エアガン愛好家で知らない人はまずいないだろうというくらい有名な銃器メーカーである「MAGPUL」。
M16・M4系マガジンの底部に取り付けるゴム製のストラップから始まり、様々なパーツやアクセサリーをリリースし、 実銃・エアガン問わず銃(装備)の近代化に貢献したメーカーの一つです。
そんなMAGPULのM-LOK対応のバイポッドを購入したのでレビューしてみます。
Magpul バイポッド for M-LOK(品番:MAG933) レビュー
購入したのはMAGPULの実物バイポッド(品番:MAG933)。
「M4 軽機関銃」というM4ベースの機関銃(っぽいもの)作っていて、「機関銃といったらバイポッドだろ」と、M-LOKハンドガードにマウント無しでダイレクトに装着できるバイポッドがないか探していたところ、MAGPULのM-LOK対応のバイポッドを発見。
一応、M-LOK対応のバイポッドは他にもあって、左右の脚が独立しているタイプや、SAAが出してるMAGPULのレプリカとかもあったけど、思い切って実物を購入することにしました。
付属品について
開封すると以下のものが入っていました
- バイポッド本体
- アタッチメント
- マニュアル(2種類)
マニュアル
マニュアルは2種類同梱されていました。
まずA4サイズのマニュアルにはバイポッド本体の基本的な操作や特徴について記載されています。
説明書によると、このMAGPULのバイポッドには主に以下の機能・特徴があるようです。
- 折りたたみ
- 7段階の調節(16cm~26cm)
- チルト(傾ける。最大50度まで)
- パン(水平に動かす。最大40度まで)
- グローブ着用時も操作可能な大型のノブで向きや角度を固定。
もう一つは見開きのマニュアル。
「M-LOK ACCESSORY INSTALLATION INSTRUCTIONS」とあるように、銃本体に取り付ける手順について記載されています。
中身はこのように、M-LOKアクセサリーを銃本体へ取り付ける手順について記載されています。
元々「M-LOK」というのは従来の20mmピカティニーレールの課題(重量増、指を切る、握りにくい)を解消するため、MAGPULが設計した規格です。
同じようなコンセプトとしてはVOLTOR/NOVESKEの「KeyMod」があり、M-LOKとKeyModは競合関係となります。コカ・コーラとペプシみたいなもの。
で、そんなM-LOKにはどのような特徴があるかというと
- KeyMod同様、20mmレールを介さずアクセサリーを装着できるので軽量化・省スペース化が図れる
- KeyModと異なり前後の向きを問わずアクセサリーの取り付けが出来る
- 上下・前後による固定で射撃の振動や外部からの衝撃などでアクセサリーがズレるのを防ぐ
- ハンドガードのスロットを跨ぐようなアクセサリーの取り付けが可能
と言った特徴があります。
また、耐久テストにおいてもM-LOKは優秀な成績を収めています。
2017年5月4日にNSWCクレーンが実施したKeyModとM-LOKのテストにおいて
- M-LOKは耐久性テストおよび乱暴使用テストを経て、繰り返し荷重を加えてもアクセサリを固定するのに十分であることが示された。
- 再現性テスト(ハンドガードの同じ場所に同じアクセサリレールを繰り返し取り付ける)では、M-LOKの照準点(POA , Point of Aim)のズレは平均1.3MOAで、他のモジュラーレールシステムの1/4に抑えた。
- 落下テストではM-LOKは他のモジュラーレールシステムより損傷が少なかった。
- 故障負荷テストでは、全モジュラーレールシステムの中でM-LOKが最も高負荷を耐えた。むしろ試験装置のほうが先に壊れた。
という具合に、過酷な戦場でのハードな使用にも耐えられるスペックを要しています。
アタッチメント
引き続き付属品を見ていきます。
こちらはバイポッドをM-LOKのハンドガードに取り付けるためのアタッチメント。
T字型の金具と六角ネジがそれぞれ2本ずつ付属し、六角ネジはスクリュー部分に黄色いペースト状のものが付着しています。ネジロックかな?
取り付け方法ですが、今回のMAGPULバイポッドに限らず、M-LOKアクセサリーの銃本体への装着方法は以下の手順となっています。
- T字の金具と六角ネジでアクセサリーの取り付け部分を挟むように固定する
- 銃本体(ハンドガード)のスロットにアタッチメント(T字の金具)を通す
- 六角ネジを締めると一緒にT字の金具も回転してハンドガード内側と噛み合って固定される
…という感じになりますが、文章だけだと「え?」ってなるので、後ほど実際に装着してみます。
なお六角ネジには「MAGPUL」という刻印が入っています。細かい。
バイポッド本体のディテール
それではバイポッド本体を見ていきます。
外観の印象として、従来のバイポッドのような「ゴテゴテ感」がなく、マグプルらしいシンプルなデザインです。
「ハリス」バイポッドはテンションを掛けるためのコイルスプリングが脚部についているし、「ヴェルサ」バイポッドは回転させるための機構がボッコリしています。
一方でMAGPULのバイポッドはハリスやヴェルサに匹敵する機能を備えながらも、外部にそういった機構が露出していません。
そのおかげでスラッとしたシルエットで、装備品や障害物に引っかかりにくくなっています。
また、従来のMAGPUL製品と同様に”ガワ”の部分には「強化ポリマー樹脂」が使用されていて、総重量約1.8kgと軽量化が図られている一方、力が加わりやすい部分(脚の内側や各基部など)には強度・耐食性に優れた「A6061T6アルミ合金」を使用。
要するにMAGPULバイポッドはシンプルな外観ながら多機能で、なおかつ軽量化と高耐久性を実現した究極のバイポッドです。
こちらは取り付け基部。中央の「M」はMAGPULのMではなくM-LOKのM。
先ほどの付属品「T字型の金具」をここに取り付け、裏側にから六角ネジで仮止め。
このT字金具をハンドガードのスロットに通した状態で六角ネジを締めるとT字金具が回転しながら締まり、ガッチリ本体に固定されるようになっています。
この仕組み考えたMAGPULの技術者ホント頭いいなぁ。その知能分けてほしい。
反対側の六角ネジ。
こちらはバイポッドの根元部分。
展開、脚の伸縮、パン/チルトといったバイポッドの機構がここに集約されており、いずれも工具なしで調整ができます。
まず脚部の根本にある四角いボタンが脚の伸縮を調整するボタン。脚は7段階に調整できて調整幅は16cm~26cm。
次に六角ネジ右側にある丸いボタンは押すことでロックが解除され、90度前方に折り畳めるようになる。逆に畳んだ状態の脚を展開させる時はボタンを押さなくても展開できる。
そして下部にある表面がギザギザな丸いノブは緩めるとバイポッドを傾けたり(=チルト)、左右に首振り(=パン)させたいときに緩めます。ノブは大きいので手袋をした状態でも操作できる。
また、カメラの三脚のように、傾けたり横振りさせた状態でノブを締めるとその角度で固定させることもできるので、動く標的を狙う時は緩めて、固定目標を狙う時は締めるといった臨機応変な運用が可能。
その他、このノブの頭にはラバーキャップがついているので、バイポッドを折りたたんだ状態でも安定して銃を固定させることが可能。
バイポッドの脚を最大まで伸ばした状態。
脚の長さは7段階(16cm~26cm)に調整でき、間隔は1.27cm。
内側はA6061T6アルミ合金なのでガチガチで硬い。上からグイグイやっても全然しならない。
また、脚の表面にはアルマイト処理が施されており、精度の高い公差を確保することで軋みやガタつきが抑さえられています。
脚の先端はこんな感じにラバーパッドが付いていて滑りにくくなっています。
この先端部分はピンを抜いて取り外すことができ、アトラス製バイポッドの先端(ただしAtlas 5-Hは除く)と互換性があるとのこと。
ちなみに5kuからアトラス製バイポッド用のスパイクが出ています。互換性あるかどうかはわかりませんが、もしも装着できたら一気に攻撃的な外観になります。
「M4 軽機関銃」にMAGPULバイポッドを取り付けてみた
MAGPULバイポッドのディーテルについて大まかに紹介をしたので「あーこんなものか」ってなったと思います。
今度はこれをM4に取り付けて「あーこんなものか」ってなってもらおうと思います。
冒頭でも書きましたが「M4 軽機関銃」というM4をベースにした機関銃っぽいものを作っています。
今回MAGPULのバイポッドを選んだ理由も「機関銃と言ったらバイポッドだろう」ということで、M-LOKハンドガードにアダプター無しで取り付けできるバイポッドを探していたら、MAGPULが出していたので購入! …というわけです。
M-LOKがMAGPULの規格ならバイポッドもMAGPUL(ただしハンドガードはohhuntという中華)。
…なお、相変わらず配線がおかしな所から飛び出ていますが、これはいずれ直しておきます。
取り付け手順
ではではM4(軽機関銃)にM-LOKバイポッドを取り付けます。
必要な工具はネジ穴に対応した六角レンチのみ。
まずはバイポッドにT字の金具と六角ネジを取り付けて、上の写真のように金具を真っ直ぐにしておきます。
この時、ハンドガードのスロットに通す前に少しだけ六角ネジ(T字金具)を締めて、ハンドガード内で金具が空回りしないようにしておきます。
そしてハンドガードのスロット(スリット)に合わせてM-LOKの金具を取り付けます。
あとはバイポッドをひっくり返して六角ネジを締めれば装着完了。
六角ネジはガチガチに回す必要はなく、前後を順々に軽く回すだけでしっかり本体に固定されます。むしろ力を入れすぎるとネジ穴か六角レンチが再起不能になります。
先ほどちょろっと書きましたが、ハンドガードはohhuntというメーカーの17インチを装着しています。
聞き慣れないメーカーのハンドガードだったのでちゃんとアクセサリーの取り付けが出来るのか心配でしたが、いざ取り付けてみるとガッチリ固定されました。
脚を伸ばしたり取り付け位置を変えたり畳んでみたり
MAGPULのバイポッドを取り付けたM4 軽機関銃はこんな感じになりました。
やっぱりバイポッド追加すると機関銃っぽくなりますね。
なお、マガジンを装着していない状態だと上の写真のように立ってくれますが、30連マガジンを装着すると地面につっかえてしまいます。
脚を最大まで伸ばしてみる。
ただ、この状態でもマガジンを挿入すると突っ掛かります。バイポッド立てておくときはマガジンは抜いておきましょう。
バイポッドの位置をレシーバー寄りにしてみるとこんな感じ。
バイポッドは大概銃の先端に付いてることが多いので、こうやって根元についているとちょっと斬新な感じがしますが、「MG34」とか「HK21」とかもレシーバー寄りにバイポッドを装着できますよね。
またレシーバー寄りだけでなく、M-LOKのスロットがある場所ならどこでもOKなので、ハンドガードの中央とか、はたまたハンドガードの左右にも装着できたりします。
…さすがにハンドガード左右につけることはないけど。
バイポッドを収納するとこんな感じになります。
私はレシーバー側に脚が向くように収納していますが、スクリューを最大まで緩めたら180度回せるようになるので、銃口側に倒すこともできます。もちろん銃に取り付けた状態で。
レシーバー側に脚を向けた理由は………なんとなくMG42っぽいから(?)。
パンとチルト
先述の通り、このMAGPULバイポッドは左右に傾けたり首振りが出来ます。
まずこちらは銃を左右にスイングさせるチルト。50度まで傾けることが出来ます。
反対にも傾ける。
バイポッドを立てる場所は必ずしも平坦とは限らず、場合によっては斜面だったり段差があったりします。
そんな時に銃を水平に保った状態でホールド出来るようにするのがチルトです。
ただ、全長が長いM4軽機関銃なので、傾けた状態では銃本体を保持できず、バタンと倒れてしまいます。
バイポッドを起点に左右に水平に動かす「パン」機能。左右40度までスイングできます。
先述の通り、パンもチルトもバイポッド底部のノブを締めると固定されるので、特定の向き、角度にした状態でホールドすることもできるし、逆にブランブランさせることも出来ます。
まとめ
という具合に、MAGPULのバイポッドを取り付けて「M4 軽機関銃」をますます機関銃っぽくしてみました。
- M-LOKに対応
- メカニズムが外部に露呈していないのでシンプルなデザイン
- 強化ポリマーなので軽い
- だけど力が加わる部分は「A6061T6アルミ合金」なので耐久性も高い
- 使用時に軋まない
- チルト/パン機能あり
- 7段階に調整可能
- 折りたたみは前後どちらも可能
- 工具を使わないでこれらの調整ができる
…と、「これでもか!」と言わんばかりにアレもコレも機能を詰め込んでいて、分隊支援から狙撃まで、あらゆるミッションに対応した万能バイポッドといえます。
高かったけど買って良かったです。
↑今回買ったのがこちらの「Magpul バイポッド for M-LOK」。
↑こちらはSAA製のレプリカです。「MAGPULのバイポッド良いんだけど値段が…」って人向け。