タミヤの戦車プラモデル「4号対空戦車 ヴィルベルヴィント」を購入したのが昨年の末、あれから製作を開始して1ヶ月弱経過しました。早いものです。
今回はそんなヴィルベルヴィントに「ウェザリング」を施してよりリアルな外観に仕上げます。
思えば「組み立て」と書いておきながら、いきなりツィメリットコーティングをしたり塗装をしたりと、一般的な製作手順をガン無視で独自の路線をひたすら爆走してました。…よく完成したな。
↑今までのヴィルベルヴィント製作日記一覧はこちらから読むことができます。
戦車プラモの醍醐味「ウェザリング」に挑戦してみた
プラモデルの製作といえば
- 組み立てる
- 塗装をする
- デカールを貼り付ける
- ウェザリング
- そして完成
という流れになると思います。多少例外はあるかも知れませんが、だいたいこんな感じです。今回やることはこの4番目にあたる「ウェザリング」です。
「ウェザリング」とは?
ウェザリングって何? 何のためにするの? という人のために説明します。
簡単に説明しますと、ウェザリングとは「汚し」のことです。
「一生懸命作ったプラモ汚すとか頭おかしいんとちゃう?」って思うかもしれませんが、作ったプラモをよりリアルにするために、以下のようなことをします。
- 経年劣化による退色
- 金属のサビ
- 雨だれ
- 泥跳ね
- 砂埃
といった、実物の車輌で見られる「汚れ」を塗料やツールを駆使して再現します。
ウェザリングはバイクや車のプラモデルでも施します。泥ハネや配管のスス汚れ、水垢などなど。
ですが、こと「戦車」は車やバイク以上に酷使するので、当然車やバイク以上に汚れます。なのでプラモにおいても汚しがいがあるのが戦車です。
ということでヴィルベルヴィントをウェザリングしていきますよ。
用意するもの
まずはウェザリングをするために用意したアイテムをご紹介します。
- タミヤ エナメル塗料
- レッドブラウン
- フラットブラウン
- フラットブラック
- ダークイエロー
- デザートイエロー
- エナメル溶剤
- タミヤ ウェザリングスティック
- タミヤ ウェザリングマスター
各種アイテムについては実際に使いながら解説していきます。
スミ入れをしよう
まず最初にやったのは「スミ入れ」。
ちょっと暗めの塗料を「影」になる部分に塗ってやることで、車体の明暗がわかれてより立体的になります。
タミヤのエナメル塗料のフラットブラウンとフラットブラックを混ぜ、溶剤で薄めます。塗料が濃いと暗くなりすぎるので、「ちょっとコレ薄いんでね?」ってくらいにします。
ボルトやハッチ、その他モールドの根本とかにチョンチョンとつけていきます。
もしハミ出したらエナメル溶剤を含んだ綿棒で拭き取ればOK。
車体や砲塔のいたるところにある突起の根本に塗料が付着するように塗っていきます。
するとその部分だけ他より暗くなります。それが後の「ドライブラシ」によって明暗がわかれ、パーツの立体感が強調されます。
砲塔の照準用の窓にもこのように塗っていきます。
ここまで汚くなったら戦車だけに洗車するでしょうけど、戦闘中にはそんな事やってる余裕はないので汚いまま。
マフラーの錆を再現しよう
次に車体後部についているマフラーをサビサビにしていきます。
ここで使ったのが「タミヤ ウェザリングマスター Dセット」。
バイクや車のプラモを作る人には必須(?)のウェザリングアイテムで、写真にあるように、マフラーの青焼け、赤焼け、オイル汚を再現できます。
なお化粧品にソックリなので、間違っても洗面所や化粧台周辺に置かないこと。オカンや嫁が悲鳴あげます。説明書にも「化粧品ではありません」という記載があるのが何とも……。
で、そんな化粧品にソックリなウェザリングマスターから、まずは「青焼け」を付属のスポンジに取って塗りたくっていきます。
するとこんな感じに青く妖しく光る不気味なマフラーになります。
次に「赤焼け」を塗っていきます。
こんな感じに。最初はスポンジで塗りたくって、「あ、やり過ぎたわ」ってなったら反対側のブラシで払って行くといい感じになります。
なお、写真を撮り忘れたのですが、この後上にレッドブラウンをチョンチョンと塗って「錆」を再現しました。
本当なら「パステル」を粉砕したものを塗料に混ぜて立体感ある錆を再現したかったのですが、パステルが無かったのでひとまず今回はこの状態で。
「ドライブラシ」で車体を砂まみれにしよう
さて、次にやるのが車体を砂まみれにする作業。
配属先にもよりけりなのですが、特にドイツ戦車は砂漠(アフリカ戦線)とかにも配備されていますので砂埃で車体が汚れたりします。
…この車両はフランスに配備されたとのことですが、細かいことは気にせず汚します。
この技法は筆についた塗料を拭き取って「乾燥」した筆でこすり付けるところから「ドライブラシ」と呼ばれています。
ということでまずはエナメル塗料の「デザートイエロー」を筆にとります。
今回は溶剤は使わずそのままの塗料を使います。
で、筆についた塗料をティッシュで拭きとってカサカサの状態にします。
こうして筆に残ったわずかな塗料を車体に塗っていきます。
野球のホームベースについた土をハケで払うようにシャカシャカシャカと塗っていきます。
なお、砂埃は「タミヤウェザリングマスター Aセット」のライトサンドでも再現が可能で、そちらの方がよりサラサラな砂の質感を再現できます。
車体前方もこんなように砂っぽくしていきます。
塗っていて気づいたのですが、このウェザリングは単に砂埃を再現するだけでなく、車体の迷彩塗装の色を柔らかくする効果もありました。
特にフロント部分はダークグリーンの割合が多くて暗かったのですが、上にデザートイエローを塗ってやることで明るさを取り戻し、車両全体の迷彩バランスも良くなりました。
砲塔部分も前から後ろに流すように砂埃を付着させていきます。
なお砲塔内で作業しているドイツ兵士たちから「口の中がザラザラする」、「砂が目に入ってヒリヒリする」と、非難轟々です。
履帯や車体下部に泥を塗ろう
戦車は無限軌道(=履帯)によってあらゆる悪路を走破出来るようになっているので、市街地だけでなく草原や森林、雨や雪でぬかるんだ泥の上を走ることもあります。
当然そうなれば履帯は土や泥が付着しますし、その泥も放置するとカチカチに固まってしまいます。
このウェザリングでは履帯の周辺に付着した固まった土を再現していきます。土は砂と違ってモッコリ立体感があるので、それをどうやって再現するかがポイント。
なので、タミヤのウェザリングスティックを使用してその立体感を出していきます。
いくつかあった方が良いかなぁ~と思って3種類買ったのですが、実際に使ったのは「サンド」だけでした。
左からライトアース、サンド、マッドの色の違い。これら3色以外にも「スノウ」という名前通り「雪」を再現するものもあります。
ドイツの場合、西部戦線(vs 米・仏・英)における「バルジの戦い」や、東部戦線(vs ソ連)で雪をかぶった戦車を見ることができます。そういったのを再現するときに重宝するかもしれません。
回転させながらスティックを塗っていくことで、上の写真のように土をモリモリ乗せていくことができます。「塗る」というより「積む」感じです。
キャタピラだけでなく転輪にも泥を付着させます。
転輪のゴム部分は回転するのでそれほど分厚く付着しないと思いますが、正面はそこそこ盛ってやりました。
ウェザリングとウェザリングマスターを併用して泥と砂をあちこちに付着させます。
奥まっている部分にも軽くスティックを当てて、そのあとスポンジやブラシで伸ばしていけばスティックが届かない部分にも泥汚れを付着できます。
実は車体下部の側面もレッドブラウン塗りすぎて変な感じだったので上に泥を塗ってごまかしています。
このように塗装で失敗したら泥や砂でごまかせば良いのです。車体に泥を塗れば顔に泥を塗ることはありません。
4号対空戦車 ヴィルベルヴィント完成!!
ということで、全体にウェザリングを施して4号対空戦車 ヴィルベルヴィントの完成です!
購入してから一ヶ月ちょい。生まれて初めて作った本格的な戦車プラモデルでしたが、無事に完成させることができました。
砲塔のアップ。ウェザリングによって色がキツく出ていたダークグリーンが柔らかくなりました。
車体後部にも砂埃の汚れをのせています。今回のキットは砂漠でも走ったのかというくらい砂まみれです。
車体正面。履帯周辺は泥まみれにしてやりました。
なお車体正面についてる「予備履帯」まで泥まみれなのは、交換したドイツ兵曰く「交換した時に泥落とすの忘れたけど、面倒だったからそのままにした」とのこと。
車体正面その2。
ハッチ周辺もダークグリーンを塗りすぎて暗くなっていましたが、ドライブラシで明るくなったおかげで柔らかくバランスの良い色になりました。
まとめ
ということで、約1ヶ月にわたるヴィルベルヴィント製作日記は大きなトラブル無く無事に「完成」という形で幕を閉じることが出来ました。
思えば、静岡に旅行に行った時に「暇つぶしにホテルで組み立てよう」とノンキな事を考えながら買ったのが昨年の12月末。
あれからネットでググりにググって情報とアイテムを集めコツコツやってきた成果がこのヴィルベルヴィントです。事前準備の大切さを学びました。
…ただ、いま振り返ってみても、組み立てより先にツィメリットコーティングだのパーツにサフや塗装するのはナンセンスだと今では思います(※個人の感想です)
もしも次回別のプラモデルを作る機会があったら、今度は違う手順(いきなりコーティングや塗装をしない)で作ろうと思います。
で、プラモデルなんてお菓子の付録を作った程度の「ド素人」レベルの私が戦車作った感想ですが、「意外に簡単に作れるんだなー」と思いました
確かに細かいパーツの取り付けや塗装などで悶絶したり迷ったりしましたが、最終的に「なんとかなる」といった感じでした。
ヴィルベルヴィント製作全体を通してアレコレ考えすぎてましたが、いざやってみるとスンナリ出来る「案ずるより産むが易し」的な事が多く、またいつか機会があれば別の戦車を組みたいなぁと思います。
機会があればの話ですけどね。当分ないと思いますけど。
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ヴィルベルヴィントの完成に喜んでいたら、我が家の「看板娘」であるスラリンとスラぼうが急に体を乗り出してきた。
……はいはい、どうしたのかな? ご飯はさっき食べたばかりだよ?
え、ご飯じゃない? じゃぁいったい何だね? ………ん?
あれ? 何だろこの箱?
こんなのさっきまで無かったハズだけどなぁ…。
だけど私の部屋に置いてあるということは私のモノなのでしょう。
遠慮無く開封させていただきますよ。
うちのスライムたちはイタズラっ子なので、時たまこうやってビックリ箱を開けさせようとするんです。困ったものです。
どーせまた中身はまたミミックなんでs………ん?
んん!?
4号対空戦車 オストヴィント
………どうやら私のプラモデル組み立て日記はまだまだ続きそうです。
ということで、タミヤのヨンパチ戦車1個作った素人に毛の生えた程度のヤツが今度は無謀にもドラゴンのキットに手を出すという流れです。
…今度こそ本当に作れるのかな?