【ヴィルベルヴィント製作日記】モデルカステンの可動式履帯を使ってみた

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 パッケージ ヴィルベルヴィント

タミヤの1/35スケールプラモデル『ドイツIV号対空戦車 ヴィルベルヴィント』の製作日記の続きを書いていきます。

前回までに車体と砲塔、主砲の「2cm Flakvierling38」の組み立てが完了し、残る組み立て作業は「履帯」だけとなります。

今回のヴィルベルヴィントには組み立てが簡単な「ベルト式履帯」が付属しますが、こちらは使用せず、前から気になってたモデルカステンの可動式履帯を購入してたので、そちらを使います。

戦車プラモ付属の履帯ではなく、オプションの履帯を使うのは初めてですが、モデルカステンの履帯の特徴や組み立て方法について書き綴っていきます。

↑今までのタミヤ製ヴィルベルヴィントの製作日記はこちらのリンクから読むことができます。

「ベルト式履帯」と「可動式履帯」の違い

可動式履帯を作る前に「ベルト式履帯」と「可動式履帯」の特徴や違いを簡単に説明します。

初心者でも簡単に組み立てが出来る式履帯

タミヤを始めとする各メーカーの戦車プラモデルには「ベルト式履帯」が付属していることがあります。

今回制作しているヴィルベルヴィントもベルト式履帯が付属していました。

タミヤ 4号対空戦車 ヴィルベルヴィント 履帯パーツ 履板外側の形状
タミヤの「ヴィルベルヴィント」に付属してたベルト式履帯

ベルト式履帯は履板のモールドが入ったベルト状のパーツで、両端を接着して輪にしたものを転輪に巻きつけるだけで完成というとても簡単な履帯です。もちろん履帯は塗装可能。

ただし、古いキットだと接着剤が効かない”ポリエチレン製”のベルト式履帯が使われていることもあり、その場合は「焼き止め」という方法で履帯を輪にします。

履帯の組み立てはもちろん車体へ着脱も容易なので初心者でも簡単に作れるのが特徴。

その反面、出来上がるのは”柔らかいゴム状の輪っか”なので、単に装着しただけでは履帯の重量感を出す「たるみ」を再現できず、「たるみ」を再現するためにはちょっとした加工が必要となってきます。

よりリアルな足回りの再現に最適な「可動式履帯」

対する「可動式履帯」は、その名の通り履板が1コマ1コマ「可動」するタイプの履帯です。

履帯を構成する「履板」パーツの接合部に「ピン」を差し込んで固定・組み立てを行うタイプの履帯で、実物の履帯と同じ構造になっているのが特徴。

構造が実物と同じなので、もちろん実物と同じように動き、履帯の「たるみ」が再現出来るのはもちろん、転輪を保持するサスペンションアームと合わせて地形の凹凸に順応した履帯周りが再現できます。

フラックワーゲン 可動式履帯の仮組み2
ブロンコの「フラックワーゲン」に付属する可動式履帯

戦車プラモ単体の製作はもちろん、道ならぬ道を突破する戦車、戦闘ダメージで履帯が切れた戦車…といった1シーンを切り取った「情景作品」をつくる人には不可欠と言っても過言ではありません。

足回りの再現においては最強の可動式履帯ですが、基本的に場合キットに付属せず別途で購入する必要があり、価格はタミヤのキット1つ分くらいします。

また製作には左右200枚ほどある履板に1コマ1コマにピンを差し込むという気の遠くなる作業が余儀なくされます。

ベルト式履帯と比べると色々コストがかるのが難点ですが、足回りにおけるリアリティは可動式履帯の右に出るものはありません。

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モデルカステンの可動式履帯を使ってみた

といわけで連結履帯の製作に入ります。メーカーはもちろんモデルカステン。

最近では海外メーカーも可動式履帯をリリースしているみたいですが、モデルカステンはそこそこ昔から存在する日本の老舗ブランドで、お世話になったモデラーも多いはず。

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 パッケージ

今回作るヴィルベルヴィントの履帯も本体のバリエーションに合わせていくつかありますが、今回は4号戦車G~J型に使われている「40cm 後期型A(SK-17)」を選択しました。

モデルカステンの可動式履帯は(ヴィルベルヴィントのベース車両である)「4号戦車」1つにおいても初期の38cm幅タイプから最後期の40cm幅軽量型(4号駆逐戦車などに使用)まで幅広く取り揃えており、よっぽどマニアックな車輌でない限りカバー出来ます。

セット内容

それでは開封して中に何が入ってるかを確認します。

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 履板パーツ

まずこちらは履板パーツ。

ランナーにくっついてるのでニッパーで切り離すのとゲートの処理が必要です。

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 ピン

こちらは履板と履板を接続する「ピン」のパーツ。

実物の履帯は1本の細長いピンで履板を接続していますが、プラモの可動式履帯は履板の左右から2本のピンで固定します。

このピンは左右で形が違うので間違えないよう注意。

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 治具

こちらは履板にピンを通すときに履板がズレないようにするための「治具」。

この治具の上に履板を乗せてピンを通す…って感じですが、ただ乗せるだけなのでピンを通す時に履板に触れるとバラけやすかったです。

付属の治具を使うよりも「連結式履帯」を組み立てるときに使う『板に両面テープを貼ったもの』を自作して使った方が安定します。

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 遊動輪基部パーツ

こちらは遊動輪基部のパーツ。

お手持ちの4号戦車のキットのパーツと交換することで、遊動輪アームが可動したり遊動輪が回転するようになり、履帯に合わせて遊動輪の位置を調整出来るようになります。

ただし、基部に穴を開けたり(一部キットのみ)、遊動輪にワッシャーを組み込むなどの加工が必要。

なかなか面白そうなパーツだけど遊動輪は既に作成済みなのでこちらは使用せずに作っていきます。

モデルカステン 可動式履帯 SK-17 履帯の適合リスト

そのほか各種説明書も同梱されておりますが、その中でも特に便利だったのがこの履帯適合表。

こと4号戦車および4号戦車をベースにした各種車両は、大戦を通じて大量に製造されたので履帯もバリエーションが多く、知識がないと後期型車両に38cm幅(初期履帯)なんてミスマッチも…。

そんな「4号戦車の履帯色々あるけどどれ選べばいいかわからない…」って履帯難民のために履帯の種類別に、①どの4号戦車(派生車輌含む)か、②どの時期に使われてたか、が一覧になっています。

これマジ便利だから取っておこう。

可動式履帯の組み立て

それでは組み立てに入ります。

実をいうと可動式履帯の組み立ては今回が初ではなく、過去に作ったブロンコの「フラックワーゲン」でも同じような可動式履帯がキットに付属していたのでヒーヒーいいながら作ってました。

なので基本的な流れは把握しております。把握してない人でも付属の説明書を読めばだいたい分かる。

モデルカステン 可動式履帯の組み立て 履板の切り離し

まずはランナーに引っ付いてる履板を切り離すところからスタート。

注意したいのは、切り離すときに変な力が加わると履板のピン穴が潰れるので、気持ちゲートを残してカットしました。ゲートの処理は大変ですが、ピン穴潰して再起不能にするよりかはマシ。

こういうとき「薄刃ニッパー」があると便利ですが、あいにく持ってるのは通常のニッパー…。

モデルカステン 可動式履帯の組み立て ピンの差し込み

切り離して整えた履板を付属の治具に並べた状態でピンを差し込んでいきます。

ピンのパーツはあえてランナー部分をカットして持ちやすくして、ピンの根本にだけ接着剤をつけて履板の穴にプスッとします。ランナーは太いので頑丈なニッパーでカットします。

接着剤はつけすぎると変な所がくっついて可動しなくなるし、逆に少ないとピンがすっぽ抜けるので絶妙なさじ加減が要求されます。

付属の治具は履板を8枚並べられるけど中途半端なので8枚作ったらそこに2枚足して10枚単位で保管します。

接着したらランナー部分を軽くねじってピンだけ残してます。

…なお、淡々と書いていますが、あまりの物量に死んだ魚の目をしながら作業していました。無理せず数日に分けての作業をおすすめします。

モデルカステン 可動式履帯の組み立て 

ある程度まとまったら10コマ単位でつくった履帯を合体させてみます。

…なんかムカデみたい。

モデルカステン 可動式履帯の組み立て2

途中経過。写真のように履帯がクネクネ曲がります。

ベルト式履帯でもフニャフニャ曲がりますが、履板の1コマ1コマが独立した動きをする可動式履帯には遠く及ばない。

モデルカステン 可動式履帯 ヴィルベルヴィントへの取り付け

履帯をヴィルベルヴィントに仮組みしてみます。

どこのソースは忘れたけど”4号戦車の履板の枚数は97枚”って書いてあったので97枚にしてみたところ長さが足りず。

ちなみに、履帯を取り付けている「ヴィルベルヴィント」ですが、可動式履帯の入手が遅れたので先に車体や砲塔にサフを吹いちゃってます。

モデルカステン 可動式履帯 ヴィルベルヴィントへの取り付け2

なので履板を2枚追加して99枚にしてみたところピッタリ。

ちなみにモデルカステンの説明書には『履帯はそれぞれ片側で99~100枚(IV号)が標準です』とありました。

モデルカステン 可動式履帯 ヴィルベルヴィントへの取り付け3

第3上部転輪から遊動輪にかけての履帯のたるみ具合はこんな感じ。重力に従ってゆるやかに垂れ下がっているのがわかります。

ヴィルベルヴィントは上部転輪がまだ4つあるタイプなのでたるみが少ないかもですが、これがJ型後期のような上部転輪が3つのタイプだとよりたるみが大きくなるかと思います。

いずれにせよベルト式履帯をポン付けしただけでは再現できない足回りです。

車体下部や履帯の塗装を考慮してこの段階ではまだ履帯は装着しません。

まとめ

今回、初めてモデルカステンの連結式履帯を使ってみました。

一般的な戦車プラモに付属するベルト式履帯や連結式履帯と比べるとオプションアイテムなのでやや割高だし、履板1コマ1コマにピンを通す作業はなかなかの精神集中です。

しかし、履帯の「たるみ」や接地面のデコボコした感じは他のタイプの履帯で再現は難しく、苦労した甲斐あってリアルな足回りになってくれました。

作業量が多いので中~上級者向けな連結式履帯ではありますが、ワンランク上の戦車プラモを作りたい人は挑戦してみてもいいかもしれません。

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