戦車プラモデルの「組み立て」が完了したら、次のステップは「塗装」…ですが、その前にもう1つやっておきたい作業があります。
それは「ディテールアップ」という作業です。
ディテールアップとは、キットではデフォルメされている細部にちょっとした加工をして、実物に近い外観・質感を表現する作業の総称です。
ディテールアップにも色んな種類、色んな技法がありますが、今回は製作中の「4号駆逐戦車 /70(V) ラング」を使って、気になった部分を中心に追加の加工をしてみました。
具体的には以下の3つ作業をやってきます。
- 銅線を使ってライトの配線の追加する
- 車体後部の牽引装置の再現
- 車体と戦闘室の装甲板の「荒れ」を再現
ディテールアップのやり方についてはもちろん、使用した道具や注意点についてもモチロン解説するので、戦車プラモ製作をランクアップさせたいという方はぜひご一読下さい。
↑なお、今回のディテールアップの題材となったタミヤの「4号駆逐戦車 /70(V) ラング」の製作日記はこちらにまとめています。キットの紹介から完成まで随時更新中!
銅線を使ってライトの配線の追加する
まずはドイツ戦車のディテールアップの「王道」とも言える、ライトの配線の追加をします。
キットによっては配線のパーツがあったりモールドで配線が再現されていることもありますが、そうでない場合は自前で追加してやります。
今回の4号駆逐戦車 /70(V) ラングもライトの配線が省略されていたので、「銅線」を使って再現します。
なお、箱絵にはしっかり配線も描かれています。
こんな感じに配線を追加していきましょう。
銅線は0.45mmを使用
ライトの配線は曲げやすい「銅線」を使って再現。自分は近所のホームセンターにあった0.45mmの銅線を使用しています。
配線は「伸ばしランナー」を作って再現される人もいますが、伸ばしランナーは太さの調整や折れやすいランナーを車体に沿って曲げる微細なコントロールが要求されるので難易度は高め。
それよりも銅線は太さが一定で簡単に曲げれるので(手先が不器用な私にとって)扱いやすい。
小さくて見づらいですが、ライトの配線を作ってみました。
箱絵を参考にボッシュライト(またはテックライト)の台座から車体の配線基部までの長さを確認して銅線をカットし、プライヤー等を使って曲げます。
あるいはエッチングパーツを曲げるときに使う「エッチングベンダー」というツールがあると楽かもしれません。
その他、製作する車輌によってライトの位置も配線の長さも違うので、箱絵や実物車輌の写真などを参考に作っていきましょう。
作った銅線を車体に取り付けるとこんな感じ。
今回のラングでは台座の右側面からコードが伸び、ブレーキ点検ハッチの横にあるボコッとした部分から車体内部に通っていくようです。
なお、銅線なので接着はプラモ用接着剤ではなく金属用の「瞬間接着剤」を使います。それと塗装前には「メタルプライマー」を塗るのも忘れずに。
車体後部の牽引装置の再現
続いて、車体後部の「牽引装置」のディテールアップをします。
4号戦車系の車体後部には他の戦車にもあるように、故障した他の車両を引っ張るための装置があります。
この牽引装置も生産年月によって形状や仕様が変わりますが、今回作るタミヤの4号駆逐戦車 /70(V) ラングでは、
- ホルダーシャフトが刺さっており、その上部には取っ手として細長い板が溶接されている
- その取っ手部分は脱落防止として「チェーン」が付いていて、牽引装置基部とつながっていた
といったタイプを再現しようと思います。
ホールドシャフトの「取っ手」の再現
こちらはラングの牽引装置のアップ。
装置中央のホルダーシャフト部分は再現されていますが、その上にあるはずの取っ手と脱落防止チェーンは省略されています(これどうやってシャフト引っこ抜くんだろ??)。
というわけで、これら省略されている取っ手部分とチェーンを再現します。
まず用意するのは平ぺったいプラパーツ。
…平ぺったい部分ってどこだろう? ってなるのですが、とりあえず使わないパーツとか過去に作ったプラモの余剰パーツとか探してソレっぽいものがあればラッキー。
プラじゃないけどエッチングパーツのランナーだと薄いので更にラッキー。
もしも無かったらホームセンターとかで「プラ板」を買うのもアリ(むしろそっちの方が良いかもしれない…)。
この平ぺったいパーツを「取っ手」のサイズにカットし、そこからさらにヤスリ等を使って削って薄くします。
上の写真では1点のように見えますが、実際は2つの平たいパーツをくっつけて取っ手っぽくしています。
それを牽引装置の頭、ホルダーシャフトがある位置に合わせて接着するとこんな感じ。
…ただ、結構ガシガシ削ったつもりなのに、まだまだ厚いので次作る時はもっと削っておきます。
あとこの削る作業が地味に大変なので「面倒なのはイヤ!」って人は、元から薄いエッチングパーツのランナーや薄いプラ板を使うことをオススメします。
脱落防止チェーンの再現
続いて、取っ手についてる脱落防止チェーンを作っていきます。
先ほどのライトの配線のときに使った0.45mmの銅線をこちらでも使いました。
この銅線をひたすら捻ってプライヤー等でギュッと潰すと、上の写真のように鎖のような形になってくれます。
あとは必要な長さにカットすればOK。
この銅線を上手い具合にホルダーシャフトの取っ手と牽引装置フレームの上部に接着すれば出来上がり。
チェーンを上手い具合に重量感あるダランと垂れ下がった形にして、なおかつ両端を良さげな位置に背着するのはなかなか大変でした。
でもこの銅線で作る鎖は何かと便利で、牽引装置のホルダーシャフトの脱落防止チェーンだけでなく、
- 牽引ワイヤーを束ねるチェーン
- 車載機銃やピストルポートの蓋のチェーン(パンター、キングタイガー等)
- その他、車体に詰んだ荷物を固定するチェーン
といった様々なチェーンを再現できるので、戦車本体のディテールアップから周囲の情景の追加など、幅広い範囲で活躍出来る技法です。
車体と戦闘室の装甲板の「荒れ」を再現
続いて、車体や戦闘室の正面・側面装甲板に追加加工をして、実物の装甲板の表面に見られるような質感を付与します。
戦車の装甲板の表面は完全にツルツルというわけではなく、全体的にブツブツのザラザラになっています。
一方で、プラモデルだと装甲板の荒れた質感は再現されていない場合が多いので、ここに装甲板の荒れを追加します。
ラッカーパテ(溶きパテ)を使って装甲板の荒れを再現します。
用意するものは
- タミヤパテ
- 流し込み接着剤
- 使い古しの筆(ウェザリングとかで使う硬めでコシのある筆だとなお良し)
本来、溶きパテを作るなら「ラッカー溶剤」を使うところですが、以前参考に観ていたプラモ動画では流し込み接着剤を使って作っていました。
それがちょっと気になったので、今回は試験的に流し込み接着剤を使ってみました。
流し込み接着剤でトロトロにした溶きパテを、固定戦闘室の正面、側面および車体下部の前面などにピタピタと軽く叩きつけるように薄く塗っていきます。
あくまで装甲板表面のザラザラとした質感の再現が目的なので、厚くなりすぎないようにします。
万が一厚く盛りすぎたかな?ってなった時は、乾燥後に1000番くらいの紙やすりで削って修正。
同じように正面装甲板も溶きパテでモールドを付けていきます。
防盾周辺は元から鋳造質感を再現したモールドが入っていますが、念のため溶きパテを塗っておきます。
実際に流し込み接着剤で溶きパテを作ってみた感じですが、溶剤ではなく「接着剤」なので、しっかりトロトロに希釈してもシャビシャビでなく、粘度が保たれた状態でした。
なのでしっかり薄めたものでも塗る時に下に流れにくかったです。
あとはラッカー溶剤と比べてニオイがそこまでキツくないという利点もあり。
ただ、流し込み接着剤は容量が40mlと少なく、組み立てで使うこともあり、薄め液として使うにはちょっと勿体ない気もしました。
この辺は完全にお好みですが、次に同様のディテールアップで溶きパテを使う時はラッカー溶剤を使うと思います。
まとめ
今回は製作中のタミヤのラングのディテールアップとして
- ライトの配線の追加
- 牽引装置のディテールアップ
- 装甲板の荒れた質感の再現
といった追加の加工をしていきました。
もちろんディテールアップは他にもたくさんあり、こだわり出したらキリがない世界ですが、今回は気になった箇所を中心に、道具があれば簡単に出来るものを紹介しました。
今後もいろんな戦車プラモを作る過程で様々なディテールアップをしていくと思うので、その都度新しい技法を取り入れていこうと思います。