戦車プラモデルを作るの楽しさの一つ、それは「ウェザリング」にあります。
組み立てて、キレイに塗装したプラモデルをあえて”汚す”というウェザリングは車やバイク、その他のプラモデルでもありますが、やはり戦車のプラモデルこそ汚し甲斐があると私は思います。
ウェザリングは「汚れ」や「経年劣化」を再現して、質感を本物に近づける技法で、組み立てや塗装以上に奥が深いです。
しかし決して難しいものではなく、使う道具や方法さえわかればプラモデルを始めたばかりの人でも簡単に再現できます。
ということで、今回は制作しているアミュージングホビーの「E-100 対空戦車」でウェザリングをやってみようと思います。
さて、今回行ったウェザリングの内容は
- 排気管のサビ
- チッピング(塗装の剥がれ)
- ウォッシング(退色表現)
- スミ入れ
- 雨だれの再現
- 砂・泥による汚れの再現
- 金属部分の下地の露出再現
といったもので、それぞれのウェザリングの方法や使った道具(主に塗料)をご紹介します。
また、私は過去の戦車模型でもウェザリングの手法を記事にしていましたが、今回は初めて実践する技法もあります。こんな私も少しずつ学習しているのです。
…というわけで、「ウェザリングなんかどーすりゃいいのかわからん」という人は一度読んでやって下さい。
今までのE-100 対空戦車の製作日記は上記リンクから読むことが出来ます。
排気管のサビを再現する
冒頭で”戦車プラモデルはウェザリングが映える”と書きましたが、そんな戦車プラモの中でも特にウェザリングが映える場所がいくつかあります。
そのうちの一つが戦車の車体後部についている「排気管」です。
バイクや車の排気管もそうですが、使っていくうちにどんどん劣化して気がつけばボツボツと錆が浮いた状態になります。
戦車の排気管も同じでやはり黒ずんだり錆が浮いたりします。
ガイアノーツのエナメル塗料を使ってみた
今まではこの「錆」を再現するときは百均で買ってたパステルを粉末にしたものを使ってました。
しかし、ついこの間ホビーショップに行ったところ、錆色を再現したエナメル塗料(ガイアノーツ)があったので、試しに買ってみました。
この塗料にはピグメントが入ってるので錆色の再現だけでなく、錆のザラザラした質感も再現してくれます。
まずこちらは赤サビ(GE-51)。赤というよりは茶色っぽい色です。
こちらは黄サビ(GE-52)。赤サビとソックリですが若干こっちのほうが色は明るいです。
ウェザリングに限らず何かしら塗装をするときに共通する話ですが、「~を再現した色」の塗料は単色だけでもソレっぽくなりますが。
- 濃くする
- 薄くする
- 明るくする
- 暗くする
といった具合に複数色にわけて塗ることでよりリアルな質感が出てくるということが最近わかりました。
…そんなわけで、ガードレールの錆などを参考に、赤サビは錆の中心部分、明るい黄サビは赤サビの周囲といった使い分けをするとよりリアルなサビを再現できるかもしれません。
先が細い面相筆でちょんちょんと点付けしてみるとこんな感じ。うっすらと錆が浮いた排気管っぽくなりました。
ちなみに排気管そのものはファレホモデルカラーの「ジャーマンカムフラージュブラックブラウン」というアクリル塗料を使ってみました。
反対側からも。E-100の排気管は細い筒状なので錆も小さめに。
4号戦車とかの横置きの大きなマフラーだと錆も広範囲になると思いますが、ベタ塗りではなく点々と塗ったほうが良いかもしれません。
塗ってる最中は色が目立たないけれど乾燥したら色がクッキリ出るのでついつい塗りすぎがち。
なので塗る、乾燥、また塗るといった具合に様子を見ながら塗装していくと丁度いい錆具合を再現できます。実際の錆も少しずつ腐食していくわけですしね。
「チッピング」で塗装の剥がれを再現する
戦車も車もバイクも船も、時間が経つと少しずつ塗装が剥がれてきます。
車やバイクは塗装が剥がれると「あぁぁぁぁぁ!!」ってなりますが、戦車では逆に塗装が剥がれると「おおおおお!!」ってなるのです。
それで、どういうところが剥がれるかというと、
- 角になっている場所
- ハッチなどの可動域の周り
- 小枝などが接触しそうな場所
- 人が歩いたり跨いだりする場所
などなど。
今回作ってるE-100 対空戦車も(塗装が厚塗り)だったせいであちこち塗装が剥がれていました。その”あちこち”というのがやはりエッジ(角)になっている部分です。
…そんなわけで、この塗装の剥がれをいい具合に再現できるのが「チッピング」という技法なのです。
使う塗料と道具
このチッピングで使ったのは先程の排気管の下地でも使用したファレホモデルカラーの「ジャーマンカムフラージュブラックブラウン(70822 #150)」。
もともとチッピングをはじめとする塗装の剥がれを再現するために買ったアクリル塗料ですが、色が色なので排気管の下地塗装にも使ってました。
こちらはスポンジ。どこの家の台所や洗面台などに置いてあるヤツです。
なのでわざわざ新品を買う必要は無いのですが、台所のスポンジを勝手に使うと場合によっては離婚沙汰になるので、あえて新品を買いました。
チッピングのやり方
チッピングの方法ですが、まずはスポンジを適当なサイズにカットし、スポンジの先端に塗料をちょんちょんと付けます。
いきなり模型にスポンジを当てるのではなく、ティッシュペーパーなどに2回ほどポンポンしてワンクッション置きます。
「ドライブラシ」ほどではありませんが、軽く塗料を落としておかないと厚塗りになってしまいます。「剥がれ」を再現するわけですから盛り上がってはマズイのです。
そして塗装が剥がれそうなエッジ部分にスポンジを押し付けます。
スポンジは指で潰して細くしたりせず、もともとの形を保った状態で押し付けました。
筆で描くとひっかき傷のようになる
エッジ部分はスポンジを使って塗装の剥がれを再現できますが、上の写真のようにハッチ周辺のような段差になっている部分だとスポンジでは大きすぎます。
スポンジを更に小さくカットしてポンポンしても良いですが、こういった場所は筆で描き入れた方が楽でした。
また車体の側面にあるサイドスカートなど出っ張っている部分にも筆で描くことで小枝に引っ掻けたような剥がれを再現することも出来ます。
筆は細いヤツの先端だけを使います。手先の神経使って細い線を描きました。
塗装の剥がれた場所から錆が流れてるようにする
また、塗装が剥がれて下地が露出した場所から錆が流れた質感も合わせて再現。
先程の排気管の錆汚れを再現するために使ったガイアノーツのエナメル塗料を塗装が剥がれた場所にちょんと置いて、エナメル溶剤を少し含ませた筆で下に払うように伸ばしました。
この塗装が剥がれた場所に浮いた錆が流れる質感、いつか再現してみたかったんだなぁ…(しんみり)。
こういった錆が気軽に再現できるようになったので、ガイアの錆色のエナメル塗料は買って正解でした。
ウォッシングで退色を再現する
新車のころは色鮮やかでピッカピカな乗り物も、雨や風にさらされているうちに彩度が落ちていき、色褪せていきます。
「ウォッシング」では経年劣化による車体の退色を再現することができます。
…本音を言うと今回のE-100 対空戦車は今までのやり方とは異なる方法で独特な迷彩模様を描いており、これがまたムチャクチャ時間がかかったので正直あまり汚す気にはなれませんでした。
しかし、戦車は使って汚れてナンボでしょうから、いつもどおりウォッシングを実行することにしました。
使う塗料
まずはウォッシングで使う塗料を作ります。タミヤのエナメル塗料の
- XF-1 フラットブラック
- XF-64 レッドブラウン
これら2色を混ぜ、エナメル溶剤で5~10倍くらいに薄めてシャビシャビの泥水のような塗料を作ります。
ちなみにウォッシングで使うこの塗料(色)は私が初めて戦車プラモを作ったときからずっと使っています。
プロモデラーの越智信善さんが「ティーガーI」を作るときにやったものを参考にしています。
全体に薄く伸ばすように塗っていく
出来上がった塗料を全体に薄く伸ばすように塗っていきます。
上の写真は塗った部分と未塗装の部分の比較ですが、泥水の色をしたエナメル塗料を塗るだけでここまで汚れが出ます。
なお、エナメル溶剤はプラスチックを溶かすと言われています。
さすがにパーツが割れるようなことは滅多に無いとは思いますが、接着したパーツが取れる事はよくあるので、ウォッシングとはいえジャバジャバ塗りすぎないよう注意。
なので細かいパーツが密集した場所を塗る場合は特に注意します。
ウォッシングした車体と何もしていない砲塔の色の違いはこんな感じ。だんだん汚くなってきた。
もっと拡大してみる。
経年劣化による色褪せと砂埃で汚れたような質感が再現できました。
ただ、塗ったままだと汚すぎるので、ここに溶剤を含ませたティッシュや綿棒などを使って軽く拭き取ってやります。
モールドや段差の周辺など、綿棒が届かない場所はあえて放置して汚れが隅っこに溜まっている感じを出します。
また、拭き取り方も丁寧にするより雑な方が自然な感じに仕上がります。
余談ですが、”戦場のアートディレクター”の異名を持つプロモデラーの石井優二さんは、キングタイガーを作った時に「エイジング」というウォッシングによく似た技法を使っておられました。
ウォッシングとの違いは、
- 全体に塗るのではなく、ランダムに筆を当ててジワッと染み込ませるように塗る
- ウォッシングのような拭き取りはしない
といったものがありました。
スミ入れで凹凸の立体感を強調する
くぼんだ部分や段差の根元部分は影になるので周囲よりも暗く見えます。
こういった暗くなる部分を「スミ入れ」によって暗くすることで、奥行きを強調し、よりモールドを立体的にしてくれます。
今まではスミ入れとは逆に表面を明るくする「ドライブラシ」とセットで行っていましたが、今回は車体の色がグリーンで、それに対応した色が思いつかなかったのでスミ入れのみ行いました。
使用する塗料
スミ入れで使用する塗料もタミヤのエナメル塗料を使いました。
- XF-10 フラットブラウン
- XF-1 フラットブラック
これらを混ぜて溶剤で薄め、ウォッシングの時よりも濃い泥水っぽい色を作ります。
モールドの根本やくぼんだ部分に流し込むように塗る
スミ入れは従来の塗装のように「塗る」というより「浸透させる」ように色を乗せていきます。
ウォッシングほどでないにしろ溶剤で薄めてシャビシャビにしているため、筆先をピタッと当てれば毛管現象によってモールドを伝っていくように塗料が浸透します。
たとえば上の写真でいうと、ボルトやパネルの溝にスミ入れ塗料を流し込みます。そうすることで奥行きだけでなくパーツの境界もハッキリ出ます。
こちらもエナメル溶剤を使っているので、パーツの接着が取れないように注意しながら行いました。
特に転輪はボルトの穴など溝が多いので忘れずにしっかりスミ入れをします。
最終的に転輪は砂や泥といった汚しをしますが、転輪全体が埋まるほど汚すわけではないので、汚れの間から見える転輪の質感を強調するため念入りに。
スミ入れの塗料で「雨だれ」も再現できる
また、スミ入れで使った塗料を使って雨水が流れた質感を再現することができます。
ボサボサの筆を使って、その筆の先端にだけ塗料を染み込ませ、筆先にある毛のうちの数本がが触れるか触れないかという距離で上下に筆を払います。そうすることでパーツ表面にスジ状の線が残ります。
装甲の上から下まで1本の線を描くのではなく、筆に残る塗料の濃淡をうまく使い分けてまばらにスジを入れるといい感じになりますよ。
また、この雨だれを追加することで塗装が剥がれた場所の錆が流れる表現により説得力を持たせることができます。雨水が流れて錆も流れるというわけです。
太すぎたり濃くなりすぎた場合は、ウォッシングの時のようにエナメル溶剤を含ませた綿棒で拭き取れば何度でもリトライできます。
砂・泥による汚れの再現
戦車模型はウェザリングによる汚しが映えますが、その戦車のなかでも特に汚し甲斐があるのが車体の下部や「履帯」です。
ただ、汚し甲斐があるとはいえ、汚れる場所とそうでない場所があるので、そこを意識しないと「何でそんなとこ汚れてんの?」となる場合もあります。
Mr.ウェザリングペーストを使用
車体下部の泥汚は「Mr.ウェザリングペースト(マッドブラウン・マッドホワイト)」と、ウェザリングペーストを薄めるための「Mr.ウェザリングカラー専用うすめ液」を使用。
泥の色をした塗料というだけでなく、固形状の顔料なので希釈次第では泥ハネのような質感から、乾いて固まった泥まで幅広く再現できる点が魅力。
これを使う以前までは百均のパステルを粉末にしたもので泥の色を調色していましたが、なかなか都合のいい色が出てくれず苦労した記憶があります。
一方でこちらは最初から泥の色なので配合に苦戦したり、粉末で机の上を汚すこともありませんので、幾分か捗っております。
車体下部の泥汚れ
まずは車体の前後の泥跳ねを再現してみます。
上の写真ではまずうすめ液を多めに入れたウェザリングペーストを筆に含んで、雨だれを描くように上から下に筆を流してみました。
同じく薄くしたウェザリングペーストを固めの筆にとり、指で弾いて飛沫を車体に飛ばしてみました。この泥飛ばしは非常にリアルな泥跳ねを再現することができるので個人的にオススメ。
…ただし、筆についた塗料を弾くという性質上、いらん所にまで塗料が飛ぶので汚したくない場所にはティッシュなどでマスキングをしておいて下さい。
調子に乗りすぎた結果、PCモニターに泥汚れが再現されました…。
車体下部のさらに下の方には粘度のあるドロッとしたウェザリングペーストを盛っていきます。
最初に盛ったマッドホワイトが半乾きになったらその上にマッドブラウンを同じように盛り付けます。上の方にあるマッドホワイトの層は少しだけ残しておきます。
筆を垂直にしてトントンと叩くように盛り付けていったら、泥が何層にも重なったような質感になりました。いい感じです。
同じように車体後部の下の方にも泥を塗っていきます。
…ただ、上の写真では上の方にも泥がついてしまい少々やりすぎたので薄め液含ませたティッシュで拭いておきました。
履帯の泥汚れ
モチロン履帯も泥で汚していきます。
履帯というとモールドが埋まるほど泥まみれにするイメージがありますが、実際のところ、ぬかるみにハマりでもしない限り、そこまでド派手に汚れることはそうないと思います。
そのため、接地面は泥汚れを抑え、くぼんだ部分に泥がこびり付いたような感じをイメージして泥を乗せました。
手順としては
- 溶いたマッドホワイトを全体に塗る
- 履帯の地面と接する部分のウェザリングペーストを拭き取る
- 溶いたマッドブラウンをランダムでペタペタと塗る
- 2と同じように接地面を拭き取る
といった方法でやったところ、上の写真のようになりました。
こんな感じにくぼんだ部分には泥が残り、出っ張った接地面は履帯本来の色が見えるようになりました。
履帯の内側も厚塗りにならないように同様の方法で泥を乗っけておきます。
なお、転輪については外周をメインにウェザリングペーストをランダムで盛り、中心部分は控えめにして車体色が見えるようにしておきました。
サイドスカートの砂汚れ
一応念のため、サイドスカートにも泥跳ねを追加しておきました。
…が、履帯がサイドスカートの内側に来るE-100 対空戦車なので、車体前後の下部のようにド派手に汚すのではなく、スカートの下の方にごく僅かに付着する程度にとどめておきました。
車体や砲塔の土埃の再現
車体下部だけでなく、車体の上の方や砲塔にも「砂埃」が舞ったような質感を与えてみます。
これはウェザリングペーストでは再現できないので、タミヤ ウェザリングマスター Aセットを使い、付属のブラシで粉塵をまぶしてみました。
ウォッシング、雨だれ、そして砂埃といった3段コンボでE-100 対空戦車は見事に経年劣化しました。
履帯やOVMの金属光沢の再現
金属は磨くとギラギラ光るのですが、戦車でもやはり金属の部品が擦れたりして部分的に金属光沢が出ます。
例えば起動輪は履帯と噛み合って擦れますし、履帯も地面と触れて磨かれます。そういった部分シルバー系の色をうっすらと塗って金属光沢を再現してやります。
やることは「ドライブラシ」と全く同じで、塗料を筆にとった後にティッシュペーパーで拭って、わずかに残った塗料をパーツに擦り付けてほんの少し銀色をつけるというもの。
タミヤペイントマーカーのクロームシルバーを使用
使うのはタミヤ ペイントマーカーのX-11クロームシルバー。
これを塗装皿などにグッと押し付けて中身を出します。特に溶剤で薄めたりはしません。
筆に残ったわずかな塗料をこすりつけて色をつけていく
クロームシルバーを筆にとったら、ティッシュペーパーで筆を拭います。
筆に残ったごく僅かな塗料をつかって履帯の接地面や両端などがわずかに明るくなる程度に色を付けることで、ギラギラしすぎない金属光沢を金属部品に付与することができます。
パーツに3~4回くらい筆を擦りつけて色が変わるくらいが目安です。1発で色が変わるようなら筆に塗料を残しすぎなので絞りましょう。
金属の光沢というとシルバー系の色を塗りたくなりますが、お相手は1/35スケールですのでギラギラし過ぎると逆に不自然になってしまうんです。
ドライブラシのように僅かに色が変わる程度が良い塩梅です。
履帯の金属光沢
ということでまずは履帯の滑り止め(ハの字になってる部分)に色を付けてみました。
上の写真を見てわかるように、ギンギラギンになったわけではなく、滑り止めの一部がちょっと銀(白)っぽくなった程度です。
ペイントマーカーのクロームシルバーはかなり光沢があるので、ほんの少しだけで効果があります。
塗りすぎるとギラギラしまくってアルミのようになってしまい、重量感のない履帯になるので注意。
もうちょっと拡大。
同じように起動輪の歯の部分や履帯内側のセンターガイドの先端にもクロームシルバーでドライブラシします。
OVMの金属光沢
ハンマーや手斧も同様にエッジ部分を中心にクロームシルバーでドライブラシをしてみました。
同じようにエンジン始動クランクのシャフトにも。黒一色だった頃に比べると質感が出てきました。
E-100 対空戦車が完成!!
以上のウェザリングを終えてE-100 対空戦車も無事に完成しました。
今回やったウェザリング自体も、私が初めて戦車模型を作ったときから(動画などを参考にして)やってきたもので、道具とやり方さえわかれば簡単に出来てしまうものばかりです。
ただ、チッピングや雨だれ、錆の流れといったものは今回初挑戦だったので上手くいくか自信が無かったですけど、上手くいってくれたので良かったです。
完成したE-100 対空戦車のギャラリー
せっかくですので完成したE-100 対空戦車の写真をご紹介します。
キットを入手してから完成までを振り返ってみると、組み立てはタミヤよりは難しいが、ドラゴン程ではないレベルだったので、すんなり進みました。
一方で、「迷彩塗装」は苦労すると同時に最もこだわった部分でした。
何をどうトチ狂ったか、塗装例にあった禍々しい迷彩(私はストライプ迷彩と呼んでます)に目を奪われて「おし、コレにしたろ!」と無謀にも挑戦したおかげでドえらい時間がかかりました。
時間をかけて塗装した甲斐があって、キレイにストライプ迷彩を描くことが出来たし、迷彩で拘ったおかげかその後の工程も色々拘ることができて、(私の中では)クオリティの高い作品となりました。
迷彩を描くときに苦労したのが車体の後部。
上面はエンジンデッキがあってデコボコだし、後部のリアパネルは排気管があって更にデコボコ。マスキングテープを貼るだけでも神経を使いました。
車体色で使ったオリーブグリーンは単体では暗すぎたので、車体内部の色であるインテリアカラー(いずれもガイアカラーのラッカー塗料)を混ぜて段階的に明るくしています。
「ちょっと明るすぎるかなぁ…」と思ったのですが、ウォッシングによって車体の彩度や明度が落ちてくれたので丁度いい感じになりました。
車体色がオリーブグリーンのドイツ戦車はヘッツァー(ドラゴン)を作った時以来で、ヘッツァーの時はGSIクレオスのダークグリーン単色でした。
ウォッシングすると更に暗くなって真夏に網戸にへばり付いてるカナブンみたいな外観になってしまった記憶があります。
今後も車体色がオリーブグリーンのドイツ戦車を作るかもしれないので、それまでに良さげな色を探しておきます。
今回はじめて挑戦した筆塗りによる「塗装の剥がれ」。
塗装の剥がれそのものは過去にもやってますが、その時はオキサイドレッド色のサーフェイサーを塗布したあとに離型剤を塗って車体塗装をすることで、その部分の塗装を剥がれやすくするという方式でした。
それに対して今回はスポンジや筆によって描くという方式で、前者の方法に比べるとエアブラシ機材を持っていなくても手軽に行える方法です。両方を組み合せるとなお良し。
また、塗装が剥がれた場所にサビ色のエナメル塗料をつけて、下方向に流すことで浮いたサビが雨で流れていった質感も合わせて再現。これも初の試みでした。
退色、塗装の剥がれ、雨だれ、サビ…これらを上手く描けるようになれば完成時のクオリティ爆上がり間違いナシですよ。
俯瞰するとこんな感じ。独特な迷彩模様がまるでヘビのウロコのように見えます。
物資不足で簡略化に必死になってた大戦末期のドイツにおいて、ここまで凝った迷彩パターンを描いてたかどうかは分かりませんが、「架空戦車だし大丈夫やろ」ということで。
きっとガルパンに出てくれると私は信じています…信じています………。
ニョインと砲身を上に上げてみるとこうなります。
今まで作った対空戦車(あるいは対空自走砲)の砲身は限りなく90度に近いところまで上を向いてくれましたが、E-100 対空戦車の場合だと上の写真が最大仰角。
こやつは名前の通り「対空戦車」なのですが、8.8cm Flak(おそらくFlak41)というティーガー(Flak41ならばキングタイガー相当)に匹敵する砲を2つも搭載しています。
そういったことから量産化されていたら対空だけでなく、対戦車戦闘でも大いに活躍すると思います。
なにしろキングタイガーの71口径の8.8cm戦車砲は連合軍の戦車の正面装甲をアウトレンジから貫通できますからね。
ただ、キングタイガーがデビューした頃はすでに大戦末期で、訓練や足回りの不具合を改善する余裕がなく、超過重量による故障の頻発や燃料の不足といった不遇っぷりで日の目を見なかったので、E-100 対空戦車も同じ運命を辿りそうですね…。
反対側。
迷彩塗装は付属の冊子を参考に描いておりますが、冊子の方で一部「これおかしくね?」ってところがあったので、そういった場所はオリジナルで模様をつくりました。
写真を撮るときは大半が机の上で下に青いシート敷いてPCに暗幕がわりの黒いトレーナー被せて撮影していますが、机の蛍光灯が明るすぎるせいで光が乱反射してしまい良い写真が撮れず…。
ということで場所を変えて真っ白なところで撮影してみるテスト。背景が明るいおかげでシルエットもクッキリ。
右斜め上から撮影。…ちょっと影が入ってしまった。
模型製作だけでなく、撮影方法についてもこだわったほうが良いかもしれません。
今度は左斜め後ろから。よく見たらブレとるやんけ…。
あまりに写真がショボいから三脚使って撮影する
戦車が完成して「ヒャッハー撮影だぜぇぇ!」ってバシャバシャ写真撮りまくってたのですが、いざアップすると暗かったりブレたり乱反射したり影が写り込んだりで、あまりにショボイ写真に…。
撮影場所を変えたり、背景に黒い服や白い紙を置いてみたりするものの、影が入ったり光が乱反射してイマイチ。こんなショボい写真で最後締め括って良いのだろか…って気分になりました。
そのため「プラモデル 撮影」でググってみたところ、「撮影は三脚使え」って解説してくださってるページがあったので、そちらを参考に家にあった三脚を使うことにしました。
で、こちらが三脚を使って撮影したE-100対空戦車の右側。もう何度も見たアングルですねスミマセン。
ブレがなくなったので細部もしっかり写っているような気がします。
真正面から。よくよく考えたらE-100 対空戦車の真正面ってあまり撮影してなかった気がします。
真後ろ。リアパネル周辺はどうしても暗くなってしまうので避けてましたが、三脚使って固定すればシャッタースピード遅くしてもピンボケしないので、ここまで明るい写真が撮れました。
三脚を使えばどのアングルからでも良さげな写真が撮れるとわかったので、調子に乗っていろんなアングルからバシバシ撮影。
いい感じですね。今までの写真を全部差し替えたいくらいキレイに撮影できてます。
あまりに写真のクオリティがダメだったので高価なミラーレスを買うべきかなと悩んだ時もありましたが、三脚があればそんな心配は杞憂に終わりそうです。
そして毎度おなじみ超重戦車マウスとツーショット。
こうやって見るとマウスよりもE-100の方が大きく見えますが、砲塔の位置や砲身の長さがアレなだけで、車体はマウスのが若干長め。
これまで作ってきた対空戦車たちと一緒に撮影。やっぱE-100 対空戦車でっかいですね。
- 三脚を使う
- セルフタイマー(2秒)にする
- ISO感度は一番低い80にする
- フォーカスはマニュアル
といった設定で撮影すると手ブレが無いのはもちろん、撮影者(私)の影も入らず、キレイな写真が撮れました。
これからはレビューとか模型製作で写真撮るときは三脚絶対使お…。
まとめ
ウォッシング、スミ入れ、履帯や足回りの汚しなどなど、初期のころからやってきた技法に加えて、今回はスポンジを使った塗装の剥がれ(チッピング)や、塗装が剥がれた装甲の一部が錆びて雨で流れるといった質感にも挑戦してみました。
タイトルからしてベテランが解説しているかのように見えますが、エラそうなこと書いてる私もまだ戦車模型は10個程度しか作っていません。
なのでこの記事の内容も模型雑誌に掲載されるようなモノには到底及びません。
しかし、そんな初心者でもウェザリングのやり方を知っていたらここまで出来る! というのをこの記事でアピールしたかったのです。
ウェザリングのやり方はプラモの製作動画や模型雑誌などを参考に、自分で出来そうなもの、あるいはアイテムを揃えられそうなものをチョイスています。
海外メーカーの油絵の具やツールつかった技法もありましたが、そういうのはツール自体が手に入りにくそうなので避けています。身近なタミヤ製品、あるいはホビーショップで手に入るレベルのものを使ってます。
それでも「おお、ええやん!」ってなるレベルのウェザリングが出来るから甘く見てはいけません。あとは数をこなしつつ、新しい情報を取り入れて今後の模型製作の発展に活かせたら良いなと思いました。
…というわけで、最後グダグダでしたがE-100 対空戦車も無事に完成しました。
これでドイツの防空能力は格段に向上した。第三帝国が再びヨーロッパの支配者に返り咲くのも時間の問題であろう(1945年 OKHの手記より)
↑次回はこちらを作ります。