やたら時間がかかったE-100 対空戦車(アミュージングホビー)の迷彩塗装が無事に終わったので、その次の作業に取り掛かります。
今回の作業内容は
- デカールの貼り付け
- OVMの加工・取りつけ・塗装
- つや消しトップコートで塗膜を保護する
といったもので、ちょうど車体塗装とウェザリングの間にある工程を一通りやっていきます。
今まではこれらを一記事ずつ小分けして紹介しておりましたが、今回のE-100 対空戦車もまた意味わからんほど塗装に時間がかかったので、そろそろ完成させたいのです。
あぁ。昔は1ヶ月もあれば完成してたのに今じゃ4ヶ月かかっても完成しやしない…。
やたらと時間がかかってる「E-100 対空戦車」の製作日記は上記リンクから読むことができます。
砲塔にデカールを貼り付ける
それでは最初ににデカールを貼っていきましょう。
デカールの貼り付けについては過去の模型製作日記でも何回か解説してますが、せっかくですから今回もしっかり手順を解説します。
キット付属のデカールとサンプル
まずこちらがアミュージングホビーのE-100 対空戦車のキットに付属するデカール。
ドイツの国籍マークである鉄十字(バルケンクロイツ)が4種類と、2および23の砲塔番号のデカールがあります。
「E-100 対空戦車」は母体のE-100が未完成の架空戦車なので、「架空戦車」として作るならどのデカールを貼り付けても文句は言われない(はず)ですが、今回は砲塔番号はナシで国籍マークだけにします。
また、国籍マークもよく見かける白と黒の鉄十字(上の写真で言う3のデザイン)を貼り付けようと思ってたのですが、迷彩の上にそれ貼ると浮いてしまいそうだったので、2番の黒一色のタイプを選びました。
上の写真をみてもわかるように、ドイツの国籍マークはいくつかパターンがあるみたいですね。戦車よりも戦闘機に貼ったほうが似合いそうなモノもあります(笑)
付属の冊子には塗装例だけでなくデカールの貼り付け例も記載されています。
今回(散々苦労して)塗装したストライプ迷彩タイプには黒一色のバルケンクロイツが貼り付けてあるので、それに倣って黒一色を選択した次第です。
デカールの貼り付け手順
ここからはデカールを模型に貼り付ける手順について書き殴っていきます。
まずは貼り付けたいデカールを適当な大きさにカッターナイフでカット。ピンセットでつまんだりするのでツライチでカットするのではなく、少し余白を残しておきます。
カットしたデカールは水の入った容器に30秒ほど浮かべます。
30秒後にデカールを水揚げしたら、ピンセットでデカールを押さえて優しくスライドさせます。
適度に水に浸していれば上の写真のように動いてくれます。動かない場合は無理せずにもう一度水に浮かべてやりましょう。
なお、しっかりデカールを定着させるためにGSIクレオスの「マークセッター」を塗っておきます。
そしてデカールを貼り付ける。
貼り付けるときは台紙から少しだけデカールをスライドさせた状態で貼り付ける場所まで持っていき、デカールを上から押さえて台紙だけを引っこ抜きます。
デカールに水気が残っているうちに位置決めをして、位置が決まったら湿らせた綿棒でデカールの上からトントンと叩いて水分を追い出し、グリグリ押し付けてしてデカールを密着させます。
今回は真っ平らな砲塔に貼り付けたので「マークソフター」は使いませんでした。
同じように砲塔の反対側にも貼り付けます。
上から見て互いのデカールの位置が同じかチェックしながら微調整。
デカールは黒い部分以外は透明なので、迷彩の上から貼り付けても浮きませんが、黒一色だと逆に地味で存在感がなさ過ぎます。白い方を貼ったほうが良かったかも?
OVM(車載工具)を取り付ける
続いては車体上面にOVM(車載工具)を取り付けていきます。
当初はE-100 対空戦車は試作車両なのでOVMは取り付けなくても良いだろうと考えておりました。
しかし、参考資料として「World of Tanks」のプレイ動画に出てくるE-100をじっくり眺めて見たところ、車体に工具がついているのを確認。
E-100 対空戦車のOVMとその位置
ついでにいうと今回のE-100 対空戦車の塗装例&デカール貼り付け例が記載された冊子にも工具類が乗っかっているのを確認しました。
なのに何故か組み立て説明書の方には一切の指示がない。
上の写真は穴が空くほど眺めた件の塗装&マーキングガイドですが、よーく見ると以下の4つのOVMが確認できます。
- スコップ
- ハンマー
- 手斧
- エンジン始動クランク
また、組み立て説明書にはOVMの取り付けに指示は無いにせよ、キットそのものには上の写真のようなOVMが一式揃ったのパーツランナーが付属します。
ということなので、OVMを追加したり、あるいは牽引ワイヤーなどを独自の発想で取り付けたりすることは可能です。
ただ、このOVMパーツのランナーには「ハンマー」のパーツが存在せず、冊子のようなOVM構成にする場合は、ジャンクパーツから流用する必要があります。
また、それ以外の工具も冊子のものと若干形状が異なっていたので、そちらも加工してみました。
スコップはキットのパーツをそのまま使用
まずはスコップ。こちらはキット付属のパーツからそのまま使いました。
「そのまま使う」とサラッと書きましたが、各種OVMパーツの裏側にある突起は切り落としておきます。
ご存知の通り、この突起は本来ならば車体側にある穴に合わせるためのものですが、E-100 対空戦車の車体にはそんな穴なぞ無いわけですからね。穴があったら入りたい。
手斧はジャンクパーツより流用
こちらは手斧。
最初はスコップと同じくキット付属のパーツを使おうと思っていたのですが、冊子に描かれた手斧が刃先が内側を向いているのに対し、キットの手斧パーツは外側を向いていました。
そのため、E-100対空戦車のOVMパーツではなく、過去に作った「オストヴィント」のジャンクパーツから手斧だけ引っこ抜いて流用。メーカーがドラゴンだけにモールドも細かい。
ハンマーは柄を長くしてみた
続いて「ハンマー」ですが、先述の通りE-100対空戦車のOVMパーツに付属しないため、やはりジャンクパーツから流用します。
ガサゴソとジャンクパーツの山をかき分けて、ようやくハンマーのパーツを見つけたと思いきや
- ヘッド部分が逆(冊子では尖った方が外側を向いている)
- 柄の部分が短い(冊子では手斧より長いが現物は手斧とほぼ同じ)
…といった具合に微妙に違いました。
最初は目を瞑ろうかとも思いましたが、目を瞑っても目玉が目蓋こじ開けるくらい納得がいかなかったので、パーツを加工して使うことにしました。
ハンマーのヘッド部分の向きを変える
まずハンマーのヘッドの向きが逆という問題については、単純にヘッドをカットして、切断面をヤスリで平らにして向きを変えて接着し直せばOK。
…と思ったら、ヘッド部分の反対側には押出ピン跡があったので、削って処理しておきました。
柄を長くする
で、次の「柄」の長さの問題。
こちらは太さや形が大体同じパーツを間にくっつけるという”フランケンシュタイン理論”を採用。A君の腕にBさんの腕の一部を結合させるようなものです。
ハンマーの柄と形状(太さ)がピッタリのパーツがあれば万々歳ですが、そんな夢のようなパーツは無いので、だいたい同じくらいのものを繋げ、あとから削って調整することにします。
なのでまずはハンマーの柄の部分をバツンとカット。
ジャンクパーツをガサゴソまさぐっていたら、手斧パーツの柄が同じくらいの太さ・形状だったのでこやつを採用。
手斧も同じように柄をバツンとカットします。
そしてハンマーの柄に接着。
手斧の柄のほうが若干太いですが、ヤスリで削ってやればちょうど良くなるでしょう。
ということでドラゴンの某・戦車プラモのキットにあったハンマーと長さを比較。
上の写真ではツギハギの方が若干長く見えますが、実際はほぼ同じくらいの長さでした。カンだけで長さを決めてたわりには上手く行ったと自負しています。
「このキットのハンマー使えよ」と多方面からツッコミが入りそうですが、このハンマーのパーツは後に作る某・戦車プラモで使うので流用はしません。
え? 何の戦車か? …それは作るときまでのお楽しみです。
出来上がったハンマーを並べてみるとこんな感じ。なかなか良さげ。
エンジン始動クランクも形状を変えてみた
続いては、戦車のケツにズブッと差し込んでグリグリ回してエンジンを動かす「エンジン始動クランク」を車体上部の後ろ側に置きます。
…んが、こやつもキット付属のOVMパーツと冊子のサンプルやWoTのE-100に乗っかっているモノと若干形状が違うので、こやつも加工してみることにしました。
まずこちらは何の加工もしていない状態のエンジン始動クランク。
名前通りエンジンを吹かすための工具なのですが、こやつもキットによってカクカクのものやなめらかな曲面になったものなど色々ありますよね。
ですが、先程のハンマーでも出てきたドラゴンの某戦車のキットに入ってるエンジン始動クランクのパーツと見比べてみると、長さも違うしクランクの曲がり具合も違います。
4号戦車のクランクなら短くても良いかもしれませんが、重戦車クラスになると装甲が厚いとかの事情で長くしないと届かないのかな?
エンジン始動クランクの事情はさておき、まずはエンジン始動クランクのパーツをグニグニと曲げて角度を変えてみました。
…曲げすぎて折れちゃいましたが、どのみち後から加工したりするので今は気にしない。今は。
クランクの角度を変えた次はクランクのシャフトの長さを延長します。
こちらもハンマーの柄の時と同じように、ジャンクパーツから良さげな太さのパーツを見つけてペタッと接着してシャフトの長さを延長しました。
最終的にこんな感じになりました。
やはり違うパーツを無理やり接着したのでその部分は歪(いびつ)です。しっかり接着できたら紙ヤスリをかけて継ぎ目を目立たなくしておきます。
そんなエンジン始動クランクは冊子を参考に車体の後部に取り付けます。
砲塔が乗ると上の写真のようにエンジン始動クランクが半分ほど隠れてしまいますが、冊子でも隠れていたので問題ありません。
OVMが乗ったE-100対空戦車の車体
ということで4つのOVMを車体に乗せるとこんな感じになりました。
冒頭でも述べたようにE-100 対空戦車は”試作車輌”ですからOVMは無くたって問題ありません。実際に過去に作った同じ試作車両の「マウス」にはOVMの類は乗っけてませんでした。
…が、どうしたものか今回はやたらOVMにまで拘ってしまいました。車体の迷彩塗装に情熱を注ぎすぎたせいなのかもしれません。
OVMの塗装
続いてはOVMに色を付けていきます。
今回は車体の迷彩塗装を終えたあとにOVMを取り付けるといった関係で、OVM自体の塗装は楽ですが、OVMを固定するための金具部分の色も塗り分けなければなりません。
迷彩部分と金具が重なるならダークイエローやレッドブラウンといったアクリル塗料を塗ればいいので特に困りません。
問題はオリーブグリーンに重なる部分。ここは単色でなく明るい色を混ぜたものを使ってます。そしてその明るくするために使った塗料をどれだけ放り込んだかを忘れたので、調色を試みるも車体と留め具とで色が一致せず…。
こうならないように調色した時は混ぜた塗料の比率は覚えてきましょう…。
ということでなるべく迷彩の上に来るようにOVMは取り付けます。
ハンマーのヘッドやスコップの先端といった鉄の部分は履帯の塗装で使った塗料を使います。
具体的にはタミヤアクリル塗料の
- レッドブラウン
- フラットブラック
- フラットアース
これら3色を調色した「黒茶色」を使いました。
工具の柄の部分は下地にタミヤアクリル塗料の「バフ」を塗り、その上からエナメル塗料の「レッドブラウン」と「クリヤーオレンジ」を2:1で混ぜたものを塗ります。
「仲田師匠」のOVM塗装を参考にしたものですが、エナメルを塗りすぎたので、溶剤含ませた筆で拭い取ってやりました。
トップコートで塗膜を保護する
デカールや工具を追加し、細部の塗り分けも終わったので、次のウェザリングに入る前に全体に「ツヤ消し」のトップコートを塗って塗装面を保護します。
トップコートとは無色透明の塗料(つや消しとか半ツヤとか色々あります)を塗ることです。単純に塗装の上にもう一つ透明の層が出来るので塗膜の保護やつや消し、模型全体の色調を整えるために行います。
基本的に迷彩塗装が終わったあとにこのトップコートは行ってます。…たまに忘れるときもあるけど。
ラッカーのつや消しトップコートはあるけど…
そんな私が使ってるトップコートはGSIクレオスの「Mr.スーパークリアー つや消し」。
ラッカー系なので塗膜が強いという利点があり、同じくラッカー塗料を使う車体塗装および迷彩塗装を終えたあとにこやつを吹き付けていました。
ただ、今回の場合は車体塗装はともかく迷彩塗装はアクリル塗料で行ったので、塗膜が侵されてるのではという不安があります。
一応、アクリルで細部を塗り分けたりデカールを貼った後に吹き付けても特にトラブルは発生しませんでしたが、今回のように無茶苦茶苦労した迷彩塗装でトラブルがあると確実に死ねます。
水性のプレミアムトップコートを使ってみることにした
先述の通りラッカー系のMr.スーパークリアを使ったことでアクリル塗料で描いた迷彩塗装が崩れでもしたら今までの苦労が全部水の泡になります。
ということで念には念をと水性のトップコートを買って使うことにしました。買ったのは同じくGSIクレオスから出ている「水性プレミアムトップコート つや消し」。
このプレミアムトップコートは、従来の水性トップコートと比べて吹き過ぎによって白くなる減少を極限まで抑えた高品質原料を使用しているとのこと。
トップコートを散布する注意点として
- 厚塗りしない(数回に分けて吹き付ける)
- 雨天時など湿度の高いときに使用しない
といったものが挙げられ、ここでしくじると吹き付けた部分が白くなってしまう場合があります。そういったものをプレミアムトップコートは抑えてくれるようですね。
ひとまず通常の缶スプレー塗装と同じように薄塗りを3回ほどやっておきました。
プレミアムトップコートで実験してみる
先述の通り、「プレミアムトップコート」は従来のトップコートよりも「白化」を防いでくれるというのがウリっぽいので、ちょっとした実験をしてみることにしました。
内容としては、至近距離でブワーッ! とスプレーしたらどうなるかという、トップコートでしくじった経験のある人なら文面見ただけで顔面蒼白するような実験。
目立たない砲塔の裏面を使って試してみました。
シュッ!と一吹きするとご覧のように白くなってシュワシュワ泡立ちます。
もしもこれが車体の目立つ部分だったらと思うとゾッとします…。
しばらくすると泡が収まって液体だけになりました。
完全に乾くと上の写真のようになりました。
至近距離から厚吹きしただけに「あ、ココやらかした部分やな」とわかる程度には残っています。
が、この程度ならその後のウェザリングで誤魔化せるので被害はそこまで深刻ではありません(多分)
まとめ
今回は塗装のあとの作業であるデカール貼り、OVMの追加・塗装、そして塗膜の保護といった内容をまとめてみました。
迷彩塗装で力を入れまくったこともあって、その後の作業も今までにないくらいに熱が入っていました。迷彩で頑張ったからその後の作業で台無しにはしたくないですもんね。
ネタバレするとE-100 対空戦車はウェザリングも終わって「完成」している状態ですが、この記事でウェザリングまで紹介すると無茶苦茶長くなるので一旦ここで区切ります。