ウェザリング
さて、続いてはウェザリングを行っていきます。
使う塗料や道具に違いはあれど、私がやっているウェザリングは基本的に以下の4つをベースにしています。
- ウォッシング
- スミ入れ
- ドライブラシ
- 足回りの汚し
これは1作目の「ヴィルベルヴィント」を作った時からやってるので、手軽な材料(塗料)で出来るということで現在も続けています。
その他にも最近では経年劣化による塗装の剥がれを再現する「チッピング」や排気管などの「サビ」も追加。
では順番にやっていきます。
ウォッシング
まず最初は全体に泥水のような色の塗料を塗りたくって彩度を落とす「ウォッシング」から行います。
使用するのはタミヤのエナメル塗料「フラットブラック」と「レッドブラウン」を混ぜた色で、こいつを溶剤で10倍くらいに薄めてシャビシャビの色水にします。
こんな感じの塗料になります。
…ただ、参考にしてるプラモ動画ではもうちょっと茶色っぽい塗料になってました。塗料の配合比率がおかしいのかしら?
ひとまずこの色水を全体に薄くまんべんなく塗っていきます。
水のようにシャビシャビなので少量でもスーッと行き渡りますが、エナメル塗料はパーツの接着を剥がすのでビチャビチャにするとパーツが取れます。少量を伸ばすように塗っていきましょう。
何をトチ狂ったか、過去に連結式履帯をウォッシングしようとして悲惨な目にあいました。
同じようにシュルツェンもウォッシングしますが、先述の通り、エナメル溶剤はパーツの接着を剥がすので、特にシュルツェン内側のハンガー周辺は注意して塗ります。
塗料タップリの筆でビチャッと塗るよりも、少量の塗料をピタピタ塗っていった方が安全かもしれません。
ウォッシングした車体とまだウォッシングしてない砲塔の比較。
もちろん砲塔も同じようにウォッシングして、そのあとにエナメル溶剤を含ませた綿棒やティッシュで塗料を拭き取っていきます。
キューポラを拭き取っている様子。
車体や砲塔には車体基本塗装の前に「シリコーンバリヤー」をいたるところに塗っており、軽くこするだけで塗装が剥がれるようになっています。
そのため、竹串などで擦ってやれば「チッピング」のような塗装の剥がれを再現できます。
ただ、今回は積極的に擦って剥がすことはせず、ウォッシングの拭き取りやシュルツェンの着脱で起きる摩擦を利用して、勝手に剥がれるようにしました。その方が自然な剥がれ方になると思ったのです。
スミ入れ
お次は「フラットブラウン」と「フラットブラック」を混ぜて作った塗料を使って、モールドの根本や窪んだ部分を暗くする「スミ入れ」を行います。
スミ入れによってモールドの根本が暗くなり、その後に行う「ドライブラシ」でモールド表面を明るくすることで、明暗差がクッキリ出てパーツがより立体的になるというもの。
スミ入れの塗料はウォッシングほどではありませんが、やはりシャビシャビにして、毛細管現象でモールド根本に塗料をツツーと浸透させます。もちろんハミ出たら溶剤含ませた綿棒で拭き取り。
モールドは車体のあちこちにあり、チビチビとやる作業なので時間がかかりますが、それでもウェザリングとしての効果は絶大。
え? 「ウォッシングで代用出来る」? ………またまたご冗談を。
ドライブラシ
先述のスミ入れと合わせて行う「ドライブラシ」です。
これはウォッシングやスミ入れと違ってシャバシャバに希釈する必要はなく、むしろ瓶から直接筆にとっても良いくらいです。
塗料はエナメル溶剤の「デザートイエロー」を使い、ここに「ダークイエロー」を少量ずつ混ぜ、段階的に明るくしていきます。
こんな感じにウォッシングとスミ入れでドブ川みたいに汚い色した部分にシャッシャッとドライブラシをすることで、ボルトの表面が明るくなります。
筆に塗料をとったらティッシュなどで拭き取って、筆に僅かに残った塗料をモールドのエッジ部分にこすり付けるように塗ります。
5回目くらいでようやくうっすら色が変わる程度が適量です。
足回りの汚し
お次は履帯や車体下部などの足回りを汚します。
地面と接する履帯はもちろん、履帯によって跳ね上げられた泥や土は車体下部にこびりつきますのでそれを再現します。
昔はタミヤの「ウェザリングマスター」や100均で買ったパステルを粉末にしたものを溶剤で付着させる方式で行ってましたが、最近ではGSIクレオスの「ウェザリングペースト」を使っています。
ウェザリングペーストは「マッドホワイト」と「マッドブラウン」の2種類ですが、専用のうすめ液を使うことで固形から液状まで柔軟に対応でき、泥跳ねから堆積して出来た立体感も再現できます。
まずはシュルツェンの下の方にマッドブラウンをペタペタと叩きつけるように塗っていきます。
マッドブラウンが乾いた頃にマッドホワイトを同じようにペタペタ。
これを何度か繰り返します。
ちなみに使ってる筆はこんな感じのボッサボサのやつ。
元はフィギュアやOVMの塗装用として買った面相筆ですが、横着な使い方してすぐにダメにしてしまったので、ウェザリング用として再起用。
今回のような泥の付着を再現するのに適してます。
履帯やその周辺にも同じように液状のウェザリングペーストをペタペタ。
ただ、履帯は接地面や転輪が当たる場所には泥が残らないので、ペーストが乾燥したらうすめ液を含ませた綿棒でこすって拭き取ります。
シュルツェンに隠れた車体下部側面も忘れずに。
車体の前後も忘れずに。
ここは硬めの筆に液状のウェザリングペーストを含ませて指で弾いてやるといい具合に泥ハネが再現できます。
…ただしかなり広範囲に飛んでいくので、泥を付着させたくない場所にはティッシュで覆うなどしてガードします。本当に広範囲に飛びます。私はPCモニターをウェザリングしてしまいました…。
その他のウェザリング
以上の4つが初期の頃からやってきたウェザリングの内容となりますが、それ以外にも新たに取り入れた技法なども最近では行っています。
具体的には以下の3つの方法です。
- 履帯の摩耗表現
- チッピング
- サビ汚れ
履帯の摩耗表現
履帯は地面や転輪と触れることで摩擦が発生し、少しずつ削れていきます。そして削れたことによって履帯の地金が露出します。
それを再現するためにガンダムペイントマーカーの「クロームシルバー」をパレットに出し、そいつを筆にとり、ドライブラシの要領で履帯の接地面や起動輪の歯のエッジに塗ります。
ただ、エナメル塗料を使ったドライブラシと違い、こちらは色が乗りやすく、なおかつかなりギラギラなので、やりすぎるとアルミみたいな軽い金属っぽくなるので付け過ぎ注意。
チッピング
先程は「シリコーンバリヤー」を使って実際に剥がして塗装の剥がれを再現しましたが、こちらは塗装で剥がれを再現します。
ファレホカラーの「ジャーマンブラックブラン」をスポンジにつけて、塗装を剥がしたい場所にポンと押し付けるだけ。
ただしスポンジだと範囲が広くコントロールが難しいので、最近では面相筆で直接書き込んでいます。先述のシリコーンバリヤーの剥がしと併用すると効果大。
サビ汚れ
予備履帯や車体後部の排気管などではサビ汚れを再現することが多いですが、車体や砲塔の塗装が剥がれた部分やボルトなどからもサビは吹き出ます。
その吹き出たサビが雨で流れるのをガイアカラーのエナメル塗料「赤サビ」または「黄サビ」で再現します。
まずは面相筆で塗料をとって、サビを発生させたい場所の根本にちょんとつけ、つぎに溶剤を含ませた筆(面相筆とは別のもの)で下にスッと払えば上の写真のようなサビ流れが出来ます。
エナメル塗料なので失敗したら拭き取ればリトライ出来る点がうれしい。
…さて、これでウェザリングが終了し、4号戦車 J型の完成です。
次のページでは完成した4号戦車の画像をまとめました。