どうもこんにちは。
ディテールアップや何やらで意外に組み立てに時間がかかった超重戦車マウス(ドラゴン)ですが、ようやく組み立てが終わったので、ここから先は「塗装」に入ります。
まずは基本塗装・迷彩塗装を行う前に、その下準備となる下地塗装を行いました。
下地塗装といってもやることはシンプルで、エアブラシで「サーフェイサー」をまんべんなく塗って、足回りを中心にや影の色を塗るだけです。
プラモデル用のサーフェイサーにも様々な種類があるのですが、私はオキサイドレッド(色)のサーフェイサーを愛用しています。
今回はなぜオキサイドレッドにこだわっているのか、その理由も含めてご紹介いたします。
↑今までの「超重戦車 マウス」製作日記はこちらから読めます。
「オキサイドレッド」のサーフェイサーにこだわる理由
エアブラシを入手してからはガイアノーツのサーフェイサーEVO オキサイドレッドというサーフェイサーを使用するようになりました。
それ以前は缶スプレーの「Mr.サーフェイサー1000」を使っており、当時(今も?)ロクにサーフェイサーの効果なんて知らず「みんな使ってるからとりあえず使っとけ」程度の認識でした。
強いて言えば、「サーフェイサーを塗っておけば塗料のノリが良くなる」程度の認識で、必要なのか疑問に思いながら使っていました。
ところが、「プラモ作ろう」という動画でベテランモデラーの土居雅博さんが『4号戦車 H型』を作る際に、オキサイドレッドのサーフェイサーを使っているのを見て「なるほど!」となって、(当初は)本来の用途とは別の理由で使うようになりました。
実物戦車に使われる錆止めプライマーを模した色
というのも、この「オキサイドレッド」という色が、実物戦車において塗装前に散布する錆止めのプライマーの色を再現した色といわれています。
つまり、このオキサイドレッド色のサーフェイサーを戦車に塗ることで
- プラモデルにおける塗装前の下地処理
- 実物戦車における下地処理の再現
といった2つの工程を行うことができるわけです。
もちろんこのサーフェイサーの上に車体色や迷彩色を塗るわけなので、サーフェイサーの大半は塗りつぶされるわけですが、塗料の行き渡らない場所や塗装の剥がれを再現する上でこのオキサイドレッドがいい味を出してくれるのです。
塗装の剥がれを再現できる
実際の戦車は木の枝が接触したり可動部分が干渉して擦れたりすると表面の塗料が剥がれます。そのときに塗料の下に塗った錆止めプライマーが露出します。
模型においてもウェザリングの一環として、塗装の剥がれを再現します。「チッピング」と呼ばれるスポンジの先に塗料をつけて模型に押し当てて描く方法や、筆で描くといった方法があります。
もちろん腕次第でリアルな「剥がれ」を描くことが出来ますが、サーフェイサーと離型剤(後述)を併用して本当に塗料を剥がすことで「塗る」では再現できない立体感までも再現できるのです。
もちろん本来のサーフェイサーとしての効果もあるので、模型の下処理と実物戦車の下処理が1度に行えるというスグレモノです。
そういった理由から戦車模型の下地処理はオキサイドレッドのサーフェイサー以外ありえない!と鼻息荒げているのです。今のところは(笑)
「超重戦車 マウス」にサーフェイサーを吹いて下地処理をする
では、実際に制作中の「マウス」にのサーフェイサーを吹いてオキサイドレッドがどんなものかを見ていきます。
用意したものは
- サーフェイサーEVO オキサイドレッド(ガイアノーツ)
- ガイアカラー薄め液(ガイアノーツ)
- 塗料皿・撹拌棒
- エアブラシ機材一式
従来のサーフェイサーと同じように、全体にまんべんなく塗るだけなので、特に注意点はありませんが、瓶入りのサーフェイサーは原液ではドロドロで濃すぎるので、ラッカー溶剤で1.5~2倍くらいに薄めて使用します。
まずはサーフェイサーを塗料皿に入れます。
…が、その前に、サーフェイサーの瓶の底に溜まっていることがあるので、よくかき混ぜてから塗料皿へ移します。これは他の塗料にも言えることです。
そのあとラッカー溶剤(私は同じくガイアノーツのガイアカラー薄め液T-01を使用)で1.5~2倍に薄めます。しっかりかき混ぜましょう。
コンプレッサーの圧力やハンドピースの噴出量の調整が終出来たら、紙などに試し吹きをします。良さそうだったらまずは目立たない車体の裏面に薄く吹きます。
ちなみにエアブラシで塗装するときのコツとして
- いきなり近づけすぎない
- 同じ場所に長時間吹かない
…の2つを心がけます。
いかなる場合でも、まずはある程度プラモデルとハンドピースの距離をはなしてスタートし、「ちょっと遠すぎるな」と思ったら少しずつ近づけます。塗料の吐出量によっては近づけるとビチクソになります。
また一ヶ所に長時間スプレーするとやはりビチクソになります。
特に塗装対象とは正反対の色を使うときは変化が分かりづらく、長時間当てがちになるので要注意。色を濃くしたい場合でも、ハンドピースを動かして一点集中にならないよう気をつけます。
…なお私は未だにしくじってビチクソをつくってしまう時があります。トホホ。
また、エアブラシ塗装は塗装しづらい奥まった部分を最初に行います。
手前を先に塗って次に奥を塗ろうとすると、手前だけ塗料が重ね塗りになってしまい、結果的に厚塗りになるからです。
上の写真では履帯の内側を塗装しているところですが、側面装甲板を接着してから塗装することにしたので、転輪や履帯内側はこの角度から吹くことになります。
当初は影の塗装で誤魔化すから良いやと思っていましたが、いざ塗装してみるとこりゃなかなか厄介…!
それでも何とか一通り足回りを塗装できたので(本当に大丈夫か…?)、今度は車体の側面をサーフェイサー塗装していきます。どんどん車体がオキサイドレッド色に染まっていく…!
足回りと違い、側面は平ぺったい装甲板が1枚ついているので何も考えずにエアブラシを走らせることができます。こりゃぁ爽快だ。
ちなみに私は右利きです。上の写真では撮影用にわざと左手に持ってます。手が4つくらいあったらいいのにな。
ということで、塗り残しのないよう車体全体にまんべんなくサーフェイサーを塗りました。オキサイドレッドとは上の写真のように暗い赤色で、建設現場で見かける鉄骨みたいな色です。
なおこの時点でライトの配線(銅線)にメタルプライマーを塗るのを忘れたことに気付きましたが、このサーフェイサーにメタルプライマー的な成分が入っていることに期待して次に進みます。
その次というのが「砲塔」なわけです。
こちらも塗り残しがないように全体に吹いていきますが、砲塔は砲身が上下に動くギミックがあるので塗り残しに注意。可動域ギリギリまで持っていって押さえながらサーフェイサーをプシューと吹きました。
あと意外に忘れがちなのが砲身の先っちょ。マウスは砲が巨大なので当然「穴」も大きいのです。なのでこの部分にプラスチックの色(灰色)が残っていると目立つので忘れず吹いておきます。
ということで車体と砲塔のサーフェイサー塗装が完了しました。
マウスは従来の戦車と違ってデコボコした部分が少ない(足回りの入り組んだ部分を除く)ので、塗装は楽チンでした。
車体をオキサイドレッド色に染め上げてサーフェイサー塗装は完了ですが、もう1つ下地塗装としてやっておいた作業もあわせて紹介します。
シャドー吹きで足回りなどを暗くする
サーフェイサー塗装が終わったら、次に転輪や履帯の奥まった部分や、影になりそうな部分を中心にマホガニー(Mr.カラー)で塗装しました。
特に履帯の裏側、転輪の奥などは形状の都合で塗り残しが出来やすいので、入念にマホガニーを塗って誤魔化しておきます。
今思うと、マウスは履帯や転輪を塗装してから側面装甲板を取り付けたほうが楽でした。ちょいと失敗。なのでこの記事を読んでてマウス作ろうかなって考えてる人は私と同じ轍を踏まないで下さい。
わかりづらいかもしれませんが、この角度から転輪の隙間めがけてスプレーし、履帯の内側や奥の転輪を塗装しました。やっぱりやりづらい!!
何度か明るいところで塗り残しが無いか確認していますが、それでも少し塗り残しが発生したので、次回の車体塗装で履帯の塗装をする際にその辺りを埋めていきます。
一方こちらは砲塔。
今まではマホガニーの塗装をする場合、サーフェイサーと同じように全体にまんべんなく塗っていましたが、超重戦車マウスの巨体をまんべんなくマホガニー塗装するのは塗料も時間も消耗します。
なので今回は車体のエッジ部分や影が出来そうな部分だけに絞ってマホガニー塗装を行いました。車体塗装における明暗差はダークイエロー側で調整しようと思います。
塗装が剥がれそうな場所に「離型剤」を塗る
サーフェイサーを吹いたら一緒に塗っておきたいのがこの離型剤。
これは本来レジンなどでパーツを整形するときに、型からパーツを剥がしやすくするために塗るものですが、それをサーフェイサーの上に塗ることで、その上に塗った塗料が剥がれるようになります。
使用するのはMr.シリコーンバリアー(GSIクレオス)。
まずはキャップをした状態でシェイクして中身を撹拌し、ほどよく混ざったら筆にとって、塗装が剥がれやすい場所に塗ります。
マウスにおける塗装の剥がれやすい場所といえば、エッジ部分やハッチの周辺、予備燃料タンクなどがあるので、そこに筆でペタペタと塗ってみました。
その後、車体塗装や迷彩塗装を終えた後にシリコーンバリアーを塗った箇所を爪楊枝などで優しく擦ればゴリゴリと塗料が剥げていきます。
このオキサイドレッドのサーフェイサーとシリコーンバリアーの組み合わせは誰でも簡単にハイクオリティな塗装の剥がれを再現できるのでオススメ。
まとめ
サーフェイサーを吹く本来の目的は、傷を埋める、模型の透けをなくす、色を均一にするなど、塗装前の下地処理としての役割がメインです。
しかし、オキサイドレッドのサーフェイサーを使うことで、下地処理だけでなく、後々のウェザリング(塗装の剥がれ)においても大きな役割を果たしてくれるのです。
…というわけで、無事に1回で下地塗装が終わりました。
マウスの側面装甲板は均質圧延装甲の”荒れ”を再現しましたが、サーフェイサーを吹いたあとでもしっかり残ってくれました。
同じように砲塔も適度にデコボコが残っていい感じ。
全体図。今回は無事に下地塗装まで進めることが出来ました。
昔は下地塗装(サーフェイサー塗装)と車体塗装および迷彩塗装を1度にやっていたのですが、ここ最近はいらんことに拘っているせいで時間がかかり、下地塗装・迷彩塗装と2回にわけて塗装をしています。
塗装自体がエアブラシ準備したりと時間がかかるため休みの日にしか出来ず、悪天候や気分で塗装が中止になると1週間作業がお預けになるのです…。
こっちゃまだ積みプラ6個あるんだぞゴルァー!!(最近また一つ追加した)
↑私が使ってるオキサイドレッドのサーフェイサーというのがコレ。主にエアブラシ用
↑塗装の剥がれを再現するにはサーフェイサー散布後に剥がしたい場所に離型剤を筆塗り。私が使ってるのはGSIクレオスのMr.シリコーンバリアー。
↑エアブラシはリニアコンプレッサーL5を使っています。