HurricanE(ハリケーン)というと、GuarderやSYSTEMAとかと並ぶ老舗エアガンパーツメーカーで、特にM4・M16系のメタルフレームで定評のあるメーカーでした。
海外製電動ガンがまだ精度が低く、電動ガンはほぼマルイ一択だった頃はこういった老舗メーカーのメタルフレームを組んでM4系の弱点だった首周りを強化したり、ドレスアップをしていました。
しかし最近では海外製電動ガンの精度が向上し、最初からフルメタル仕様になっていたりして、外装カスタムをする必要がなくなったからか、かつての老舗メーカーのメタルフレームは市場から姿を消しました。
一方でHurricanEの「SR-15」メタルフレームだけはショップサイトでよく見かけます。SR-15という機種も含め、ちょっと気になっていました。
そんなタイミングでHurricanEのSR-15メタルフレーム(スタンダード電動ガン用)を入手したので、仕様や気になった点について書いてみます。
HurricanE SR-15 メタルフレームのレビュー
ヤフオクで落札したHurricanEのSR-15メタルフレーム(スタンダード電動ガン用)。
本来、HurricanEのSR-15フレームはストックを取り付けるパイプ部分がフルサイズになってますが、こちらは出品者さんによってカットされています。
フレームの特徴としては、 現行の実銃SR-15 / SR-16と同様にマガジンキャッチやボルトストップなどの「アンビ仕様」を忠実に再現している点が挙げられます(構造上セレクターは左側面のみ)。
今のところ、アンビ仕様を再現したSR-15(SR-16)タイプのフレームは、このHurricanEだけだと思います。
反対側。
本来ならハリケーンのSR-15フレームにはフレームに取り付ける「小物パーツ」が付属しますが、今回はヤフオク入手のため上下フレームのみ。小物パーツは別途で揃えます。
それでは細部を見ていきます。
フレームの各刻印は彫刻で再現
まずはフレーム左側面の刻印。
ナイツアーマメント社(以下:KAC)の特徴でもある「騎士」を模したロゴは彫刻で再現されています。
ロゴの上にはKAC社を創設したリード・ナイトJrの師匠であり、M16系ライフルの生みの親であるユージン・ストーナー氏の名前を取った「STONER RIFLE」という記載があります。
細かいことを言うと、本家SRシリーズにはアッパーレシーバーに「SR-15 E3」とか「CARBINE MOD 2」といった機種が白字で記載されていますが、こちらには記載されていませんでした。
こちらはロアレシーバー左側面。
「SR-15・5.56mm KNIGHT’S MFG. CO. TITUSVILLE FL. U.S.A」と刻印が入っています。
SR-15だけどセミ・フル選択できる
続いてこちらはセレクター周りの刻印です。
ご存知の通り、SR-15は民間・法執行機関用のためセミオートオンリーとなっています。フルオートが出来るのは軍用の「SR-16」。
しかしフレームには「AUTO」の刻印があり、セレクターレバーもフルオートの位置に設定できるようになっています。
「これじゃSR-16じゃないか!」って言いたくなるところですが、
本家ナイツアーマメント社の写真をみると、アッパーレシーバーには「SR-15 E3」とありながら、ロアレシーバーのセレクターレバーはフルオートの位置まで動かせるようになっていたり…。
先述の通り、SR-15はセミオートオンリーで、セミ / フルの選択が出来るのはSR-16なので、これが何を意味するのかはわかりませんが、「こういうこともあるんだよ」ということで。
あとは電動ガン用ですから、「本家はセミオンリーだけどサバゲーでフル使いたいよね?使えるようにしといたよ!」的なものもあるかもしれません。
ロアレシーバー右側面にもセレクターの刻印が入っています。
実銃は右側にもセレクターレバーがついていますが、レバーの形状は左側についてるものとは少し形状が異なり、セレクターがセミの時に右手の人差し指が当たらないように、レバーの下部がえぐられたような形になっています。
…しかし今回のフレームはスタンダード電動ガン(主にマルイ)を対象にしたフレームのため、このアンビセレクターまでは再現できず、ここには従来の丸いキャップをはめ込みます。残念。
SR-15 / 16を再現するためのダミーのアンビセレクター(マルイ電動ガン対応)販売されないかなぁ…。
利き腕を選ばないアンビ仕様
実銃SR-15/SR-16の特徴としてボルトストップやマガジンリリースボタン等の操作が利き腕を選ばない「アンビ仕様」となっています。
HurricanEのSR-15フレームでも実銃のアンビ仕様を忠実に再現しており、これこそがこのSR-15メタルフレームを選ぶ一番の理由といえます。
ナイツ刻印のメタルフレームは色んなメーカーが出してるけど、アンビ仕様まで再現したメタルフレームって今のところHurricanEだけだと思います。違ってたらゴメンナサイ。
まずロアレシーバー左側についているマガジンリリースボタン。アンビ仕様の一つです。
マガジンリリースレバーを交換して再現するアンビマガジンキャッチと違い、リリースボタンが低い位置についているので、左利きの人がグリップを握りながら人差し指で操作しやすくなっています。
また、右利きの人も左手親指でボタンを押せるので、素早い操作が行えるようになります。
こちらはロアレシーバー左側のボルトストップ。マガジンリリースボタン同様にアンビ仕様のひとつ。
ただ、残念ながらスタンダード電動ガン(主にマルイ)用のフレームなので、ボルトストップは両側面ともダミーですが、これが付いていることでSR-15フレームって感じがします。
ロアレシーバー後端のQDスリングマウント
アンビ仕様と合わせてSR-15フレームの特徴であるロアレシーバー後端のQDスリングマウント。
ここにQDスリングスイベルを取り付けることが出来るので、昔買ったMAGPUL PTSのマルチミッションスリング(レプリカ)を取り付けてみたら、ガッチリ装着できて引っ張っても抜け落ちませんでした。
ただ、SR-15の写真を見ると、このQDスリングマウントはロアレシーバーにあるタイプと、バッファーチューブのエンドプレートに設けられているタイプとあります。
画像検索をしてみると「SR-15 URX2」だとフレームについていて、それ以降のものだとエンドプレートについているような感じがしますが、詳細は不明。
右側にもQDスリングマウントがついています。
こちらも問題なくマルチミッションスリング4のQDスリングスイベルが取り付けられました。
上下フレームの固定方法はミミとツメ
メタルフレームの気になるところの一つとして、上下フレームの固定方法があります。
固定方法はメーカーによってまちまちですが、私が知る限りスタンダード電動ガン用のメタルフレームは以下の3パターンがあります。
- アッパー後端下部の「ミミ」をロアに差し込み、ピンを通して固定するタイプ(マルイ純正、SYSTEMA、Guarder、初期G&Gなど)
- アッパー後端の「ツメ」をロアに差し込むタイプ(G&P、G&Gなど)
- 「ミミ」と「ツメ」の両方で固定するタイプ(HurricanE)
※いずれにせよフロント側はフレームロックピンを通して上下フレームを固定します
従来の東京マルイのM4やM16フレームと同様に、HurricanEのフレームもアッパー後部に「ミミ」があり、これをロアレシーバー差し込んでテイクダウンピンを通して固定します。
このミミはプラフレームでもメタルフレームでも非常に折れやすいので、組み立て・分解時は丁寧に扱わないといけません。
なお反対側にはミミは付いていませんでした。製品の写真を見るにSR-15フレームは元から片側だけにしかミミが付いていないようです。
ミミが付いていたであろう部分を見ても特に破損した形跡はなく、最初から無かったように真っ平らです。
フレームを固定するピンはなかなか素直に通ってくれないので、反対側のミミを無くすことで通しやすくしたのかもしれません。
なおアッパーレシーバー後端にはG&Pフレーム等の固定方法と同じ「ツメ」もあり、最悪ミミが折れてしまってもこのツメのおかげで上下レシーバーのリア側の固定ができます。
ぶっちゃけG&Pフレームのように「ツメ」でしっかり固定できるようになってきているので、「ミミ」固定であるは必要あるのかなと思ったりします。
その他のディテール
こちらはストック取り付け基部のパイプ。
先述の通り、HurricanEのナイツ刻印フレームは固定ストック用の長いパイプがデフォですが、私が落札したメタルフレームは出品者さんによって短縮されています。
現行のSR-15 / SR16はLMTストックやMAGPULのCTRストックが取り付けられていることが多く、それらを再現する上で外観を崩すことなくバッテリーを搭載することを鑑みると、ストックチューブ内にリポバッテリーを格納することになります。
そうなるとフレームの加工が必要ですが、すでに加工されているので手間が省けました。
排莢口の下には補強用のプレートが内側に取り付けられており、外側にはそのリブが入っています。
実銃の写真を見るとそういった補強パーツが取り付けられているような形跡はないし、G&PやSYSTEMAのフレームにも無いようなので、HurricanE独自のものでしょうか?
いずれにせよ、この補強プレート跡はダストカバーを付けると見えなくなります。
フレームのフロント側。
外観上は特に変わったところはありませんが、上のガスチューブの穴はG&Pと違って貫通しておらず、深さは3.5mmくらい。
おそらくマルイ純正のM4やM16についているガスチューブを模した“チョロン”を差し込むために非貫通にしたのではないかと思われます。
しかし非貫通だとガスチューブ(ガスブロック)が正しい位置にセッティングできない可能性があるので、場合によってはこの穴はドリル使って貫通させるかもしれません。
そのほか個人的に気になるのは、ハンドガードやバレルを取り付ける部分。
ECショップのとあるハンドガードの製品説明欄に「G&Pフレームに取り付ける場合、きつい場合があります」みたいな記載を見かけましたが、G&Pのフレームとそれ以外とでは寸法が異なるのだろうか。
まぁこの辺はハンドガードを取り付ける時にじっくり見ましょう。
アッパーレシーバーのボルトフォワードアシスト。
HurricanEのフレームだと最初から組み込まれているようです。
こちらはトップレール。T1から始まって奇数カウントになっています。G&PフレームではT2から始まり偶数カウントでした。
ここにはスコープとかダットサイトのほか、フリップアップリアサイトも乗せたい。
こちらはアッパーレシーバーの内側。
FOR AIRSOFT USE ONLYとありますね。これはオモチャです。良い歳したオッサンがオモチャでワイワイしているのです。…書いてて悲しくなった。
で、その右側にはプラスネジが突き刺さってますが、これはチャージングハンドルのスプリングを保持するためのものです。
最後に上下フレームの重量を測ってみると409g。持った感じ、G&Pより若干重たい気がしました。
…しまったな、G&Pフレームレビューしたときも重量測っとけばよかった…。
まとめ 「SR-15」をより忠実に再現したい人にオススメ!
という具合に、HurricanEのSR-15メタルフレームを紹介してみましたが、このフレームの特徴はなんと言ってもアンビ仕様を忠実に再現しているところにあります。
ナイツ刻印のメタルフレームは色んなメーカーから出ていますが、いまのところボルトストップやマガジンリリースボタンのアンビ仕様を再現したフレームはHurricanE以外からは出ておらず、最もホンモノに近い形状なのではないかと思われます。
そういったことから普段は価格や組みやすさからG&P一択な私ですが、SR-15をつくるためにこのHurricanEのフレームを入手するに至った次第です。
ただ、SR-15を再現する上で外観のリアルさはHurricanE一択ですが、組み込みやすさはと言うとG&Pのほうが組みやすい気がします。
過去に「SPR/A(SPR Mk12 MOD 1)」を作った時もHurricanEフレームを使いましたが、「ミミ」のおかげで苦労した記憶があります。果たして今回はどうなるでしょうか。
ということで、次回はフレームの組み込みをやっていこうと思います。