式」で、タミヤとかの比較的構造が単純なキットに比べるとパーツ数が増えるし組み立てに頭を使います。
足回りは同じパーツを取り付ける作業の繰り返しなので、手間が増えるとゲンナリするかもしれませんが、足回りの可動ギミックを再現するために「どこを接着して、どこを接着しないか」を考えて作るのは今までにない感覚でした。
もちろん可動式にしないなら何も考えずに接着するだけなので楽ですが、せっかく各パーツが動くわけですから、それを考慮して作るのが模型製作の楽しみだと思いました。
また、これら可動する足回りとは別に、牽引装置の組み立てで登場した「エッチングパーツ」もなかなかしんどかったりで、初っ端から難易度の高いフラックワーゲンです。
足回りでこの難易度だからより複雑な構造のFlak41の組み立てはどうなるか…。
ちなみに現時点では足回りはこのようになっています。
サスペンションのおかげで足回りがグニグニするので触ってて楽しいし、転輪が回転するのでシャーって走らせることも出来ます。可動ギミックは組み立てた後も楽しめるのです。
この段階では何も乗ってないので転輪は一直線になってますが、この先Flak41とかを搭載して重くなったらサスペンションとかのギミックがより活かされていくと思います。楽しみ。
なお、転輪についてはこれでおしまいですが、車体下部にはまだまだたくさんパーツを取り付けます。オレたちの戦いはこれからだ。
