どうもこんにちは。
先日タミヤの「メーベルワーゲン」が完成して、我が家に3輌目の対空戦車が着任しました。これで対空戦車製作はオシマイ!…ではありません。
今回は4作目となるドイツの対空戦車でドラゴンの「クーゲルブリッツ」のプラモデルを入手することができたので、そちらを紹介していきます。
この記事では
- ドイツが第二次世界大戦中に開発した対空戦車「クーゲルブリッツ」について
- ドラゴンの1/35スケールプラモデル『IV号対空戦車 3cm クーゲルブリッツ』のレビュー
といった内容をまとめました。
4号対空戦車 クーゲルブリッツ(ドラゴン)のプラモデルを入手した!
さて、今回購入したのはドラゴンの 「IV号対空戦車 3cm クーゲルブリッツ(6040)」でございます。
ここまでメーベルワーゲン、ヴィルベルヴィント、オストヴィントと来て、次の対空戦車はやっぱりクーゲルブリッツだろうと思ってたのですが、肝心のキットがどこも売り切れで手に入らず。
で、オークションに出品されてないか探してみたところ、運良くキットを見つけたので「何としてでも手に入れてやる」と、他の入札者との命懸けの死闘の末に見事落札。
今ならソ連にも米国にも勝てる気がする。
「クーゲルブリッツ」ってどんな戦車?
ではまず、「クーゲルブリッツ」がどんな車両なのか、簡単にご紹介します。
ミリタリー系やドイツの兵器に詳しい人ならまだしも、そうでない人にとって「クーゲルブリッツ」はなかなかマニアックな車輌です。
というのもクーゲルブリッツは、ドイツの有名な戦車であるティーガーやパンター等と違い、これらの戦車を敵機から守る「対空戦車」のひとつです。しかもその対空戦車のなかでも大戦末期に製作されたため、生産数は10輌にも満たないというマイナーな車輌です。
「対空戦車が好き!」 という人でなければたどり着かない車輌なのではないか…と私は勝手に思い込んでます。
ドイツ初の密閉型砲塔を使用した「本格的」な対空戦車
クーゲルブリッツ (Kugelblitz) は、第二次世界大戦中のドイツ国防軍の開発した対空戦車である。「Gerat556(556器材)」または「Flakpanzerwagen604/4(対空戦車604/4)」とも呼ばれた。
“Kugelblitz”とは、「球電現象」を指すドイツ語である。
via : クーゲルブリッツ – Wikipedia
クーゲルブリッツは今まで作ったヴィルベルヴィント、オストヴィント、メーベルワーゲンと同様に、戦車に随伴して敵機の妨害・撃墜を目的とした「対空戦車」です。
大戦末期になりドイツ軍が不利になると「制空権」を失い、敵の戦闘機に対抗する手段が地上からの攻撃に限られ、対空兵器を搭載した「自走式対空砲」や「対空戦車」の開発が急がれました。
そんな対空車輌の一つであり、ドイツの主力戦車である「4号戦車」をベースに開発されたのがこのクーゲルブリッツです。
しかし、従来の「4号対空戦車」は戦地から戻ってきた4号戦車をベースにしたものでしたが、クーゲルブリッツは搭載する砲塔の関係で車体は既存の4号戦車の流用ではなく新規設計されたものでした(後述)。
クーゲルブリッツの特徴は、ドイツ軍の開発した対空戦車として初めて完全な密閉型砲塔を搭載している点である。
メーベルヴァーゲンやヴィルベルヴィントが不完全な装甲や砲塔しか持たないのと一線を画し、この砲塔は密閉型にして球形の砲塔であり、最大20mm、上部10mmから18mmの装甲で覆われており、更に砲塔の全周を包む形で30mmの装甲板が設置されていた。
via : クーゲルブリッツ – Wikipedia
車体部分がメーベルワーゲンやヴィルベルヴィント、オストヴィントと同じ4号戦車ならば何が違うのかというと、対空用の武装を搭載する「砲塔」の違いです。
従来の4号対空戦車は、「メーベルワーゲン」のように装甲はあれど展開すると搭乗員がむき出しになるもの、後継車輌であるヴィルベルヴィントやオストヴィントも対空射撃の関係で砲塔上部は装甲が無いというもの。
対するクーゲルブリッツはドイツの4号戦車では初となる完全な密閉型砲塔となっています。
砲塔の構造
クーゲルブリッツの砲塔はドイツの潜水艦「Uボート XX1型」に搭載予定だった「303号3cm連装高射機関砲塔」を戦車用に転用・再設計したもの。
クーゲルブリッツ(球電現象)の名前の由来となっているこの円形の砲塔は、外殻と内殻の二重構造になっており、外殻で横の回転、内殻で縦回転を行います。
従来の4号対空戦車(ヴィルベルヴィントやオストヴィントなど)は横の回転は砲塔ごとでしたが、砲身の上下は対空機関砲のみ。そのため射界を確保する関係で砲塔上面は装甲のない”オープントップ”構造でした。
一方でクーゲルブリッツは砲身の仰俯は砲塔ごと行えるので、全方位を装甲で覆う密閉型砲塔が可能となりました。
砲塔が上下にも動くため搭乗員もそれに合わせて姿勢が変わります。クーゲルブリッツの砲塔は仰角80度まで動かせるとのことですが、そうなると搭乗員はほぼ真上を向いた状態。体勢的にしんどそう。
航空機関砲「3cm Mk103」を2門搭載
武装はラインメタル社の3cm Mk103/38機関砲を2門並べたものを搭載。
本来、このMk103は航空機に搭載された「航空機関砲」で、ドルニエ Do335、ヘンシェル Hs129、その他航空機の一部バリエーションに搭載。航空戦だけでなく、地上攻撃でも使われました。
また、ヴィルベルヴィントやオストヴィントに搭載されてた対空機関砲と違い、このMk103はベルトリンク給弾になっており、左右それぞれ600発の合計1,200発を携行していました(携行弾数は諸説あり)。
砲身の冷却や継続射撃を考慮し、航空機に搭載するものより射撃速度は抑えられているものの、毎分650発の射撃ができ、有効射程も5,700mとのこと。
しかし生産数は少ない
クーゲルブリッツは第二次大戦末期の1944年4月に開発が行われ、同年9月に量産が始まる予定でした。
しかし、4号戦車(J型)にクーゲルブリッツ用の砲塔を搭載するには砲塔リング径の拡大や、リング拡大に伴うハッチの位置変更が必要で、車体は「4号戦車(J型)」だけど車体上部は新規設計でした。
この車体の新規設計による遅延だけでなく、連合軍の空襲で生産が進まず、最終的に生産されたのはたった2~6輌程度とのことでしたが、この生産数も諸説あり。
クーゲルブリッツが登場する作品
史実ではたった2輌しか存在しなかった(6輌という説も)クーゲルブリッツですが、ゲームとかのフィクションになると話は別。
「いっぱいあるから皆も使ってエエで」と言わんばかりにレアな兵器が堂々と登場します。
War Thunder
ロシアのGaijin Entertainment社が提供するMMOゲーム「War Thunder」にクーゲルブリッツが登場します。
私はこのゲームをプレイしたことはないのですが、クーゲルブリッツやオストヴィント、ヴィルベルヴィントなど、私が好きな対空戦車が出てくるので、プレイ動画をよく観ています。
ただし「メーベルワーゲン」は出てこない……。
バトルフィールド1942 FHSW
スウェーデンのDICE(Digital Illusions Creative Entertainment)社が開発したFPSゲーム「バトルフィールドシリーズ」の一作目「バトルフィールド1942」にも登場。
ただし、通常のバトルフィールド1942ではなく、「FHSW」という、少数しか生産されなかったり、計画止まりだった幻の兵器が登場するMODにて登場。
クーゲルブリッツが登場するマップは固定(アップデートなどで変わる場合あり)ですが、マップによっては(史実で2輌しか生産されなかった)クーゲルブリッツが普通に2輌ポンと置いてあったりする。
そのほかオストヴィントやヴィルベルヴィントも登場する。ただし「メーベルワーゲン」は出てこない……。
プラモデルの「クーゲルブリッツ」についてレビュー
さて、実物クーゲルブリッツの話ばかりになったので、ここでプラモデルの方のクーゲルブリッツの話に戻ります。
少数しか生産されなかったマニアックな車種ではあるものの、今回のドラゴンをはじめ、様々なメーカーがクーゲルブリッツのプラモデルを販売しています。
キットのバリエーションについて
こちらが私が入手したドラゴンのクーゲルブリッツ。ナンバーは6040。
プラモデルあるあるな話ですが、古いキットに連結式履帯や金属パーツ等のディテールアップパーツ、またはフィギュアなどを追加して再販するといった形で、新旧複数のモデルが存在します。
ドラゴン製のクーゲルブリッツもそれに該当し、複数のキットがあります。
ひとつ目はこのパッケージ。同じクーゲルブリッツですが、こちらはナンバーが6136。
番号はこちらのが後ですが、私の入手したNo.6040は右上に「NEW TOOLING!」と書かれています。おそらく金型か何かが違うのだと思いますが、詳細はわからず……。
もう一つが2009年7月ごろに発売されたサイバーホビーブランドの「オレンジボックス」と呼ばれるキット。
こちらは既存のキットに新しい金型によって生成された砲身や、「マジックトラック」という連結式履帯、そして兵士フィギュアがセットになったもの。
私がクーゲルブリッツを探していた当時は、このサイバーホビーのオレンジボックスが欲しかった。
こちらは2017年8月に発売された最新のもので、ドキットのクオリティは維持しつつパーツ数を抑えて組み立てやすくした「スマートキット」と呼ばれるもの。
ただ、いたる所でエッチングパーツが使われたり、フェンダー、車体上部装甲板などが車体上部とは別パーツになっているなど、スマートキットとはいえ従来のクーゲルブリッツよりパーツ点数は大幅に増えている。
また、砲塔は内部までしっかり再現されており、より表現の幅が広がっている点にも注目。
先述の通り、このキットは2017年8月発売というドラゴンのキットとしては比較的新しい部類に入るもので、私がクーゲルブリッツを完成させた2016年5月より後に発売されたものです。
私が作ったNo.6040のクーゲルブリッツは最も古いバリエーションでしたので、機会があればこのスマートキット版クーゲルブリッツも作ってみたいなと思います。
こちらは「ボーダーモデル」の1/35スケールのクーゲルブリッツ。
ドラゴン(サイバーホビー)の在庫が無くなりつつある現在、おそらく最も入手しやすい1/35スケール のクーゲルブリッツ。
特徴としては、3cm機関砲が金属砲身で再現されていて、わざわざオプションパーツを買う必要がない点。対空戦車の主砲は細いので金属砲身付属はありがたい。
その他、履帯は部分連結式だったり、ドラゴンに匹敵するパーツ量だったりと、なかなかボリューミーなキットです。
こちらはマニアックな車輌のキット化に定評のある「タコム」の1/35スケールキット。
「クーゲルブリッツ砲塔をパンター車体に搭載」というもので、もちろん実在しない架空戦車。
でも実際のところ、4号戦車にクーゲルブリッツ砲塔を搭載するには「砲塔リング」が小さすぎてリング拡大のため車体上部を再設計したことを鑑みると、より車体の大きいパンターの方がマッチしている気がします。
実現こそしなかったものの、パンター車体への搭載も検討していたんじゃないでしょうか。
こちらもタコムの「38式対空戦車 クーゲルブリッツ」。
今度は「38(t)戦車」の車体にクーゲルブリッツの砲塔を乗せたもの。
4号戦車ですら砲塔リングが小さくて上部構造を再設計せにゃならんのに、更に小さい38(t)戦車じゃ無理だろう。
…と思いきや、当時ヘッツアーを作ってた「BMM社」によると、”38(t)車台にクーゲルブリッツ砲塔を搭載した車輌の図面”が存在したとか。
キットの中身を確認してみよう
散々寄り道しまくって全然キットについて解説していませんが、ここでようやくキットのご開帳です。
箱のなかに入っていたものを一式出してみました。
ドラゴンのキットはパーツ数が多い(その代わり殆ど使わないパーツも多い)と言われていますが、見た感じそこまで多くはないと感じました。実際に説明書を見ても使用しないパーツはそこまで多くなかった。
…過去に作ったオストヴィントの時があまりに多すぎたんです。
で、履帯が無いので欠品か?! と思ったのですが、他のランナーとは異なる漆黒のランナーを発見。
よく見てみるとランナーに全く同じパーツがくっついています。そしてそのランナーが3つ……もしかして、履帯も1つ1つ組めとおっしゃるのか……!?
こりゃ今までのキットより骨が折れそうですね。でも組み立てるの楽しみです。……ところで、デカール入ってないんだけど?!
まとめ:次回からクーゲルブリッツを作ります
メーベルワーゲン、ヴィルベルヴィント、オストヴィントと、これまで「つなぎ」としての対空戦車を作ってきました。
そして、つぎ作るクーゲルブリッツは(生産に至らなかった)5号対空戦車 ケーリアンと同様に「本格的な対空戦車」という扱いです。ここまで史実と同じような展開です。
1つ1つ接着する履帯に苦戦しそうではありますが、それもまたプラモの面白いところだと思います。
↑次回から組み立てに入ります。