現在製作中の車輌が悪天候により塗装が出来ず作業が進まないので、代わりにアミュージングホビーの「E-100 対空戦車」をピンチヒッターとして作ることにしました。
今回からE-100対空戦車の製作がスタートしますが、今までの戦車模型の組み立てと同じように、まずは「足回り」から作っていきます。
具体的に言うと、
- サスペンションの組み立て・取り付け
- 走行転輪、遊動輪、起動輪の組み立て・仮組み
- 履帯の組み立て
といった組み立て工程をやっていきました。
E-100対空戦車のサスペンションや転輪は「可動式」なので、ギミックを残すための組み立て手順について紹介します。
一方で「履帯」は後の塗装を考慮して履帯や転輪を取り外せる「ロコ組み」方式でやっていきます。
なお、E-100 対空戦車の製作日記は上記リンクから読むことができます。
いきなり結論からですが、実際に組み立ててわかったのは、「可動式」のギミックを再現すると、ロコ組みのための組み立てができなくなってしまう構造であるという点。
そのため、最終的に可動式にするかロコ組みにするかのトレードオフとなります。
また、実際に組み立ててみると説明書の記載ミスや、組み立てにおける不具合もあったので、そちらも忘れずに記載しておきます。
また、それ以外の車両を作る人にも戦車の組み立て、特にサスペンションや転輪の「可動ギミック」がどういうものかを参考にして頂けたら幸いです。
サスペンションの組み立て・取り付け
先述の通り、戦車模型のスタートは大体が足回りの組み立てとなります。少なくともE-100対空戦車の説明書では足回りからスタートです。
「いいや、オレは足回りからなんて絶対嫌や!!」と反骨精神剥き出しに砲塔からスタートするのもアリかもしれませんが、少なくとも私は足回りからやってます。
ビルが屋上から建造されないのと同じ理由なのです。
…などと意味不明な供述をしていても始まらんので、組み立て説明書を開きます。
やっぱり足回りからのスタートで、まずサスペンションの取り付け基部となる細長いパーツを組み立てて、車体下部の側面に取り付けろというものです。
ちなみにE-100対空戦車およびその他のE-シリーズのサスペンションは「皿バネ型」というものを採用しているそうです。
ティーガーやパンターなどで採用される「トーションバー式サスペンション」は緩衝効果は高いものの、車体底部にバーが貫通する構造で、車体底面に脱出用ハッチが取り付けられない欠点がありました。
この時点では皿バネ型サスペンションがどのようなモノか皆目見当がつきませんが、組み立てていくうちにその実態は明らかとなるでしょう。
あ、サスペンション云々の前に、車体下部の裏面にボチッとしたツブが出来ている場合があります。忘れずに紙ヤスリで平らにしておきます。
過去に作ったやつにもこういったボチッとしたツブがあったので、アミュージングホビーのキットだけというわけではないみたいです。
こちらがサスペンションの取り付け基部。
なんだかレゴブロックを彷彿させる丸い突起が一定間隔で並んでおり、この突起部分にスプリングを合わせるみたいです。
まずはこの細長いパーツを極力隙間ができないように流し込み接着剤で貼り合わせます。
貼り合わせたサスペンション基部は、突起が地面側に来るように車体下部に取り付けます。
なお、車体側面の後ろの方には2パーツで構成される四角いパーツを忘れずに取り付けておきます。
記事の見出しは「サスペンションの組み立て」としましたが、基本的に組み立て説明書に準拠して作っているので、こういった横道にそれることも多々あります。許して。
これで1番目の組み立て内容はおしまい。この辺はまだあっさりとしてます。
続いて2番目。
例の「皿バネ型」のサスペンションをここで組み立てて取り付けますが、皿バネにせよサスペンションバーにせよ、「16PCS」というきわめて物騒な指示がなされております。
さっそく「足回り」の洗礼を受けることになりましたが、ここで嘆いては戦車模型なんぞ作れないので身体に鞭打って作っていきます。
こちらが「皿バネ」です。なるほど確かにお皿にバネが乗ったような形になっている。だから「皿バネ」なのか。
…と思っていたのですが、皿バネとは中心に穴の開いた円盤状の板を円錐状にし、底のないお皿のような形状にしたバネとのこと。
上の写真のバネの形状を見ると皿バネというよりコイルスプリングですが、英語版Wikipediaだとサスペンションは「Belleville washer coil spring」と記載されているので、間違いでは無いと思います。
そんなバネを片側8つの合計16個をお行儀よく並べてやるとこんな感じになりました。
このバネは金属ではなくプラスチックですが、しっかり伸縮するのでグニグニ押して楽しんでいます。
あわせて車体前面の下部に装甲板の張り出しパーツを取り付けておきます。
本来この張り出しは溶接によって取り付けられ、車体側にも溶接跡のモールドが入ってはいるのですが、ちょっとモールドが弱いので、後ほど伸ばしランナーで溶接跡を入れておきます。
先程の皿バネにサスペンションのバーを取り付けていきます。
…が、上の説明書に記載されているとおり、サスペンションバーは接着しないとのこと。穴にスポッとはめ込んでおくだけにするようです。
ただ、それだと傾けたときにバーがポロッと落ちそうですが、果たして大丈夫なのでしょうか。その答えは後ほど。
こちらはサスペンションバー。同じく片側8つの計16個を用意します。
転輪や車体に隠れてしまうパーツではありますが、念のためゲートやパーティングラインの処理はしておきました。
穴にサスペンションバーをはめ込んでみました。スプリングによってバーも上下にグニグニと動きます。
パッと見た感じ、サスペンションやバーといった緩衝装置は全部車体の外側についています。この通りならば確かに整備性は高そうですね。
ティーガーやパンターのようなトーションバータイプのサスペンションは車体底部を貫通しているので、トラブルが発生したら修理するのに時間がかかりそうです。
なお、はめ込んだサスペンションバーの先っちょは、上の写真ように車体内側に先端がチョロっと顔を出す程度に出っ張っています。
そこにキャップやらカバーやらを取り付けることで、サスペンションバーが外れないようにすると同時に可動ギミックを再現するという仕組みになってるみたいです。
説明書は3番目に突入。
サスペンションの可動ギミックを生かすためには接着方法に注意しないといけません。
車体からサスペンションが抜けないようにするのと同時に、ギミックが犠牲にならないようにするためにはどう取り付けていくか…。
仮組みをしてパーツの位置関係を確認。
まずはサスペンションバーの出っ張っていた部分にキャップを接着します。これでサスペンションバーが抜け落ちないようになります。
接着するのはバーの部分だけで、車体内側に接着剤がつかないようにします。
この上にカバーを被せますが、カバーの内径とキャップの寸法が結構タイトなので、サスペンションの動きを滑らかにするためキャップの表面にタミヤのセラグリスを塗っておきました。
私は基本的にサスペンションや転輪、対空機関砲といった動くパーツにはグリスを塗って動きを滑らかにしています。
ということでキャップの上にカバーを被せます。
説明書にもあるようにキャップとカバーを接着するのではなく、カバーは車体内側だけに接着します。
こういうギミックのあるパーツは、まず仮組みをして相互関係を理解してからの接着を推奨します。
続いてカバーの上から「く」の字のアームを取り付けます。
すべてのカバーに取り付けるかと思ってたのですが、このアーム状のパーツは片側3つしかありません。…で、説明書を見ると前の2つと後ろの1つに取り付けろという。
アームはカバー全部に取り付けられていたのか、それとも説明書のように前2つ後ろ1つだったのかは分かりませんが、アミュージングホビーも「どーすりゃええの?」状態だったかもしれません。
なにしろE-100 対空戦車もといE-100は試作車体が1輌しか無く、その試作も最終的にスクラップにされた激レアモンです。
そんなヤツの車体内側なんて知りようがありません。あと組み立てたら見えなくなるし。
…と、私なら開き直ります。
………とりあえず、これでサスペンションの組み立てと取り付けはオシマイ。次は起動輪、遊動輪、走行転輪の組み立てに入ります。
転輪の組み立て
つづきまして転輪の組み立て&取り付けです。
転輪もサスペンション同様に数が多いのはもちろん、こちらも回転する可動式となっているので、接着剤の付ける場所に注意していかなければなりません。
…ただ、E-100対空戦車の車体構造を鑑みるに、履帯や転輪はもちろん、車体の奥まった部分を塗装するとなれば、組み立て後に履帯や転輪を取り外せる「ロコ組み」をした方がいいと判断しました。
その場合、普通の「転輪」は特に問題ないですが、「起動輪」や「遊動輪」は回転ギミックを犠牲にしないと車体から取り外せない構造になっています。
苦渋の選択となりそうですが、とりあえず
- まず可動ギミックを残す組み立て方法
- その後でロコ組みのための組み立て方法
といった順番で解説していこうと思います。
今回のE-100 対空戦車はあちこちが可動するので、何も考えずに接着剤をつけると色々面倒なことになります。なにごとも慎重にね。
また、この記事の冒頭で述べたように、転輪の組み立てにおいて、説明書の記載ミスや素組みだと不具合が発生する箇所があったので、そちらにも触れておきます。
説明書は4番です。
- 2枚の転輪パーツを貼り合わせる
- サスペンションの軸に転輪を通す
- その上からキャップ(カバー)を取り付ける
といった構造になっています。
同じ”超重戦車”である「マウス」と比べると転輪もサスペンションも少なく、超重戦車ではなく1ランク下の「重戦車」かと思えてしまうほどです。…パーツ数が多いことには変わりありませんが。
繰り返しになりますが、E-100 対空戦車もとい「E-100」は車体の試作が完成しただけで、走行試験が行われずに終わった車体です。
なので140トン近くあるE-100(対空戦車は8.8cm Flakを2つ搭載するので更に重たいはず)をこの転輪やサスペンションで支えながら走行可能だったかどうかは不明。
走行転輪の組み立て
「転輪はこうやってつくるんだぞー」って説明書を拡大してみます。
2種類の形状の異なる転輪を貼り合わせて、軸パーツに通して、突き出たサスペンションにハブキャップ接着すれば転輪は回転するし外れませんよ~といった感じです。
…ただ、先述の通り、私はこのE-100対空戦車は足回りの塗装を考慮して「ロコ組み」で作ろうと思っています。なので回転ギミックを残すだけでなく、ロコ組みを考慮した組み立てをしないといけません。
転輪は回るが私の頭は回るのだろうか。
こちらが外側に来る転輪のパーツ。
まず最初に2枚(2種類)の転輪パーツを貼り合わせ、そのあとトックリのような形をした軸(写真左上)を通し、その軸の先っちょにハブキャップ(写真右上)を接着するというものです。
こんな感じに軸パーツを転輪に接着せずに通し、その上からハブキャップを取り付けます。
つまり転輪には一切接着剤をつけることなく、両端のパーツだけを接着するというものです。…が、件のキャップを仮組みではめ込んでみたら「これ接着剤いらなくね?」ってなるほどパチンといい具合に噛み合ってくれてました。
正直このままでも良いかなと迷いましたが、何かの拍子にポロッと取れるのが嫌だったので結局接着しました。
外側に来る転輪が一通り出来たので、サスペンションに仮組みしてみます。まだ接着はしていません。というよりロコ組みするので当分つけません。
残りの転輪組み立てるのがしんどいからコレだけで動いてくれたら良いのにな~と思いますが、140トンもある鉄の塊をたった4つの転輪で問題なく支える技術があるならドイツは負けぬ。
…などと意味不明な供述をしながらも、今度は内側に来る転輪を組み立てます。
こちらが内側に来る転輪です。
2種類の転輪パーツを貼り合わせるというところまでは同じです。
外側の転輪と違うのは、こやつはダイレクトにサスペンションバーに取り付けるという点。
内側に来る転輪なので、外側の転輪と違って「軸」となるパーツがいらないのです。楽。
ただし、外側の転輪と同じ感覚でうっかりハブキャップを接着するとサスペンションから取り外せなくなるので注意が必要。
あとは同じように上からキャップをはめ込みます。
こちらのキャップもやっぱりパチンと気持ち良いくらいフィットするので、接着剤いるのかしら?となってしまうほどです。まぁ最終的に転輪は固定するので接着しますけど。
パーツが1個少ないので組み立ては楽ですが、ロコ組み時に転輪を外すと転輪とキャップを分離しないといけないので、小さいパーツがジャラジャラした状態で塗装することになります。紛失注意。
転輪が一通り組み上がったので、同じように仮組みしてパーツの位置関係を確認しておきます。
E-100の足回りもティーガーやパンターと同様に千鳥式転輪になっていますが、そこまで複雑な配列ではなく、サスペンションも外側なので、足回りがトラブった時は修理がしやすそうです。
ということでまずはロードホイールこと走行転輪を一通り組み立てて車体に仮組みしてみました。
しつこいようですが転輪は接着していません。
遊動輪の組み立て
続いて、車体後ろにある遊動輪を組み立て&取り付け(仮組み)していきます。
遊動輪および起動輪は走行転輪と違い、回転ギミックを犠牲にしないとロコ組みのための「取り外し」が出来ない構造になっています。
なので、まずはセオリー通りに「回転させる」ための組み立て方法を解説し、その中でロコ組みをする為にはどうすべきか補足します。
説明書は5番になります。
説明書を拡大するとこんな感じ。
手順としては、車体側の輪っか(A25・A22)2つを貼り合わせ、基部に通し、その上からキャップ(A27)を通し、基部とキャップを接着することで遊動輪が回転&外れなくなります。
そして最後に外側の輪っか(A16)を取り付けて完了といった流れ。
なお、説明書ではA27とありますが、これは記載ミスで実際に使うのはA31のパーツとなります。この違いは後述します。
まずは車体に遊動輪の基部軸パーツを接着します。
このパーツだけ妙に合いが悪かったので干渉している場所を削って調整しました。
今思うと、ロコ組みの場合はこの軸を接着せずに取り外せるようにすれば遊動輪の回転ギミックを残したままロコ組みが出来たかもしれません。
…ただ、この軸のパーツは結構タイトで、素組みでも削る必要があるほど。なのでロコ組みにする場合は外しやすくするため、更に削ってスカスカにしてやる必要があります。
そういった作業が面倒だったのと、仮に遊動輪をギミック残したまま外せたとしても、起動輪はどうしてもギミック犠牲は避けられない構造である点を鑑みて、素直に基部軸を接着することにしました。
続いて遊動輪の輪っか部分。両パーツのスポークが合わさる位置で接着します。
前述の貼り合わせた輪っかを車体側の軸に通し、その上からキャップをとりつけます。
ロコ組みをしない場合は遊動輪に接着剤が付着しないよう注意しつつ基部とキャップを接着すればOKですが、ロコ組みをする場合は接着しません。
身も蓋もない言い方をすると、ロコ組み派は可動ギミックのことなど一切考えず、各種転輪が軸から取り外せるようにすることだけ考えて組み立てればOKなのです。
その上から外側に来る輪っかを接着すれば遊動輪は完了。
…なのですが、私は組み立て方法をミスって、遊動輪は回転するけど取り外せなくなる組み立にしてしまいました。
本来それが正しい組み立てなのですが、ロコ組みをするとなれば遊動輪が外れないと困ります。それに気づいたのが接着してかなり時間が経過してからという。
なのでエナメル溶剤を使って接着を剥がしてみようと試みるもキャップのパーツが外れてくれません。
仕方ないので遊動輪を強引にもぎ取ります。言わずもがな非推奨です。最終手段です。
で、当然強引にもぎ取ったので基部の軸が折れて遊動輪の穴にくっついたまま。取り付けに関しては問題ありませんが、ロコ組み時に遊動輪が固定されないとマズイ。
…ということで、まずは遊動輪の埋まったの穴上からピンバイスで穴を開けます。
次にパーツランナーを切り取って遊動輪の基部軸を追加。
遊動輪をはめてみて基部との間に隙間がなければOK(ほんの少しなら隙間が空いてても大丈夫)
あくまでこれらはロコ組み時に遊動輪が外れないようにするための措置で、塗装が終わって「取り付けるぞ!」って時はこの基部軸は削り取っても問題ありません。
説明書の記載ミスパーツについて
あと、遊動輪にはめこむキャップパーツですが、説明書にはA27を使うように指示されていますが、先述の通り遊動輪に使うのはA31の方です。
何が違うのかというと、上の写真を見てわかるように、A27よりA31の方が若干長くなっています。長い方のA31は遊動輪に使い、短い方のA27は起動輪に使います。
なぜなら長い方のA31を起動輪に使うと、減速機カバーよりもパーツが出っ張ってしまうので、車体にキャップが引っかかり、削らないと取り付けられなくなってしまうのです。
起動輪の組み立て
続いて起動輪も組み立てていきます。感覚としては遊動輪と大体同じなのですが、
- キャップは説明書記載のA31ではなくA27を使用する
- 外側に来る起動輪の内側にあるリブを削らないと歯の位置が水平にならない
といった注意点がありますので、それもあわせて確認していきます。
起動輪は4つのパーツで構成されています。
車体に取り付ける減速機カバー、2つの起動輪パーツ、そして軸と接着するキャップパーツといった感じです。
こちらも遊動輪と同じように、可動式にするのとロコ組みにするのとでは組み立て内容が異なるので、接着は注意して行います。
まずは減速機カバーに起動輪の片側を通します。すると上の写真のように起動輪側にある軸が出るので、そこにキャップを接着します。これがロコ組みしない場合の組み立て。
しかし、ロコ組みをするとなればここにキャップを接着すると起動輪が取り外せなくなってしまうので、ロコ組みの場合はキャップは使用しません。
キャップを取り付けるとこんな感じ。
上の写真では説明書を鵜呑みにして遊動輪に使う長い方のキャップ(A31)を誤って使っているため、減速機カバーから先端が出てしまっています。
これでは減速機カバーが浮いてしまい車体に正しく取り付けられません。
この手の海外プラモの説明書は色々不親切なので、鵜呑みにすると痛い目にあう場合があります。必ず仮組みをして間違いが無いか確認してから接着しましょう。
素組みだと歯の位置が揃わなくなる不具合と対処方法
各種転輪はズレることなくしっかり接着出来るようにと内側にリブや窪みがついています。
これはタミヤやドラゴンなどにもあるように、「互いのパーツの凹凸を噛み合わせて接着してね」という親切設計。
…なのですが、どうしたものか、アミュージングホビーのE-100の場合、凹凸を合わせると上の写真のように左右の起動輪の歯の位置がズレます。
このまま接着すると後に取り付ける「履帯」が噛み合わなくなりシャレにならんことになるので、左右の起動輪の歯の位置が適正になるように加工します。
前述したように、起動輪は上の写真にあるリブの位置で固定されてしまうので、左右の歯を水平にするためにはこのリブを削り取る必要があります。
ニッパーとカッターナイフを駆使してリブを削り取ってやりました。
これでどの位置でも固定できるようになったので、左右起動輪の歯が同じ位置に来るように貼り合わせます。
起動輪の歯の位置を調整したら、ちゃんと履帯を取り付けて噛み合わせに問題がないかチェックしておきます。
出来上がった転輪を仮組みしてみる
ひとまずこれで転輪一式の組み立て&仮組みが終了。これで最初の関門その2を突破しました。
接着はしてませんが、せっかくなので転輪一式を車体にとりつけて戦車の足回りが出来上がりつつある雰囲気を味わってみます。
なお、ロコ組みする関係ですべての転輪が外れる状態なので、少しでも傾けるとジャラジャラと脱輪します。
つい先日、高速道路でトラックのタイヤが外れる事故が話題でしたが、タイヤどころか鋼鉄の転輪がジャラジャラ転がってったら大惨事です。ちゃんとマスキングテープで固定しておきます。
次は「ロコ組み」のための履帯の組み立てについて紹介します。
履帯をロコ組み方式で取り付ける
つぎは履帯の組み立てをやっていきます。
履帯の組み立てはサスペンションや転輪と同じくパーツ数が多いためにしんどい作業ではありますが、これが終わればあとの作業は楽なものばかり。
そして、ハッキリ言ってここまでの作業は次の「ロコ組み」のためにやってきたものと言っても過言ではありません。このロコ組みの良し悪しがここまでの作業の成否となるわけです…!
…で、履帯についてですが、E-100対空戦車の履帯は1つ1つを接続するいわゆる「連結式履帯」というやつです。
ただ、ドラゴンなどでお目にかかる履板1枚ずつ接着するものとは事情が異なるみたいで、接着剤を使わずパーツ同士をパチンとはめ込むことで「可動式履帯」のような感じになるというちょっと変わったタイプの履帯です。
可動式履帯の利点といえば、連結式のように履帯のたるみが再現できる点に加え、可動式サスペンションと合わせれば地形の凹凸に順応した足回りを再現できます。ジオラマを作りたい人は必須。
…ただ、従来の可動式履帯と違って接着せず履板どうしをはめ込むだけなので、軽く引っ張ると外れてしまいます。
完成後あるいは作業中に履帯が切れるのが嫌だったのと、後々の塗装などを考慮して今回は「ロコ組み」方式にすることにしました。
なので可動式ではなく従来の連結式履帯のように履板を接着して組み立てることにします。
でもまずは接着剤を使わずに組み立てて、E-100対空戦車の履帯がどうなっているのかを見てみます。その後あらためてロコ組みのための組み立てを紹介します。
履板の切り離し
ということで履帯の組み立てに入るのですが、E-100対空戦車の履帯もとい履板はドラゴンのマジックトラックとは違って、パーツがランナーに引っ付いた状態です。
なのでまず履板を1枚1枚ランナーから切り離し、ゲートの処理をするところから始まります。
…が、いかんせん履板は転輪やサスペンション以上に数が多いので、精神修行でもするかのように黙々と同じ作業を繰り返します。
あまりに数が多くて面倒な作業なので、やってる際に何度もクラウドワークスかどこかで外注したいと思ったほどです。
………これでオシマイと思った? 残念。まだあります。
4号戦車とかティーガーIは履板は1つのパーツ(左右履帯の違いは除く)ですが、E-100対空戦車の履板はティーガーIIと同じように「主履板」と「副履板」の2種類あり、異なる形状の履板を交互に組み合わせて履帯にします。
こちらもランナーに引っ付いているので一つ一つ切り離して整形します。クラウドワークスで外注してェ…。
あーだこーだ言いながらも何とか片側分の履板(102枚)の切り離しが終わりました。
履板の組み合わせ
さて、切り離して整形した履板を交互に組み合わせていきます。
先述の通り、この履板は両端をパチパチとはめ込むことで結合することが出来て、接着剤を使わずに組み立てられるようになっています。
そのおかげで可動式履帯のようなギミックを再現できるようになっています。
ただし、あくまで接着剤を使わず、パーツの突起と窪みを合わせて固定するので、パーツの個体差によっては噛み合わせが弱い場合もあり、そうなると少し引っ張ると外れるどころか結合すらままならない場合もあり。
一応最初は接着剤を使わずに組んでみますが、最終的に接着剤で固定します。
片側に必要な102枚をつなぎ合わせるとこんな感じ。可動式履帯のように重力に従ってダランと垂れ下がっております。
これで履帯のたるみや地形に順応した足回りを再現できるのですが、いかんせん前述の通り履帯が外れやすく、実際に組み立てている間に何回もポロポロと外れました。
それさえなければ満足なのに惜しいのぉ…。
履帯を巻きつけてみると上の写真のように波打ったような形になります。いかにも履帯らしい形ですよね。
…この写真を撮影するまでに10回ほど履帯が切れる・つけ直すを繰り返した。つらい。
履帯だけでなくサスペンションも可動式なので、地面の凹凸に順応する足回りがつくれます。ジオラマなんかを作るときには不可欠な要素ですね。
情景作品を手がけるモデラーさんは、この足回りを再現するために可動式履帯を購入して精神修行をします。
私もモデルカステンでは無いものの、ほぼ同じ仕様であるフラックワーゲンの可動式履帯の組み立てで頭の配線焼き焦げそうになりました。
というわけで、ここまでが説明書通りの組み立ての手順となります。
履板の接着
繰り返しになりますが、E-100対空戦車の履帯は可動式履帯と同等のギミックを再現できます。
しかし、接着剤を使わないので簡単に履板が外れてしまい、耐久面で不満だったので(可動ギミックは犠牲になるけど)従来の連結式履帯のように1枚1枚接着していきます。
E-100対空戦車の足回りにはキングタイガーなどのようにサイドスカートが取り付けられるので、転輪や履帯を全部接着すると後々塗装がやりづらくなります。
それを見越して、ここからは履帯や転輪を取り外せる、いわゆるロコ組み方式にシフトして解説していきます。
まずは先程つくった履帯(履板)の隙間に接着剤を塗っていきます。
使用するのはタミヤのリモネン接着剤。従来のタミヤセメントと比べると硬化するまでに時間がかかるので、1枚1枚接着する連結式履帯と相性がよいのです。
なお、私が買ったリモネンセメントは「流し込みタイプ」ではないので、キャップについているブラシは面相筆ではなく「ハケ」でした。
リモネンセメントは流し込み接着剤に匹敵するほどサラサラの液体なので、ハケで塗ろうとすると高確率でドバッと大量に出ます。
そのため「流し込み接着剤」のキャップ(面相筆)を流用しています。
履板の接合部分にリモネンセメントを塗っていきます。
前述のようにリモネンセメントは流し込み接着剤に匹敵するほどサラサラの液体で、流し込み接着剤の面相筆を使っても気を抜くとドバッと溢れます。
ビンのフチでしっかり接着剤を絞ってやります。
また、履板は時どきギュッと押してしっかり合わせることも忘れずに。
全部の履板に接着剤を塗ったら15分ほど放置します。そうすると曲げられる程度の硬さになるので、転輪に巻きつけてやります。
なお、もう片側の履帯はリモネンセメントではなく、通常のセメント(タミヤセメント)でやってみましたが、履板の貼り合わせに時間がかかったため、最初に接着した履板が硬くなってしまいました。
連結式履帯を組み立てる場合は、硬化に時間がかかるリモネンセメントを使った方が良さげ。
履帯を遊動輪側から転輪上部を通して起動輪まで持っていき、履帯の穴と起動輪の歯を噛み合わせます。
そして反対側も履帯の下部を通し、同じように起動輪に噛み合わせるようにして両端を結合させます。
なお、説明書には102枚とありましたが、実際に102枚でやると微妙に長さが足りないのでもう2枚追加しました。すると今度はやや長すぎ…。まぁ短いよりかはマシですけどね。
いい感じに両端を結合できたら、車体と履帯の間にティッシュペーパーなどを挟んで、履帯の”たるみ”を作ります。特に起動輪からの緩やかなスロープはティーガー系列と同じ要領で再現します。
また、連結式履帯というと、起動輪からの緩やかなスロープの形成ばかりに目が行きがちですが、この部分はサイドスカートで隠れてしまい見えなくなります(だからと言って手を抜けという話ではありませんが…)。
対して起動輪や遊動輪の外周、特に地面に向かってなだらかになっていく部分は非常に目立つので、起動輪だけに気を取られることなく、これらもしっかり形を作りたい。
履帯と転輪が上手に外せたらロコ組み成功!
ある程度(1時間ほど)放置して接着剤が硬化したら履帯や転輪をゆっくり車体から取り外してみます。
この履帯と転輪を外すときが一番ドキドキするのです。何しろこの瞬間でロコ組みの成否が問われるのですから。例えるなら鼻パックを外すときの心境です。
そして上の写真のように履帯が切れることなく取り外せられたら成功です。ばんざーい。
なお、ここで履帯が切れてしまった場合は焦らず慌てず切れてしまった箇所を接着し、再度車体にはめ込んで、もうしばらく放置します。
…で、無事に取り外す事が出来てロコ組みの成功を確認したら、勝利の美酒に酔うことなく再び履帯や転輪一式を再び車体に取り付けてそのまま放置します。
何故かと言うと、接着剤が完全に硬化するには1週間ほどかかるとのことで、硬化する間に履帯が縮んでしまうのです。
そのため車体から取り外して保管すると、履帯が縮んで車体側の突起と転輪の穴の位置がズレて装着出来なくなる場合があります。
ひとまず履帯は左右ともロコ組みが成功したので、このまま車体に取り付けたまま完全硬化を待ちます。
ここまでが今回のE-100対空戦車の組み立て日記となります。
まとめ これでしんどい工程は全部終わった
サスペンション、転輪、そして履帯といったパーツ数が多くてしんどい「最初の関門」が無事に終了しました。
E-100対空戦車やティーガーIIといったサイドスカートが出っ張っていて、なおかつ千鳥式転輪といった構造の車体だと、素組ではどうしても奥まった部分の塗装が困難になってしまうため、後々の工程を考慮した「ロコ組み」をしました。
これによって一部ギミック(起動輪・遊動輪の回転)が無くなってしまうのは惜しいですが、内部ユニット組んで走行可能にするわけでもないので思い切ってトライしました。
以降の作業は(車体下部と比較して)同じパーツを大量に用意するような工程も無さそうですし、のんびりまったりやっていけそうです。
…ただし、車体下部でいくつかあった説明書の記載ミスや素組みでの不具合はこれからも発生するかもしれないので注意しつつ。