トランペッターの1/35スケールプラモデル「グリレ17」の製作の続きをやっていきます。
ここまで車体下部の組み立て、金属履帯の組み立てとやってきましたが、今回はエンジン等のインテリアの組み立て・塗装をやります。
“組み立てが全部終わってから塗装したい派”である私にとって、組み立て・塗装を交互に行う作業が苦手ですが、インテリアのような車体内側の製作ではそういった作業を求められるからです。
そうでなくてもインテリアは初なのです。
エンジンとかトランスミッションといった部品に関する知識など一切なく、構成パーツが何なのか、どういった役割を果たすのか、何処をどういった色で塗ればいいのか。
…といった話がサッパリわからず苦戦しました。
グリレ17のインテリアについて
グリレ17は巨大な17cmカノン砲を搭載するため、車体中央から後端にかけてカノン砲の搭載スペースを確保する必要があり、そのためエンジン類が前寄りになります。
操縦室は一般的な戦車のレイアウト通りステアリング、変速機、計器パネル、無線機ときて、仕切りを挟んだその後ろに機関室が来て、そこにエンジンや、エンジンを冷却するラジエーターが配置されます。
そういった車体構造ゆえか、説明書ではひとまとめになって記載されています。最初の方でインテリアに集中できるのは助かります。
また、戦車と違ってオープントップな自走砲なので「砲塔」が存在せず、前方の操縦室・機関室以外はインテリア要素が無いので、フルインテリアモデルよりかは楽です。
それでも「やだぁ~! インテリアなんて無理ぃ~!」っていうメンタルウサギさんチームは、組み立てだけして塗装はスルーしても大丈夫です。どーせ装甲板つけたら全部見えなくなります。
まずは組み立てから
せっかくメーカー(トランペッター)が律儀に内部構造まで再現してくれたのですから、これをスルーするのはいかがなもの。
なにより、「模型製作日記」なんていっちょ前なカテゴリー作って、トランペッターのグリレ17なんてマニアックな(?)車種作ってるんだから、スルーしたら読者が泣く。
…と思ったので、ダメ元でインテリアにかぶり付いていきます。ダメ元で。
変速機の組み立て
まずは変速機から。説明書は6番目から行います。
このメカメカしい感じ、いかにもインテリアダナ~と、早くもインテリアアレルギー(ハウスダストの方ではない)が出ております。
とりあえず説明書だけを頼りに入念に仮組みをしてパーツを取り付ける作業を繰り返します。
戦車どころか車の構造ですらロクに知らないので、変速機やエンジンの話となると「ぐぬぬ…」となります。フルインテリア仕様のキングタイガーとかを作ってるモデラーさん達の技術と豊富な知識が羨ましいと思う今日このごろ。
で、この変速機は説明書によると黒鉄色(メタルブラック)で塗るとのことで、家にあったMr.カラーの黒鉄色で塗装してみました。
メタルカラーなので乾燥後に綿棒などで擦ると光沢が出ますが、これだと全体がテカテカするので、突起などはドライブラシで再現したほうが良さそうですね。
変速機カバー、無線機、計器パネル
そんな変速機を覆うようにカバーを取り付けます。
カバーを装着することで塗装した部分がほとんど隠れました。…んが、そんなこと言ってたらこれから作っていくインテリア諸々は上面装甲取り付けたら全部隠れます。
…なんだかオラ、すげぇ切ねぇだ。
こちらは変速機カバーの上に置く計器パネル。このパネルのメーターでエンジンの回転数、速度、冷却水の水温、燃料の残量などが確認できるようです。
パネルはガイアカラーのインテリアカラー、メーターの針以外の部分はフラットブラックで色を付けてみました。
変速機カバーも説明書の記載通り、フィールドグレーで塗装してみました。
カバーの上、計器パネルの奥にあるのは無線装置ですが、こちらはフィールドグレーではなくダークグリーンで塗れと仰せなので、ガイアカラーのオリーブグリーンで塗ってみました。
ステアリング
こちらは操向装置(ステアリング)。
キングタイガーの操向装置はヘンシェルのL801というタイプが使用されており、グリレ17はキングタイガーの変速機を流用しているため、おそらく同型と思われます。
この操向装置のケツに先ほど作った変速機を合体させます。
なお、見て分かる通り、変速機は最初に塗装したグリーンではなく、ガイアカラーのインテリアカラーに変わってます。
塗装後になんか違うなーと思って調べたところ、車内色(いわゆるエルフェンバイン)で塗装されている方がいて、便乗してドロッと塗った次第です(早くも混沌に足を踏み入れつつある)。
…だけど、塗るにしてもこれじゃ汚すぎるので、ちゃんとサフ拭いて塗り直そうと思います(後述)
マイバッハ HL230P30エンジン
操縦室にある変速機やステアリングを作りましたが、これだけじゃ戦車は動かないので、こいつらを動かすために「エンジン」を作ります。
しつこいようですが、グリレ17の変速機やエンジンはキングタイガーのものを使用しております。
で、そのキングタイガーのエンジンというのが、マイバッハ製 HL230P30 水冷4ストロークV型12気筒ガソリン 700hp (520kW)というもの。
「キングタイガーのエンジン」と書くとSUGEEEE!!ってなりますがが、HL230P30エンジンはティーガーIやパンターに乗っけるエンジンで、そいつをキングタイガーにも(無理やり)乗せているというのが実情。
700馬力のHL230P30エンジンは45トンのパンターならまま動きますが、70トンのキングタイガーとなるとパワー不足となり、フルでブン回さなければならず、エンジンや動力装置の故障が頻発しました。キンタが日の目を見なかった原因の1つです。
「キンタより軽いグリレ17(58トン)なら大丈夫ダロウ?」と思うところですが、57トンのティーガーIでもHL230P30エンジンの出力では足りなかったので、グリレ選手もヒーコラ言いながら走ったんじゃないかなと思います。
毎度ながら前置きが長くなりすぎましたが、説明書は8番目からスタートです。
やることは変速機の時と同じで、説明書を見ながら(入念に仮組みして)パーツを引っ付けていくという作業の繰り返し。
そして変速機の時と同じで、エンジンについても全く知識がないので説明書の言いなりになりながら作ったところ、上の写真のような産業廃棄物が出来上がりました。
…ほんとにコレで合ってんのかなぁ。
エンジンの上部にはエアクリーナーが付きます。
このエアクリーナーを設置するために上の写真のように2つ突起の付いた板状のパーツが来て、さらにその板状のパーツの下にはガソリンと空気を混ぜる「キャブレター」が4つ付きます。
説明書ではこの4基のキャブレターはエンジン本体に取り付けろとありますが、実際に組むと板状パーツとの噛み合いが悪いので、キャブレターは板パーツにつけてからエンジン本体に引っ付けた方が良いかもしれません。
こちらがエアクリーナー。エンジン上部に2つ取り付けます。
横から見るとこんな感じ。…ちょっとパーティングラインの処理が甘いな。
こちらはエンジンのケツ。
左右に伸びる昆虫の触覚みたいなパーツがハンドルのようでなんだかバイクっぽく見えます。
この昆虫の触覚みたいな部分は当初は排気管かなと思いましたが、排気管はその下にあって、この触覚はどうやら冷却水が通るパイプのようです。
一応、これでエンジンの組み立ても完了です。
組み上がったインテリアパーツを仮置きしてみる
車体に変速機とエンジンを置いてみるとこんな感じ。
塗装をするので仮置き状態ですが、バスタブ状の車体下部シャーシにエンジンや変速機を置くと情報量が増えて戦車の内部って感じになりますね。
ただ、変速機カバーの塗装があまりにヒドいので、本当にどげんとせんといかん…。
追加工作してみた
説明書における変速機とエンジンの組み立てはこれで完了です。
…んが、やはり細かいところが気になったので、他のモデラーさんの作品を参考にしながらディテールアップという名前の追加工作をしてみることにします。
「どうせ見えなくなるからしなくても良いだろ」というツッコミはナシです。
細い針金で冷却水パイプを再現
まずエンジンから。
先人モデラーさんの作品を見ると冷却水パイプの下からパイプが伸びており、上の写真のようにつながっているようです。
なので家にあった針金を使ってパイプ(らしきもの)を再現してみました
また、エンジン下部にあるポリタンクみたいな形したオイルタンクからオイル点検用ロッドが伸びているようなので、これも針金で再現。
配線を追加してみた
こちらは変速機カバー。
このカバーの上に乗ってる無線機や計器パネルですが、素組みだと配線の類が一切なく「お宅どこから電力供給してんの?」って状態。
なので細い針金や銅線をくっつけて「配線」を再現。ただしコード(プラグ)の位置や本数はかなり適当です。
そしてこれがまた骨の折れる作業でした。金属なので引っ付きにくく、配線がゴチャゴチャした感じにしようと曲げるとポロッと取れます。上の写真のようになるまで1時間ほど格闘してました。もう動かしたくない。
あまりに苦戦したから内蔵バッテリー式のワイヤレス無線機にしようと何度思ったことやらか。
仕切りとかの内装も取り付けよう
変速機やエンジンばかりに目が行きがちですが、グリレ17の内装はほかにも操縦室と機関室を区切る仕切り板や、操縦室に座る兵士のための座席などがあります。
ゴチャメカ感のある変速機やエンジンと違ってこっちはシンプルなので組み立てやすく、 SAN値をガリガリ削られた私の安息となりそうです。
説明書は10番目となります。
主に操縦室のシートや操縦室と機関室を隔てる仕切りといったものを取り付けます。
なお、説明図ではトランスミッションも取り付けるよう図示されていますが、塗装の関係でまだ取り付けません。
まずは操縦手のシート。こちらは説明書通りに組み立てるだけ。
こちらは操縦室と機関室を区切る仕切り。
ここには中央の円柱状のパーツと左下の消火器を取り付けます。
仕切りには2箇所穴があいていますが、中央下部の丸い穴はドライブシャフトを通すための穴です。
ただしキットではドライブシャフトは再現されていないので、物足りない人はプラ棒などで再現しましょう。
こちらは通信手席。
シートは車体側にモールドされているので、車体側面からニョキッと伸びる背もたれ部分のみ取り付けます。説明書では穴の位置が分かりづらいですが、シート座面のモールドを見れば取り付け位置がわかります。
もっかい仮置きしてみる。
「戦車(自走砲)の内側ってこうなってるんだー」というのが分かるのもインテリアモデルの良いところです。
説明書に記載のないパーツ
こちらは同じグリレ17を製作されたプラモ日記さんの記事を読んでわかりましたが、説明書に記載がないけど使用するパーツが出てきます。
上の写真のようにバッテンのリブが入った板状のパーツが2枚(パーツNoはK3・K4)あり、これはエンジンルームのスポンソン下の側面に取り付けます。
最終的にはエンジンやラジエーターで完全に隠れる部分なので無くても問題はありませんが、使用するパーツなのに何処にも記載がないというのはむず痒いですね。
ラジエーターの組み立て
お次はエンジンをオーバーヒートから守る冷却水を冷やす「ラジエーター」を作っていきます。
ラジエーター本体はひとかたまりのパーツとなっており、冷却ファンなどもモールドで再現されていました。
なお、ラジエーターにはエッチングパーツが使われます。
上の写真のように似てるけど微妙に形の違う3種類のエッチングパーツを15度くらいに折り曲げて、ラジエーターの溝にあわせて差し込んで接着します。
するとこんな風になるんだわよ。
作っているのはラジエーターなんだけど、この部分的に出っ張ったエッチングパーツが箱状のパーツから出ている様子はまるで職場のデスクの引き出し。そろそろ整理しないとなぁ…。
また、この段階でエッチングパーツにメタルプライマーを塗っておきました。
そして2つのラジエーターを繋ぐように冷却水パイプを取り付けます。
それを仮置きするとこんなレイアウトになります。賑やかになってきたねぇ~。もうこれで完成でいいと思う。
インテリアを塗装してみた
というわけで、エンジン、ラジエーター、トランスミッションといった内装パーツが組み上がりました。
このままフタして全部無かったことにしたい気持ちを抑えながらインテリアの塗装に入ろうと思います。…先に言っときますが、かなり手抜きです。
塗装範囲は機関室~操縦室の内側のみですから、それ以外の場所には塗料がかからぬようマスキングしておきます。
マスキングテープが勿体ないのでティッシュを多用しています。ケチなんです。
サーフェイサーで下地塗装
まずは下地塗装だよね。
ということでタミヤのファインサーフェイサー(オキサイドレッド)で全体を余すこと無く染めます。
同じように車体にもスプレーします。
以前はエアブラシでサーフェイサーEVO(ガイアカラー)を吹いてましたが、エアブラシの準備や後片付けが面倒なので、最近(パンターV2から)は缶スプレーでサフ吹きをするようになりました。
トランスミッションの塗装
トランスミッション周辺も塗装しました。
ボックスに隠れたトランスミッションとステアリングはMr.カラーのダークアイアン、トランスミッションカバーはガイアのインテリアカラーを使いました。
そんでもって計器パネルのメーターやヒューズ、ステアリングハンドル、配線類といった細部はつや消しブラックで塗り分け。
トランスミッションカバーの上にある無線機は、筐体をジャーマングレーにつや消しブラックを少量混ぜたものを塗りました。
ラジエーターの塗装
ラジエーターはサフの色をそのまま残しており、冷却ファンの前後にあるギザギザの部分と冷却水パイプのみダークアイアンで塗装。
…ですが、他の方の作例を見ると、この冷却水パイプは金属というよりホースみたいなもので、オキサイドレッドで塗装されている方が多かったです。…後でこっそり塗り直そう。
エンジンの塗装
マイバッハ製エンジンは全体をダークアイアンで塗装した後に、タミヤペイントマーカーのクロームシルバーでドライブラシしました。
エンジンの上にあるエアクリーナーはインテリアカラーを吹いてやりました。…が、車内がオキサイドレッドならクリーナーもオキサイドレッドにすべきだったかな?
…まぁ、エンジンはキンタ用なので、「エアクリーナーだけ在庫がまだあったよラッキー」ということにしておきましょう。
冷却水パイプは(継ぎ目はダークアイアンを残して)ガイアカラーのオキサイドレッド(サフじゃない方)を筆塗りしてみました。
同じ「オキサイドレッド」でもタミヤのサフとガイアのラッカー塗料とでは色が違うのがわかります。車体を塗装前に比較してみようかな。
車内は操縦手・無線手の座席(座面・背もたれ)と仕切りに引っ掛けてある消火器を塗装します。
インテリアを取り付ける
一通り塗装が終わったので車体に接着します。
疲れたのでこれでグリレ17完成でも良いレベル。軽戦車なら完成してるレベル。ぶっちゃけリア充なら今ごろ結婚して子宝に恵まれてるレベル。
汚してみた
とはいえ、塗装だけでは”真新しい”感じがしてリアリティに欠けます。
戦車の中はなんか…こう、汚い感じがあってナンボだと思うんです。経年劣化はもちろん、ホコリとかガスとかでくすんだ感じがあってこそ戦車なんですよ。
…とにかく、ウォッシングで汚してやります。使うのはMr.ウェザリングカラーのグランドブラウン。
すると、上の写真のように適度にきったねェ感じになりました。
通常、ウォッシングといえば、泥水みたいな塗料を塗りたくった後に、溶剤を含んだ綿棒などで拭き取って、全体の彩度を落として経年劣化を再現するものです。
しかし今回の場合はエンジンやトランスミッションを先にくっつけたので、奥まった部分は拭き取りようがありません。
にもかかわらずお坊さんの滝行みたいにジャバジャバとウェザリングカラーぶちまけたせいで、リアル兵士なら乗車拒否するくらい床が汚い。
全モデラーが呆れてサバゲーかラジコンに寝返るレベルのお粗末製作ですが、それでもグランドブラウンのおかげで何とか下の下くらいのクオリティを保つことが出来ました。
まとめ
あーだこーだブツクサ文句言いながらプラモを作るのはいつものことですが、今回のインテリアに限っては特にグチタレ日記になりました。すまぬ…すまぬ…。
とはいえ、車体内部の構造まで再現するのは今回が初で、エンジンやトランスミッションといった部分の知識を多少つけられたのは良い経験だったと思います。
自走砲なので車体前方のインテリアだけですが、キングタイガーとかだと本当に”フル”インテリアなので、より細かい部分まで再現しないといけないです。そう考えるとまだラクな方です。
………ただね、苦労したインテリアも上面装甲を被せると隠れるんです。切ない。