確か、サイバーホビー(ドラゴン)のIV号戦車 J型(中期生産型)のキットを紹介したのが2018年4月19日でした。
しかし、いま日付を見たら2018年6月19日で、2ヶ月経過しても組み立て完了どころか車体下部すら満足に完成してないという始末。いつものことです。
これには様々な原因(言い訳)があって、残業続きで帰るとグッタリだったり、土日はフェスに行ったり…などなど、やむにやまれぬ事情があったのです。
…ただ、そんな言い訳をしていると更新を楽しみにしてるモデラーさんたちがガッカリするので、アルケット社の工場が爆撃されたせいで製作が遅れたということにします。
…意味不明な供述はこの辺にしておいて、今日も「IV号戦車 J型」をつくっていきます。
前回、転輪の組み立てや車体下部のパネルの取り付けまで進みましたが、今回はその続きからスタートします。具体的には、
- 脱落防止チェーンを自作する
- 車体前部に予備履帯を取り付ける
- フェンダーを取り付ける
といった内容です。
説明書通りにパーツを取り付けるだけでなく、要所要所にディテールアップを施してみたので、そちらも参考になれば幸いです。
↑今までのサイバーホビー(ドラゴン)IV号戦車 J型(中期型)の製作日記は上記リンクから読むことが出来ます。
牽引装置の脱落防止チェーンを自作してみた
組み立てを進める前に、ちょっとしたディテールアップをしてみようと思います。
具体的に何をするかというと、牽引装置の「シャフト」の脱落防止チェーン(鎖)を自作してみたわけです。
こんな感じにね。
本来はキット同梱のエッチングパーツや別売のディテールアップパーツなどで再現するものですが、あいにく今回のキットには入ってなかったし、かといってアフターパーツを買うのもどうかと。
そんなわけで銅線を使って脱落防止用のチェーンを作ってみました。
用意するもの
銅線を使ったチェーンなので、まず最初に必要となるのは当然ながら「銅線」です。ホームセンターなどで普通に売っています。
この銅線はボッシュライトのコードを再現するために買った0.28mmですが、これだと太くてチェーンというより履帯交換用ワイヤーっぽく見えます(苦笑)。もっと細いヤツの方が良い。
また、銅線の他には銅線をカットするためのニッパーや、銅線をねじる時に使うラジオペンチ、ねじった銅線を潰すためのペンチ(もっといえば万力があると良い)などを使います。
銅線をねじる
銅線を適当な長さにカットしてジリジリと捻っていきます。作るものはチェーン(鎖)ですので、均等な輪が出来るように意識して捻ります。
…が、実際やってみるとそこまで神経質にならなくてもギチギチ捻っていくだけである程度良さげな輪っかが出来ていきます。
ペンチ(万力)で輪っかを潰す
ねじった銅線はラジオペンチ、もっと欲を言えば万力でギューッと潰してやります。
ただ、極細の銅線だと力を入れすぎるとプツンと断線するおそれがあります。力は入れても入れすぎには注意。
今回は幸いなことに、0.28mmというある程度太い銅線を使ったおかげか、ギチギチにつぶしても断線しませんでした。
潰した部分は綺麗に平ぺったくなっており、なんとなくチェーンっぽくなっているのがわかります。
ただ、円の形がちょっと楕円になっているので、もう少し真円に近づけるためにしっかり捻ってやる必要があると思いました。
車体後部の牽引フックにも取り付けてみました。
一応チェーン”らしさ”はあるものの、鎖というよりはロープっぽくなっています。銅線が太いために肉厚になってしまうのが原因ですね。
今回はこの0.28mmでつくったチェーンを使いますが、次回はもっと極細のものを使ってやろうと強く決心した瞬間でした。
車体前部に予備履帯を取り付ける
次は車体下部の前面装甲板やブレーキ点検ハッチなどを組み立て、そいつに予備履帯を乗っけてやります。
フロントパネルは前回取り付けましたが、ブレーキ点検ハッチなどが取り付けられる前面装甲板はまだなので、まずはそいつの組み立てから入ります。
この装甲板の上に予備履帯を取り付けるために履帯用のラックを作るのですが、このパーツはプラパーツかエッチングパーツのどちらかを選択して作ります。
説明書は前回に引き続き6番です。
先述の通り、まずは車体下部の上面装甲板にブレーキ点検ハッチなどを取り付けるところから始まり、その上に履帯を保持するためのラックを接着します。
車体下部 上面装甲板の組み立て
ブレーキ点検用ハッチなどを取り付ける装甲板を組み立てます。
一応、「車体下部 上面装甲板」などと呼んでいますが、果たしてこの部分がこの呼び方で合っているのか不安なところがあります。
正直言うと何個も戦車プラモ作っといて未だ「車体下部(上部)ってどこまでだっけ??」なレベルで、こいつを”車体下部”に当てはめて大丈夫なのかと思う知識レベル。
しかし、ただでさえ製作に遅れが発生してるのに装甲板の呼び方ごときで遅延させては総統閣下に怒られる。なのでもうコレでいきます。
こちらが車体下部 上面装甲板。ここにブレーキ点検用ハッチを2枚取り付けます。
IV号戦車 J型(中期生産型)のブレーキ点検ハッチは、まだ冷却空気吸気口とそれを覆う装甲カバーがついているタイプですが、1945年くらいからこの吸気口と装甲カバーが廃止され、簡素なハンドルに変わります。
装甲板に穴を開ける
説明書を見ると「装甲板に穴を開けよ」と指示があります。
予備履帯パーツの裏側にある突起を差し込むためのダボ穴で、合計5ヶ所に穴を開けます。
装甲板を裏返すと「ここに穴を開けるんやで」と言わんばかりに半穴があるので、ピンバイスをつかってゴリゴリ穴をあけてやりました。
最初は裏側から穴を開け、貫通したら今度は表側からも刃を通します。ちなみにピンバイスのドリル刃は0.8mmを使用。
予備履帯を組み立てる
続いて「予備履帯」を組み立てます。
車体下部 上面装甲板に取り付ける予備履帯は、マジックトラックと装甲板のダボ穴に合わせる突起がついた履板パーツを組み合わせて作ります。
なお、マジックトラックにせよランナーに引っ付いてる履板にせよ、よく見ると押し出しピン跡が残っています。
車体に取り付ける履帯ならまだしも、車体前面に堂々と乗っかかる予備履帯でピン跡を残すとものすごく目立つので、面倒ですが一つ一つ消していきます。
…察しのいい人はお気づきかと思いますが、マジックトラックの履板パーツにも押し出しピン跡が残ってます。
つまりこの先180枚以上ある履板のピン跡を消す(地獄のような)作業が待ってます。お楽しみに。
ピン跡を消したら履板の位置を間違えないように1枚ずつ接着して、上面装甲板にはめこみます。よく見ると端っこの履板パーツには履板を繋ぐ「ピン」がちゃんとモールドされていますね。
当初、履帯の接着は塗装後にしようと思いましたが、ここにはエッチングパーツで作るラックが付けられるので、無闇に履帯を着脱するとエッチングパーツがもげる可能性があるので、この段階で予備履帯を接着することにしました。
エッチングパーツで予備履帯のラックを作る
車体下部 上面装甲に取り付けられる予備履帯には、装甲板に溶接された突起(ラック)によって保持されています。
このラックパーツはプラスチックとエッチングパーツの2種類が用意されているので、エッチングパーツが苦手って人はプラスチックを使えば大丈夫。
エッチングパーツとプラパーツのにはそれぞれ利点・欠点があり、
- エッチング
- 肉薄で実物同等のスケール感を再現できる
- 折り曲げ・接着がやや難しい
- プラスチック
- 肉厚で実物よりも分厚くなる
- 折り曲げが不要で接着しやすい
- 履帯のピンを保持するモールドが入っている
といった具合にそれぞれ一長一短なので、好きな方を選びます。
で、私はエッチングパーツを使いました。
非常に小さいのでふっ飛ばさないように注意しつつ、折り曲げ線をたよりに直角に曲げ、接着面に薄く瞬間接着剤を塗って装甲板側にあるガイドに接着。
なお、プラパーツは厚みがあるので問題ありませんが、エッチングパーツだと薄いのでラックと履板のピンの間に隙間ができます。
気になる人は瞬間接着剤をパテ代わりに流し込んだり、プラ棒などで隙間を埋めてやるなりして上手いこと処理しておいて下さい。
また、先述の通り、プラパーツには履帯のピンを保護する突起のモールド(車体を正面から見て左側にあるラック部分)が再現されておりますが、エッチングパーツだとツルツルで何もない状態
そのため、仲田裕之氏は自著「仲田師匠のプラモデル道場 戦車装備品[OVM]の仕組み」でラックの外側に0.6mmのプラ棒に0.4mmの穴を開けたものを取り付けることでこれを再現しています。
余剰パーツでラックのモールドを再現する
本当はスルーしても良かった「予備履帯ラックのモールド」ですが、ここまで書いちゃった以上スルーするのもどうかと思う。
ってなわけで、私も仲田師匠にならってこのモールドを再現してみようと思います。ディテールアップパーツを更にディテールアップしちゃうわけです。
…とは言ったものの、現時点で0.6ミリのプラ棒なんてハイテクな代物は無いので別のものを使う必要があります。
なにか良さげなモノはないかと、余剰パーツを探っていたところジャンクパーツの中にあったサスペンションのカバーに目をつける。
こいつの裏側にある突起のうちの一つが良さげな太さだったので、これに0.5mm(0.4mmが無かったんだよォ…)のピンバイスで穴をあけ、ナイフで切り落として断面を平らにする。
そしてそいつを履帯ラックに取り付けてやれば履帯のピンを保持するモールドが完成というわけです。
また、その反対側は薄いエッチングパーツであるがゆえに出来てしまった隙間を何とかするべく、履帯の「ピン」を延長させようと試みる。
ぶっちゃけここはプラパーツでいくらでも代用出来るけど、問題はこの隙間にキレイにパーツをくっつけること。これがまた至難の業で、不器用な私には地獄のような作業でした。
なのでラックと履帯の隙間に「ピン」を模したパーツを挟むのではなく、いっそラックを貫通させてやろうと、先程の牽引フックのチェーンで使った銅線をブスリと差し込む。
そして瞬間接着剤でくっつけて、適度な長さでバツンと切断すればいい具合にラック内側の隙間を埋めることができ、同時にラックの頭に履帯のピンが少しはみ出るよ形の再現に成功。
カメラが悲鳴上げるレベルの細かい作業でしたが、これで予備履帯と履帯を保持するラックにおける不満点が解消され、心置きなく次の作業に進むことが出来ます。
出来上がった上面装甲板を車体下部に接着します。
上下車体など大きなパーツを接着するときと同じように、マスキングテープで仮止めして隙間をなくし、流し込み接着剤をつかって車体に接着。
正面装甲にも履帯を取り付ける
車体下部 上面装甲と比べるとやることは少なめですが、正面装甲にも予備履帯を置いておきます。
まずは牽引具に橋を架けるようにラックを追加します。
これは説明書通りですが、ここに引っ掛ける履帯は塗装を考慮して取り外しできるように、きもち緩めにセッティングしておきました。
正面装甲に取り付ける履板10枚の押し出しピン跡などを処理し、1枚1枚接着します。
あとはラックの上にスポッと差し込むだけ。
ラックをやや緩めに取り付けたおかげで履帯が取り外しやすくなってます。
フェンダーを車体に取り付けるまでの流れ
続いては車体の両サイドに取り付ける「フェンダー」をつくっていきます。
このフェンダーはタミヤのキットだと車体上部と一体になっている場合が多いですが、ドラゴンのキットでは別パーツとなっていました。
また、IV号戦車 “J型”なのでフェンダーにはシュルツェンを固定するためのフックがついています。こちらも注意しつつ加工していこうと思います。
説明書は7番。フェンダー前後をつくり車体に取り付けるといった流れです。
シュルツェン架を加工する
こちらがIV号戦車 J型のフェンダーです。
このフェンダーにはシュルツェンを引っ掛けるステー(シュルツェン架)が片側5ヶ所あります。
シュルツェン本体が薄っぺらいパーツになのに対し、ステーの方はそこそこ肉厚でスケール感がおかしい気がしたので、少しだけ削って薄くしてやろうと思います。
肉厚とはいえ、パーツ単位でみると薄くもげやすいので、削ってるときに動かないように注意しつつ丁寧にヤスリで削ります。
左側が削って薄くしたシュルツェン架。デフォルトの半分くらいの厚さにしてみました。
ここまで薄くすると折れやすくなるので、以後の扱いは注意すると同時に、万が一折れてしまったら接着して1日以上は絶対安静に。
フロントフェンダーの組み立て
つづいて、フェンダー前部にパーツを取り付けます。
取り付けるパーツは3点だけですが、注意したいのはフェンダースプリングを模した細長いパーツ。
細いし小さいしで紛失注意なのは言わずもがな、スプリングの中央辺りにゲートが残るため処理でしくじるとポキッとやってしまいます。
なので、この手の小さい(細長い)パーツは先に接着してゲートなりスジなり処理するようにします。
車体にフェンダーを取り付ける
フェンダーも大きなパーツなのでいきなり接着するのではなく、仮組みして位置関係を把握した上でマスキングテープを駆使して隙間をなくし、流し込み接着剤で固定。
フェンダーを車体に取り付けると一気に戦車っぽい形になりました。
ニーベルンゲンヴェルク社の工場で働くミハイル君は「この戦車にパンターの砲塔乗せたらカッコ良くね?」と上司に話したそうですが、上司は鼻で笑ったそうです。
また、車体の後ろの方にはエンジンルームと戦闘室を区切るための壁を差し込んでおきます。
リアフェンダーの組み立て
今度は後部のフェンダーを取り付けます。
フロントフェンダーと違い、こちらはフェンダーそのものを先に車体に取り付けてから組み立てます。
やることはフロントとだいたい同じ。マッドガードを取り付けて、フェンダースプリングを間に橋渡しするようにくっつけるというもの。
パーツ数が多く、なおかつ説明書の記載がわりとイジワルなドラゴンですから、安直に接着するのではなく、仮組みと位置調整が必須となります。慌てずじっくり作っていきましょう。
これで車体下部がほぼほぼ完成!
残業が多かったりアルケット社の工場が爆撃されたりでなかなか進まないIV号戦車 J型ですが、2ヶ月かけてようやく車体下部が完成しました。
…いや、まだ細かい部分は残ってますけど”ほぼほぼ完成”ということにしておきます。しておいてください。
今回のIV号戦車 J型(中期生産型)は8月~9月に生産されたものですが、ここから2ヶ月も経過する頃にはシュルツェンが網状のトーマシールドになったり、上部転輪が3つに減らされたりします。
なので早く完成させないと「中期生産型」ではなく、後期型とか最後期型なんて呼ばにゃならん…。
お次は車体上部の基礎をつくりますよ。